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検索結果 合計:4227件 表示位置:3921 - 3940

3921.

米国高齢リウマチ患者、DMARDs服用率は63%

米国の公的高齢者向け医療保険メディケアのマネジドケア・プラン加入者で、抗リウマチ薬DMARDsを服用しているのは、リウマチの診断を受けた人の63%であることが明らかにされた。服用率は、性別や人種、社会経済的状況、加入する保険プランによって異なることも明らかにされた。これまでに発表されたDMARDs服用率に関するデータは、社会経済状況が低い層や、単一の保険プラン加入者のみに関するもので、服用率は30~52%程度と報告されていた。米国スタンフォード大学のGabriela Schmajuk氏らは、リウマチ患者全体の実態を把握すべく、2005年に導入され、米国医療保険プランのほとんどが加入し、治療やサービスの質評価の指標として活用する「Healthcare Effectiveness Data and Information Set(HEDIS)」のデータを用いて分析を行い、JAMA誌2011年2月2日号で発表した。DMARDs服用率は年々増加の傾向、85歳以上は65~69歳より30ポイント低い研究グループは、65歳以上のメディケア・マネジドケアプラン加入者で、2005~2008年に関節リウマチの診断を2回以上受けた、9万3,143人について調査を行った。被験者の平均年齢は74歳で、うち75%が女性、82%が白人だった。DMARDs服用率は、2005年の59%から、2008年には67%に増加していた(傾向p<0.001)。全体(2005~2008年)では、DMARDs服用率は63%だった。服用率は年齢により差がみられ、高齢になるほど服用率は減少した。85歳以上では、65~69歳の人に比べ、補正後-30ポイント(95%信頼区間:-29~-32)だった(p<0.001)。男性は3ポイント、低所得者は6ポイント低いまた、男性は女性よりも服用率が-3ポイント(同:-5~-2、p<0.001)、黒人は白人よりも-4ポイント(同:-6~-2、p<0.001)、低所得者は非低所得者よりも-6ポイント(同:-8~-5、p<0.001)、郵便番号を基準にした社会経済状況(5段階に分類)が低層の人は高層の人よりも-4ポイント(同:-6~2、p<0.001)、また加入保険プランが営利の入は非営利の人よりも-4ポイント(同:-7~0、p<0.001)それぞれ低かった。地理的傾向では、太平洋沿岸地域と比べて大西洋中部沿岸地域が-7ポイント(同:-13~-2、p<0.001)、大西洋南部沿岸地域が-11ポイント(同:-20~-3、p<0.001)と低かった。被験者が加入する保険プラン(245プラン)別に分析した結果では、服用率が16~87%と大きなばらつきが認められた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

3922.

急性中耳炎児へのアモキシシリン-クラブラン酸治療は有効か―その1

2歳未満の急性中耳炎について、即時に抗菌薬治療を行うべきか、それとも経過観察をすべきか、国によって勧告は異なっている。米国ピッツバーク大学小児科部門のAlejandro Hoberman氏らは、無作為化プラセボ対照試験の結果、生後6~23ヵ月の2歳未満の急性中耳炎に対する抗菌薬アモキシシリン-クラブラン酸(商品名:オーグメンチン)の10日間投与は、症状消失期間の短縮など短期的ベネフィットをもたらすと報告した。NEJM誌2011年1月13日号掲載より。7日間の症状スコア、アモキシシリン-クラブラン酸投与群の方が低い試験は、発症48時間以内で両親によるAOM-SOS(Acute Otitis Media Severity of Symptoms)スコア評価が3以上、中耳滲出液が認められ、中等度、鼓膜隆起、耳痛を伴う腫脹があるなど厳密な診断基準で急性中耳炎と診断された生後6~23ヵ月児291例を無作為に、10日間アモキシシリン-クラブラン酸を投与される群(144例)もしくはプラセボ投与群(147例)に割り付け、症状についての反応と臨床的失敗率を評価した。結果、初期症状の消失は、アモキシシリン-クラブラン酸投与群の小児については、投与2日で35%に、4日までに61%、7日までに80%に認められた。一方プラセボ投与群では、初期症状の消失は2日で28%、4日で54%、7日で74%に認められるという結果であった(全体の比較のP=0.14)。症状の持続的な消失も同様の傾向が認められた。アモキシシリン-クラブラン酸投与群の小児については、投与2日で20%に、4日までに41%、7日までに67%に認められる一方、プラセボ投与群では、同14%、36%、53%であった(全体の比較のP=0.04)。治療7日間の症状スコアの平均値は、プラセボ群よりもアモキシシリン-クラブラン酸投与群の方が低かった(P=0.02)。厳密な基準で診断された患児への短期的ベネフィットは大きい臨床的な失敗(耳鏡検査で急性感染症の徴候の持続していることを確認)率も、プラセボ群と比べてアモキシシリン-クラブラン酸投与群の方が低かった。具体的には、4~5日もしくはそれ以前の受診時の失敗率は4%対23%(P<0.001)、10~12日もしくはそれ以前の受診時の失敗率は16%対51%(P<0.001)であった。有害事象については、乳様突起炎がプラセボ群で1例認められた。また、アモキシシリン-クラブラン酸投与群の方が、下痢、おむつ皮膚炎が多くみられた。鼻咽頭の非感受性肺炎球菌Streptococcus pneumoniaeの保菌率については、両群とも有意な変化は認められなかった。これら結果を受けてHoberman氏は、「重症度に関係なく、アモキシシリン-クラブラン酸の10日間投与は、相当な短期的ベネフィットをもたらす」と結論。その上で、「このベネフィットについては、有害事象だけでなく耐性菌出現のことも重視し、治療は厳密な基準で診断された患児に限定して行うことが強調される」とまとめている。(武藤まき:医療ライター)

3923.

