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長時間作用型の抗HIV薬は患者を問わず有効な可能性

 HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症患者では、30年近く前から、抗レトロウイルス薬の毎日の服用が、AIDS(後天性免疫不全症候群)発症を抑える上で非常に効果的な方法となっている。しかし患者の中には、薬物中毒や精神疾患などの理由で毎日の服薬が困難な者もいる。こうした中、新たな研究で、長時間作用型の抗レトロウイルス薬の注射により、ほぼ全ての患者が完全な防御を得られる可能性が示された。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)ベイエリア・エイズ研究センター(CFAR)のMonica Gandhi氏らによるこの研究結果は、「Annals of Internal Medicine」に7月4日掲載された。 Gandhi氏は、「注射による抗レトロウイルス療法(ART)を望むHIV感染症患者は多い。おそらく、錠剤を飲むことに嫌気がさしている患者や、生活上の困難が多過ぎて錠剤を飲めない人などがそれに該当するだろう」と話す。 抗HIV治療における最初の長時間作用型注射レジメンであるCabenuva(一般名カボテグラビルおよびリルピビリン)は、2021年1月に米食品医薬品局(FDA)により承認された。Cabenuvaは月に1回、または高用量を隔月に1回、投与するものだが、現時点での投与対象は、ウイルス量が抑制されている患者に限定されている。これは、毎日の錠剤服用が困難なためにウイルス量が抑制されていない患者を対象に、長時間作用型ARTの有効性を評価する研究が、いまだ実施されていないためだ。 Gandhi氏らは、2021年6月から2022年11月にかけて、米サンフランシスコ在住のHIV感染症患者133人を対象に長時間作用型ARTによる治療を行い、その有効性を検証した。対象者の年齢中央値は46(四分位範囲25〜68)歳で、88%がシスジェンダー(出生時の性別と性自認が一致)であり、62%が白人以外の人種だった。また、76人は経口ARTによりウイルス量が抑制されていたが、残る57人は経口ARTを受けておらず、ウイルス量が抑制されていなかった。さらに、34%の患者は物質使用障害を抱えており、42%がホームレスであった。なお、対象者はいずれもGandhi氏が所属するUCSFのHIV専門クリニックであるWard 86の患者だった。Ward 86では目下、約2,600人の患者が治療を受けているが、その多くは貧困で、ほとんどがメディケイド加入者であるという。 長時間作用型ARTによる治療の結果、ウイルス量が抑制されていた対象者では、全員が試験終了時まで、引き続きウイルス量が抑制されていることが明らかになった。一方、試験開始時にウイルス量が抑制されていなかった対象者では、治療開始から中央値33日後に57人中54人でウイルス量が抑制されていることが確認された。残る3人のうちの1人ではHIVのRNA量が予想通り100分の1にまで減少したが、その他の2人は早期に治療が奏効しないと判断された。 Gandhi氏は、「対象患者の多くで、初めてウイルス量を抑制することができた」と強調し、「特に、ホームレスの患者は、経口薬を持ち歩く必要がなく、月に1回、あるいは2カ月に1回、クリニックで注射を受ければ良い点に非常に満足していた」と付け加えた。 Gandhi氏によると、より規模の大きな臨床試験がすでに計画されているとのことだ。同氏は、「この大規模臨床試験の結果次第では、FDAが、錠剤服用が困難で、すでに体内のウイルス量が多い患者に対しても、長時間作用型ARTによる治療を承認する可能性がある」と期待を寄せている。

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コロナ異種ワクチンによる追加接種を支持するエビデンス/BMJ

 オミクロン株が優勢な時期における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種では、プライマリ接種スケジュール(2回接種)や同種ブースター接種(3回)と比較して、異種ブースター接種(3回)はCOVID-19による入院や死亡の予防効果が優れていたことが、デンマーク・Statens Serum InstitutのNiklas Worm Andersson氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2023年7月24日号に掲載された。3種のワクチンを比較する北欧のコホート研究 本研究は、北欧の4ヵ国(デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン)のデータを用いた住民ベースのコホート研究である(欧州医薬品庁[EMA]の助成を受けた)。 対象は、初回接種時に年齢18歳以上で、2020年12月27日~2022年12月31日に、プライマリ接種スケジュールとして、AZD1222(アストラゼネカ製)、BNT162b2(1価、ファイザー製)、mRNA-1273(モデルナ製)、あるいはこれらの任意の組み合わせで、少なくとも1回の接種を受けた集団であった。 主要アウトカムは、4ヵ国を合わせたCOVID-19関連入院とCOVID-19による死亡とした。フォローアップはブースター接種後14日目から75日間行い、相対的なワクチンの有効性を75日目の累積発生率を用いて(1-リスク比)として算出した。異種接種戦略を支持する新たなエビデンス 北欧4ヵ国全体で、108万6,418人がAZD1222+BNT162b2またはmRNA-1273による異種ブースター接種(3回)を、250万5,093人がBNT162b2+mRNA-1273による異種ブースター接種(3回)を受けた。 プライマリ接種(2回)のみと比較して異種ブースター接種は有効性に優れ、COVID-19関連入院の予防に関する有効性はAZD1222+BNT162b2またはmRNA-1273が82.7%(95%信頼区間[CI]:77.1~88.2)、BNT162b2+mRNA-1273は81.5%(78.9~84.2)であり、COVID-19による死亡の予防に関する有効性はそれぞれ95.9%(91.6~100.0)、87.5%(82.5~92.6)であった。 また、同種ブースター接種(BNT162b2またはmRNA-1273の3回接種)も同様に、プライマリ接種のみの場合に比べCOVID-19関連入院(≧76.5%)およびCOVID-19による死亡(≧84.1%)の予防効果の向上と関連が認められた。 異種ブースター接種を同種ブースター接種と比較すると、COVID-19関連入院の予防に関してはAZD1222+BNT162b2またはmRNA-1273が27.2%(95%CI:3.7~50.6)、BNT162b2+mRNA-1273が23.3%(15.8~30.8)で、COVID-19による死亡の予防ではそれぞれ21.7%(−8.3~51.7)、18.4%(−15.7~52.5)であり、小幅ながら異種ブースター接種で良好だった。 著者は、「COVID-19ワクチン接種は現在、異種接種スケジュールへの依存が高くなり、この傾向は今後も続くと考えられるが、本研究の結果はこの戦略を支持する新たなエビデンスを付け加えるものである」としている。

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小児の16%にコロナ後遺症、多くみられる症状は?~メタ解析

