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“重症にきび”はうつ病のリスク!?

 汗腺の膿瘍として知られるにきびinversaは慢性炎症性疾患であり、生活の質に影響を及ぼす疾患である。ドイツ・シャリテ大学のAgata Kurek氏らは、にきびinversa患者はうつ病発症リスクが高いかどうかを検討した。Journal der Deutschen Dermatologischen Gesellschaft誌オンライン版2013年4月9日号の報告。 対象は、自主的に研究に参加したにきびinversa(AI)患者90例。うつ病の発症を評価するために、患者の精神症状について不安と抑うつのスクリーニングテスト(HADS:Hospital Anxiety and Depression Scale)を行った。コントロール群は年齢、性別、BMIで調整し、マッチングした。また、うつ病とうつ病に影響を及ぼすと推測される要因との相関関係を評価した。主な結果は以下のとおり。・AI患者はコントロール群と比較し、うつ病を有する割合が高かった。・コントロール群のうつ病有病率は2.4%であったのに対し、AI患者のうつ病有病率は38.6%であった。・AIの持続期間および年齢とは対照的に、不安や性的苦痛はうつ病の重症度と強い相関が認められた。関連医療ニュース ・視機能喪失の訴えは、うつ病のリスク!? ・うつ病治療に「チューインガム」が良い!? ・仕事のストレスとうつ病リスク:獨協医科大学

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Vol. 1 No. 1 ACSの治療-急性期のPCI/薬物療法