軽症慢性収縮性心不全へのエプレレノン追加投与、死亡・入院リスクを約4割低減

軽症の慢性収縮性心不全患者に対し、エプレレノン(本邦では「セララ錠」として高血圧症のみ適応)を従来の治療に加え投与すると、心血管系疾患死または心不全による入院リスクが4割近く低減することが、無作為化プラセボ対照二重盲検試験「EMPHASIS-HF」試験グループにより示された。これまで、重症の慢性収縮性心不全や心筋梗塞後の心不全患者への追加投与については、同リスクが低減することは明らかになっていた。NEJM誌2011年1月6日号(オンライン版2010年11月14日号)掲載より。NYHA心機能分類II、駆出率35%以下の2,737例を無作為化し追跡EMPHASIS-HF(Eplerenone in Mild Patients Hospitalization and Survival Study in Heart Failure)試験は、NYHA心機能分類クラスIIで、駆出率35%以下の2,737例を対象に行われた。被験者を無作為に二群に分け、従来の推奨治療に加えて、一方にはエプレレノン(1日最大50mg)を、もう一方にはプラセボを投与した。主要転帰は、心血管系疾患死と心不全による入院の複合イベントとした。被験者の平均年齢は、エプレレノンが68.7歳、プラセボ群が68.6歳、女性はそれぞれ22.7%と21.9%、左室駆出率はそれぞれ平均26.2%と26.1%だった。主要転帰はエプレレノン群で0.63倍、死亡は0.76倍本試験は、あらかじめ設定した基準に達したため当初予定よりも早期に終了となり、追跡期間中央値21ヵ月の時点で試験中止となった。同期間中、主要転帰の発生率は、プラセボ群が25.9%に対し、エプレレノン群が18.3%だった(ハザード比:0.63、95%信頼区間:0.54~0.74、p<0.001)。死亡は、プラセボ群の15.5%に対し、エプレレノン群は12.5%だった(ハザード比:0.76、同:0.62~0.93、p=0.008)。また心血管系疾患死も、プラセボ群が13.5%に対し、エプレレノン群が10.8%だった(ハザード比:0.76、同:0.61~0.94、p=0.01)。心不全または原因を問わない入院の割合も、エプレレノン群で有意に低率だった。安全性に関して、血清カリウム値が5.5mmol/Lを超えていたのは、エプレレノン群が11.8%、プラセボ群は7.2%であった(p<0.001)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

3924.

足でお酒が飲めるというデンマークの都市伝説は……

デンマークには、「ウォッカに足を沈めることで酔っぱらうことができる」という都市伝説があるという。デンマーク・Hillerod病院循環器・内分泌科のChristian Stevns Hansen氏らは、その伝説を検証するオープンラベルの実証試験「Peace On Earth」を行った。結果、伝説は伝説でしかなかったが、あくまでウォッカに沈めた場合に限った話で、もっと強いお酒やジュースとお酒とを飲んだ場合はわからないため、新たな楽しみ(たとえば眼球飲酒)も浮かび上がったと結論している。本論は、BMJ誌年末恒例のクリスマス特集論文の1本で、2010年12月18日号(オンライン版2010年12月14日号)に掲載された。ウォッカ3本に3時間、足を漬けてみたが酩酊状態にはならずPeace On Earth(Percutaneous Ethanol Absorption Could Evoke Ongoing Nationwide Euphoria And Random Tender Hugs)は、平均年齢32歳(範囲:31~35歳)の、慢性皮膚疾患や肝疾患を有しておらず、アルコールや向精神薬に非依存の3人の病院職員を対象に行われた。主要エンドポイントは、血漿エタノール濃度[検出限界:2.2mmol/L(10mg/100mL)]で、700mLのウォッカ3本で満たされた皿洗い容器に、足を3時間浸漬している間、30分ごとに測定をした。副次エンドポイントは、自己評価による酩酊状態(自信過剰になる、衝動的言動がみられる、突発的に抱きつきたくなる)で、0~10スコアで記録された。結果、実験(足を浸漬している)の間に、血漿エタノール値が検出限界を超えることはなかった。試験開始時よりも自信過剰で、衝動的言動がみられたが、それらはset upによるものと思われ、酩酊状態の有意な変化は認められなかった。Hansen氏は、「アルコールの経皮摂取は、足をウォッカに漬けることでは不可能だった」と結論。「しかし依然として、胃腸管壁以外でのアルコール摂取に関する疑問は残ったままで研究結果が待たれる」とまとめている。

3925.

高齢急性骨髄性白血病に対する強化寛解導入化学療法の予後を予測するスコア法

高齢の急性骨髄性白血病(AML)患者に対する強化寛解導入療法による完全寛解(CR)の可能性および早期死亡(ED)のリスクの予測に有用なスコア法が、ドイツ・ミュンスター大学血液腫瘍科のUtz Krug氏らGerman Acute Myeloid Leukaemia Cooperative Group and the Study Alliance Leukemia Investigatorsによって開発された。60歳以上のAMLのうちAML以外は健康な状態(すなわち強化寛解導入療法が施行可能な病態)の患者の約半数は強化化学療法によってCRが達成されるが、若年の患者に比べEDのリスクが高いという。Lancet誌2010年12月11日号(オンライン版2010年12月4日号)掲載の報告。AMLCG1999およびAML1996のデータを別個に解析研究グループは、60歳以上のAML患者において標準的な臨床因子および検査値とCR、EDの関連を検証し、強化化学療法のリスクを評価するウェブベースのアプリケーションを開発するための検討を行った。German Acute Myeloid Leukaemia Cooperative Group 1999 study(AMLCG1999)に登録された60歳以上の、AML以外は健常な患者1,406例について、細胞遺伝学的および分子的リスクプロフィール情報の有無別のリスクスコア法を開発するために、多変量回帰分析を用いた解析を行った。これらの患者は、以下の二つのレジメンのいずれかによる強化寛解導入療法を2コース施行された。(1)tioguanine+標準用量シタラビン(商品名:キロサイド)+ダウノルビシン(同:ダウノマイシン)併用療法→高用量シタラビン+ミトキサントロン(商品名:ノバントロン)併用療法、(2)高用量シタラビン+ミトキサントロン併用療法。AMLCG1999に基づくリスク予測の妥当性は、Acute Myeloid Leukaemia 1996 study(AML1996)で、シタラビン+ダウノルビシン併用療法を2コース施行された60歳以上のAML患者801例において別個に検証された。治療法の決定が困難な場合の医師支援に有用CRあるいはEDと有意な相関を示す因子として、体温、年齢、骨髄異形成症候群(MDS)を経ずに発症した白血病(de-novo leukaemia)か抗がん剤治療あるいは先行する血液疾患に起因する二次性の白血病か、ヘモグロビン、血小板数、フィブリノーゲン、血清乳酸脱水素酵素濃度が確認された。CRの確率は、細胞遺伝学的および分子的リスクがある場合(スコア1)は12~91%、ない場合(スコア2)は21~80%であった。EDリスクの予測値はスコア1の場合は6~69%、スコア2の場合は7~63%であった。リスクスコアの予測能は個々の患者コホートにおいて確定された(CRスコア1:10~91%、CRスコア2:16~80%、EDスコア1:6~69%、EDスコア2:7~61%)。著者は、「AMLスコアは、AML以外は健常な高齢患者に対して強化寛解導入療法を施行した場合のCRおよびEDの確率の予測に使用可能である」と結論し、「これらの情報は、治療法の決定が困難な場合の医師の支援に有用と考えられる」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

3926.

