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検索結果 合計:4227件 表示位置:3941 - 3960

3941.

心拍数は慢性心不全の治療ターゲットか?:SHIFT試験

 心拍数高値は心不全のリスク因子であり、ivabradineによる選択的な心拍数低下療法は心血管アウトカムを改善することが、ドイツUniversitatsklinikum des SaarlandesのMichael Bohm氏らによる無作為化試験(SHIFT試験)で判明した。心拍数の上昇は心血管リスクの強力なマーカーとされる。SHIFT試験では、すでにivabradine投与による心拍数の低下が、症候性心不全患者における不良な臨床予後を低減することが示されており、これは心拍数がリスクのマーカーのみならずリスク因子でもあることを示唆するという。Lancet誌2010年9月11日号(オンライン版2010年8月29日号)掲載の報告。ベースラインと治療28日の心拍数でそれぞれ5群に分けて解析 SHIFT試験は慢性心不全に対する選択的洞結節抑制薬ivabradineの効果を検討するプラセボ対照無作為化試験。研究グループは、今回、心拍数上昇は心不全における心血管イベントのリスク因子であるとの仮説を立て、その検証を行った。 慢性心不全の症状がみられ左室駆出率≦35%、心拍数≧70bpmの洞調律が保持された患者6,505例(ivabradine群:3,241例、プラセボ群:3,264例)が登録された。ベースラインの心拍数で70~71bpm(987例)、72~74bpm(1,364例)、75~79bpm(1,545例)、80~86bpm(1,287例)、≧87bpm(1,318例)の5群に分けた。 主要評価項目は、心血管死および心不全の増悪による入院の複合エンドポイントとした。ivabradine群では、治療28日の心拍数と予後の関連について解析した。ivabradineの直接的なリスク低下の作用機序としての心拍数について検討するために、心拍数の変化に基づく補正解析を行った。1bpmの上昇でリスクが3%増大、治療後の最低心拍数群でリスクが最低 プラセボ群の複合エンドポイントのイベント発生数は、最も心拍数が高い群(≧87bpm、682例)が286件と、最も低い群(70~71bpm、461例)の92件の2倍以上に達した(ハザード比:2.34、95%信頼区間:1.84~2.98、p<0.0001)。 プラセボ群では、ベースラインの心拍数が1bpm上昇するごとに複合エンドポイントのリスクが3%ずつ増大し、5bpmの上昇ごとに16%増大した。 ivabradine群では、治療28日の心拍数と心臓アウトカムの間に直接的な関連が認められた。すなわち、治療28日の心拍数が<60bpmに低下した患者(1,192例)の複合エンドポイントのイベント発生率は17.4%(95%信頼区間:15.3~19.6%)であり、60~64bpmの23.8%、65~69bpmの23.0%、70~74bpmの26.5%、≧75bpmの32.4%に比べ低かった(p<0.0001)。 治療28日までの心拍数の変化で補正を行ったところ治療効果が中和されたことから(ハザード比:0.95、95%信頼区間:0.85~1.06、p=0.352)、ivabradineの効果は心拍数の低下で説明できることが示された。 著者は、「心拍数が高いことは心不全のリスク因子であり、ivabradineによる選択的な心拍数低下療法は心血管アウトカムを改善する」と結論し、「心拍数は心不全の重要な治療ターゲットである」と指摘する。

3942.

医師の力量評価スコア、無保険者や英語が話せない患者が多いと低スコア傾向に

医師のクリニカルパフォーマンス・スコアは、患者の中に無保険者や英語が話せない人の割合が多いと、低スコアになる傾向があることが明らかにされた。米国マサチューセッツ総合病院総合診療部門のClemens S. Hong氏らが、同一の医師グループに帰属するプライマリ・ケア医162人と、その患者約12万5,000人について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2010年9月8日号で発表した。高スコア群医師の患者は低スコア群より、高齢で合併症も多い傾向研究グループは、2003年1月1日~2005年12月31日にかけて、同一の医師グループ(9つの病院診療所と4つの地域保健センター)に属するプライマリ・ケア医162人のパフォーマンス・スコア「Health Plan Employer and Data Information Set」(HEDIS)と、その患者12万5,303人の属性との関連について、調査を行った。患者のカルテは、共通の電子カルテシステムで管理されていた。結果、スコアが低い方から三分位の医師の患者の平均年齢は46.6歳だったのに対し、高い方から三分位の医師の患者は51.1歳と、より高齢だった(p

3943.