石井 秀樹 氏名古屋大学大学院医学系研究科循環器内科学はじめに急性冠症候群(acute coronary syndrome:ACS)に対する急性期の治療として血栓溶解療法と経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention:PCI)の出現、それらの技術向上は、患者の予後改善に大きく寄与している。東京都CCUネットワーク(http://www.ccunet-tokyo.jp/)の統計では、急性心筋梗塞の死亡率は1982年には20.4%であったものが、2010年にはわずか6.0%にまで低下している(図:本誌p15参照)。安静が治療の主体であった冠動脈の再疎通療法以前の院内死亡率が3割強であったことを考えると、治療法の変遷と治療成績には極めて密接な関連があることがわかる。わが国では、医療保険制度をはじめとし、交通網や救急搬送システムなどの点で欧米とは異なることから、ACS、特に急性心筋梗塞(acute myocardial infarction:AMI)の治療法としてPCIを第1選択とする施設が多い。10年ほど前のデータではあるが、欧米のデータベースのよる統計ではAMIに対するprimary PCI施行率は5.5~49.6%であったが、わが国では日本の施行率は75~94%と高率であり、さらに年間施行件数の少ない施設においてもPCIを選択することが多いという特徴がある1)。これは欧米では広大な医療圏内の中にPCIを行える施設が限られているため、AMI患者には血栓溶解療法が行われることが多いが、わが国ではかなりの地域でPCIを行うことができる施設に収容可能であることにも起因する。そして、このことはわが国のACS患者の予後改善に対して大きな貢献をしている要因と考えられている。これまでの知見で、ST上昇型のAMI(STEMI)に対するPCIの有効性は確立している。しかしながら、現在でも非ST上昇型AMIや不安定狭心症では、早期のPCIを含む侵略的戦術がよいのか、保存的加療を経てから症例を選んで冠動脈造影などの処置を行うのがよいのか、一定の見解は得られていない。わが国ではそのような症例に対してもSTEMI症例同様に侵略的戦術にシフトしていると考えられている。PCIなどによる再灌流は非常に有用な手段であるが、再灌流自体が再灌流障害という新たな心筋障害を生じさせることも知られており、薬物の併用などが検討されるべきである。急性心筋梗塞に対する再灌流療法ACS、特にAMIの治療において、冠血流の途絶を早期に開通、すなわち再灌流を得ることが重要なことである。このことにより、梗塞心筋の縮小効果や、左室リモデリングを抑制し、結果として長期的な予後改善効果が得られる。再灌流の手段としては、PCIが確実な方法であるが、PCIを行う施設まで搬送時間がかかる場合またはPCIまでに時間がかかると判断される場合には、血栓溶解療法単独あるいは血栓溶解療法とPCIのハイブリッド治療法であるfacilitated PCIを選択肢とするべきであるとされる2)。現在ACSに対して行うPCIは、血栓吸引のみあるいはバルーン単独での治療で終了することは少なく、ステントによる治療がほとんどの場合に行われており、PCI後の急性閉塞の低減や、再狭窄率の減少など心血管イベントの低減に貢献している。その際に考慮すべき問題として、ACSに対してbare metal stent(BMS)を使用するか、drug eluting stent(DES)を使用するのかという問題がある。ACSに対しても、安定狭心症症例同様に、本邦ならず世界的に見てもDESの使用が増加している。一時、ACSに対するDES使用は、血栓閉塞のリスクが高まるのではないかと論議されたものの、近年はDES留置も安全であるとする報告が相次いでいる3)。確かにDESは再血行再建術などに対してはBMSよりも有用であることは間違いない。しかしながら、DESが内皮障害やspasm発生に関与していることを示唆する報告があり4, 5)、spasmが多いと考えられる日本人の使用に対しては、今後も有効性と副作用の十分な検討を行うべきである。また筆者は、DES留置後の長期の予後改善が未だ不明であり、2剤併用抗血小板療法(dual anti-platelet therapy:DAPT)をいつまで行うかがまだ確立されていないことや、ACSという緊急の対応が必要ななかで出血の素因があるのかどうかを判断したり、近いうちに手術が必要なのかどうかなど確認することが困難な状況のなかで、DESを安易に使用すべきではないと考えている。加えて、近い将来に吸収性ステントや薬剤溶出性バルーンなどが日常診療において使用可能になりそうな状況において、特に年齢が若い症例に対しては、急性閉塞などには十分な注意を払いながら、バルーン単独でのPCIも考慮するべきとも考えている。再灌流療法と再灌流障害再灌流療法により、梗塞心筋の縮小効果や、左室リモデリングを抑制し、結果として長期的な予後改善効果が得られる。しかしその一方で、再灌流自体が新たな心筋障害を生じさせる。これを再灌流障害といい、PCIなどによる再灌流療法のメリットを減弱させてしまうものである。最近の知見では、1.no-reflow phenomenon:no-reflow現象(血管内皮などの障害による血管性障害)→TIMI flow grade、TIMI frame countなどによる造影所見からの判断、myocardial blush grade(造影剤による心筋染影度)、心電図によるS Tresolution(ST上昇の改善の程度)などで判断可能2.reperfusion arrhythmia:再灌流性不整脈→心電図によるモニターで判断可能3.lethal reperfusion injury:致死的心筋障害(不可逆的な細胞障害)→核医学検査法などによりにより評価可能4.Myocardial stunning:心筋スタンニング(虚血解除後に生存心筋で認められる機能低下で気絶心筋ともいわれる)→核医学検査法などにより評価可能6)に分類される。再灌流障害の発生を抑えるため、PCIの際に工夫することや、薬物を追加で使用することが重要と考えられる。特に虚血プレコンディショニング、ポストコンディショニングのメカニズムを応用することが近年注目されている(図)。虚血プレコンディショニングとは、本格的な虚血に先行して起きる短時間の虚血が心筋ダメージを軽減することであり、臨床の場でも、梗塞前に狭心症がある患者ではそれがなかった患者と比較して予後が良いことが知られている7)。また、ポストコンディショニングとは、心筋梗塞症例に対して、冠動脈再灌流直後に虚血と再灌流を短時間・複数回繰り返すことで、梗塞範囲の縮小効果など再灌流障害による心筋ダメージが軽減する現象のことをいう8)。図 プレコンディショニングとポストコンディショニングの概念画像を拡大する再灌流障害に対する戦略1.段階的再灌流 一気に再灌流するのではなく、虚血と再灌流を複数回繰り返すことで細胞内Ca2+ overloadを予防し、再灌流障害が低減する。臨床試験で良好な結果が認められているが、数十秒から数分間での冠動脈内におけるバルーンのinflation、deflationが必要で、血栓吸引療法が行われた場合にはこの機序による心筋保護は難しい可能性がある。2.血栓吸引カテーテル、末梢保護デバイス ACSの発症のほとんどに血栓が関与している。血栓のある冠動脈病変をバルーンで拡張した場合、破砕された血栓が微小循環において塞栓を生じ、再灌流障害の原因になることがある。そのため、バルーン拡張の前にあらかじめ血栓を吸引する方法や、末梢で血栓やデブリスをtrapする方法が開発された。 早い時期に発表されたEMERALD研究では、末梢保護デバイスの有用性が示されなかったが、2008年発表のわが国から報告されたVAMPIRE trialでは、TVAC™による血栓吸引をSTEMI患者に対して行うことにより、行わない群と比較して、brush gradeの有意な改善と8か月後のMACEの有意な低下を示した9)。また、TAPAS研究でも血栓吸引カテーテルがmyocardial blush gradeの有意な改善が示された。 わが国では血栓吸引療法は他国と比較しても汎用されている手技と考えられ、以下に示すような薬物の追加療法を行うことで、より質の高い再灌流が得られるものと考えられる。3.再灌流障害に対する薬物による追加的保護療法 再灌流障害に対して、さまざまな薬剤がこれまで試みられてきた10)。アデノシンはプレコンディショニング作用を持つ薬物として海外から多くの報告がなされている。また、ポストコンディショニング作用を持つ薬物もさまざまある(表)。 近年、わが国からも再灌流障害の予防、慢性期の左室リモデリング抑制と予後改善を目的とし、さまざまな検討がなされている。そのなかでもニコランジルとカルペリチドは本邦で開発、臨床の場で幅広く使用され、それらを使用した研究成果報告はわが国からの報告が極めて多い。以下一部を紹介する。表 RISK pathwayの活性化とmPTP開口阻害(文献6, 10より)画像を拡大するa.ニコランジル ニコランジルは、低血糖治療薬であるジアゾキサイドなどのK-ATPチャネル開口薬とは異なる、NOドナーである点が大きな特徴である。K-ATPチャネルは先に述べた虚血プレコンディショニングに関与しており、K-ATPチャネル開口薬であるニコランジルが薬理学的プレコンディショニングを生じるということがIONA試験などで証明されてきた。 AMIにおける再灌流障害に関する研究として、コントラストエコーによるno reflow現象の抑制効果や、左室梗塞部位における壁運動改善効果が1999年に発表され11)、その後もACSをはじめとした虚血性心疾患に対するニコランジルの有用性が数多く発表された。我われは、STEMI患者に対してPCIによる再灌流を行う直前にニコランジルを静注で約30分かけて12mg投与することにより、PCI後の微小循環障害予防、慢性期の左室リモデリング抑制と心不全発症予防などの効果があることを報告した12)。その後、J-WIND-KATP研究(ニコランジル0.067mg/kgボーラス投与後、24時間1.67μg/kg/min静注)13)では、ニコランジルの有効性は示されなかったものの、用量や投与法などのさらなる検討が必要であると考えられる。また、現在は、ニコランジルは急性心不全の適応が認められ、用量もより高用量の使用が可能となっている。 また、冠動脈内注(冠動脈注は緩やかな投与が重要!)による冠微小血管抵抗指数改善作用も報告されており14)、slow flow等の改善などに対しても臨床的に幅広く使用されている。筆者の見解であるが、ACSまた待機的な症例に対してもニコランジルはPCI前から投与しておくことがコツであり、再灌流障害やslow flowを発症しないためには、予防的な投与が極めて重要であると考えている。 最近のニコランジルのトピックとして、2011年のAHAで、岐阜大学より造影剤腎症の予防効果が発表され、世界的にも注目を集めた15)。b.カルペリチド(ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド:hANP) カルペリチドは血管拡張作用、利尿作用があり、急性心不全に対する治療薬として広く使用されているが、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系の抑制効果、交感神経系の拮抗作用、そして虚血プレコンディショニング、ポストコンディショニング効果と同様の作用をすると考えられているreperfusion injury salvage kinase(RISK)を活性化させる作用もあることが報告されている。この効果により、再灌流障害や左室リモデリングが抑制され、急性心筋梗塞に対して有効であるとする報告が数多く報告されている。J-WIND-ANP(AMI患者にカルペリチド0.025μg/kg/minで3日間投与)13)では、AMI患者の梗塞サイズがプラセボ投与群に比べ、14.7%の有意な減少と、慢性期の左室駆出率で、プラセボ群と比較して5.1%の有意な増加が見られ、長期にわたって心臓死・心不全による再入院も、有意に減少させることが報告されている。また、カルペリチドにも造影剤腎症予防効果の報告もある16)。c.その他 スタチンの中には、ポストコンディショニング様の作用があることがわかっている。海外のARMYDA-ACS研究では、PCI前のアトルバスタチンの投与により心筋障害が予防できることがわかっていた。本邦からは弘前大学より、AMI患者に対するdirect PCIの直前にプラバスタチンを投与することで再灌流障害が予防されたとする大変興味深い結果が報告されている17)。 また、本邦で開発され、脳梗塞治療薬として使用されているフリーラジカルスカベンジャーであるエダラボンが、direct PCIに伴う再灌流障害を抑制したとする報告がある18)。4.ACS患者に対する抗血小板療法の重要性 ACSの急性期では、血小板活性・凝固能の亢進と線溶能低下が起こっているため、血栓が非常に形成されやすい状況である。血小板が活性化すると膜表面の糖蛋白が発現し、血小板からADP、トロンボキサンA2などの生理活性化物質が放出され、血栓形成がさらに強まる。本邦では使用できないが、GP IIb/III阻害薬はその流れのなかで効果を示す薬剤である。 急性期ではアスピリン162-200mgの咀嚼投与が行われているが、PCIでステント治療となる場合には治療直前からチエノピリジンの投与が推奨される。特にクロピドグレルの場合には初期にローディングとして300mgの投与、以降75mgの投与が必要である2)。韓国からのデータではあるが、DESを用いたPCIを施行したSTEMI患者の検討では、抗血小板薬3剤(アスピリン+クロピドグレル+シロスタゾール)の投与が、2剤群(アスピリン+クロピドグレル)と比較して、8か月における主要心血管イベントを有意に低下させた(図:本誌p19参照)19)。ACSによる入院30日以内の消化管出血があると予後が悪化することも知られているが20)、わが国においても、出血に注意をしながら抗血小板剤の3剤投与も検討されてもよいかもしれない。おわりに日本ではSTEMIをはじめとするACS症例に広くPCIが行われている。特にSTEMI症例に対しては、ガイドラインでdoor-to-balloon timeは90分以内にすることが求められているが、わが国全体でもかなりの割合でそれがクリアされているものと考えられる。ACS治療が海外と比較して、日本で良好な成績を上げているのもそれが大きく起因していることは間違いない。また、多くの施設が24時間体制で緊急カテーテル・PCIに対応し、夜間や休日でも質の高いPCIを常に心がけており、循環器医療に携わるわが国の医師・パラメディカル・関係者の意識が高いことも寄与しているものと考えられる。さらに、薬物の使用においても、急性期には症例ごとにきめ細かな対応がなされ、慢性期にはエビデンスが構築された薬剤が高い比率で投与されているものと考えられる。これらのことはACSに限ったことでなく、わが国の医療レベルが非常に高い要因とも考えられる(図:本誌p19参照)21)。最近ACS症例に対しては、PCIや薬剤のみでなくremote ischemic conditioningや、再生医療に関する話題も豊富である。わが国からACS患者の予後改善に関する新たなエビデンスが構築されることが期待される。文献1)Ui S, Chino M, Isshiki T. Rates of primary percutaneous coronary intervention worldwide; Circ J 2005; 698(1): 95-1002)日本循環器学会ほか. 急性心筋梗塞(ST上昇型)の診療に関するガイドライン(2006-2007年度合同研究班報告). Circ J 2008; 72(supplIV): 1347-14643)Mauri L, Silbaugh TS, Garg P, et al. Drug-eluting or bare-metal stents for acute myocardial infarction. N Engl J Med 2008; 359 (13): 1330-13424)Yoshida T, Kobayashi Y, Nakayama T, et al. Stent deformity caused by coronary artery spasm. Circ J 2006; 70(6): 800-8015)Lerman A, Eeckhout E. Coronary endothelial dysfunction following sirolimus-eluting stent placement: should we worry about it? Eur Heart J 2006; 27(2): 125-1266)Yellon DM, Hausenloy DJ. Myocardial reperfusion injury. N Engl J Med 2007; 357 (11): 1121-11357)Ishihara M, Sato H, Tateishi H, et al. Implications of prodromal angina pectoris in anterior wall acute myocardial infarction. Acute angiographic findings and long-term prognosis. J Am Coll Cardiol 1997; 30(4): 970-9758)Yang XM, Proctor JB, Cui L, et al. Multiple, brief coronary occlusions during early reperfusion protect rabbit hearts by targeting cell signaling pathways. J Am Coll Cardiol 2004; 44(5): 1103-11109)Ikari Y, Sakurada M, Kozuma K, et al. VAMPIRE Investigators. Upfront thrombus aspiration in primary coronary intervention for patients with ST-segment elevation acute myocardial infarction: report of the VAMPIRE (VAcuuM asPIration thrombus Removal) trial. JACC Cardiovasc Interv 2008; 1(4): 424-43110)Ishii H, Amano T, Matsubara et al. Pharmacological intervention for prevention of left ventricular remodeling and improving prognosis in myocardial infarction. Circulation 2008: 118(25): 2710-271811)Ito H, Taniyama Y, Iwakura K, et al. Hori M, Higashino Y, Fujii K, Minamino T. Intravenous nicorandil can preserve microvascular integrity and myocardial viability in patients with reperfused anterior wall myocardial infarction. J Am Coll Cardiol 1999; 33(3): 654-66012)Ishii H, Ichimiya S, Kanashiro M, et al. Impact of a single intravenous administration of nicorandil before reperfusion in patients with ST-segment elevation myocardial infarction. Circulation 2005; 112(9): 1284-128813)Kitakaze M, Asakura M, Kim J, et al. the J-WIND investigators. Human atrial natriuretic peptide and nicorandil as adjuncts to reperfusion treatment for acute myocardial infarction (J-WIND): two randomized trials. Lancet 2007; 370(9597): 1483-149314)Ito N, Nanto S, Doi Y, et al. High index of microcirculatory resistance level after successful primary percutaneous coronary intervention can be improved by intracoronary administration of nicorandil. Circ J 2010; 74(5): 909-91515)2011 AHA Daily news, Monday, p.6 http://www.nxtbook.com/tristar/aha/day3 2011/index.php#/616)Morikawa S, Sone T, Tsuboi H, et al. Renal protective effects and the prevention of contrast-induced nephropathy by atrial natriuretic peptide. J Am Coll Cardiol 2009; 53(12): 1040-104617)Higuma T, MatsunagaT, Maeda N, et al. Early statin treatment before coronary intervention protects against reperfusion injury and reduces infarct size in patients with acute myocardial infarction. Circulation 2005; 112: II-569 Abstract.18)Tsujita K, Shimomura H, Kaikita K, et al. Long-term efficacy of edaravone in patients with acute myocardial infarction. Circ J 2006; 70(7): 832-83719)Chen KY, Rha SW, Li YJ, et al. Korea Acute Myocardial Infarction Registry Investigators. Triple versus dual antiplatelet therapy in patients with acute ST-segment elevation myocardial infarction undergoing primary percutaneous coronary intervention. Circulation 2009; 119(25): 3207-321420)Nikolsky E, Stone GW, Kirtane AJ, et al. Gastrointestinal bleeding in patients with acute coronary syndromes: incidence, predictors, and clinical implications: analysis from the ACUITY(Acute Catheterization and Urgent Intervention Triage Strategy)trial. J Am Coll Cardiol 2010; 54(14): 1293-130221)Bhatt DL, Eagle KA, Ohman EM, et al. REACH Registry Investigators. Comparative determinants of 4-year cardiovascular event rates in stable outpatients at risk of or with atherothrombosis. JAMA 2010; 304(12): 1350-1357