週6回の血液透析、週3回と比べて良好な転帰と関連

週6回の血液透析は、週3回の同実施と比べて、転帰が良好であることが、北米のFrequent Hemodialysis Network(FHN)の試験グループが行った多施設共同前向き無作為化試験の結果、示された。透析が必要な患者は米国では約40万人おり、90%が血液透析を一般に週3回受けているという。試験グループは、透析技術開発から40年以上が経つが、技術改善や新薬開発にもかかわらず死亡率は高く(約18~20%/年)、生命を維持することはできるが健康が回復することはまれで、合併症が多く、身体的機能や健康関連QOLが低いままなこと、また至適な実施回数について明らかにはなっていないことを受けて、血液透析の頻度と転帰について検討した。NEJM誌2010年12月9日号(オンライン版2010年11月20日号)掲載より。多施設共同で245例を12ヵ月間、週6回群と週3回群に無作為化試験は、北米にある65の透析施設(うち11は大学付属)で、被験者245例を12ヵ月間にわたり、週6回血液透析を受ける群(頻回透析群、125例)か週3回血液透析を受ける群(従来透析群、120例)に無作為に割り付け行われた。主要転帰は、死亡または左室体積の変化(MRI評価によるベースラインから12ヵ月までの変化)と、死亡または身体的健康ヘルススコア(RAND-36項目健康調査による)の変化の、二つの複合転帰が設定された。副次転帰には、認知機能、自己申告によるうつ症状、栄養・ミネラル代謝・貧血に関する検査マーカー、血圧、バスキュラーアクセスに関する入院および介入の割合などが含まれた。二つの主要複合転帰に有意なベネフィット認められる頻回透析群の透析治療は平均週5.2回で、1週間の標準Kt/Vurea量(尿素クリアランス×透析時間を尿素分布容積で標準化)は、頻回透析群が3.54±0.56、従来透析群が2.49±0.27で、頻回透析群が有意に高かった(P<0.001)。二つの主要複合転帰に関して、いずれも頻回透析群の有意なベネフィットが認められた。死亡または左室体積増加のハザード比は0.61(95%信頼区間:0.46~0.82、P<0.001)、死亡または身体的健康ヘルススコア低下の同値は0.70(同:0.53~0.92、P=0.007)だった。また頻回透析群の方が、バスキュラーアクセスに関する介入頻度が高い傾向が認められた(ハザード比:1.71、95%信頼区間:1.08~2.73)。頻回透析群は、高血圧、高リン血症のコントロール改善との関連も認められた。しかし認知機能、自己申告によるうつ症状、血清アルブミン濃度、赤血球造血刺激因子製剤使用との関連については、頻回透析の有意な影響は認められなかった。試験グループは、「頻回透析は、死亡または左室体積の変化、死亡または身体的健康ヘルススコアの変化という二つの主要複合転帰については良好な結果と関連していた。ただし、バスキュラーアクセス関連の介入頻度も高めていた」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

3927.

スタチンの肝機能異常の改善効果が明らかに:GREACE試験事後解析

スタチン治療は、軽度~中等度の肝機能異常患者に対して安全に施行可能で、検査値を改善し心血管疾患罹患率を低下させることが、ギリシャのテッサロニキ・アリストテレス大学Hippokration病院のVasilios G Athyros氏らによるGREACE試験の事後解析で明らかとなった。非アルコール性脂肪肝によると考えられる肝機能異常は、欧米人や日本人の約33%にみられると推定され、スタチンはこのような患者の肝機能や心血管イベントの改善に有効な可能性が示唆されている。Lancet誌2010年12月4日号(オンライン版2010年11月24日号)掲載の報告。スタチン治療例と非治療例で初回再発リスクの低下効果を評価研究グループは、肝機能検査異常患者に対するスタチン治療の安全性と有効性の評価を目的に、Greek Atorvastatin and Coronary Heart Disease Evaluation(GREACE)試験の事後解析を行った。GREACE試験は、75歳未満、LDLコレステロール>2.6mmol/L、トリグリセリド<4.5mmol/Lの冠動脈心疾患患者1,600例を対象に、テッサロニキ・アリストテレス大学ヒポクラテス病院で実施されたスタチン治療と通常治療(スタチンを含む場合あり)を比較するプロスペクティブな無作為化試験であった。今回の事後解析の主要評価項目は、肝機能異常患者のうちスタチン治療を受けなかった症例に対する、中等度の肝機能異常(血清ALT値、AST値が正常上限値の3倍未満までと定義)を有し、スタチン治療を受けた患者の初回再発心血管イベントのリスク低下効果とした。このリスク低下は、スタチン治療例と非治療例における肝機能正常例の割合で評価した。スタチン治療により心血管イベントの相対リスクが68%低下ベースラインにおいて非アルコール性脂肪肝によると考えられる中等度の肝機能異常を呈した患者437例のうち、スタチン治療(主にアトルバスタチン〈商品名:リピトール〉24mg/日)を受けた群(227例)は検査値が改善した(p<0.0001)のに対し、スタチン治療を受けなかった群(210例)はALT値/AST値がさらに上昇した。心血管イベントは、スタチン治療群の10%(22/227例)で発生(3.2イベント/100人・年)したのに対し、非スタチン治療群では30%(63/210例)に認められ(10.0イベント/100人・年)、スタチン治療による相対リスク低下率は68%であった(p<0.0001)。この肝機能異常患者における心血管疾患に関するベネフィットは、肝機能が正常な患者に比べて大きかった(p=0.0074)。肝機能正常者の心血管イベント発生率は、スタチン治療群14%(90/653例、4.6イベント/100人・年)に対し、非スタチン治療群23%(117/510例、7.6イベント/100人・年)、相対リスク低下率は39%であった(p<0.0001)。スタチン治療群(880例)のうち、肝臓関連の有害事象で治療を中止したのは7例(<1%)であった。著者は、「非アルコール性脂肪肝によると考えられる軽度~中等度の肝機能異常患者に対するスタチン治療は安全に施行可能であり、検査値を改善し心血管疾患罹患率を低下させる」と結論している。(菅野守:医学ライター)

3928.