麻酔による合併症リスクが高い患児をいかに同定するか?

手術時の麻酔施行前に、International Study Group for Asthma and Allergies in Childhood(ISAAC)の改訂質問票で評価を行えば、周術期の呼吸器合併症のリスクが高い患児を同定可能なことが、オーストラリア、プリンセス・マーガレット小児病院(パース)麻酔科のBritta S von Ungern-Sternberg氏らが行ったコホート研究で示された。小児における麻酔に起因する疾患や死亡の主要な原因として、周術期の呼吸器系の合併症が挙げられる。これまでに合併症のリスク因子の報告はあるが、臨床における高リスク患児の同定法は確立されていないという。Lancet誌2010年9月4日号掲載の報告。単一施設における前向きコホート研究研究グループは、家族歴、麻酔法と周術期呼吸器合併症の関連を評価するプロスペクティブなコホート研究を実施した。2007年2月1日~2008年1月31日までにプリンセス・マーガレット小児病院で外科的あるいは内科的介入、待機的あるいは緊急処置として全身麻酔を施行された全患児を前向きに登録した。手術当日に、担当麻酔医がISAACの改訂質問票を用いて喘息、アトピー、上気道感染症、受動喫煙などの既往について調査した。麻酔法および周術期にみられたすべての呼吸器合併症が記録された。呼吸器疾患の既往歴、上気道感染症などがあると合併症リスクが増大12ヵ月後までに1万496人の患児から得られた9,297の質問票が解析の対象となった。患児の平均年齢は6.21(SD 4.8)歳であった。周術期の呼吸器合併症として気管支攣縮、喉頭痙攣、咳嗽/酸素飽和度低下/気道閉塞について解析した。呼吸器疾患の既往歴(夜間乾性咳嗽、運動時喘鳴、過去12ヵ月で3回以上の喘鳴、現在あるいは過去の湿疹の病歴)は、気管支攣縮(相対リスク:8.46、95%信頼区間:6.18~11.59、p<0.0001)、喉頭痙攣(同:4.13、同:3.37~5.08、p<0.0001)、周術期の咳嗽、酸素飽和度低下、気道閉塞(同:3.05、同:2.76~3.37、p<0.0001)の発現と有意な関連が認められた。上気道感染症は、症状がみられる場合には周術期の呼吸器合併症のリスクを増大させた(相対リスク:2.05、95%信頼区間:1.82~2.31、p<0.0001)。上気道感染症が手術前の2週間以内にみられた場合は周術期呼吸器合併症のリスクが有意に増大した(同:2.34、同:2.07~2.66、p<0.0001)のに対し、感染が手術前2~4週の場合は有意に低下していた(同:0.66、同:0.53~0.81、p<0.0001)。家族の2人以上に喘息、アトピー、喫煙の既往歴があると、周術期の呼吸器合併症のリスクが増大した(いずれも、p<0.0001)。麻酔の導入は吸入薬よりも静注薬の方が合併症のリスクが低く(いずれも、p<0.0001)、麻酔の維持は静注薬に比べ吸入薬が低リスクであった(いずれも、p<0.0001)。気道の確保は、研修医に比べ小児麻酔専門医が行う方が合併症リスクは低く(いずれもp<0.0001)、気管内挿管よりもマスクを使用する方が低リスクであった(いずれもp<0.0001)。著者は、「手術時の麻酔施行前の評価により、周術期の呼吸器合併症のリスクが高い患児を系統的に同定することが可能であり、それゆえターゲットを定めた特異的な麻酔法がベネフィットをもたらす可能性がある」と結論している。(菅野守:医学ライター)

3944.