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を経験した小児でも、コロナ後遺症(コロナ罹患後症状、long COVID)の報告が増加している。19歳以下の小児におけるSARS-CoV-2感染の長期的な臨床的特徴を明らかにするために、カナダ・トロントのThe Hospital for Sick ChildrenのLi Jiang氏らによって系統的レビューとメタ解析が実施された。その結果COVID-19小児患者の16.2%がコロナ後遺症を経験し、男児よりも女児に特定の症状が発生するリスクが高いことなどが判明した。Pediatrics誌オンライン版2023年7月21日号掲載の報告。 本研究では、2019年12月~2022年12月に発表された論文およびプレプリントの論文で、小児および青年(0~19歳)でSARS-CoV-2感染が確認されてから3ヵ月以降に新たに発生、再発、または持続する徴候、症状、検査所見を検討した研究が対象となった。使用したデータベースは、PubMed、Embase、Web of Science、Cochrane Library、WHO COVID-19 Research Database、China National Knowledge Infrastructure Database、WanFang Database、Latin American and Caribbean Health Sciences Literature、Google Scholar、medRxiv、bioRxiv、ChinaXiv。27 件のコホート研究(前向き19件、後ろ向き8件)と4件の横断研究が最終的な統計的レビューに含まれた。これらの研究から、2値転帰について加重平均有病率と95%信頼区間(CI)を算出した。転帰に関して複数の測定法が報告されている場合は、最も一般的に報告されている測定法を使用した。ランダム効果モデルを用いてメタ解析を行い、異質性はI2統計量、χ2検定、フォレストプロットを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・19件の前向きコホート研究で、COVID-19と診断されてら少なくとも3ヵ月以上の追跡調査を受けた小児および青年の総数は1万5,000例以上だった。追跡期間の範囲は3~12ヵ月以上とさまざまだった。地域別に、ヨーロッパ13件、イラン2件、オーストラリア1件、中国1件、米国1件。・COVID-19の持続的症状の絶対数を報告した12件の前向きコホート研究(6,000例以上)をメタ解析したところ、COVID-19と診断された小児および青年の16.2%(95%CI:8.5~28.6)が、3~13ヵ月の追跡期間中に1つ以上の持続的症状を経験していた。・この集団において、COVID-19の長期的な症状として多かったのは、咽頭痛(n=3,106、統合推定値14.8%[95%CI:4.8~37.5])、持続的な発熱(n=5,128、10.9%[2.4~38.2])、睡眠障害(n=697、10.3%[4.9~20.4])、疲労(n=6,110、9.4%[4.1~20.2])、筋力低下(n=196、8.7%[5.5~13.6])、咳嗽(n=5,890、6.8%[2.4~17.7])、頭痛(n=5,809、4.6%[1.2~16.2])、呼吸困難(n=5,560、4.3%[1.1~15.1])、腹痛(n=3,718、3.7%[2.3~5.8])、下痢(n=3,564、3.5%[1.3~8.9])。・バイアスリスクの低い研究2件と中程度の研究5件から感度分析を行ったところ、長期的な症状として多かったのは、持続的な発熱(n=559、統合推定値7.9%)、疲労(n=5,654、7.4%)、嗅覚/味覚の変化(n=5,433、6.1%)、呼吸困難(n=5,560、4.3%)、頭痛(n=5,493、3.9%)であった。・追跡期間別のサブグループ解析では、3~6ヵ月で一般的な持続症状は、咽頭痛、持続的な発熱、筋力低下、疲労、咳嗽。6~12ヵ月では、睡眠障害、体重減少、持続的な発熱、疲労、筋力低下。12ヵ月以上では、疲労、動悸、関節痛、筋肉痛。・5件の研究をメタ回帰分析し、コロナ後遺症の潜在的なリスクを調べたところ、女児は男児よりも、COVID-19の長期的な症状として睡眠障害や頭痛を発症するリスクが高かった(p<0.01)。 著者は本結果について「COVID-19小児患者は3ヵ月以上症状が持続することが一般的であり、症状は広範囲に及ぶ。今後も適切な管理のもと質の高い前向き研究が必要だ」と述べている。

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オメガ3脂肪酸、肺機能にも好影響

 肺機能の低下や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の発症には炎症が関与する。そこで、抗炎症作用を有するオメガ3脂肪酸が肺機能の低下やCOPDの予防に役立つ可能性が考えられており、オメガ3脂肪酸の血中濃度が高いと肺機能が高いことも報告されている1)。しかし、オメガ3脂肪酸の血中濃度と肺機能の経時変化を調べた報告はなく、因果関係は不明である。そこで、米国・コーネル大学のBonnie K. Patchen氏らは、前向きコホート研究およびメンデルランダム化研究により、オメガ3脂肪酸の血中濃度と肺機能、気流閉塞との関連を検討した。その結果、オメガ3脂肪酸(とくにドコサヘキサエン酸[DHA])の血中濃度が高いと肺機能の維持に良い影響があることが示された。本研究結果は、American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine誌オンライン版2023年7月20日号で報告された。 オメガ3脂肪酸の血中濃度と肺機能との関連を調べることを目的として、2部構成の研究を実施した。第1部では、米国のコホート研究(National Heart, Lung, and Blood Institute Pooled Cohorts Study)に参加した健康成人1万5,063人(平均年齢56歳、女性55%)を対象として、最長20年間追跡した(平均7年間)。オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸[ALA]、イコサペント酸[EPA]、DHA、ドコサペンタエン酸[DPA])の血中濃度と肺機能(1秒量[FEV1]、努力肺活量[FVC])を測定し、両者の関連を検討した。第2部では、英国のUKバイオバンクに登録された欧州人(50万人以上)の遺伝子データを分析し、オメガ3脂肪酸の間接的または代理指標となる遺伝子と肺機能の関係を検討した。 主な結果は以下のとおり。・縦断研究において、血漿中のオメガ3脂肪酸濃度が高いと肺機能低下が抑制され、オメガ3脂肪酸の中でもDHAの寄与が最も大きかった。・総脂肪酸に占めるDHAの割合が1%増加すると、1年当たりのFEV1、FVCの低下はそれぞれ1.4mL(95%信頼区間[CI]:1.1~1.8)、2.0mL(95%CI:1.6~2.4)抑制された。・総脂肪酸に占めるDHAの割合が1%増加すると、気流閉塞(FEV1/FVC<0.7)の発生率は7%低下した。・メンデルランダム化研究においても、オメガ3脂肪酸の血中濃度が高いと、FEV1およびFVCが高いことが示された。

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コロナ肺炎からの回復、アバタセプトやインフリキシマブ追加で短縮せず/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に起因する肺炎による入院患者において、アバタセプト、cenicrivirocまたはインフリキシマブはCOVID-19肺炎からの回復までの期間を短縮しなかった。米国・セントルイス・ワシントン大学のJane A. O'Halloran氏らが、米国および中南米の95病院で実施したマスタープロトコルデザインによる無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Accelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines(ACTIV)-1 Immune Modulator:ACTIV-1 IM試験」の結果を報告した。本検討は、COVID-19の予後不良の一因として免疫調節異常が示唆されていたことから実施された。JAMA誌2023年7月25日号掲載の報告。標準治療へのアバタセプト、cenicrivirocまたはインフリキシマブ追加の有効性をプラセボと比較 研究グループは2020年10月16日~2021年12月31日に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染が確認されてから14日以内で肺病変が認められる18歳以上の入院患者を、3つのサブスタディにおいてそれぞれアバタセプト(10mg/kg、最大1,000mg、単回投与)群またはプラセボ群、cenicriviroc(300mg負荷投与後、150mgを1日2回、28日間経口投与)群またはプラセボ群、インフリキシマブ(5mg/kg、単回投与)群またはプラセボ群に無作為に割り付け、標準治療(レムデシビルおよび副腎皮質ステロイド)に追加して投与した。 主要アウトカムは、28日以内における回復までの期間で、8段階の順序尺度(スコアが高いほど健康状態が良好であることを示す)を用いて評価した。回復日は、順序尺度が6点以上となった初日と定義した。主な副次アウトカムは28日全死因死亡率などであった。 3つのサブスタディで無作為化された全患者1,971例の背景は、平均(±SD)年齢54.8±14.6歳、男性1,218例(61.8%)であった。いずれの追加投与も、COVID-19肺炎の回復期間は短縮せず COVID-19肺炎からの回復までの期間の中央値は、アバタセプト群vs.プラセボ群でいずれも9日(95%信頼区間[CI]:8~10)、cenicriviroc群vs.プラセボ群でどちらも8日(95%CIは8~9 vs.8~10)、インフリキシマブ群vs.プラセボ群でそれぞれ8日(95%CI:7~9)vs.9日(95%CI:8~10)であり、アバタセプト、cenicrivirocおよびインフリキシマブのいずれも、プラセボと比較して有意差は認められなかった。 28日全死因死亡率は、アバタセプト群11.0% vs.プラセボ群15.1%(オッズ比[OR]:0.62、95%CI:0.41~0.94)、cenicriviroc群13.8% vs.プラセボ群11.9%(OR:1.18、95%CI:0.72~1.94)、インフリキシマブ群10.1% vs.プラセボ群14.5%(OR:0.59、95%CI:0.39~0.90)であった。 安全性は、3つのサブスタディすべてにおいて、2次感染を含め実薬とプラセボで同等であった。