減量達成後は、タンパク質多め、GI指数低めの食事が体重減少を維持

減量達成後の体重減少維持には、タンパク質が多め、グリセミック指数(GI)は低めの食事が、長続きする食事療法であり体重減少維持に結びつくことが、ヨーロッパ8ヵ国で行われた無作為化試験「Diogenes(Diet, Obesity, and Genes)」の結果、明らかになった。スクリーニングを受けた平均年齢41歳、平均BMI値34の1,209例のうち、938例に対しまず8週間の低エネルギー食(800kcal/日)介入が行われ、基線体重より8%以上の体重減少に達した773例を、5つの食事療法群に無作為化し26週間にわたり比較検討した結果による。NEJM誌2010年11月25日号掲載より。5つの食事療法群に無作為化し、いずれが長続きし体重減少を維持するかを検討本試験は、体重減少後のリバウンドおよび肥満関連リスクを抑制するために有効な食事療法を、タンパク質量およびGI値に着目して評価することを目的とした。評価された5つの食事療法群は、(1)低タンパク(総エネルギーの13%)・低GI食群、(2)低タンパク・高GI食群、(3)高タンパク(総エネルギーの25%)・低GI食群、(4)高タンパク・高GI食群、(5)対照群(各国食事療法ガイドラインに準じ中タンパクで、GI値は不問)であった。群間の摂取タンパク質量の高低差は12%を、GI値の高低差は15単位を目標とされた。食欲と体重管理能力を調べるため、総エネルギー量に制限は設けられなかったが、5群とも脂肪摂取は中等度(総エネルギーの25~30%)となるよう調整された。目標摂取量が達成できるよう、家族に対するレシピ提供、調理法や行動のアドバイスが行われ、参加国のうち2ヵ国では栄養量が調整済みの食品が無料で配布された。被験者は、体重減少維持試験当初6週間は隔週で、その後は1ヵ月に1回、食事カウンセリングを受けた。また維持試験介入前3日間、4週後、26週後に食事量を量り記録することが求められた。低タンパク・高GI食群のみリバウンドが有意に維持試験を完了したのは548例(71%)だった。試験脱落者が少なかったのは、高タンパク食群26.4%、低GI食群25.6%だった(低タンパク・高GI食群37.4%との比較で、それぞれP=0.02、P=0.01)。最初に行われた8週間の低エネルギー食(800kcal/日)介入時の体重減少は、平均11.0kgだった。その後の維持試験完了者548例について解析した結果、低タンパク・高GI食群のみ有意なリバウンドが認められた(1.67kg、95%信頼区間:0.48~2.87)。維持試験被験者(773例)のintention-to-treat解析の結果、体重再増加は、高タンパク食群の方が低タンパク食群よりも0.93kg(95%信頼区間:0.31~1.55)少なく、また、低GI食群の方が高GI食群よりも0.95kg(同:0.33~1.57)少なかった(いずれもP=0.003)。試験完了者の解析結果も同様だった。食事療法に関する有害事象は群間に有意な違いは認められなかった。なお栄養摂取量について、高タンパク食群の方が低タンパク食群と比べて、タンパク質量が5.4%多く、炭水化物量は7.1%低かった(両群間比較のP

3929.

腱症に対する注射療法のエビデンス

腱症に対するコルチコステロイド注射は、短期的には有効だが、中長期的には非コルチコステロイド注射のベネフィットが優る可能性があることが、オーストラリア・クイーンズランド大学のBrooke K Coombes氏らが行った系統的なレビューで示された。現在、エビデンスに基づく腱症の治療ガイドラインはほとんどないという。腱症は、angiofibroblastic hyperplasia(細胞過形成、血管新生、蛋白合成増進、基質破壊などがみられる)を特徴とし、炎症性疾患ではないためコルチコステロイド注射には疑問の声もあり、ラウロマクロゴール(一般名:ポリドカノール)、多血小板血漿、ボツリヌス毒素、プロテイナーゼなどの注射療法の施行機会が増えているという。Lancet誌2010年11月20日号(オンライン版2010年10月22日号)掲載の報告。腱周囲注射とプラセボ、非手術的介入の無作為化試験を解析研究グループは、腱症に対する注射療法の臨床効果および有害事象リスクの評価を目的に系統的なレビューを行った。8つのデータベースを、言語、発表の形態や時期を制限せずに検索し、腱症に対する腱周囲注射とプラセボあるいは非手術的介入の効果を比較した無作為化対照比較試験を抽出した。メタ解析にはランダム効果モデルを用い、相対リスクおよび標準化平均値差(standardised mean difference:SMD)を推算した。臨床効果に関する主要評価項目は、プロトコルで規定した疼痛スコアとし、短期(4週、範囲:0~12週)、中期(26週、同:13~26週)、長期(52週、同:52週以上)に分けて解析した。コルチコステロイド注射は短期的には有効同定された3,824試験のうち、適格基準を満たした41試験に登録された2,672例のデータが解析の対象となった。多くの質の高い無作為化試験では、コルチコステロイド注射の短期的な疼痛改善効果が他の介入法に比べ優れるとの一致した知見が示されたが、この効果は中期、長期には逆転した。たとえば、外側上顆痛の治療に関するプール解析では、コルチコステロイド注射は短期的には非介入群に比べ疼痛の抑制において大きな効果(SMD>0.8と定義)が認められた(SMD:1.44、95%信頼区間:1.17~1.71、p<0.0001)が、中期(同:-0.40、-0.67~-0.14、p<0.003)、長期(同:-0.31、-0.61~-0.01、p=0.05)には非介入群の方が効果は有意に大きかった。回旋腱板障害に対するコルチコステロイド注射の短期的な効果は、明確ではなかった。有害事象の報告のある試験においてコルチコステロイド注射を受けた991例のうち、重篤な有害事象(腱断裂)がみられたのは1例(0.1%)のみであった。外側上顆痛の治療のプラセボ対照比較試験では、ヒアルロン酸ナトリウム注入が短期(SMD:3.91、95%信頼区間:3.54~4.28、p<0.0001)、中期(同:2.89、2.58~3.20、p<0.0001)、長期(同:3.91、3.55~4.28、p<0.0001)に有効で、ボツリヌス毒素注入は短期(同:1.23、同:0.67~1.78、p<0.0001)に有効、prolotherapyは中期(同:2.62、1.36~3.88、p<0.0001)に有効であった。アキレス腱症の治療では、ラウロマクロゴール、アプロチニン、多血小板血漿はプラセボに比べ有効ではなかったのに対し、prolotherapyは伸張性運動よりも有効ではなかった。著者は、「外側上顆痛の治療では、短期的にはコルチコステロイド注射は有効だが、中長期的には非コルチコステロイド注射のベネフィットが優る可能性がある」と結論し、「しかし、腱症は部位によって効果にばらつきがみられるため、注射療法の効果を一般化すべきではない」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

3930.