世界一の長寿国日本、長生きに希望持っておらず

株式会社 フィリップス エレクトロニクス ジャパンは9月8日、「Philips Index(フィリップス インデックス)日本人の健康および精神的充足度に関する報告書2010」を発表した。報告書によると、日本人は他国に比較して、健康および精神的充足度が低く、長生きに関しても希望を持っていないことが明らかになった。「あなたは総合的にみて自分の健康および精神的充足度をどう思いますか?」という質問に対し、「とても良い」「良い」と答えた人の割合は、約38%という低い結果になった。また、「あなたは何歳まで生きると思いますか?」という質問に対して最も多かった回答は、「71歳から80歳(36.3%)」となり、「91歳以上」は3.9%にとどまった。フィリップス代表取締役社長ダニー・リスバーグは、「フィリップスは、世界中の人々に健康とやすらぎを提供する企業として、こうした調査結果から得られるグローバルな知見を活用して、超高齢社会を迎えた日本市場に貢献する製品やサービスについて、しっかりと検討をしていきたいと考えています」と述べている。詳細はプレスリリースへhttp://www.newscenter.philips.com/jp_ja/standard/about/news/others/100908_philips_index_2010.wpd

3945.

降圧療法を強化してもCKD進行に影響は認められず:AASK試験

黒人CKD合併高血圧患者を対象に行われた、降圧療法の強化のCKD進展に対する影響を検討した試験の結果、130/80mmHg未満目標の強化血圧コントロールを行っても、腎疾患進行に与える影響は認められなかったことが報告された。ただし、基線での蛋白尿があるかないかで、効果に差がある可能性が示されたとも結論している。報告は、「AASK(African American Study of Kidney Disease and Hypertension)」共同研究グループによるもので、NEJM誌2010年9月2日号で掲載された。1,094例を130/80mmHg未満目標群か標準群かに無作為し追跡試験は、試験相(trial phase)期間に強化血圧コントロールか標準血圧コントロールを受けた1,094例のCKD合併高血圧の黒人患者を、無作為化し行われた。試験相(trial phase)期間を完了した被験者は、コホート相(cohort phase)への登録を促され、強化血圧コントロール群(130/80mmHg未満目標)か標準血圧コントロール群(140/90mmHg目標)に割り付けられ、血清クレアチニン値の倍増、末期腎不全診断、死亡を含むCKDの進行を主要臨床転帰とし追跡された。追跡期間は、8.8~12.2年にわたった。基線で蛋白/クレアチニン比が0.22超の患者にはベネフィットあり?試験相(trial phase)期間の被験者の平均血圧は、強化血圧コントロール群130/78mmHg、標準血圧コントロール群141/86mmHgだった。コホート相(cohort phase)期間の平均血圧は、強化血圧コントロール群131/78mmHg、標準血圧コントロール群134/78mmHgだった。両相の期間とも、群間で、主要臨床転帰リスクの有意差は認められなかった(強化血圧コントロール群のハザード比:0.91、P=0.27)。しかし、蛋白尿の基線値によって効果は異なり(相互作用のP=0.02)、蛋白/クレアチニン比が0.22超の患者にはベネフィットがある可能性が示された(ハザード比:0.73、P=0.01)。(武藤まき:医療ライター)

3946.