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新型コロナ、2価ワクチンブースターの有効性は?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種について、オミクロンBA.4/5またはBA.1変異株対応2価ワクチンによるブースター接種(4回目接種)は、1価(起源株)ワクチン3回接種と比較して、50歳以上の成人におけるCOVID-19関連入院/死亡の低下と関連していたことを、デンマーク・Statens Serum InstitutのNiklas Worm Andersson氏らが報告した。また、BA.4/5対応2価ワクチンとBA.1対応2価ワクチンの直接比較では、ワクチンの有効性に有意差はなく、潜在的な違いは絶対数では非常に小さいことが示唆されたという。BMJ誌2023年7月25日号掲載の報告。北欧4ヵ国の50歳以上の成人を対象としたコホート研究 研究グループは北欧4ヵ国の住民登録、予防接種登録、患者登録などの各種データベースを用い、2020年12月27日から、解析データが入手できた直近日(デンマーク2023年4月10日、フィンランド4月7日、ノルウェー4月1日、スウェーデン2022年12月31日)までに、AZD1222(アストラゼネカ製)(プライマリ接種コースのみ)、BNT162b2(ファイザー製、1価:起源株)またはmRNA-1273(モデルナ製、1価:起源株)ワクチンを少なくとも3回(プライマリ接種コース2回、ブースター接種1回)接種した50歳(フィンランド60歳、ノルウェー65歳)以上を対象に解析した。 主要アウトカムは、COVID-19関連入院およびCOVID-19関連死である。4回目(2回目のブースター)としてオミクロンBA.4/5またはBA.1変異株対応2価ワクチン接種者と、4回目非接種者(3回接種)をマッチングさせ、それぞれKaplan-Meier推定法を用いてCOVID-19関連入院およびCOVID-19関連死の累積発生率を推定し、90日時点における相対的有効性(1-リスク比)および絶対リスク差を算出した。2価ワクチンのブースター接種者、1価ワクチン3回接種と比較して重症化が減少 4回目としてのBA.4/5対応2価ワクチン接種者は163万4,199例、BA.1対応2価ワクチン接種者は104万2,124例で、3回接種者とのマッチドペアはそれぞれ123万3,741組および93万2,846組であった。 4回目接種者は3回接種者と比較して、90日以内のCOVID-19関連入院およびCOVID-19関連死の累積発生率は非常に低かった。COVID-19関連入院に対する有効性および10万人当たりのリスク差は、BA.4/5対応2価ワクチンで67.8%(95%信頼区間[CI]:63.1~72.5)および-91.9(-152.4~-31.4)(イベント数289 vs.893件)、BA.1対応2価ワクチンで65.8%(95%CI:59.1~72.4)および-112.9(-179.6~-46.2)であった(イベント数332 vs.977件)。また、COVID-19関連死に対する有効性および10万人当たりのリスク差は、BA.4/5対応2価ワクチンで69.8%(95%CI:52.8~86.8)、-34.1(-40.1~-28.2)(イベント数93 vs.325件)、BA.1対応2価ワクチンで70.0%(95%CI:50.3~89.7)、-38.7(-65.4~-12.0)であった(イベント数86 vs.286件)。 4回目接種と3回接種の比較では、ワクチンの有効性は性別および年齢(70歳未満または70歳以上)により差はなく、ワクチン接種日から6ヵ月後まで緩やかに減少したが維持していた。 4回目接種に関してBA.4/5対応2価ワクチンをBA.1対応2価ワクチンと直接比較すると、有効性および10万人当たりのリスク差は、COVID-19関連入院(イベント数802 vs.932件)が-14.9%(95%CI:-62.3~32.4)および10.0(-14.4~34.4)、COVID-19関連死(イベント数229 vs.243件)が-40.7%(95%CI:-123.4~42.1)、8.1(-3.3~19.4)であった。この直接比較の結果は、性別および年齢(70歳未満または70歳以上)による層別化、あるいは追跡期間を6ヵ月まで延長した場合でも、同様であった。

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ウクライナの戦争負傷者で薬剤耐性菌が増加

 ウクライナで戦争により負傷して入院した患者の多くが、極度の薬剤耐性を獲得した細菌に感染していることが、ルンド大学(スウェーデン)臨床細菌学分野教授のKristian Riesbeck氏らによる研究で示された。研究グループは、このような状況が戦争により荒廃したウクライナの負傷者や病人に対する治療をいっそう困難なものにしているとの危惧を示している。この研究は、「The Lancet Infectious Diseases」7月号に掲載された。 Riesbeck氏は、「私はこれまでに多くの薬剤耐性菌と患者を目にしてきたため慣れているが、今回目撃したほど強烈な薬剤耐性菌に遭遇したことは、これまでなかった」と話している。 今回の研究は、国立ピロゴフ記念医科大学(ウクライナ)の微生物学者であるOleksandr Nazarchuk氏が、戦争で負傷した入院患者から採取した検体に含まれる細菌が、どの程度薬剤耐性を獲得しているのかを調べるために、ルンド大学に協力を求めて実施された。対象患者はいずれも、重症のやけどや榴散弾による負傷、骨折により緊急手術や集中治療が必要だった。患者の傷ややけどの部位に感染の兆候が認められた場合には、皮膚や軟部組織から検体を採取した。また、中心静脈カテーテルを使用している患者に感染の兆候が認められた場合にはカテーテル先端の培養を行い、人工呼吸器関連肺炎の兆候が認められた患者からは気管支洗浄液の採取を行った。総計141人(負傷した成人133人、肺炎と診断された乳幼児8人)の患者から156株の細菌株が分離された。これらの菌株について、まず、広い抗菌スペクトルを持つカルバペネム系抗菌薬のメロペネムに対する耐性をディスク拡散法で調べた。次いで、耐性が確認されるか抗菌薬への曝露増加に感受性を示した株については、微量液体希釈法での分析が行われた。 その結果、テストした154株中89株(58%)がメロペネム耐性を示すことが明らかになった。耐性を示した菌株は、肺炎桿菌(34/45株、76%)とアシネトバクター・バウマニ複合体(38/52株、73%)で特に多かった。また、微量液体希釈法での分析を行った107株中10株(9%;肺炎桿菌9株、プロビデンシア・スチュアルティ1株)は、「最後の砦」とされる抗菌薬のコリスチンにさえ耐性を示した。さらに156株中の9株(6%、いずれも肺炎桿菌)は、新しい酵素阻害薬(β-ラクタマーゼ阻害薬配合抗菌薬)を含む、今回の試験で試した全ての抗菌薬に対して耐性を示した。 Riesbeck氏は、「私は以前、インドや中国で同様のケースに遭遇したことはあるが、この研究で観察された薬剤耐性菌の耐性は次元が違う」と驚きを表す。同氏は特に、肺炎桿菌で認められた耐性に懸念を示す。肺炎桿菌は、健康で免疫系が十分に機能している人にさえ病気を引き起こす可能性があるからだ。同氏は、「これは非常に心配な結果だ。これほど高いレベルの耐性を持つ肺炎桿菌に遭遇することはまれであり、われわれもこのような結果が出るとは予想していなかった」と付け加えた。 Riesbeck氏は、「多くの国がウクライナに軍事援助や資源を提供しているが、同国で進行している薬剤耐性菌の増加という事態への対処を支援することも、それと同じくらい重要だ。薬剤耐性菌のさらなる広がりは、欧州全体にとっての脅威となる可能性がある」と述べている。

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英語で「ケースバイケース」は?【1分★医療英語】第91回