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統合失調症の治療ターゲット、新たな遺伝要因を特定

 統合失調症に関連する新たな遺伝要因を明らかにするため、Andrew E. Timms氏らは、頻度の少ない疾患関連遺伝子変異の同定を試みた。その結果、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体と関連するフレームシフト変異ならびにミスセンス置換が存在することを報告した。統合失調症は顕著な遺伝率を示す複雑な遺伝性疾患である。遺伝学的研究により、関連する種々の遺伝子および伝達経路が示されているが、遺伝的罹病性の多くの部分は依然として不明である。著者は、今回の統合失調症発症リスクと関連する遺伝子の存在の発見は、新たな有用な治療ターゲットとなるものだと報告した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2013年4月3日号の掲載報告。 統合失調症の遺伝形式の検討は、背景にある分子経路に関するよりよい理解につながり、疾患の予防と治療における標的アプローチを可能にすると考えられる。 本研究は、統合失調症家系を強く示唆する新たな遺伝因子の同定を目的とした。 academic medical centersから統合失調症の発端者とその家族を登録し、単一遺伝子による遺伝と思われる統合失調症の多発家系5家系において病因性突然変異の同定を試みた。主要アウトカムは頻度の少ない疾患関連遺伝子変異とし、ゲノムワイドアレイCGH法によるコピー数多型の同定、エクソンシーケンスによる変異の同定、そして連鎖解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・コピー数多型は検出されなかった。・5家系すべてにおいて、タンパク質コード領域に頻度の少ないシーケンス変化が認められ、3遺伝子のうち1つはNMDA受容体と関連していた。・1家系において、代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ5(mGluR5)をコードし、NMDA受容体に結合してそのシグナル活性を増強するGRM5のミスセンス置換およびフレームシフト置換が認められた。なお、フレームシフト置換は、足場蛋白タマリンとの結合を妨げ、mGluR5内在化を促進することが知られている。 ・その他の家系では、カルモジュリン結合蛋白ホスファターゼをコードし、mGluR5レベルに影響を及ぼすPPEF2のミスセンス置換が認められた。・3家系において、NMDA受容体にも結合する低密度リポタンパク質(LDL)受容体関連タンパク質をコードするLRP1B内に異なるミスセンス置換が認められた。なお、LRP1Bは統合失調症と強い関連が示されている染色体2q22領域に位置する。関連医療ニュース ・統合失調症の発症に、大きく関与する遺伝子変異を特定 ・日本人女性の統合失調症発症に関連する遺伝子が明らかに ・統合失調症の診断・治療に期待!新たなバイオマーカー

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今後の日焼け対策キャンペーンはより若い年齢層を対象に

 英国・Royal Free Hampstead NHS TrustのD. P. Butler氏らは、皮膚がん予防を目的とする日焼け対策プログラムを今後どのように展開するべきかを企画するため、かかりつけ医(GP)を通じて幅広い患者を対象に、皮膚がんに対する認識や向き合う姿勢などの現状を調査した。その結果、プログラムはより若い年齢層を対象とすべきであり、またすでに皮膚がんを呈する患者に対してヘルスケア専門家は、安全な太陽光曝露の重大性の認識が強化できるよう働きかける必要があることを報告した。Clinical and Experimental Dermatology誌オンライン版2013年3月27日号の掲載報告。 調査は、さまざまな患者における皮膚がんに関する知識および認識、対策に向き合う姿勢を明らかにし、今後の英国日焼け対策キャンペーン(UK sun-awareness campaigns)を企画することを目的とした。 2010年6月1日~7月31日の期間に英国内3つのGP(2施設は都市部、1施設は地方)のうちの1施設で受診した16歳以上の患者を対象に、太陽光曝露に関する行動データを集めるため質問票への回答を求めた。 主な結果は以下のとおり。・総計1,000人(男性327人、女性673人)から回答を得た。・16~30歳群が高齢者群よりも、より有意に多く日焼けしている可能性があった。・また16~30歳群は、皮膚がん回避の方法の理解が、他の年齢群よりも有意に不良であった。・さらに同群は高齢者群との比較において、日中の太陽光の回避(p<0.001)や日なたでは日差しをカバーする(p<0.001)ということが有意に少なかった。・皮膚がんの病歴や家族歴の有無による、太陽光曝露や日焼けの頻度に有意差はみられなかった。・皮膚がんの病歴を持つ人で、日焼け止めを使って対策をしている傾向がみられた(p<0.001)が、日差しの完全防備や回避はしていなかった。

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統合失調症患者とタバコ、どのような影響を及ぼすのか?

 藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らは、ニコチン依存が統合失調症の中間表現型に影響を及ぼすか否か、またニコチン依存の病態生理について遺伝学的側面から検討を行った。その結果、ニコチン依存は統合失調症患者の言語記憶および実行機能に影響を及ぼしている可能性があること、ニコチン依存に関連するニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)遺伝子における一塩基多型(SNP)の存在を示唆した。Human Psychopharmacology: Clinical and Experimental誌オンライン版2013年4月4日の掲載報告。 本研究の目的は、日本人統合失調症患者において、ニコチン依存が統合失調症の中間表現型に影響を及ぼすか否か、また、nAChR遺伝子のα4 サブユニット(CHRNA4)およびβ2サブユニット(CHRNB2)とニコチン依存との関連を検討することであった。対象は、統合失調症患者100例、健常対照者107例であった。まず、統合失調症患者の認知機能および聴性驚愕反応を調べた。認知機能は、統合失調症認知機能簡易評価尺度(Brief Assessment of Cognition in Schizophrenia:BACS)により評価した。続いて、現在喫煙中の統合失調症患者および健常対照者について、TDS(Tobacco Dependence Screener)、FTND(Fagerstrom Test for Nicotine Dependence)、ブリンクマン指数によりニコチン依存度を評価し、認知機能および聴性驚愕反応との関連を検討した。さらに、CHRNA4およびCHRNB2における12のタグSNPについて、ニコチン依存との関連を重回帰分析により検討した。主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者において、ニコチン依存の存在と重症度は言語記憶および実行機能と関連していた。・一方、ニコチン依存と聴性驚愕反応との間に関連は認められなかった。・健常対象者において、CHRNA4のrs755203およびrs1044397はニコチン依存と関連していた。・以上のことから、統合失調症患者におけるニコチン依存は言語記憶および実行機能のレベルに影響を及ぼしている可能性があると考えられた。さらに、日本人健常者におけるニコチン依存の病態生理に、CHRNA4のrs755203およびrs1044397が関与している可能性が示唆された。関連医療ニュース第二世代抗精神病薬、QT延長に及ぼす影響:新潟大学ブプロピオンで統合失調症患者の禁煙達成!?統合失調症の症状悪化に関連?「喫煙」「肥満」の影響

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てんかんと寄生虫感染との関連説を確認

 システマティックレビューとメタ解析の結果、線虫オンコセルカ(回旋糸状虫)の寄生虫感染によるオンコセルカ症と、てんかんとの関連説を支持する知見が得られたことを、ウガンダ・Basic Health Services Kabarole & Bundibugyo DistrictsのChristoph Kaiser氏らが発表した。未治療者における小結節の触診とミクロフィラリア数で定義する感染の強度が、てんかんの病因に関与していることが確認されたという。PLoS neglected tropical diseases誌3月号(オンライン版3月28日号)の掲載報告。 研究グループは、オンコセルカ症とてんかんとの関連について入手可能なすべてのケースコントロール試験を対象にシステマティックレビューとメタ解析を行うことを目的とした。感染に関して年齢および居住地域の感染レベルが重要な規定因子となることを踏まえて、追加解析を行い、これら交絡因子の調整を満たした試験に限定した。文献の検索は2012年5月までにアップされたものについて、African Neurology Database、Institute of Neuroepidemiology and Tropical Neurology、Limogesの医学データベース、および参考文献リスト、商用検索エンジンにて行った。てんかんを有する患者(PWE)と有さない患者(PWOE)におけるオンコセルカ症の感染状態を調べており、ランダムエフェクトモデルを用いたプールオッズ比(ORp)、標準化平均差(SMD)が算出可能なデータを提示している試験報告を適格とした。 主な結果は以下のとおり。・解析には、オンコセルカ症の診断について定量的皮膚生検データを提示していた11試験を特定し組み込んだ。・総サンプル(PWE患者876例、PWOE患者4,712例)の複合解析の結果、ORpは2.49(95%CI:1.61~3.86、p<0.001)であった。・年齢、居住者、性について調整していた試験に限定した解析(PWE患者367例、PWOE患者624例)においては、ORpは1.29(95%CI:0.93~1.79、p=0.139)であった。・オンコセルカ症の診断で小結節を評価していたのは4試験で(PWE患者225例、PWOE患者189例)、ORpは1.74(95%CI:0.94~3.20、p<0.076)であった。限定解析に組み込まれたのは2試験で(PWE患者106例、PWOE患者106例)、ORpは2.81(95%CI:1.57~5.00、p<0.001)であった。・ミクロフィラリア未治療の患者についてミクロフィラリア数を調べていたのは1試験であり、PWOE患者よりもPWE患者のほうが有意に数量が高値であった。関連医療ニュース ・てんかん患者、脳内ネットワークの一端が明らかに ・抗てんかん薬の長期服用者、80%が骨ミネラル障害 ・検証!抗てんかん薬の免疫グロブリン濃度に及ぼす影響

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脊椎大手術における硬膜外麻酔および持続硬膜外鎮痛の有用性

 硬膜外麻酔は、術後硬膜外鎮痛の有無にかかわらず手術侵襲反応を軽減する可能性があることが示唆されているが、脊椎大手術を受ける患者については十分な研究がされていなかった。今回、ロシア・Nizhny Novgorod Research Institute of Traumatology and OrthopedicsのAnna A.Ezhevskaya氏らによる前向き無作為化試験の結果、硬膜外麻酔/全身麻酔+術後硬膜外鎮痛の併用は、全身麻酔+麻薬性鎮痛薬の全身投与と比較して、疼痛をより良好にコントロールでき、出血量ならびに手術侵襲反応も少ないことが示された。Spine誌オンライン版2013年3月19日の掲載報告。 本研究の目的は、脊椎再建手術における臨床転帰と手術侵襲反応に対する麻酔ならびに鎮痛法の有効性を比較検討することであった。 85例が次の2群に無作為に割り付けられた。 ・E群(45例):セボフルラン(商品名:セボフレンほか)による硬膜外麻酔と気管内麻酔+術後ロピバカイン(同:アナペイン)、フェンタニル(同:フェンタニルほか)およびエピネフリン(同:ボスミンほか)による持続硬膜外鎮痛 ・G群(40例):セボフルランによる全身麻酔+術後フェンタニルおよびオピオイド全身投与 術中および術後にコルチゾール、グルコース、IL-1β、IL-6およびIL-10濃度を測定するとともに、術後の疼痛、悪心、運動性および満足度を評価した。 主な結果は以下のとおり。・E群ではG群と比較して、疼痛、悪心が有意に少なく、より早期に運動を開始することができ、満足度も有意に高かった。・E群は、術中および術後の出血量が有意に少なく、術後のグルコース、コルチゾール、IL-1β、IL-6およびIL-10濃度も低値であった。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」痛みと大脳メカニズムをさぐる・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」神経障害性疼痛の実態をさぐる・「不適切なオピオイド処方例(肩腱板断裂手術後難治性疼痛)」ケースレポート

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アジスロマイシン、非嚢胞性線維症性気管支拡張症の感染増悪を抑制/JAMA

 非嚢胞性線維症性(non-CF)の気管支拡張症の維持療法として、マクロライド系抗菌薬であるアジスロマイシン(商品名:ジスロマック)の12ヵ月間毎日投与法が有用なことが、オランダ・アルクマール医療センターのJosje Altenburg氏らが実施したBAT試験で示された。気管支拡張症では、小~中径の気管支にX線画像上特徴的な病的拡張と粘膜肥厚を認め、気管支壁の構造的異常により下気道クリアランスが低下して慢性的な細菌感染や炎症を来すという悪循環を呈する。マクロライド系抗菌薬は嚢胞性線維症やびまん性汎細気管支炎に対する効果が示されているが、non-CF気管支拡張症にも有効な可能性が示唆されている。JAMA誌2013年3月27日号掲載の報告。マクロライド系抗菌薬維持療法の有効性を無作為化試験で評価 BAT(Bronchiectasis and Long-term Azithromycin Treatment)試験は、成人のnon-CF気管支拡張症に対するマクロライド系抗菌薬による維持療法の有効性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験。 対象は、前年に下気道感染症に3回以上罹患し抗菌薬治療を受けた18歳以上のnon-CF気管支拡張症の外来患者とした。これらの患者が、アジスロマイシン250mg/日を投与する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられ、12ヵ月の治療が行われた。 1次エンドポイントは12ヵ月の治療期間中に感染増悪を来した患者数とし、2次エンドポイントは肺機能、喀痰培養、炎症マーカー、有害事象、QOLなどであった。治療期間中の感染増悪率:46 vs 80% 2008年4月~2010年9月までにオランダの14施設から83例が登録され、アジスロマイシン群に43例(平均年齢59.9歳、女性63%)、プラセボ群には40例(64.6歳、65%)が割り付けられた。 治療終了時に感染増悪を認めた患者数中央値はアジスロマイシン群が0例、プラセボ群は2例であった(p<0.001)。治療期間中に1回以上の感染増悪を来した患者数中央値はアジスロマイシン群が20例(46%)、プラセボ群は32例(80%)であった[ハザード比(HR):0.29、95%信頼区間(CI):0.16~0.51]。 混合モデル解析では、予測値に対する1秒量の経時的な変化に両群間で差を認め、アジスロマイシン群では3ヵ月ごとに1.03%ずつ上昇したのに対し、プラセボ群は0.10%ずつ低下した(p=0.047)。 消化管の有害事象の発生率はアジスロマイシン群が40%と、プラセボ群の5%に比べ高頻度であり、腹痛の相対リスクが7.44(95%CI:0.97~56.88)、下痢の相対リスクは8.36(95%CI:1.10~63.15)であったが、治療の中止を要する患者はいなかった。 薬剤感受性試験では、アジスロマイシン群(20例)のマクロライド系抗菌薬耐性率は88%(53/60例)と、プラセボ群(22例)の26%(29/112例)に比べ有意に高かった(p<0.001)。 治療終了時のQOLはアジスロマイシン群がプラセボ群に比べ有意に良好であった(p=0.046)。 著者は、「non-CF気管支拡張症の成人患者に対するアジスロマイシン12ヵ月投与はプラセボに比べ感染増悪率が良好であった」とまとめ、「感染増悪の抑制がQOLの改善をもたらした可能性があり、生存への良好な影響も期待されるが、薬剤耐性の影響を考慮する必要がある」と指摘している。