新規糖尿病患者への集団教育プログラム実施の費用対効果:英国DESMONDプログラム

糖尿病新規診断患者に対する糖尿病教育・自己管理指導(DESMOND)プログラムの、長期的な臨床効果と費用対効果に関する調査結果が、英国シェフィールド大学Health and Related Research校のM Gillett氏らによって報告された。服薬治療だけの通常ケアと比較して、DESMONDプログラム導入の費用対効果は高く、体重減少、禁煙実現といった利点があることが明らかになったという。BMJ誌2010年8月28日号(オンライン版2010年8月20日号)掲載より。費用対効果の検証は初めてDESMONDプログラムは、認定講習を受けたヘルスケア専門家が6時間にわたる集団教育を1日もしくは半日ずつ2回で提供するもので、カリキュラムは生活習慣(食習慣、運動)と心血管リスク因子に焦点を合わせた内容となっている。臨床への効果を検討するため2004年に始められた「DESMOND試験」の短期的(1年)結果を踏まえ(http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=2994)、2008年からは英国糖尿病ガイドラインで、PCT(primary care trust)での実施が明記されるようになっており、現在、イングランドとスコットランドの80以上のPCTで導入されている。これまで費用対効果に関する検討は行われていなかったことから、Gillett氏らは、費用効果分析を実施した。DESMOND試験(13診療所・824例が12ヵ月間追跡された)データを用い、治療の有用性、合併症発生率、死亡率に関する長期アウトカムを、シェフィールド2型糖尿病モデルを使って解析すると同時に、コストおよび健康関連QOL(QALYs)について検討した。さらに、プログラムを取り巻く最近の実態コストを反映した「リアルワールド」コストを用いた分析も行った。主要評価項目は、増大コストとQALYs獲得とした。増大コストに比しQALYs獲得に優れるDESMOND試験データに基づく解析から、プログラムを受けた患者1人当たりの生涯コストの増大は、平均209ポンド(326ドル)と推計された。QALYs増大は0.0392で、QALYs増大にかかるコスト増は平均5,387ポンドと推計された。リアルワールドコストを用いた解析では、プログラムを受けた患者1人当たりの生涯コストの増大は、平均82ポンドと推計され、QALYs増大にかかるコスト増は平均2,092ポンドと推計された。確率的感度解析から、QALYs増大コストの許容額20,000ポンドに対し、試験データベースでは66%、リアルワールドベースでは70%の費用対効果がある可能性が示された。また一方向感受性解析から、プログラムによる介入効果は1年を過ぎると減じると仮定しても、費用対効果に優れることが示唆された。

3947.

隠された代替アウトカムが、誤った結論を誘導する?

無作為化臨床試験のうち主要アウトカムとして代替アウトカム(surrogate outcome)を用いたものは17%に及ぶが、その使用を明記し、妥当性につき考察を加えた試験は約3分の1にすぎないことが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のJeppe Lerche la Cour氏が行ったコホート研究で示された。代替アウトカムは、無作為化試験において主要アウトカムの代わりに使用可能な場合があるが、不用意に用いると誤解を招いたり、有害な介入が実施されてしまう可能性があるという。欧米では、代替アウトカムに基づいて新薬の市販承認が行われる場合があり、その危険性を指摘する声もある。BMJ誌2010年8月21日号(オンライン版2010年8月18日号)掲載の報告。主要6誌掲載の代替アウトカムを用いた無作為化臨床試験を評価研究グループは、無作為化臨床試験に関する論文の著者が代替アウトカムの使用を告げているか、およびその妥当性を考察しているかについて検討するコホート研究を実施した。2005~2006年に発行された主要な医学ジャーナル6誌(JAMA、New England Journal of Medicine、Lancet、BMJ、Annals of Internal Medicine、PLoS Medicine)に掲載された無作為化臨床試験のうち、主要アウトカムとして代替アウトカムを用いた試験を抽出した。代替アウトカム使用試験:17%、使用報告:57%、妥当性解析:35%この2年間に6誌に掲載された無作為化臨床試験の論文の総数は626編であった。そのうち、109編(17%)が主要アウトカムとして代替アウトカムを使用していた。109編中、代替アウトカムの使用を明確に記載していたのは62編(57%、95%信頼区間:47~67%)のみであった。さらに、代替アウトカム使用の妥当性について考察を加えていたのは38編(35%、95%信頼区間:26~45%)にすぎなかった。著者は、「代替アウトカムを用いた無作為化臨床試験は多いが、その使用を妥当性の考察とともに明記した試験は約1/3にすぎなかった」と結論し、「誤った結論を誘導したり、新たな治療法を不用意に容認しないためには、代替アウトカムの使用につき、より適切に報告すべきである」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

3948.