第91回 英語で「ケースバイケース」は?Do you think we should use this new mediation as our standard of care?(この新薬を私たちの標準治療として使うべきだと思いますか?)I think it depends. It seems to have some side effects too.(それはケースバイケースである[時と場合による]と思います。副作用もあるようですから)I agree. We should use it on a case-by-case basis.(同感です。それはケースバイケース[臨機応変に、個別対応]で使うほうがよいと思います)《例文》The side effects may vary from case to case.(副作用は症例ごとに異なります)《解説》日本語における「ケースバイケース」という表現には、多少意味が異なる2種類の使用方法があると思います。会話例の2番目の医師は、「質問に対する明確な単一の答えがないとき」の返答として「(物事の判断は)時と場合による」という意味で、「ケースバイケース」を動詞的に使っています。この意味を自然に英語にすると、“it depends (on something)”となります。一方で、3番目の医師は「ケースバイケース」を「臨機応変に[使う]」と副詞的に使っており、この場合は英語でもそのまま同じ表現で“on a case-by-case basis”となります。英語で“case-by-case”と表現する場合は、この慣用句としての副詞的な使い方が圧倒的に多いのです。類似表現として、《例文》のように“case to case”という言い方もできます。講師紹介

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難聴高齢者の補聴器、認知機能低下を予防できる集団は?/Lancet

 認知機能が正常で難聴を有する高齢者において、補聴器を用いた聴覚介入は、認知機能低下のリスクが高い集団では3年後の認知機能の低下を抑制したが、低リスクの集団ではこのような効果はない可能性があることが、米国・ジョンズ・ホプキンズ大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のFrank R. Lin氏らが実施した「ACHIEVE(Aging and Cognitive Health Evaluation in Elders)試験」で示唆された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2023年7月18日号で報告された。観察研究の参加者を含む米国の無作為化試験 ACHIEVE試験は、米国の4つの地域の研究施設で実施された非盲検無作為化対照比較試験であり、2017年11月~2019年10月に参加者のスクリーニングが行われた(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。 対象は、未治療の両側性難聴を有し、認知機能障害のない70~84歳の高齢者であり、進行中の縦断研究であるARIC研究(心疾患と脳卒中のリスク因子、および心血管系と認知機能の関連の解明を目的とする)の参加者と、同一の地域で新たに募集したボランティアが含まれた。 被験者は、聴覚介入(聴覚カウセリングと補聴器の提供)を受ける群、または対照として健康教育(健康教育を行う医療従事者との個別の面接で、慢性疾患の予防に関するトピックスを学習)を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられ、6ヵ月ごとにフォローアップが行われた。 主要エンドポイントは、包括的な神経認知機能評価バッテリーを用いた、標準化された因子に関する総合認知機能スコアのベースラインから3年目までの変化量(SD単位)であった。ARICと新規コホートで効果が異なる 977例(ARICコホート238例[24%]、新規コホート739例)を登録し、介入群に490例、対照群に487例を割り付けた。全体の平均年齢は76.8(SD 4.0)歳、523例(54%)が女性、858例(88%)が白人だった。ARICコホートは新規コホートに比べ、年齢が高く、認知機能低下のリスク因子が多く、ベースラインの認知機能スコアが低かった。 ARICコホートと新規コホートを合わせた主解析では、3年間の総合認知機能スコアの変化量(SD単位)は、対照群が-0.202(95%信頼区間[CI]:-0.258~-0.145)であったのに対し、介入群は-0.200(-0.256~-0.144)であり、両群間に有意な差は認められなかった(群間差:0.002、95%CI:-0.077~0.081、p=0.96)。 一方、事前に規定された感度分析では、3年後の認知機能の変化量に関して、認知機能低下のリスクが高いARICコホートは低リスクの新規コホートに比べ、聴覚介入の効果が有意に高かった(pinteraction=0.010)。また、全コホートで使用された分析パラメータを変えた別の感度分析では、主要エンドポイントの結果に実質的な変化はなかった。 両群とも、予想外の有害事象や、この試験に起因する重大な有害事象の報告はなかった。 著者は、「認知機能低下のリスクが高い難聴の高齢者に聴覚介入を行うと、3年以内の認知機能低下を抑制できる可能性がある」とまとめ、「これらの知見を統合すると、難聴は、認知症の予防の取り組みにおいて、とくに重要な世界的な公衆衛生の対象となる可能性が示唆される」と指摘している。

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2年違いで脳卒中を体験したミュージカル俳優同士が結婚

 Job Ethan Christensonさんは、ブロードウェイでミュージカル「Billy Elliot」を演じ終えてステージを去った後、ロビーで2人の観客と会話をしている最中に突然、彼らの腕の中に崩れ落ちた。その2年後、Jason Vance Campbellさんは、ミュージカル「Life Could Be a Dream」の公演中に意味不明なセリフを口にし、ステージ上で倒れ込んだ。2人ともまだ30代で、原因不明の脳卒中によるものだった。 数年後に共通の友人を通じて2人は出会い、ともに若い年齢で脳卒中を体験するなどの共通点の多さに気付き、親交を重ね、昨年結婚に至った。「Jasonと私はトラウマの絆を共有している。それは極めて強力で奥深く、そして困難を伴うものだ。われわれはこの絆を一生のものだと感じており、互いに『聖なるソウルメイト』と呼んでいる」とChristensonさんは語っている。 そのChristensonさんの脳卒中発症は、2012年のクリスマスの3日後、彼が38歳の時のことだった。公演後にロビーで仲間の俳優たちとともに、エイズ関連非営利団体への寄付を募っていた時、視界がぼやけ霧の中にいるように感じ、自分の体が傾いていることに気付いた。彼は、寄付のために立ち止まっていた男女の腕の中に抱えられていた。意識はあった。駆け付けたマネージャーが、「なんてことだ。顔がゆがんでいる」と口にした。Christensonさんは、顔面のゆがみが脳卒中の兆候であることを知っていた。 診断は出血性脳卒中だった。体の右側が麻痺し、移動には車椅子が必要で、会話も不能となった。リハビリテーションを1カ月続け、発語と歩行はなんとか可能になったが、自分の考えをまとめることが困難で会話に難渋し、また右足を引きずるような歩き方で、さらに右側の視野の一部を失ったままだった。それでも、表現者としての自分の人生を取り戻したいと考え、劇作家の養成学校に入学。それ以来、自分自身の経験を題材にした演劇と映画のシナリオを書くようになった。さらに、ソーシャルワークの修士号を取得し、最近ではセラピストとしても働き始めた。 一方、Campbellさんは彼が34歳の時、バージニア州での公演開始20分後にステージ上で意識を失った。虚血性脳卒中だった。周囲の人が迅速に対処したため、血栓溶解療法を施行可能な時間内に病院に搬送され、治療が行われた。しかしその時点で既に、言語を司る脳の部分に重大なダメージが生じていた。医師から、「再び歩くこと、働くことはできないのではないか」と告げられた。リハビリ施設で3週間を過ごし、失語症や失行症を抱えたまま自宅に戻った。話すのに苦労し、憂うつになった。家族や友人は彼の精神状態を心配し、四六時中付き添った。 その後、失語症ケア専門施設の存在を知り、6週間のプログラムを受けた。保険が適用されない治療だったが、費用は家族が援助してくれた。集中的な言語療法により、自分の名前を含む単語を少しずつ言えるようになった。現在も改善は続いている。しかし、話したい言葉を見つけるのに苦労し、脳卒中以前のように自分を表現することはできない。 2017年、Christensonさんはニューヨークに、Campbellさんはフロリダにいた。2人の共通の友人が彼らを引き合わせ、ビデオ通話を始めるようになった。その頻度は、最初は週1回だったがすぐに毎日となった。しかし、直接会う機会はなかなか訪れなかった。2020年4月、コロナパンデミックが始まった頃、CampbellさんはChristensonさんに、好きだと伝えた。そして6月、2人はカップルとなり、7月にはついに直接会った。やがて同棲生活を始め、2022年1月にはニューヨークの自宅で、家族や世界中の友人が視聴する中、バーチャルの結婚式を挙げた。 その結婚式の数カ月後に2人は、白いハバニーズを飼い始めた。2人の男性と1匹の犬という家族の名前のイニシャルが全て一致するように、そのハバニーズを「JC」と名付けた。2人はともに自分たちのポジティブな面に目を向けて、脳卒中後に自分たちが達成してきたことを大事にし、互いをサポートしながら刺激し合っている。とは言え、脳卒中サバイバーの日常生活にはさまざまな困難がある。Christensonさんによると、「誰もが本当に速く動いている。われわれの動作や話す速度が遅いと、脇に追いやられることがよくある」という。 それでも2人は自分たちの芸術を通して力強く生き、喜びを見つけている。最近では、Campbellさんの脳卒中体験を戯曲化した。「われわれは自分たちの物語の続きを生きようとしている。脳卒中の後遺症によるフラストレーションや落胆する瞬間に打ち負かされないために、自分たちがどれだけ遠くまで来たのか、どれだけのことを成し遂げてきたかを思い出す必要がある。そして、その作業の大半を芸術活動が占めている」とChristensonさんは語っている。[2023年6月14日/American Heart Association] Copyright is owned or held by the American Heart Association, Inc., and all rights are reserved. If you have questions or comments about this story, please email editor@heart.org.利用規定はこちら

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第55回 コロナ後遺症、どんな子供に多い?