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18~50歳成人の脳卒中後20年累積死亡率、一般成人の予測死亡率の2.6~3.9倍/JAMA

 18~50歳成人の脳卒中後20年間の累積死亡率は、一般成人の予測死亡率よりもかなり高いことが明らかになった。オランダ・ナイメーヘン・ラットバウト大学医療センターのLoes C. A. Rutten-Jacobs氏らが報告した。これまで同年代成人の初発脳卒中後の死亡率についての報告は不十分で、一般的には脳梗塞に限られたものであったという。脳卒中は主に高齢者で発生するが、約10%は50歳未満の若・中年者で発生している。JAMA誌2013年3月20日号掲載の報告より。脳卒中後の連続生存患者959例の20年累積死亡率と、適合一般集団の予測死亡率を比較 研究グループは、18~50歳成人の急性脳卒中後の長期の死亡率および死因を調べ、年齢・性でマッチさせた全国死亡率と比較することを目的とした。 1980年1月1日~2010年11月1日のFollow -Up of Transient Ischemic Attack and Stroke Patients and Unelucidated Risk Factor Evaluation(FUTURE)研究[一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞、脳出血後の予後の前向き研究]の参加者で、ナイメーヘン・ラットバウト大学医療センターに入院した18~50歳成人を対象とし、連続生存患者959例(TIA群262例、脳梗塞群606例、脳出血群91例)について、2012年11月1日に評価した。同患者群で観察された死亡率を、年齢・性・暦年特性で適合させた一般集団から算出した予測死亡率と比較した。 主要評価項目は、脳卒中後30日生存者における20年間の累積死亡率であった。TIA群2.6倍、脳梗塞群、脳出血群はいずれも3.9倍 平均追跡期間は11.1(SD 8.7)年(中央値8.3、範囲:4.0~17.4)であり、同期間中の患者群の死亡は192例だった。 脳卒中後30日生存者における20年累積死亡リスクは、TIA群24.9%[95%信頼区間(CI):16.0~33.7]、脳梗塞群26.8%(同:21.9~31.8)、脳出血群13.7%(同:3.6~23.9)であった。 観察された死亡率は、いずれも予測死亡率と比べて有意に高かった(p<0.001)。両死亡率を比較した標準化死亡比(SMR)は、TIA群では2.6倍、脳梗塞群、脳出血群はいずれも3.9倍であった。 脳梗塞群では、男性が女性よりも有意に死亡率が高かった[33.7%(95%CI:26.1~41.3)対19.8%(同:13.8~25.9)、p=0.03]。SMRについては、女性は4.3倍、男性は3.6倍だった。 また脳梗塞群において、病型サブタイプ別にみた場合も観察された死亡率はすべて、予測死亡率を有意に上回っていた(病型別のSMRは2.2倍から9.2倍にわたった)。 著者は、「18~50歳成人における急性脳卒中後の20年累積死亡率は、予測死亡率よりもかなり高かった。本知見は、これらの患者における2次予防戦略評価のさらなる検討を支持するものとなるだろう」と結論している。

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アトピー性皮膚炎患者の悩みの種、目の周りの黒ずみへのレーザー治療の有効性

 アトピー性皮膚炎患者の悩みの種となっている目の周りの黒ずみについて、レーザー治療が有効かつ安全に使用可能であることを、韓国・中央大学のKui Young Park氏らがパイロットスタディを行い報告した。アトピー性皮膚炎患者の多くに同症状がみられ治療への希求も高いが、同治療に関する文献的な報告はほとんどなかった。Journal of Cosmetic and Laser Therapy誌オンライン版2013年3月6日号の掲載報告。 研究グループは、2790-nm Er:YSGG(2,790nmエルビウムyttrium scandium gallium garnet)によるレーザー治療について、アトピー性皮膚炎患者の目の周りの黒ずみに対する臨床的有効性と安全性を評価した。 被験者は、軽度のアトピー性皮膚炎患者である21歳超の韓国人10例。アトピー性皮膚炎活動期で治療を要する患者は、レーザー治療後に増悪の可能性があり除外された。 2790-nm Er:YSGGレーザー治療は、フルエンス1.8~2.2J/cm2、スポットサイズ6mm、10%重複でのパルス幅0.3msを指標として、目の周り全体に4週間に1回の間隔で行われた。 有効性の評価は、盲検下で研究者によって0~5の四分位階調度スコアを用いて行われた。また、患者に対して同一スコアを用いた書面で回答を求める満足度の評価を行った。副作用について起こりうるすべての事象について評価した。 主な結果は以下のとおり。・治療後2ヵ月時点の評価において、74.5%(スコア2.7)の改善を示し、患者満足度(スコアスケール)も平均74%(2.4)が改善を示した。・4ヵ月時点の評価では、同72.5%(2.5)、71.5%(2.3)の改善を示した。・重篤な副作用やアトピー性皮膚炎の増悪は報告されなかった。・アトピー性皮膚炎患者の目の周りの黒ずみについて、2790-nm Er:YSGGレーザー治療は有効かつ安全に使用できる可能性がある。

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統合失調症、双極性障害の急性期治療に期待!アリピプラゾール筋注製剤

 非定型抗精神病薬であるアリピプラゾール(商品名:エビリファイ)は、統合失調症患者や双極性障害患者に対し広く用いられている。海外では筋注製剤も承認されており、急性期治療における有用な選択肢として期待されている。イタリア・サピエンツァ大学のSergio De Filippis氏らは、統合失調症または双極性障害の急性期治療として、アリピプラゾール筋注の有用性をオープランラベル試験により検証した。Pharmacotherapy誌オンライン版2013年3月15日号の掲載報告。 研究グループは、統合失調症または双極性障害で急性の興奮状態にある患者について、非定型抗精神病薬アリピプラゾール9.75mgの筋肉注射の有効性と安全性を評価した。試験は、一大学の精神科病棟で行われ、筋注後の治療反応を評価した。評価は、初回筋注後30、60、90、120分および24時間後にPANSS陽性・陰性症状評価尺度(Positive and Negative Syndrome Scale)の興奮項目(PANSS-EC)と興奮/鎮静評価尺度(Agitation/Calmness Evaluation Scale:ACES)にて、また2、4、6、24時間後に臨床全般印象度(Clinical Global Impressions scale:CGI)にて行われた。また、サブサンプルにおいて血中アリピプラゾール値とデヒドロアリピプラゾール値を測定した。 主な結果は以下のとおり。・201例(統合失調症79例、双極性障害122例)を対象とした。・PANSS-ECのスコアは、40%以上減少した。・アリピプラゾール筋注は、臨床指標を有意に改善した。・PANSS-ECの改善は、30分後から始まり進行していった。・ACESの改善は90分後で、その後は維持された。・CGIスコアの減少は絶え間なく着実に24時間後まで続いた。・治療反応率は2時間後時点で83.6%であった。再投与後は、統合失調症群、双極性障害群とも90%超まで上昇した。・PANSS-ECの個別指標別にみた場合に、治療反応に性差が認められる項目もあったが、全体的には同程度であった。・臨床モニタリングにおいて、副作用の報告をした患者は皆無であった。ただし、あらゆる副作用が報告されなかったのは、観察期間が短かったことと関連している可能性がある。・治療領域は特定されなかった。また、治療レベルはいずれの臨床指標とも関連していなかった。・本研究結果は、二重盲検試験に十分に匹敵するもので、おそらくプラセボを対照と していない試験においてより高値が期待できる。関連医療ニュース ・アリピプラゾール筋注に関するコンセンサス・ステートメント(英国) ・抗精神病薬投与前に予後予測は可能か? ・アリピプラゾールvsその他の非定型抗精神病薬:システマティックレビュー

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Genome to bedside: lost in translation (Daniel F. Hayes, USA)