心筋血流イメージングを受けた人の約3割が複数放射線検査で累積線量は100mSv超

心筋血流イメージング(MPI)を受けた患者1,000人超について調べたところ、累積的に受けている放射線検査回数の中央値が15回に上ることが明らかになった。そのうち4回は高線量の検査であったという。米国コロンビア大学医療センター循環器部門のAndrew J. Einstein氏らが報告したもので、JAMA誌2010年11月17日号(オンライン版2010年11月15日号)で発表した。MPIは1回の放射線量が最も高い検査である。これまでの調査で、米国民の多くがMPIなど放射線検査を繰り返し受けていることは明らかになっているが、その実態については明らかになっていなかった。放射線検査の中央値は15回、うち4回が高線量研究グループは、2006年1月1日~4月10日の間に、ニューヨークにあるコロンビア大学医療センターでMPIを受けた患者1,097人について、後ろ向きコホート試験を行った。被験者が1988年10月~2008年6月までに同センターで受けた、電離放射線イメージング検査について調査を行った。その結果、被験者の受けた放射線検査回数の中央値は15回(四分位範囲:6~32、平均23.9)だった。そのうち、1年間で3mSv以上といった高線量の検査回数の中央値は4回(同:2~8、平均6.5)であり、MPI検査の回数の中央値は1回(同:1~2、平均1.8)だった。すべての医学的検査を合わせた累積推計100mSvを超える放射線量を受けていたのは、344人(31.4%)に上った。複数回MPIを受けた人の累積推計放射線量は121mSv複数回MPI検査を受けていたのは全体の38.6%にあたる424人で、その累積推計放射線量は121mSv(同:81~189、平均149mSv)だった。また被験者の中でも、男性、白人が、累積推計放射線量の値が多い傾向が認められた。さらに、初回MPI検査を受けた人の80%またはMPI検査を2回以上受けた人の90%が、すでに血管系の疾患の診断を受けていたり、その症状が認められる人だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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心筋梗塞既往例に対する強化LDL-C低下療法の有効性と安全性:約1万2,000例の解析

心筋梗塞の既往歴を有する患者に対する高用量スタチンによる強化LDLコレステロール(LDL-C)低下療法は、通常用量に比べLDL-Cを低下させ、重篤な血管イベントも抑制することが、Study of the Effectiveness of Additional Reductions in Cholesterol and Homocysteine (SEARCH)共同研究グループが行った無作為化試験で示された。スタチン療法の大規模な無作為化対照比較試験では、LDL-C値が平均未満の患者でもLDL-C低下療法による閉塞性血管イベントのリスク低下がみられ、リスクの低下度はLDL-C低下の程度と相関することが示されている。この知見から、LDL-C低下療法をより強化すれば、さらに大きなベネフィットがもたらされることが示唆されていた。Lancet誌2010年11月13日号(オンライン版2010年11月9日号)掲載の報告。心筋梗塞既往例約1万2,000例で、スタチン高用量群と通常用量群を比較SEARCH共同研究グループは、心血管リスクが高い患者における強化スタチン療法の有効性と安全性の確立を目的に、二重盲検無作為化試験を実施した。対象は、心筋梗塞の既往歴のある18~80歳の患者1万2,064例で、スタチン療法を受けているか、その適応が明らかである症例であった。すでにスタチン療法を受けている場合は総コレステロール値が少なくとも3.5mmol/Lとなるように、受けていない場合は4.5mmol/Lとなるよう治療が行われた。患者は、シンバスタチン(商品名:リポバスなど)80mg/日あるいは20mg/日を投与する群に無作為に割り付けられ、フォローアップ期間が終了するまで2、4、8、12ヵ月後、その後は6ヵ月ごとに検査が行われた。主要評価項目は、重篤な血管イベント(冠動脈死、心筋梗塞、脳卒中、動脈血行再建術)とし、intention-to-treat解析を行った。ミオパチーが増加したものの、安全に施行可能高用量(80mg/日)群に6,031例が、通常用量(20mg/日)群には6,033例が割り付けられた。平均フォローアップ期間6.7(SD 1.5)年の間に、通常用量群に比べ高用量群でLDL-C値が平均0.35(SE 0.01)mmol/L低下した。重篤な血管イベントの発現率は、高用量群が24.5%(1,477/6,031例)、通常用量群は25.7%(1,553/6,033例)と、高用量群で6%低下したが有意な差は認めなかった(リスク比:0.94、95%信頼区間:0.88~1.01、p=0.10)。出血性脳卒中(高用量群 vs, 通常用量群:0.4% vs. 0.4%)、血管死(9.4% vs. 9.5%)、非血管死(6.6% vs. 6.6%)の発現率には明らかな差を認めなかった。ミオパチーは、通常用量群では2例(0.03%)にみられたのに対し、高用量群では53例(0.9%)で発現した。著者は、「通常用量群に比べ高用量群でLDL-Cが0.35mmol/L低下し、重篤な血管イベントが6%抑制されたが、これは既報の知見と一致する。ミオパチーが増加したものの、強化LDL-C低下療法は他の薬物療法と安全に併用可能と考えられる」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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冠動脈疾患に対するクロピドグレルのオメプラゾール投与の有無による効果

抗血小板療法としてアスピリン+クロピドグレル(商品名:プラビックス)を受けている患者への、プロトンポンプ阻害薬(PPI)であるオメプラゾール(商品名:オメプラール、オメプラゾンほか)投与は、上部消化管出血を減らすことが明らかにされた。米国ボストン退役軍人ヘルスケアシステムのDeepak L. Bhatt氏らCOGENT研究グループによる。抗血小板療法を受けている患者の消化管合併症は重大な問題となっている。PPIがそのようなリスクを減じるのではないかとされていたが、これまで無作為化試験は行われていなかった。またクロピドグレルを用いた抗血小板併用療法を受けている患者へのPPI投与については、クロピドグレルの効果を減弱するのではないかとの懸念もあり、本試験ではその点の検討も行われた。NEJM誌2010年11月11日号(オンライン版2010年10月6日号)掲載より。抗血小板薬2剤併用療法が適応となる患者にPPIもしくはプラセボを投与し追跡COGENT(Clopidogrel and the Optimization of Gastrointestinal Events Trial)研究は、国際無作為化二重盲検ダブルダミープラセボ対照試験として、2008年1月に15ヵ国393施設で登録が開始された。抗血小板薬2剤併用療法が適応となる患者を、クロピドグレル+アスピリンに加えて、オメプラゾールを投与する群と、プラセボを投与する群に無作為に割り付け追跡した。消化器症状に関する主要エンドポイントは、出血(顕性・不顕性含む)、症候性十二指腸潰瘍、びらん、閉塞、穿孔の複合とした。心血管系に関するエンドポイントは、心血管系の原因により死亡、非致死的心筋梗塞、血行再建、脳卒中の複合とした。試験は、被験者登録5,000人を目指して開始されたが、スポンサーによる資金調達が不可能となり早期に終了された。結果、3,873例が無作為化され、3,761例が解析された。クロピドグレルの効果は減弱しない?被験者のうち、消化管イベントを発症したのは51例だった。180日時点での発症率は、オメプラゾール投与群は1.1%、プラセボ投与群は2.9%で、オメプラゾールのハザード比は0.34(95%信頼区間:0.18~0.63、P<0.001)だった。上部消化管出血の発症も、オメプラゾール群の方が低下し、ハザード比は0.13(同:0.03~0.56、P=0.001)だった。心血管イベントは109例で発生した。オメプラゾール群は4.9%、プラセボ群は5.7%で、ハザード比0.99(同:0.68~1.44、P=0.96)、サブグループのハイリスク群でも有意な不均一性は認められなかった。重大な有害事象発生率について両群間に有意な差異は認められなかった。ただし、オメプラゾール群で、下痢のリスク増加が認められた。試験の結果を受け研究グループは、アスピリンとクロピドグレル投与を受けている患者への予防的なPPI投与は、上部消化管出血の割合を減じると結論。またクロピドグレルとオメプラゾールに心血管系の相互作用は認められなかったが、「しかし、PPI使用で心血管イベントに臨床的に意義ある差異が生じることをルールアウトする結論には至らなかった」とまとめている。(武藤まき:医療ライター)

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2015年へのカウントダウンに向け、妊婦、子どもの健康関連ODAは改善されたか?