スウェーデンの大規模研究Unsplashより使用小児におけるCOVID-19は、多系統炎症性症候群(MIS-C/PIMS)を除くと、成人ほど医学的な影響は大きくないため、感染症としては比較的軽視されています。そのため、新型コロナワクチン接種率は非常に低いところでプラトーに達しています。最新のデータによると、2回目まで接種した児は23.4%、3回目の接種を受けている児はわずか9.8%です1)。さて、スウェーデンの集団ベース研究において、小児におけるCOVID-19罹患後症状(後遺症)が評価されました2)。この研究は、スウェーデンの2つの地域に居住する6~17歳の小児を対象とし、2020年1月31日~2022年2月9日のCOVID-19の症例を組み入れました。後遺症は、感染後28日以上経過してから発生したものとしました。合計16万2,383人の小児(男児8万1,789人、女児8万594人)が感染を経験し、本コホートに登録されました。平均年齢は12.0±3.5歳で、入院に至った症例はわずか529例(0.3%)でした。日本においても小児のCOVID-19入院のみならず、後遺症で入院に至ることは非常にまれですよね。性別・年齢・親の教育水準などで差結果、後遺症と診断されたのは、326例(0.2%)だけでした。女児における後遺症の発生率は男児よりも高いことが示されました(100人年あたり0.19[95%信頼区間[CI]:0.16~0.22]vs.0.12[95%CI:0.10~0.14])。また、6~11歳より12~17歳のほうが後遺症の発生率は高いという結果でした(12~17歳:100人年あたり0.19[95%CI:0.17~0.22]vs.6~11歳:0.11[95%CI:0.09~0.14])。さらに、当然ではありますが、入院COVID-19例のほうが非入院例よりも後遺症は多かったようです(100人年あたり1.25[95%CI:0.62~2.23]vs.0.15[95%CI:0.13~0.17])。興味深いことに後遺症の発生は親の教育水準によって異なっていました。初等教育卒業水準と比べて高等教育卒業水準のほうが、後遺症が多かったのです(高等教育卒業水準:100人年あたり0.15[95%CI:0.13~0.18]vs.初等教育卒業水準:0.10[95%CI:0.04~0.19])。そして、両親のいずれかが後遺症と診断された場合、児の後遺症発生が5倍多いことが示されました(100人年あたり0.70[95%CI:0.49~0.97]vs.0.14[95%CI:0.13~0.16])。教育水準が高い集団は医療アクセスが速やかなので、後遺症の診断につながりやすいという側面もあります。また、自身の後遺症の経験から子供の長引く症状に対して懸念を抱く両親が多いためと考えられます。考察では遺伝的影響もありうると書かれています。参考文献・参考サイト1)新型コロナワクチンについて(首相官邸)2)Bygdell M, et al. Incidence and Characteristics in Children with Post-COVID-19 Condition in Sweden. JAMA Netw Open. 2023 Jul 3;6(7):e2324246.

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コロナ再感染、高齢者よりも若年層で増加

 新型コロナウイルス感染症の流行が長期にわたり、再感染者も増えている。コロナ再感染は基礎体力が劣り、基礎疾患を持つ人が多い高齢者に多いのではと考えられるが、実際には若年・中年層の増加率が高齢者よりも高いことが明らかになった。米国疾病管理予防センター(CDC)が実施した研究結果は、Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)誌2023年6月23日号に掲載された。コロナ再感染の割合の絶対的増加は18〜49歳で最も高い CDCは2021年9月5日~2022年12月31日に、米国の18の管轄区域から報告された18歳以上の成人のCOVID-19全症例、入院、死亡に占めるコロナ再感染の割合を調査し、5つの期間(デルタおよびオミクロン[BA.1、BA.2、BA.4/BA.5、BQ.1/BQ.1.1]がそれぞれ優勢だった期間)と年齢層別に解析した。 コロナ再感染の割合を調査した主な結果は以下のとおり。・期間中に278万4,548例のコロナ再感染が報告され、同集団および期間に報告された全症例(2,194万3,686例)の12.7%を占めた。・18~49歳が人口に占める割合は54%だが、この期間のコロナ再感染者の66.8%を占めた。50~64歳は21.2%、65歳以上は11.9%であった。・全症例に占めるコロナ再感染の割合は、2.7%(デルタ期)から28.8%(オミクロンBQ.1/BQ.1.1期、以後期間はすべてデルタ期→オミクロンBQ.1/BQ.1.1期)に大幅に増加した。COVID-19関連入院(1.9%→17.0%)および死亡(1.2%→12.3%)に占めるコロナ再感染の割合も大幅に増加した。・コロナ再感染の割合の絶対的増加は18〜49歳で最も高く(3.0%→34.4%)、50~64歳は2.1%→29.0%、65歳以上は2.0%→18.9%だった。・COVID-19の全症例、入院、および死亡のうちコロナ再感染の割合は、50歳以上と比較して、18~49歳では期間を通じて一貫して高かった。・コロナ感染間隔の中央値は269~411日であり、BA.4/BA.5期間の開始時に急減した。 レポートはこの期間のコロナ再感染およびそれに伴う入院と死亡の割合が若年層で高い理由として、初感染の累積発生率が高いこと、ワクチン接種開始の時期が遅いこと、ワクチン接種率が低いこと、曝露リスクが高いこと、初感染の重症度が低いために生存バイアスがかかっている可能性、など複数の要因が考えられるとしている。

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抗精神病薬誘発性メタボリックシンドローム~ナラティブレビュー

 重篤な精神疾患である統合失調症は、世界の障害の主な原因トップ10の1つであり、人口の約1%に影響を及ぼす。統合失調症に対する最良の治療選択肢として、抗精神病薬治療が挙げられるが、抗精神病薬治療では脂質異常症を含むメタボリックシンドロームリスクが増加する。実際に、統合失調症患者は、一般集団と比較し、メタボリックシンドロームリスクが高いといわれている。カナダ・マニトバ大学のPelumi Samuel Akinola氏らは、抗精神病薬誘発性メタボリックシンドロームの有病率、メカニズムおよび対処法について、まとめて報告した。Metabolic Syndrome and Related Disorders誌オンライン版2023年6月22日号の報告。 本研究は、ナラティブレビューとして実施した。PubMedを用いて電子データベースMedlineを検索し、抗精神病薬を使用した成人集団におけるメタボリックシンドロームの有病率および対処法を調査した研究を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬で治療されている患者におけるメタボリックシンドロームの有病率は、37~63%の範囲であった。・抗精神病薬の影響には、体重増加、腹囲の増加、脂質異常症、インスリン抵抗性2型糖尿病、高血圧などが含まれた。・メタボリックシンドローム発症を促進する薬剤として、クロザピン、オランザピンが報告されている。・メタボリックシンドローム患者では、代謝系副作用リスクの低い抗精神病薬(ルラシドン、lumateperone、ziprasidone、アリピプラゾールなど)を優先して用いる必要がある。・抗精神病薬誘発性メタボリックシンドロームに対する非薬物療法として、有酸素運動、食事カウンセリングが有効であることが確認されている。・このような患者の体重増加に対して有効性が確認された薬物療法は、ほとんどなかった。・抗精神病薬誘発性メタボリックシンドロームは、リスクを早期に認識し、注意深くモニタリングすることが求められる。・メタボリックシンドロームまたは関連症状に対する1次および2次予防は、抗精神病薬使用患者の死亡リスクの減少に役立つ可能性がある。