ゲノムから臨床へ:我々は翻訳によって混乱するか個別化医療とは、適切な患者に、適切な時期に、適切な量とスケジュールで、適切な治療を行うことである。そのような個別化を行うために、バイオマーカーは治療と同じくらい重要なものとなる。患者がすべての毒性も効果も進んで受け入れるのであれば、すべて行えばよい。しかし患者が一定の毒性を避けるために、一定の治療を控えようとするのであれば、治療を慎重に選択することが求められる。そのために必要なものは予後因子、効果予測因子であり、治療に関するリスクとベネフィットおよびコストに関する患者、医師そして社会の評価である。治療を正当化するためにどの程度の絶対的な利益が存在するか(例:Adjuvant online)という判断が重要である。しかし不適切なバイオマーカーは、不適切な治療と同じくらい有害である。たとえば、ある薬剤をどのように混ぜたらよいかが不明である、濃度がわからない、どのようにその薬剤が役立つかを示す臨床データがない、治療効果と毒性に関するレベルの高いエビデンスがない、といった状況のときに、われわれはその薬剤を使うだろうか。バイオマーカーがその意義を持つためには、その測定系が鋭敏かつ再現性があるのか、実際に臨床的意義のあるような生物学的違い(陽性/陰性)を示すのか、予後を改善するための高いレベルのエビデンスをもって臨床的な決定ができるのか、といった条件が必要である。網羅的な生命分子についての情報を意味するオミックス(Omics)の試験は、もともとデューク大学で、化学療法の感受性を予測するために開発された。オミックス試験には3つの段階があり、発見、検証、そして臨床的有用性と使用に関する評価である。このようなオミックス試験は、通常の試験とは異なり、生物学者、遺伝学者、臨床家/臨床研究者、統計学者、生物情報学者、臨床病理学者といった多くの領域の専門家が協力していく必要がある。検証の段階では、候補となる試験を発見に関わったサンプルで評価し、次に別のサンプルを使って再評価する。発見から検証まで、統計と生物情報学による検討が行われる。またオミックス試験は薬剤とは異なり、2通りの規制監督(regulatory oversight)があり、1つはFDAによるレビューであり、もう1つはlaboratory developed test(LDT)研究室で開発したテストのように、臨床検査室改善法(CLIA)が定めた研究施設における検証である。臨床的有用性については、評価可能な臨床的アウトカムが、オミックス試験を用いない場合と比べて改善するかということであり、FDAやLDTの過程では評価されないが、FDAによるレビューがないことが臨床的有用性がないことを意味しない。臨床的有用性を支持するエビデンスを集めるという過程は、臨床に導入される前に行われるべきである。試験を試験するという過程は、過去に行われた臨床試験から得られた試料を後ろ向きに集めて、前向きに検討するという段階と、マーカー自体が主要評価となる前向き臨床試験の2つである。後者の例として、TAILORx、MINDACT、RxPONDERがある。トランスレーショナルのオミックスの評価に関する報告はwww.nap.eduからダウンロード可能である(コメント:「Evolution of Translational Omics: Lessons Learned and the Path Forward」というタイトルで有料である)。画像を拡大するレポート一覧

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p53 and breast cancer subtypes and new insights into response to chemotherapy (Philippe Bertheau, France)

p53と乳がんのサブタイプ、そして化学療法への反応に関する考察p53の変異は乳がんの20~30%に認められるが、いまだ乳がん治療のためのバイオマーカーとしては使われていない。ヒトのがんにおける2万以上のp53変異を調べた研究では、73%がミスセンス変異であり、次いでフレームシフト変異9%、ナンセンス変異7%、サイレント変異5%、スプライス変異2%と続く。Dumayら(2013年)は乳がんのサブタイプ別に検討し、luminal A 17%,luminal B 41%,HER2+ 50%,molecular apocrine 69%,basal-like 88%であった。変異は非短縮型と短縮型があって、短縮型は新たな機能を持ちうるが、蛋白の発現は非常に低かった。Ellisら(2013年)の研究では、luminalの腫瘍において、MDM2の変異または増幅によるp53の不活化はluminal Bの原因であるようである。Changら(2011年)とHerschkowitzら(2012年)の研究から、basal-likeとclaudin-low typeにおいて、p53はmiR-200の上方調節を通してEMT(Epithelial-Mesenchymal transition,上皮間葉移行)とstem cellの性質を調節している。Martinsら(2012年)は、55例のBRCA1グループを調べ、 p53の変異が、luminalでは最初の最も重要なイベントであり、basal-likeではPTENの消失の後に起こっていた。従来は、p53のwild typeではDNA損傷があるとアポトーシスが起こるため治療効果が高く、p53変異があるとアポトーシスを起こさないため、治療への反応が悪いと考えられてきた。しかしER陽性乳がんでは、しばしばp53 wild typeであるが、p53変異が高頻度であるER陰性乳がんと比べて化学療法への反応性が不良である。p53と化学療法への反応を考えるとき、乳がんのサブタイプ、治療の目的、化学療法のレジメン、そしてp53評価の方法を考慮する必要がある。進行性または炎症性乳がんにおけるdose-dense ACの効果とp53の状況をみたとき、p53 wild typeではpCRが0であったのに対し、p53変異があったものでは15/28でpCRがみられた。予後もp53変異のあったもので良好であったが、タキサンベースでは予後に差がなかった。アルキル化剤の量はER陰性p53変異乳がんにおいては極めて重要である(pCR率:E 7/57,FAC 1/17,dose-dense EC 15/21)。アントラサイクリンを投与したとき、p53 wild typeでは細胞周期の停止が起こり、シクロホスファミドに抵抗性のため、一時的な停止が起こるだけで、また増大する。反対にp53変異ではアントラサイクリンで細胞周期の停止もアポトーシスも起こらないが、シクロホスファミドによりmitotic catastrophe(細胞分裂の異常により染色体分離ができず大きな細胞となる)が起こりpCRとなる。しかし、それを免れると腫瘍の急速増大をきたす。Baileyら(2012年)は、エストロゲン受容体がp53依存性のアポトーシスを防いでいることを見出した。Bonnefoiら(2011年)は、p53の状況を調べた2,000名の患者のうち、p53変異のある方の中でT-ETとFECの術前化学療法の効果を比較したところ、生存率にまったく差はみられなかった。しかしこの結果は症例選択が適切でない可能性があり、TNBCやluminal Bの進行乳がんにおいてdose-dense ACのレジメンで臨床試験を行うべきである。レポート一覧

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Influence of genomics on adjuvant treatments for pre-invasive and invasive breast cancer (Lajos Pusztai, USA)

浸潤前および浸潤性乳がんの補助療法におけるゲノミクスの影響Hassettら(2012年)は、21遺伝子を用いたOncotype Dxの使用を2006年から2008年の期間で調査したところ、アカデミックセンターよりもむしろコミュニティーがんセンターで増えていた。化学療法の使用もそれと並行して増加していた。Oncotype Dx を受けた患者の割合は2006年では14.7%であったのに対し、2008年では27.5%となっていた。StageⅠが30.5%であり、腫瘍径が2cm以下で組織学的異型度が低い場合に多かった。リンパ節転移陰性が95%であり、転移1~3個では5%であった。本検査の結果20~25%の症例で補助治療の推奨が変化していた。では、数あるテストの中でどれを用いるのがよいだろうか。すべてのテストは増殖とERシグナルを定量化して予後を算出しており、類似したエビデンスで立証され、臨床的有用性は強いが間接的な推測に基づいたエビデンスによってのみ支持されている。そのため、MINDACT,TAILORx,RxPONDER,POETIC,OTIMAといった臨床試験が、level 1のエビデンスを出すために進行中である。Kellyら(2012年)は、103名のER陽性のStageI~IIの乳がんでOnocotype DxとPAM50を比較し、約20%でリスク評価に不一致があった。しかし現状ではどの予測がより正確かを証明する方法はない。次にER,PgR,HER2およびKi67は同様の結果をもたらすだろうか。それはYesともいえ、Noともいえる。IHC4 soreを用いて計算するならYesであり、標準化された方法で行うならYesである。ER,PgR,HER2およびKi67を2値のカテゴリーとして解釈するならNoであり、Ki67の閾値は当てにならず、最大の情報をもたらさない。近い将来、より長期の補助療法のためのER陽性患者の選択やDCISの再発を予測する、臨床とゲノミクスのモデルを組み合わせた検査が開発されるだろう。Bianchiniら(2011年)は、増殖とER関連遺伝子の時間依存性の効果を、673名のER陽性StageI~IIIでタモキシフェンを服用した患者で調べたところ、晩期再発のリスクを最も有する患者は、増殖性が高くER発現の高いがんであり、次いで増殖性が低くER発現の低いがんであった。高い増殖性と低いER発現は早期再発に関係していた。低い増殖性と高いER発現では再発率は早期も晩期もきわめて低かった。Courtesyら(2012年)は、ATAC試験を用いてBreast Cancer Index(BCI)とOncotype DxおよびIHC4を比較し、晩期再発の予測をみたところ、5~10年の再発はBCIで有意に再発を予測していた。EndoPredict(EP)もまた晩期再発を予測し、EP highで5~10年の再発が多かった。DCISの再発を予測するものとして、21の遺伝子の中から12の遺伝子を選択して用いたOncotype Dxの成績が報告され、Courtesyら(2012年)は、ECOG5194試験の中において327例のDCISで調べたところ、浸潤がんの再発率は低リスク/中間リスクでは低いが、高リスク群で有意に高かった。しかし腫瘍サイズと閉経も重要な因子であった。これは単施設の小さな研究であり、さらなる検証が必要であろう。画像を拡大するレポート一覧