2003~2008年の6年間で、開発途上国への妊婦、新生児、子どもの健康に関する政府開発援助(ODA)の供与額は増加したが、他の健康領域を含む総額も増加したため相対的に優先度には変化がないことが、イギリス・ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院のCatherine Pitt氏らの調査で明らかとなった。効果的な介入を広範に行ってミレニアム開発目標(MDG)4(2015年までに5歳未満児の死亡率を1990年の水準の3分の1に削減する)およびMDG5A(2015年までに妊産婦の死亡率を1990年の水準の4分の1に削減する)を達成するには十分な資金が必要だが、2015年へのカウントダウンに向けた支援の優先国68ヵ国の多くがODAに依存しているのが現状だという。Lancet誌2010年10月30日号(オンライン版2010年9月17日号)掲載の報告。ニーズが最も高い被援助国に対して供与すべきODAを調査研究グループは、2007年と2008年の妊婦、新生児、子どもの健康に対する援助の流れ、および以前に実施された2003~2006年の予測の達成度を解析した。研究グループが開発したODAの追跡法を用いて、2007年と2008年の経済協力開発機構(OECD)の援助活動の完全データベースを手作業でコード化して解析を行った。援助供与額および推定人口の新たなデータを用いて、2003~2006年のデータを改訂。妊婦および子どもの健康に関するニーズが最も高い被援助国に対して、援助国はどの程度のODA供与の対象とすべきかを解析し、2003~2008年の6年間の傾向を調査した。2007、2008年の妊婦、子どもの健康関連OADの70%以上が優先国へ全開発途上国における妊婦、新生児、子どもの健康関連の活動への支援として、2007年に47億米ドル、2008年には54億米ドルが供与されていた(2008年の不変ドル換算)。これらの総額は2003年から2008年までに105%増加したが、健康関連ODAの総額も同じく105%増加したため相対的には不変であった。2015年へのカウントダウンの優先国は、2007年に34億米ドル、2008年には41億米ドルを受け取っており、これは妊婦、新生児、子どもの健康に対する全供与額のそれぞれ71.6%、75.6%に相当するものだった。妊婦および子どもの死亡率が高い国へのODAは6年間で改善されていたが、この期間を通じて、死亡率がより低く所得が高い国に比べ一人当たりのODAがはるかに低い国もあった。2003~2008年のワクチン予防接種世界同盟(GAVI Alliance)の基金および世界エイズ・結核・マラリア対策基金(Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria)は、各国機関による中核的基金を上回っており、二国間共同基金も特にイギリスとアメリカによるものが著明に増加していた。著者は、「2003~2008年の妊婦、新生児、子どもの健康に対するODAの増加は歓迎すべきであり、より多くのニーズのある国へのODAの配分も多少改善している。にもかかわらず、これらの供与額の増加は他の健康分野に比べて優先順位が高くなったことを示すわけではない」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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重度敗血症は高齢者の自立を損なう

重度敗血症を発症し、回復した人は、その後中等度から重度の認知障害を発症するリスクが3倍超に増大することが報告された。また同発症後には、新たに現れる身体機能の制約数も増えるという。米国ミシガン大学医学校内科部門のTheodore J. Iwashyna氏らが、敗血症で入院した高齢者約1,200人について追跡し明らかにしたもので、JAMA誌2010年10月27日号で発表した。重度敗血症の罹患率は高く、また増加傾向にあるものの、その後の長期的な認知能力や身体機能に与える影響については、これまでほとんど調査されていなかった。重度敗血症後の中~重度認知障害リスク、3.34倍に同氏らは、1998~2006年に50歳以上の米国住民を抽出し行われた全米調査「HRS(Health and Retirement Study)」のうち、認知能力や身体機能などに関する情報の得られた9,223人のデータを元に、前向きコホート試験を行った。HRSコホートのうち、重度敗血症で入院した人は1,194人、入院件数は1,520件だった。そのうち、回復した人は516人(入院時の平均年齢は76.9歳)だった。一方、被験者のうち重度敗血症以外で入院した人は、4,517人だった。重度敗血症で入院した人は、中等度から重度の認知障害の罹患率が、発症前6.1%から発症後16.7%へと、10.6ポイント増加していた。多変量回帰分析の結果、重度敗血症は中等度から重度の認知障害リスクを、3.34倍(95%信頼区間:1.53~7.25)増大することがわかった。敗血症以外の入院では認知障害リスクは増大せず同様に身体機能の制約についても、重度敗血症後に新たな制約が高率にみられた。発症前に制約がみられなかった人において、発症後には新たな制約数が平均1.57(95%信頼区間:0.99~2.15)となっていた。また発症前に軽度から中等度の身体機能の制約がみられた人でも平均1.50(同:0.87~2.12)の新たな制約がみられた。一方で、敗血症以外の理由による入院と、中等度から重度の認知障害発症リスクとには関連がみられなかった(オッズ比:1.15、95%信頼区間:0.80~1.67、重度敗血症との差に関するp=0.01)。退院後に現れた身体機能の制約数は、敗血症による入院の場合に比べ少なく、平均値は発症前に制約がなかった人で0.48(p<0.001)、軽度から中等度の制約があった人で0.43(p=0.001)だった。また、認知能力や身体機能の低下は、最低8年間継続していた。著者は、「高齢者における重度敗血症は、新たな認知障害および身体機能障害を引き起こす独立した因子である。そのもたらす障害の影響は大きく、自立した生活能力を損なうことに結びついているようだ」と結論している。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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妊婦へのDHAサプリメント、産後うつや子どもの発達に効果みられず