肺がん患者への早期緩和ケア導入はQOL、精神症状、余命を改善

転移性の非小細胞肺がん患者には、早期緩和ケア導入のベネフィットが大きいことが明らかにされた。QOL、精神症状を有意に改善し、標準的ながん治療を受けた患者と比較して積極的治療は少ないにもかかわらず、生存期間がより長かったという。米国マサチューセッツ総合病院のJennifer S. Temel氏らの報告によるもので、NEJM誌2010年8月19日号に掲載された。転移性非小細胞肺がんはつらい症状に苦しむ上に、末期でも積極的治療を受ける場合がある。早期緩和ケア群と標準治療群に無作為化しQOL、精神症状を評価研究グループは、新たに転移性非小細胞肺がんと診断された患者を、標準的ながん治療と併せて早期緩和ケアを行う群(77例)と、標準的ながん治療のみを行う群(74例)に無作為に割り付け、ベースラインから12週までのQOLと精神症状の変化について追跡評価した。各評価には、QOLにはFACT-L(Functional Assessment of Cancer Therapy-Lung)スケール(スコア:0~136、より高いスコアほどQOLが良好であることを示す)が、精神症状にはHADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)が用いられた。主要評価項目は、12週時点におけるQOLの変化とした。末期医療に関するデータは電子カルテから集められた。QOL、精神症状、余命とも早期緩和ケア群が良好被験者151例のうち、12週までに27例が死亡に至り、評価が完遂されたのは12週時点で生存していた患者124例の86%に当たる107例だった。早期緩和ケア群のQOLは、標準的治療群より良好だった(FACT-Lスケールの平均スコア98.0対91.5、P=0.03)。加えて、早期緩和ケア群は標準的治療群より、抑うつ症状がより少なかった(16%対38%、P=0.01)。積極的な末期医療を受けた患者の割合は、早期緩和ケア群より標準的治療群が多かった(33%対54%、P=0.05)にもかかわらず、生存期間の中央値は早期緩和ケア群が、より長かった(11.6ヵ月対8.9ヵ月、P=0.02)。(朝田哲明:医療ライター)

3949.

20年前と比べ、米国青少年の聴覚障害が増大、約2割に

米国の12~19歳の聴覚障害罹患率が、20年前と比べて増加傾向にあることが明らかになった。1988~1994年調査時の罹患率は約15%だったが、2005~2006年調査時は約20%になっていたという。米国ブリガム&ウィメンズ病院Channing LaboratoryのJosef Shargorodsky氏らが、全米健康・栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey: NHANES)のデータを分析し明らかにしたもので、JAMA誌2010年8月18日号で発表した。著者らは、「増加の要因と、回避・防止し得るリスクファクターを特定することが必要」と提言している。5,000人弱について、聴覚障害の種類や程度、リスク因子を調査Shargorodsky氏らは、NHANESの1988~1994年時の12~19歳被験者2,928人のデータと、2005~2006年時の同1,771人のデータについて検討した。被験者は、聴力測定器によって聴覚障害の有無を調べられ、聴覚障害の程度について、片耳もしくは両耳、低周波(0.5、1、2kHz)または高周波(3、4、6、8kHz)、軽度(15超~25未満dB)か中等度~重度(25以上dB)に分類された。また、聴覚障害とそのリスク因子についての相互関係についても分析調査された。近年の聴覚障害は片耳、高周波が高率結果、1988~1994年の聴覚障害罹患率は14.9%(95%信頼区間:13.0~16.9)だったのに対し、2005~2006年の同率は19.5%(同:15.2~23.8)と、有意に増加していた(p=0.02)。05~06年の聴覚障害は片耳が多く、その罹患率は14.0%(同:10.4~17.6)で、88~94年の同11.1%(同:9.5~12.8)に比べ高率だった(p=0.005)。また05~06年は、高周波聴覚障害の罹患率が16.4%(同:13.2~19.7)と、88~94年の同12.8%(同:11.1~14.5)に比べ高率だった(p=0.02)。聴覚障害のリスクは、連邦政府が定める貧困層の子どもで有意に高く、罹患率は23.6%(同:18.5~28.7)であり、そうでない場合の18.4%(同:13.6~23.2)に比べ有意に高率だった(補正後オッズ比:1.60、95%信頼区間:1.10~2.32)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

3950.