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donanemab、早期アルツハイマー病の進行を抑制/JAMA

 早期症候性アルツハイマー病でアミロイドおよびタウ沈着の病理学的所見が認められる患者に対し、donanemabはプラセボと比較して、76週時点で評価した臨床的進行を有意に遅延させたことが示された。所見は、低・中タウ病理集団と低・中+高タウ病理集団で認められたという。米国・Eli Lilly and CompanyのJohn R. Sims氏らが、1,736例を対象に行われた国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III試験「TRAILBLAZER-ALZ 2試験」の結果を報告した。donanemabは、脳アミロイド斑を除去するよう設計された抗体医薬。JAMA誌オンライン版2023年7月17日号掲載の報告。4週ごとにdonanemabを72週間投与 TRAILBLAZER-ALZ 2試験は、8ヵ国277ヵ所の医療研究センター/病院で18ヵ月間にわたって行われた。早期症候性アルツハイマー病(軽度認知障害/軽度認知症)で、PET画像診断でアミロイドおよび低/中程度~高度のタウ病理学的所見が認められる1,736例を対象に、donanemabの有効性と有害事象を評価した。被験者は、2020年6月~2021年11月に登録された(最後の被験者がプライマリケアを受診したのは2023年4月)。 研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方にはdonanemabを(860例)、もう一方にはプラセボを(876例)、4週ごとに72週間静脈内投与した。donanemab群に割り付けられた患者は、推奨用量の基準を満たした場合は、盲検下のままプラセボ投与に切り替えられた。 主要アウトカムは、ベースラインから76週までの統合アルツハイマー病評価尺度(iADRS)スコア(範囲:0~144、スコアが低いほど認知障害が大きいことを示す)の変化。アウトカム(主要・副次・探索的)は、ゲート付き24項目で、副次アウトカムには、臨床的認知症重症度判定尺度(CDR-SB)スコア(範囲:0~18、高スコアほど認知障害が大きいことを示す)の各項目スコアの合計の変化も含まれた。統計学的検定は、多重比較のためのstudy-wise type I error rateを用い、有意水準α=0.05とし、低/中タウ病理集団のアウトカムについてはα=0.04を、高タウ病理集団を含めた統合集団については、α=0.01を割り当てた。iADRSスコア、CDR-SBスコアで進行遅延を確認 被験者1,736例(平均年齢73.0歳、女性996例[57.4%]、低/中タウ病理集団1,182例[68.1%]、高タウ病理集団552例[31.8%])が無作為化され、このうち1,320例(76%)が試験を完了した。 ゲート付き24項目アウトカムのうち、23項目でdonanemab群とプラセボ群に統計的有意差があった。76週時点のiADRSスコアの最小二乗平均(LSM)変化は、低/中タウ集団では、donanemab群-6.02(95%信頼区間[CI]:-7.01~-5.03)、プラセボ群-9.27(-10.23~-8.31)だった(群間差:3.25、95%CI:1.88~4.62、p<0.001)。低/中+高タウ集団(全体)では、donanemab群-10.2(95%CI:-11.22~-9.16)、プラセボ群-13.1(-14.10~-12.13)だった(群間差:2.92、95%CI:1.51~4.33、p<0.001)。 76週時点のCDR-SBスコアのLSM変化は、低/中タウ集団ではdonanemab群1.20(95%CI:1.00~1.41)、プラセボ群1.88(1.68~2.08)だった(群間差:-0.67、95%CI:-0.95~-0.40、p<0.001)。全体では、donanemab群1.72(95%CI:1.53~1.91)、プラセボ群2.42(95%CI:2.24~2.60)だった(群間差:-0.7、95%CI:-0.95~-0.45、p<0.001)。 画像所見で確認されたアミロイド関連の脳浮腫・滲出液の異常はdonanemab群205例(24.0%、症候性52例)、プラセボ群18例(2.1%、症候性0例)だった。注入関連反応は、donanemab群74例(8.7%)、プラセボ群4例(0.5%)で認められた。治療関連と考えられる死亡は、donanemab群の3例とプラセボ群の1例だった。

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ポジティブ思考トレーニングでうつ病リスクは軽減するか

 過去の記憶、未来の想像、今の状態と違う状態を考えるマインドワンダリング。とくにその頻度は、心理的ウェルビーイングに重要な役割を果たすといわれている。また、反復的なネガティブ思考は、うつ病の発症や持続のリスクと関連している。オランダ・フローニンゲン大学のMarlijn E. Besten氏らは、認知科学および実験臨床心理学の手法を組み合わせたマインドワンダリングによる反復的なネガティブ思考に対する影響を調査した。その結果、うつ病に対する脆弱性の根底にあるストレス誘発性のネガティブ思考は、ポジティブ空想により部分的に改善できる可能性があり、うつ病だけでなく不適応思考の特徴を有する疾患の治療に役立つ可能性があることを報告した。Journal of Behavior Therapy and Experimental Psychiatry誌オンライン版2023年6月16日号の報告。 対象は、ネガティブ思考およびうつ病に対する脆弱性が高い群42例、低い群40例。クロスオーバーデザインにて、ポジティブ空想1セッション、ストレス誘発1セッションの後、持続的注意課題(SART)を行った。介入前後の感情状態を測定した。 主な結果は以下のとおり。・ストレス誘発セッション後は、ネガティブ思考が増加したが、ポジティブ空想セッション後は、ポジティブ思考が増加し、ネガティブ思考が減少した。・ポジティブ空想セッション後は、ストレス誘発セッション後と比較し、仕事以外の思考、過去に関連した思考、ネガティブ思考が減少した。・ネガティブ思考を受け入れやすい人は、ストレスが少ない人と比較し、ポジティブ空想セッション後よりもストレス誘発セッション後に、タスク外の思考をより多く示した。・本研究の限界として、ベースライン測定が含まれていない点、SARTに自身の懸念事項を含めるとネガティブ要素につながる可能性がある点が挙げられる。