妊婦に対し、ドコサヘキサエン酸(DHA)を含むサプリメントを投与しても、産後うつ病の改善や、子どもの認知・言語能力の発達には効果がみられないことが明らかにされた。オーストラリアWomen’s and Children’s Health Research InstituteのMaria Makrides氏らが、約2,400人の妊婦を対象に行った、無作為化二重盲検試験「DHA to Optimize Mother Infant Outcome」(DOMInO)の結果によるもので、JAMA誌2010年10月20日号で発表されている。産後6ヵ月までの母親のうつ状態と、生後18ヵ月の子どもの発育状態を評価研究グループは、2005年10月31日~2008年1月11日にかけて、オーストラリア国内5ヵ所の医療機関で、単体児妊娠21週未満の妊婦2,399人について試験を開始した。また、生まれた子ども726人についても、2009年12月16日まで追跡した。被験者妊婦は無作為に2群に分けられ、一方にはDHA 800mg/日を含む魚油サプリメントを、もう一方にはDHAを含まない野菜油カプセルを投与した。産後6週目と6ヵ月後に、エジンバラ産後うつ病評価スケール(EPDS)で、うつ状態を評価。生まれた子どもについては、ベイレイ乳幼児発達スケール(Bayley Scales of Infant and Toddler Development)で、生後18ヵ月に認知・言語能力を評価した。登録された妊婦は、96.7%が試験を完了した。産後のうつ病リスクや子どもの認知・言語能力スケールに、両群で有意差なし結果、産後6ヵ月にEPDSスコアが12超だった人の割合は、DHA群9.67%、対照群11.19%で、両群に有意差はみられなかった(相対リスク:0.85、95%信頼区間:0.70~1.02、p=0.09)。子どもの認知能力スケール総合スコアについても、両群間の補正後平均値格差は、0.01(95%信頼区間:-1.36~1.37、p=0.99)と有意差がなかった。言語能力スケール総合スコアの両群間の補正後平均値格差も、-1.42(同:-3.07~0.22、p=0.09)で有意差がなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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グルコサミンとコンドロイチンは単独・併用でも関節痛への効果はない

グルコサミン、コンドロイチンのサプリメントを単独または併用服用しても、股関節痛や膝関節痛を和らげることはなく、関節腔狭小化への影響もないことが、スイスのベルン大学社会・予防医療研究所のSimon Wandel氏らが行ったネットワーク・メタ解析の結果、明らかにされた。Wandel氏は、「保健衛生を担う当局および健康保健事業者は、これらの製剤コストをカバーすべきではない。そしてまだ投与を受けていない患者への新たな処方を阻止しなければならない」と提言している。BMJ誌2010年10月2日号(オンライン版2010年9月16日号)掲載より。プラセボとの比較で、グルコサミン、コンドロイチン単独・併用の関節痛への効果を判定Wandel氏らは、関節痛とX線診断で股関節炎や膝関節炎の病勢進行が認められた症例に対し、グルコサミン、コンドロイチンを単独または併用の効果を判定することを目的に、ネットワーク・メタ解析を行った。Cochrane、Medline、Embaseなどの電子データベースを検索、および専門家へのヒアリング、関連ウェブサイトから適格試験を選定し、試験内直接比較を、異なるタイムポイントの統合を可能とするベイズモデルを使って、他の試験の間接エビデンスと結びつけた。主要アウトカムは疼痛強度とし、副次アウトカムは関節腔狭小化とした。製剤とプラセボとの臨床的に意義ある差異を示す最小値は、10cmビジュアル・アナログ・スケールで-0.9cmと事前特定された。疼痛強度、関節腔狭小化とも臨床的意義ある差異は認められず解析には、10試験・3,803例が含まれた。結果、10cmビジュアル・アナログ・スケールで、プラセボと比較して、疼痛強度の差異は、グルコサミン群は-0.4cm(95%信頼区間:-0.7~-0.1 cm)、コンドロイチン群は-0.3cm(同:-0.7~0.0 cm)、併用群は-0.5cm(同:-0.9~0.0 cm)だった。95%信頼区間値が、臨床的意義ある差異を示す最小値(-0.9)を越えたものはなかった。企業から資金提供を受けて行われた試験結果に比べて、独立して行われた試験では、より小さい効果量が示されていた(相互作用のP=0.02)。また副次アウトカムの関節腔狭小化の差異も、95%信頼区間値が0値に重なり合うほどわずかだった。(武藤まき:医療ライター)

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医師の学ぶ意欲、パフォーマンス向上を刺激するのはどんな評価か?

臨床パフォーマンスの評価は重要だが、難しいテーマとされる。これまでは、評価はいわずもがなで標準化しにくい、徒弟制度モデルのような主観的な判断に基づいていた。しかし近年は、コンピテンスやパフォーマンスを評価する新しいシステムによる卒後教育が構築され、ワーク・プレイス・アセスメントも、その一つとされる。では、日々の臨床パフォーマンスを評価するのに用いられるワーク・プレイス・アセスメントが、卒後教育やパフォーマンスにどれほど影響しているのか。イギリス・ペニンシュラ医科歯科大学/プリマス大学のAlice Miller氏らがエビデンスを得るため、システマティックレビューを行った。BMJ誌2010年10月2日号(オンライン版2010年9月24日号)掲載より。ワーク・プレイス・アセスメントの効果を検討した研究をシステマティックレビュー主要なデータソースは、雑誌データベース(Ovid、Medline、Embase、CINAHL、PsycINFO、ERIC)を用い行われた。また、エビデンス・レビューは、Bandolier、Cochrane Library、DARE、HTA Database、NHS EEDおよびHealth Information Resourcesのウェブサイトを活用し行われた。関連研究の参照リストとレビュー記事の文献も当たり、ワーク・プレイス・アセスメントの教育的効果、または医師のパフォーマンスに与えた効果の評価を試みた研究のいずれもが対象に含まれた。対象集団が非メディカルまたは医学生よって行われた研究は除外され、論評記事、解説、レターも同様に除外された。最終的に、実際の臨床経験ではなく模擬患者やモデル利用の研究も除外基準に含まれた。結果、16件の研究が選定された。15件は、非比較の記述・観察研究で、残りは無作為化試験だった。研究の質は混合された。マルチソース・フィードバックがパフォーマンス改善に結びつく8件の研究が、マルチソース・フィードバック(多面的評価)を検討しており、大半の医師が、マルチソース・フィードバックは教育的価値はあるが、実践を変えるほどのエビデンスはないと感じていた。ただし一部のジュニアドクターおよび外科医に、マルチソース・フィードバックに応じて変化することを喜んで受け入れる意思を示す者がいた。家庭医は、より変化に意欲的である可能性が示された。パフォーマンスへの変化が起きやすかったのは、フィードバックが正確で信頼できるものだったり、また自分たちの強みあるいは弱点を特定するのに役立つ指導がもたらされるものである時にみられた。4件の研究は、ミニ臨床評価エクササイズを検討したもので、1件の研究は、技術手順を直接観察したものであり、3件の研究は、手順を多面的に評価したものだった。そして4件とも、ワーク・プレイス・アセスメント・ツールの教育的影響をポジティブに報告していたが、これらのツールによりパフォーマンスが改善されたかを観察したものはなかった。Miller氏は、「パフォーマンス評価の手法としてワーク・プレイス・アセスメントの重要性が強調はされていても、医師の教育やパフォーマンスに与える影響を調査している論文はほとんどない」と述べたうえで、「今回のレビューで、マルチソース・フィードバックは、フィードバックの詳細、内容、促進を促す内容が盛り込まれているかで、パフォーマンス改善に重大な効果があることが明らかになった。それ以外のワーク・プレイス・アセスメント・ツール(ミニ臨床評価エクササイズなど)は、教育に与える影響があることを主観的に報告はしていたが、パフォーマンス改善に結びつくエビデンスは認められなかった」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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心不全患者への自己管理カウンセリング、死亡率や入院率の低下につながらず