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How to handle positive sentinel nodes? (Viviana Galimberti, Italy)

センチネルリンパ節陽性をどう扱うか?第3相無作為化比較試験IBCSG 23-01(2013年)は、センチネルリンパ節に微小転移があった場合の郭清と非郭清を比較したものである。5cm以下、N0で乳房温存術または乳房切除術とセンチネルリンパ節生検を行い、微小転移があった931名を非郭清467名、郭清464名に割り付けた。90%はER陽性であり、92%が病理学的腫瘍径3cm未満であった。術前センチネルリンパ節生検が38%で行われていた。乳房切除術は9%、乳房温存術で放射線治療なしが3%、術中照射のみが19%であった。内分泌療法は88%、化学療法は31%に行われていた。リンパ節領域再発は郭清群1%未満、非郭清群1%であった。無再発生存率は非郭清群の方がむしろ高めで非郭清が再発を増やすことはなかった。全生存率はまったく差がなかった。サブグループ分析を行っても郭清群に良好な因子はなかった。これはレベル1のエビデンスであり、センチネルリンパ節で微小転移のみの場合は郭清は行われるべきではない。しかし乳房切除はわずか9%であった(そのうち2.2%が術後に局所領域の放射線治療を受けていた)ため、結論は出ていない。(コメント:乳房温存術後でも放射線治療なしと術中照射のみが22%あり、さらに術後照射でも短期部分照射も含まれると考えられ、少なくとも30%以上は腋窩が照射されていないと考えられる。したがって乳房切除においても十分許容されるものと思われる。)画像を拡大するMilgromら(2012年)は、センチネルリンパ節陽性(大部分はN0 i+またはN1micでありN1は9%)で、腋窩に治療を加えなかった乳房切除術210例と乳房温存術325例を検討した。その結果、経過観察期間中央値57.8ヵ月で無再発生存率は94.7%対90.1%であり、乳房切除術で郭清を加えなくても非常に良好な予後が得られた(コメント:乳房切除術での領域再発は論文上1.2%)。Z0011試験ではcT1-2N0M0でHE染色にてセンチネルリンパ節が1~2個陽性だったものを、郭清対非郭清に無作為化割り付けした。その結果5年無再発生存にも全生存にも有意差はなく、腋窩再発は低率であった。また腋窩郭清による情報はそのほとんどで補助治療を全く変えなかった。このことから全乳房照射を受けるセンチネルリンパ節転移陽性の乳がんでは郭清を辞めるときであるとプレゼンターは結論している。ただし、非郭清の決定は年齢、併存疾患、患者の価値観を含む全ての関連因子を考え行うべきであると結んでいる。画像を拡大するレポート一覧

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Close / positive margins after breast-conserving therapy: Additional resection or no resection? (William Wood/USA)

断端クローズまたは露出の際に、追加切除は必要か?放射線治療は潜在している腫瘍をコントロールする。部分的な低酸素腫瘍が広い範囲にあれば非常に高線量でなければコントロールできず、美容的には許容しがたいものとなる。手術は大きな腫瘍を切除できるが、これも美容的に許容しがたいものとなる。ではどれくらい広く切除すればよいだろうか。Hollandら(1985年)、Vaiyaら(1996年)の報告では、断端が広いほど残された乳腺への腫瘍の残存率は減少する。一方、1.6cmの腫瘍径に対して3mmの断端を確保する場合、切除量は5.6ccとなるが、1cmでは24.4ccとなる。2.4cmの腫瘍では14.1ccと44.6ccであり、切除量がかなり異なってくる。Singletaryら(2002年)は34の研究をレビューし、局所再発率は断端に腫瘍があるかないかで6%対16%、1mm離れているかいないかで3%対16%、2mmでは5%と12%であった。断端の距離ではあまり変わりなく、断端陽性であることが再発のリスクであった。Houssamiら(2010年)は21の研究を調査し、断端陰性と陽性とで局所再発の比率は2.43であるとした。Parkら(2000年)の報告では、断端が1mm以上離れていても1mm未満であっても、露出していなければ局所再発率は7%であり、露出している場合は18%であった。ただし部分的な露出の場合、全身療法を行っている場合は7%と変わりがなかった。断端陰性とは何か?腫瘍が露出していないもの?1mm?1mmより大きい?2mmより大きい?5mmより大きい?例えば手術中に4mmの断端を確保しても、標本の形は摘出から固定の段階で変化し、1mm未満の断端になることがある。断端陰性とは陽性でないことであり、Parkの研究、Singletaryの34の研究のレビュー、Houssaminoの21の研究のメタ分析でも、近い断端とより広い断端で局所再発に違いはなかった。DCISでは浸潤癌とは異なるようである。Dunneら(2009年)は22の研究をレビューし、腫瘍の露出がない/1mmより広いことを断端の定義としたとき、局所再発率は9.4%/10.4%であったが、2mmより広い/5mmより広いとしたとき5.8%/3.9%であった。術中超音波ガイダンスの有無で行った臨床試験では、断端陽性率は超音波なしで16.4、ありで3.3%であった。最近ではElectro-magnetic Margin Probeという機器が登場し、断端陰性に貢献するようになった。追加切除は断端陽性の場合に必要と考えられるが、より広い断端の確保がより良いというエビデンスはなく、断端陰性は重要だが、腫瘍の生物学的特性が最も重要である。以上より局所切除では断端陰性が目的であり、断端陽性は過小な治療となり、追加切除が必要である。断端に腫瘍が露出していない場合には追加切除は不要である。画像を拡大するレポート一覧

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Triple negative disease: Germ-line mutations, molecular heterogeneity and emerging target (William D. Foulkes, Canada)

トリプルネガティブ病:胚細胞変異、分子学的異質性、期待される標的このプレゼンテーションの目的は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)における胚細胞遺伝子変異の頻度、TNBCをさらにいくつかの異なったタイプに分類すること、これらの結果をTNBCの治療に適用することである。BRCA1は1994年に同定され、数千の異なった変異が認められており、膨大な創始者変異が存在する。BRCA1の変異があると、乳がんおよび卵巣がんの生涯リスクが高くなり、他の部位でのがんのリスクも増大する。また、TNBCの頻度が高いことが特徴であり、DNA修復に重要な役割を果たし、BRCA2やPALB2と相互作用する。TNBCにおけるBRCA1変異保有の頻度は、過去の報告から約10~20%である。またBRCA2変異保有者においてもTNBCはまれではない。PALB2の変異はBRCA1/2よりも少ない。PALB2変異保因者におけるTNBCの頻度は40%程度と見込まれる。これらBRCA1/2、PALB2の変異を同定する意義は、TNBCを持った女性への治療および新たながんへの対策、家族に対する予防と早期発見である。それらの変異が認められなくても家族歴がある場合には、TNBCに関連しているようにみえるさまざまなSNPsが全ゲノム関連解析(GWAS:Genome-wide association study)の研究から同定された。臨床上の利益は非常に少ないが、BRCA1/2のような重要なアレルにおけるリスクを修飾している可能性がある。また新しい経路への手がかりとなり、いくつかのSNPsは体細胞変異と連携しているかもしれない。画像を拡大するTNBCはER/PgR/HER2陰性の均一な1つのタイプとして同定されているが、しかし組織学的にはかなり不均質であり、Lehmannら(2011年)は、21のデータセットからの587例のTNBCを、マイクロアレイの発現より、7つのサブグループ、すなわちBL1,BL2,IM,M,MSL,LAR(もう1つのグループは不安定であり、省略された)に分類した。そのうち50%未満がbasal-likeであり、注目すべきことに14%がluminal Aであった。免疫療法への可能性としては、ER陰性では特に腫瘍へのリンパ球浸潤が予後と関連していて、それは年齢によって逆転しているようである。画像を拡大するTNBCにおける次世代シーケンサーの研究として、ブリティッシュコロンビアのグループが、104例の原発性TNBCを調べたところ、クローンの頻度が広く変化しており、BLBCが最もクローンの多様性があり、p53、PI3K、PTENの変異が優位であった。basal のTNBCではnon basalと比べp53変異の頻度が高く(62%対43%)、クローンの集団と転位の数が多かった。Perouら(2013年)は、86例のTNBCを調べ、変異の頻度はTP53が79.1%と高かったが、それ以外はPIK3CAが10.4%、RB1が4%、MLL3とNF1がそれぞれ3%と低かった。basal-likeにおける治療の標的として考えられるものは、遺伝子の増幅(PI3CA,KRAS,BRAF,EGFR,FGFR1,FGFR2,IGFR1,KIT,MET,PDGFRA)であるが、HIFα/ARNT経路の活性化も高頻度に観察されている。TNBCはしばしば予後不良とされているが、多くの女性は治癒しており、TNBCの多くが進行性であるものの、TNBCのあるサブセットでは従来の治療によく反応し、pCRとともに予後が改善する。その一方でpCRに至らなかったものは非常に予後が悪い。アントラサイクリンにタキサン系薬剤を加えることでER陽性乳がんよりもベネフィットが期待できる。プラチナ製剤はBRCA変異をもった腫瘍以外ではまだ結論は出ていない。BRCA変異はPARP阻害剤の効果と関係しており、プラチナ製剤への反応性も高い。またBRCA1関連乳がんでは、PI3K阻害剤(BKM120)のPARP阻害剤(olaparib)への相乗効果が期待されている。Banerjeeら(2012年)は、TNBC72例中5例に遺伝子の融合を見出しており、これも治療標的の1つとなるかもしれない。レポート一覧