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ダニは静電気の力を借りて宿主に付着か

 飛ぶことのできないマダニは、宿主となる人間や動物が自然に体表に蓄積している静電気を利用して宿主に付着することが、英ブリストル大学のSam England氏らの研究で示された。この研究結果は、「Current Biology」6月30日号に掲載された。 研究グループは、人間や動物に付着するマダニの能力を低下させることでもたらされる社会的および経済的なメリットは極めて大きいと指摘する。それは、マダニがライム病などのさまざまな病原菌を媒介し、人々の生活に混乱をもたらす可能性があるからだ。 England氏によると、人間を含む多くの動物には静電気が蓄積しているという。例えば、髪の毛に風船をこすりつけると静電気が蓄積される。自然界では、動物が草や砂、他の動物に触れて摩擦が生じると、静電気が蓄積される。同氏は、「こうして蓄積される静電気の電圧は極めて高く、数千ボルトまではいかなくても数百ボルトと、家庭用電気の電圧を超えるほどになる。重要なのは、静電気を帯びた物体を別の静電気を帯びた物体に近付けると、それぞれがプラスに帯電しているかマイナスに帯電しているかによって反発し合ったり引き合ったりすることだ」と言う。その上で「われわれは、哺乳類や鳥類、爬虫類に蓄積される静電荷は、マダニを空中に浮かび上がらせて引き寄せるほど高いのか、また、それによってマダニが吸血する宿主を見つけやすくなっているのかどうかについて、疑問を持った」と今回の研究背景について説明している。 England氏らはまず、帯電したウサギの足やアクリル板をマダニに近付け、マダニが引き寄せられるかどうかを観察した。その結果、マダニが数mmから数cm引き寄せられるのが確認された。これは、人間に例えると、階段を数段ジャンプで上るようなものである。 次いで、宿主の体表面の電荷と、マダニが潜んでいることの多い草の間に発生する電界強度を数学的に予測するモデルをいくつか作成した。その上で、モデル化された電界強度を基に、自然界でマダニが宿主に引き寄せられる状況を再現した。具体的には、吊るした電極の下にアルミの板を敷いてその上にマダニを置き、植物表面から数mmに位置する宿主の電圧を模倣して750Vの電圧を20秒間かける処理実験と、電圧をかけない対照実験を行った。その結果、処理実験では75%のマダニが電極まで、15%が途中まで持ち上げられた。一方、対照実験では、電極に引き寄せられたマダニはいなかった。この結果は、宿主の体表面の電界がマダニを引き寄せるのに十分であることを示している。 次に、マダニが引き寄せられるのに必要な最小電界強度を知るために、マダニを電極との距離を1.5mmから4mmまで6段階に変化させたアルミ板の上に置き、電圧を段階的に上げて、マダニが持ち上げられる臨界電圧を探した。その結果、この最小電界強度は、数学的モデルで予測された、帯電した宿主と草の間に発生する電界強度とほぼ同じであることが明らかになった。このことは、自然界で、マダニが宿主に取りつくのに十分な電界強度にさらされている可能性が高いことを示している。 なお、こうした現象は他の種類のダニやノミ、シラミなどの寄生虫にも当てはまる可能性がある。また、今回の研究結果は、ヒトがマダニに咬まれるリスクを最小限に抑えるための新たな技術開発に向けた取り組みのきっかけとなる可能性がある。 England氏は、「これまで、動物がこのような形で静電気の助けを借りていることは全く知られていなかった。今回の静電気のように、動物や植物が生きていく上で助けとなっている目に見えない力が他にどれだけあるのだろうかと考えると、想像が広がる」と話している。

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遠隔血行動態モニタリングシステムは心不全患者のEFに関係なく入院を減少させ、QOLを改善する(解説:原田和昌氏)

 心不全患者のセルフケアは大きな問題である。心不全は高齢化の進行により増加し、多くの医療資源を必要とする。そのため、専門看護師が頻回に患者に電話連絡したり、心不全患者の各種パラメータを遠隔モニタリングしたりすることで、心不全の入院を防止したり、QOLを改善したり、死亡率を低下させたりすることが可能であるかという検討が以前より行われてきた。 遠隔モニタリングは何をモニタリングするか、侵襲的か非侵襲的か、どういったシステム構築でだれがモニタリングするか、警告値が出たときのアルゴリズムはどうするか、さらには警告値を見逃したり、発見が遅れたときの免責などが問題になる。したがって、遠隔モニタリング群がシステムとして、対照群よりも優れていることが臨床試験で証明されてガイドラインにて推奨され、各国の医療システムの償還の枠組みに載る、という手順を踏むことが必要となる。 肺動脈圧を持続的にモニタリングする遠隔血行動態モニタリングを用いたランダム化試験は、これまでにCHAMPION試験とGUIDE-HF試験の2つがある。前者は心不全入院歴のあるNYHAIII度の550例(EFは問わない)をランダム化し、6ヵ月で28%の入院の減少を得た。一方、後者は心不全入院歴のあるNT-proBNPが上昇したNYHAII~IV度の1,000例をランダム化したものであるが、HFrEF患者が中心であったとかCOVID-19などの関係もあり、はっきりした有効性を示すことができなかった。 MONITOR-HF試験は、オランダの25の施設が参加した非盲検無作為化試験であり、心不全入院歴のあるNYHAIII度の慢性心不全患者(EFは問わない)が、ARNIやSGLT2阻害薬を含む標準治療に加えて血行動態モニタリング(CardioMEMS-HFシステム、Abbott Laboratories)を行う群、または標準治療のみを受ける群(対照群)に無作為に割り付けられた。遠隔血行動態モニタリングは、QOLの実質的な改善をもたらし、心不全による入院を減少させた。 心不全の急性増悪は、臨床的うっ血すなわち徴候と症状の悪化の結果起こるが、徴候と症状が出現する前に血行動態的うっ血が出現すると考えられる。CardioMEMS-HFシステムはセンサーを肺動脈内に侵襲的に留置するシステムで、肺動脈圧を持続的にモニタリングすることで血行動態的うっ血を検出し、投薬量(主に利尿薬)の微調整によって心不全患者のうっ血状態の調整を行う。大事なのは、容量過多のときは利尿薬を増量するが、容量減少のときは利尿薬を減量する指示を適切に出すことである。さまざまな侵襲的、非侵襲的モニタリングシステムが開発されているが、最低でも利尿薬の微調整(増減)が可能な程度のクォリティが必要となる。 患者が間欠的にクイーンサイズ枕大の測定機器に寝転ぶと、測定された肺動脈圧が医療者のWEB画面に送信される。このデータを見て、投薬量の調整を患者に電話で指示するという仕組みである。論文には、「Clelandらによると、心不全を極めるにはうっ血を極めることである」とあるが、数多くの患者のWEB画面に対応する必要のある医療者の対応は、おそらくある程度決まったアルゴリズムに従うことになるであろう。 この研究は、今の時代において心不全診療における病院システムの負担を減らすためにもっと積極的にe-health、デジタル技術、遠隔モニタリングを活用することが必要であることを示すものである。しかし、どういったシステム構築でだれがモニタリングするか、異常値が出たときの指示のアルゴリズム、異常値を見逃したり、発見が遅れたときの法的問題などが、各国の医療システムに適応する際の共通の課題であると考えられる。

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心肺持久力が大腸がん・肺がん・前立腺がんの発症と死亡リスクに関連

 約18万人のスウェーデン人男性を平均9.6年間追跡調査したコホート研究の結果、心肺持久力(CRF)が高いと大腸がん罹患リスクが低く、また肺がんおよび前立腺がんによる死亡リスクが低いことが示された。この結果から、これらのがんの罹患リスクおよび死亡リスクの低減に、CRFが潜在的に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。スウェーデン・The Swedish School of Sport and Health SciencesのElin Ekblom-Bak氏らが、JAMA Network Open誌2023年6月29日号に報告。 本研究は、スウェーデンにおいて1982年10月~2019年12月に労働衛生健康プロファイル評価を完了した男性を対象とした前向きコホート研究。CRFは最大下サイクルエルゴメーター試験を用いて推定した最大酸素消費量(mL/分/kg)として評価した。また、がんの罹患率および死亡率のデータは全国登録から取得した。ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)はCox比例ハザード回帰を用いて算出した。さらにCRFを4群(非常に低い:25以下、低:25~35、中等度:35~45、高:45超)に層別化し、非常に低い群を基準としてHRと95%CIを算出した。 主な結果は以下のとおり。・男性17万7,709人(年齢:平均42歳[範囲:18~75歳]、BMI:平均26、平均追跡期間:9.6年)のデータを解析した。・罹患リスクは、CRFが高いほど、大腸がん(HR:0.98、95%CI:0.96~0.98)および肺がん(HR:0.98、95%CI:0.96~0.99)では有意に低く、前立腺がん(HR:1.01、95%CI:1.00~1.01)では高かった。・死亡リスクは、CRFが高いほど、大腸がん(HR:0.98、95%CI:0.96~1.00)、肺がん(HR:0.97、95%CI:0.95~0.99)、前立腺がん(HR:0.95、95%CI:0.93~0.97)ともに低かった。・4群に層別化し完全調整した場合、大腸がん罹患率については、非常に低いCRFに比べ、中等度CRFでのHRが0.72(95%CI:0.53~0.96)、高CRFでのHRが0.63(95%CI:0.41~0.98)と関連が残った。前立腺がん死亡率については、低CRF(HR:0.67、95%CI:0.45~1.00)、中等度CRF(HR:0.57、95%CI:0.34~0.97)、高CRF(HR:0.29、95%CI:0.10~0.86)で関連が残った。肺がん死亡率では、高CRF(HR:0.41、95%CI:0.17~0.99)で有意であった。