心不全患者に対し、服薬や塩分摂取制限などに関する自己管理について、カウンセリング・プログラムを強化しても、死亡率や入院率の低下にはつながらないことが報告された。米国ラッシュ大学メディカルセンター(シカゴ)予防医療部門のLynda H. Powell氏らが、約900人の患者を対象に行った無作為化比較対照試験「HART」(Heart Failure Adherence and Retention Trial)で明らかにしたもので、JAMA誌2010年9月22/29日号で発表した。2時間のグループセッションを1年間に18回実施単一施設複数病院一部盲検で行われたHARTでは、2001年10月~2004年10月にかけて、軽度~中等度の心不全患者902人について試験を開始した。被験者の心臓収縮機能は、減少・維持の両者が含まれた。研究グループは、被験者を無作為に2群に分け、一方の群には、服薬遵守や塩分摂取制限、適度な運動やストレス管理といった自己管理について、1回2時間、約10人でのグループカウンセリングを、1年間にわたり18回行った。その際、心不全の自己管理に関するパンフレット(18シートからなるものを毎回1シートずつ)も配布した。もう一方の群には、同様の18シートからなるパンフレットを郵送し、電話によるフォローアップを行った。被験者の平均年齢は63.6歳、うち女性は47%で、人種/民族を申告した人が40%、年間世帯所得が3万ドル未満が52%を占めた。収縮機能の維持が認められたのは23%だった。追跡期間の中央値は2.56年。主要評価項目は、追跡期間中央値2.56年間の死亡および心不全による入院とした。死亡または心不全による入院の発生率は低下せず結果、追跡期間の死亡または心不全による入院は、自己管理介入群の163件(40.1%)に対し、対照群171件(41.2%)と、両群に有意差はみられなかった(オッズ比:0.95、95%信頼区間:0.72~1.26)。また、副次エンドポイントとした、死亡、心不全による入院、理由を問わない入院、QOLのいずれについても、両群で有意差は認められなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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60歳時のPSA値で、前立腺がん死亡・転移の生涯リスクが予測できる

60歳時の前立腺特異抗原(PSA)値から、転移と前立腺がん死の生涯リスクが予測できるとの報告が、米国Sloan-Kettering記念がんセンター(ニューヨーク)のAndrew J Vickers氏らにより発表された。また、その際のPSA値が中央値(≦1 ng/mL)以下の場合、前立腺がんが潜んでいる可能性はあるものの、生命を脅かすようなことはないとも述べ、「それら男性はさらなるスクリーニングは免除されるべきで、それよりもPSA値がより高い群に照準を合わせるべき」と結論づけている。PSAスクリーニングは、前立腺がんの早期発見のため広く行われるようになっているが、過剰診断を招いていることが無作為化試験で示されたり、70歳男性の40%近くが前立腺がんを有していると推定されており、研究グループは「前立腺がんの有無ではなく、症状を引き起こすのか生命を縮めるのかが重要」として、検査値とその後の臨床転帰との関連を調べた。BMJ誌2010年9月18日号(オンライン版2010年9月14日号)より。スクリーニングと化学的予防のリスク層別化が課題研究グループは、60歳時にPSAスクリーニングを受けその後はスクリーニングを受けていない集団で、PSA値とその後の前立腺がん臨床症状との関連を評価すること、スクリーニングと前立腺がんに対する化学的予防療法がリスク層別化をできたのかどうかを評価するため、ケースコントロール研究を行った。本研究は、一般集団をベースに症例1対対照3の割合でマッチングを図ったネステッドケースコントロール研究で、Malmo Preventive Projectに参加するスウェーデン人男性を対象とした。1981年の60歳時に血液サンプルを採取され、National Board of Health and Welfareにがん登録された1,167例で、85歳まで追跡された。主要評価項目は、転移または前立腺がんによる死亡とした。>2ng/mL群が前立腺がん死の90%を占める本研究期間中のスクリーニング実施率は低かった。転移は43例、前立腺がん死は35例だった。60歳時点のPSA濃度は、前立腺がん転移(曲線下面積0.86、95%信頼区間:0.79~0.92、P

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MCATスコアが低いほど、医師資格試験は初回不合格の確率大

米国で医学部を卒業しながら医師資格試験に初回受験で不合格である確率は、「MCAT(Medical College Admission Test)スコアが低い」「白人に比べ非白人の方が」「学費の借金が5万ドル以上ある」で、増大する傾向があるという。米国ワシントン大学のDorothy A. Andriole氏らが、医学部に入学した10万人弱について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2010年9月15日号で発表した。卒業生の88.7%が初回で医師試験に合格、成績理由で退学は入学生の1.2%Andriole氏らは、1994~1999年にかけて米国の医学部に入学した9万7,445人について、2009年3月まで、後ろ向きに追跡調査を行った。その結果、データが得られた8万4,018人(86.2%)のうち、医学部を卒業したのは、96.7%にあたる8万1,237人で、成績が理由で医学部を退学したのは1,049人(1.2%)、成績以外の理由による退学は1,732人(2.1%)だった。卒業生のうち、初回受験で米国医師資格試験(ステップ1・2)に合格したのは7万4,494人(88.7%)で、不合格は6,743人(8.0%)だった。MCATスコアが18~20だと、初回不合格の確率13倍、成績不振で退学の確率11倍米国医科大学入学のための共通テスト「MCAT」のスコアと、初回受験で米国医師資格試験に不合格となる補正後オッズ比についてみたところ、同スコアが18~20(被験者の2.9%)の群では、同スコア29超の群に比べ、補正後オッズ比は13.06(95%信頼区間:11.56~14.76)だった。また、同スコアが21~23(5.6%)の同オッズ比は7.52(同:6.79~8.33)、24~26(13.9%)の同オッズ比は4.27(同:3.92~4.65)だった。MCATスコアと、成績理由による退学との関係は、同スコアが18~20の群では、29超の群に比べ、補正後オッズ比が11.08であり、同スコアが21~23の同オッズ比は5.97、24~26の同オッズ比は3.56だった。人種別では、アジア・環太平洋人の、白人に対する初回受験で米国医師資格試験に不合格となる補正後オッズ比は2.15、成績理由による退学に関する補正後オッズ比は1.69だった。また医学部進学のための借金が5万ドル以上ある場合も、同補正後オッズ比はそれぞれ1.68、2.33と高かった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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