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ヒトの皮膚への摩擦行動と保湿の定量的予測モデルを開発

 皮膚への摩擦の特性を知ることは、皮膚傷害の発端や予防において重要であることから、オランダ・トゥウェンテ大学のN. K. Veijgen氏らは、ヒトの皮膚への摩擦行動および皮膚の保湿を予測する定量的モデルの開発を試みた。統計的手法を用いて、摩擦行動者の特徴、摩擦面の状態、摩擦物質の性質、摩擦行動時の環境を描出した。Skin Research and Technology誌オンライン版2013年2月26日号の掲載報告。 皮膚の摩擦行動に関わる問題は多彩であるが、先行研究では単一変数の分析手法を用いた検討が行われていた。そこでVeijgen氏らは、静・動摩擦係数からなる多変量モデルを示し、皮膚の保湿についても同様に多変量モデルを示すことを目的とした。 合計634の皮膚摩擦尺度を、最近開発された摩擦計を用いて測定し、統計分析を行った。事前に定義した影響を及ぼす可能性がある変数を、静・動摩擦係数、皮膚の保湿と結び付け、摩擦行動および皮膚の保湿それぞれについて3つの定量的予測モデルを描出した。 主な結果は以下のとおり。・動摩擦係数が高値(皮膚に接する物質が強い力で動いている)であったのは、「高齢者」「人差し指」「表面エネルギーがより大きい物質」「室温が高い」であった。・一方、動摩擦係数が低かった(皮膚に接する物質が弱い力で動いている)のは、「皮膚表面の温度が低い」「こめかみ」「接触面の材質がより粗い物質」であった。・静的摩擦係数が高値であった(皮膚に接していた物質が動く際に強い力がかかる)のは、「皮膚保湿がより高い」「より年齢が高い」「人差し指」「表面エネルギーがより大きい物質」「外界温度がより高い」であった。・皮膚の保湿と関連していたのは、「皮膚温」「解剖学的位置」「皮膚における毛髪の存在」「相対湿度」であった。・以上のように、予測モデルは多変量アプローチによる静・動摩擦係数によって描出できた。静・動摩擦係数は強い相関を示し、そのためそれぞれの多変量モデルは類似していた。静摩擦係数は動摩擦係数よりも平均18%低値であった。・本研究での多変量モデルは限定的なものである可能性があり、結果を普遍化するには注意が必要である。

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抗精神病薬によるプロラクチン濃度上昇と関連する鉄欠乏状態

 小児および思春期患者への使用が増加している非定型抗精神病薬は、脳内ドーパミンを修飾する。ドーパミン作動性シグナル伝達において、鉄は重要な役割を果たしている。米国・アイオワ大学のChadi Albert Calarge氏らは、体内の鉄含量が精神症状の重症度、治療反応性、引き続き行われる抗精神病薬療法の忍容性と関連するか否かについて検討を行った。その結果、対象の45%が鉄枯渇、14%が鉄欠乏状態にあること、また鉄欠乏症を認める患者では血清プロラクチン濃度の上昇が強まることを報告した。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2013年3月12日号の掲載報告。 対象は、2005年11月~2009年8月に、リスペリドンの長期安全性を検討する横断研究に登録された内科的には健康な7~17歳のリスペリドン投与中の患者であった。身体所見により精神症状の重症度および食事摂取量を評価し、また、血清中のフェリチン、トランスフェリン受容体、およびプロラクチン濃度を測定した。多変量線形回帰分析により体内鉄含量と症状の重症度、リスペリドンおよび精神刺激薬の用量、血清プロラクチン濃度との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・115例(男性87%、平均年齢11.6±2.8歳)を対象とした。・大半が外在化障害を有しており、リスペリドン服用歴は2.4±1.7年であった。・体内鉄含量は低く、45%が鉄枯渇、14%が鉄欠乏症であった。・体内鉄含量とリスペリドン治療中の体重増加、インターロイキン-6濃度との間に負の関係がみられた。・体内鉄含量と精神症状の重症度、リスペリドンおよび精神刺激薬の1日投与量との間に関連は認められなかった。・一方、体内鉄含量とプロラクチン濃度との間には負の関係が認められ、鉄欠乏症のグループではプロラクチン濃度が約50%高かった。・慢性的にリスペリドンによる治療を受けている小児や思春期患者では、鉄枯渇および鉄欠乏症がしばしばみられ、鉄欠乏状態に伴って、抗精神病薬に起因するプロラクチン濃度の上昇が強まることが示された。・さらなる研究により本知見を確認するとともに、抗精神病薬治療中の患者における鉄補給の潜在的ベネフィットを検討すべきである。関連医療ニュース ・抗精神病薬と抗コリン薬の併用、心機能に及ぼす影響 ・小児双極I型障害に対するアリピプラゾールの効果は? ・第二世代抗精神病薬によるインスリン分泌障害の独立した予測因子は

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off-pump CABGの長期アウトカム、on-pump CABGと有意差なし/NEJM

 off-pump冠動脈バイパス術(CABG)は、on-pumpCABGと比べて、1年後の臨床アウトカムについて有意差はないことが示された。冠動脈血行再建の再施行率についても、両群で有意差は示されなかった。カナダ・マックマスター大学のAndre Lamy氏らが、約4,800例について行った無作為化比較試験「CORONARY」の結果、報告したもので、NEJM誌2013年3月11日号で発表した。CORONARYの結果についてはすでに、30日後の臨床アウトカムについて両群で有意差がないことは発表されていた。19ヵ国、79ヵ所の医療機関で約4,800例を無作為化 研究グループは、2006~2011年にかけて、19ヵ国、79ヵ所の医療機関を通じて、冠動脈疾患患者でCABGが予定されていた4,752例について試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方の群にはoff-pump CABGを、もう一方の群にはon-pump CABGを行うよう割り付けた。 主要複合エンドポイントは、死亡・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中・透析を要する新たな非致死的腎不全の発生率で、無作為化後30日時点、1年後に評価した。また、生活の質(QOL)と認知機能について、退院時、30日時点、1年後に評価した。1年後の臨床エンドポイント発生率、認知機能、生活の質はいずれも有意差なし結果、1年後の主要複合エンドポイント発生率について両群で有意差はなく、off-pump群が12.1%で、on-pump群が13.3%だった(off-pump群のon-pump群に対するハザード比:0.91、95%信頼区間:0.77~1.07、p=0.24)。 31日から1年後までの主要複合エンドポイント発生率についても、両群で同等だった(同ハザード比:0.79、同:0.55~1.13、p=0.19)。 また、冠動脈血行再建の再施行率についてもoff-pump群1.4%に対し、on-pump群0.8%であり、両群で有意差はなかった(同ハザード比:1.66、同:0.95~2.89、p=0.07)。 1年後の認知機能、生活の質についても、両群で有意差はなかった。

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