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標準治療に不応・不耐の若年性特発性関節炎、バリシチニブが有効/Lancet

 標準治療で効果不十分または不耐の若年性特発性関節炎患者の治療において、JAK1/2阻害薬バリシチニブはプラセボと比較して、再燃までの期間が有意に延長し、安全性プロファイルは成人のほかのバリシチニブ適応症で確立されたものと一致することが、英国・ブリストル大学のAthimalaipet V. Ramanan氏らが実施した「JUVE-BASIS試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年7月6日号で報告された。20ヵ国の無作為化プラセボ対照第III相試験 JUVE-BASISは、日本を含む20ヵ国75施設で実施された二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2018年12月~2021年3月に患者の登録が行われた(Incyteのライセンス下にEli Lilly and Companyの助成を受けた)。 対象は、年齢2~<18歳で、若年性特発性関節炎(リウマトイド因子陽性の多関節型、リウマトイド因子陰性の多関節型、進展型少関節炎型、付着部炎関連関節炎型、乾癬性関節炎型)と診断され、1剤以上の従来型合成疾患修飾性抗リウマチ薬(csDMARD)または生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARD)による少なくとも12週間の治療で効果不十分、または不耐の患者であった。 安全性/薬物動態の評価を行う期間(2週間)に年齢に基づくバリシチニブの用量(1日1回)が確定され、非盲検下の導入期間(12週間)として全例に成人(4mg)との等価用量のバリシチニブ(錠剤、懸濁剤)の投与が行われた。 導入期間の終了時に、若年性特発性関節炎-米国リウマチ学会(JIA-ACR)の30基準を満たした患者(JIA-ACR30レスポンダー)が、二重盲検下に同一用量のバリシチニブを継続投与する群またはプラセボに切り換える群に、1対1の割合で無作為に割り付けられ、疾患が再燃するか、二重盲検期間(最長32週[バリシチニブは導入期間と合わせて44週])が終了するまで投与した。 主要エンドポイントは、二重盲検期間中の疾患再燃までの期間であった。また、二重盲検期間中の有害事象の曝露補正発生率を算出した。健康関連QOLも良好 220例(年齢中央値14.0歳[四分位範囲[IQR]:12.0~16.0]、女児152例[69%]、診断時年齢中央値10.0歳[IQR:6.0~13.0]、診断後の経過期間中央値2.7年[IQR:1.0~6.0])が登録された。このうち219例が非盲検下の導入期間にバリシチニブの投与を受け、12週時に163例(74%)がJIA-ACR30基準を満たした。二重盲検期間に、81例がプラセボ群、82例がバリシチニブ群に割り付けられた。 二重盲検期間中の疾患再燃例(最小二乗平均)は、プラセボ群が41例(51%)、バリシチニブ群は14例(17%)であった(p<0.0001)。また、再燃までの期間は、バリシチニブ群に比べプラセボ群で短く(補正後ハザード比[HR]:0.241、95%信頼区間[CI]:0.128~0.453、p<0.0001)、再燃までの期間中央値はプラセボ群が27.14週(95%CI:15.29~評価不能[NE])、バリシチニブ群はNE(95%CI:NE~NE)(再燃例が50%未満のため)だった。 疾患活動性(JADAS-27など)や健康関連QOL(CHQ-PF50、CHAQ疼痛重症度スコア[視覚アナログ尺度])に関する有効性の副次エンドポイントも、プラセボ群に比べバリシチニブ群で良好であった。 バリシチニブの安全性/薬物動態評価期間または非盲検導入期間中に、220例中6例(3%)で重篤な有害事象が発現した。二重盲検期間中には、重篤な有害事象はバリシチニブ群の82例中4例(5%)(100人年当たりの発生率:9.7件、95%CI:2.7~24.9)、プラセボ群の81例中3例(4%)(10.2件、2.1~29.7)で報告された。 治療関連の感染症が、安全性/薬物動態評価期間または非盲検導入期間中に220例中55例(25%)で発現し、二重盲検期間中にはバリシチニブ群の31例(38%)(100人年当たりの発生率:102.1件、95%CI:69.3~144.9)、プラセボ群の15例(19%)(59.0件、33.0~97.3)で報告された。また、重篤な有害事象として二重盲検期間中にバリシチニブ群の1例で肺塞栓症が報告され、試験治療関連と判定された。 著者は、「バリシチニブによるJAKシグナルの阻害は、若年性特発性関節炎に関連する複数のサイトカイン経路を標的とし、既存の治療法に代わる1日1回投与の経口治療薬となる可能性がある」としている。

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徒歩で生活しやすいデザインの地域は人々の交流を高める

 徒歩で生活しやすい地域に住んでいる人は、移動に車が必要な地域に住んでいる人に比べて、近隣住民との交流が多く、コミュニティー意識も強いことが、新たな研究で明らかになった。米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)Herbert Wertheim School of Public Health and Human Longevity ScienceのJames F. Sallis氏らによるこの研究の詳細は、「Health & Place」7月号に掲載された。 米国の公衆衛生政策を指揮する医務総監のVivek Murthy氏は2023年5月に、「孤独や孤立は高齢者での心疾患リスクを29%、脳卒中リスクを32%、認知症リスクを50%、早期死亡リスクに至っては60%以上増加させる要因となる」と述べた。そして、この公衆衛生危機への対応として、人と人とのつながりを促進する環境デザインにより社会基盤を強化することを推奨している。 Sallis氏は、「人との交流や身体活動、自然との触れ合いなどは公衆衛生に影響を与えるが、そうした経験が可能かどうかは、われわれが作り上げる環境に左右される」と話す。そして、「米国での交通政策と土地利用政策は、車での移動と郊外開発を強く優先してきた。その結果、何百万人もの米国人が、どこへ行くにも車が必要な地域に住み、近隣住民と交流する機会がほとんどない状態に置かれている」と指摘する。 Sallis氏らは今回の研究で、米シアトル、ボルチモア、ワシントン周辺の32地域に住む20〜66歳の成人1,745人(平均年齢46歳)が参加したNeighborhood Quality of Life Study(近隣地域QOL調査)のデータを分析した。試験参加者の自宅周辺(自宅から半径1kmの範囲内の道路ネットワーク)の歩きやすさ(ウォーカビリティ)を、居住密度、交差点密度、土地の複合利用状況、および小売・商業用地総面積に対する小売・商業用地の容積率に基づき、ウォーカビリティ指数で数値化した。その上で、参加者の報告した近隣住民との交流やコミュニティー意識との関連を検討した。 その結果、ウォーカビリティ指数は、社会的交流の高さ(P<0.001)、およびコミュニティー意識の高さ(P=0.009)と有意に関連することが明らかになった。居住地の自己選択を考慮して解析すると、ウォーカビリティ指数は社会的交流の高さとは有意に関連したままであったが(P=0.008)、コミュニティー意識の高さとの関連は有意ではなくなった(P=0.518)。 こうした結果を受けて、論文の筆頭著者で、UCSD Herbert Wertheim School of Public Health and Human Longevity ScienceのJacob R. Carson氏は、「徒歩で生活しやすい場所に住んでいると、手を振ってあいさつをしたり、手助けを求めたり、屋内に人を招いて交流したりといった、近隣住民との社会的交流が促される可能性がある」と述べる。これに対して、車での移動が必要な地域は、住民同士のつながりを希薄にする効果を持っているかもしれないと同氏は指摘する。 Carson氏は、「社会的交流の促進は、公衆衛生の重要な目標である。地域デザインの役割を理解することで、地域社会とそこに住む人々の健康を守るためのわれわれの能力も強化される」と話す。その上で、「徒歩で生活しやすい環境のデザインは、われわれの生活を豊かにする。交通事故の減少、身体活動の増加、近隣の社会的健康の改善などは、そのような地域をデザインすることで得られる結果のほんの一部に過ぎない」と述べている。 なお、本研究は、米国立衛生研究所(NIH)から一部資金提供を受けて実施された。

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