大動脈弁疾患の弁移植術、長期予後は自家移植が同種移植よりも優れる

大動脈弁疾患に対する弁移植術では、患者自身の肺動脈弁を大動脈弁として移植する自家大動脈起始部移植の方が、ドナーの提供による同種大動脈起始部移植よりも長期予後が優れることが、イギリスRoyal Brompton and Harefield NHS Trust心臓外科学のIsmail El-Hamamsy氏らが行った無作為化試験で示された。世界人口の増加や医療への近接性の改善に伴い、大動脈弁の手術数は今後30年以内に3倍に増大すると予想される。大動脈弁移植術は重篤な症状を呈する大動脈弁疾患患者の予後を改善するが、術後の生存率は一般人口に比べて低く、改善の程度は使用された移植片の種類に依存する可能性があるという。Lancet誌2010年8月14日号(オンライン版2010年8月3日号)掲載の報告。単一施設の1名の術者による2種類の移植術の10年生存率を評価研究グループは、大動脈弁疾患患者においては、患者自身の肺動脈弁を大動脈弁として移植する方法が、ドナーから提供された肺動脈弁を移植する方法よりも長期予後の改善効果が優れるとの仮説を検証するために、自家大動脈起始部移植(Ross procedure)と同種大動脈起始部移植の予後を比較する無作為化対照比較試験を実施した。大動脈弁移植を要する69歳未満の患者が登録され、イギリスの単一施設で自家大動脈起始部移植あるいは同種大動脈起始部移植を受ける群に無作為に割り付けられた。すべての移植術が一人の術者(Dr. Magdi H Yacoub)によって施行された。治療割り付け情報は試験関係者および患者に知らされていた。主要評価項目は、移植術後10年における生存率とした。同種移植群の死亡率は自家移植群の4倍以上、自家移植群の生存率は一般人口に匹敵228例が登録されたが、12例は18歳以下のため除外された。両群ともに108例ずつが割り付けられた。周術期死亡率は、自家移植群が1%未満、同種移植群は3%であったが、有意差は認められなかった(p=0.621)。移植術後10年の時点で、自家移植群の4例、同種移植群の15例が死亡した。10年生存率は自家移植群が97%(SD 2)、同種移植群は83%(SD 4)であった。同種移植群の死亡ハザード比は4.61であり、有意差がみられた(95%信頼区間:1.71~16.03、p=0.0060)。同種移植群の生存率(97%)は、年齢および性別で補正したイギリスの一般人口の生存率(96%)と同等であった。著者は、「これらの知見は、患者自身の肺動脈弁を大動脈弁として移植する自家大動脈起始部移植は、大動脈弁疾患患者の長期予後を改善するという仮説を支持する」と結論している。(菅野守:医学ライター)

3951.

CKD患者への透析開始を早めても生存改善に有意差認められず

慢性腎臓病(CKD)ステージ5の患者に対し、早期に維持透析開始をしても、生存率あるいは臨床転帰の改善とは関連しないことが明らかにされた。維持透析開始のタイミングには、かなりの差異がみられるものの、世界的に早期開始に向かう傾向にある。そうした中で本報告は、オーストラリアのシドニー医科大学校・王立North Shore病院腎臓病部門のBruce A. Cooper氏らの研究グループが、維持透析開始のタイミングが、CKD患者の生存に影響するかどうかを検討するため、早期開始群と晩期開始群との無作為化対照試験「IDEAL」を行った結果によるもので、NEJM誌2010年8月12日号(オンライン版2010年6月27日号)で発表された。eGFR10~14 mL/分を早期、5~7 mL/分を晩期に割り付けIDEAL(Initiating Dialysis Early and Late)試験は、オーストラリアとニュージーランドの計32施設で実施された。18歳以上の進行性のCKD患者で、推定糸球体濾過量(eGFR)が体表面積(コッククロフト・ゴールト式を用いて算出)1.73m2当たり10.0~15.0mL/分の患者の中から、eGFRが10.0~14.0mL/分の患者を早期に透析開始する群(早期開始群)に、eGFRが5.0~7.0mL/分の患者を遅く開始する群(晩期開始群)に無作為に割り付けた。試験参加者は、2000年7月~2008年11月の間に合計828例(平均年齢60.4歳、男性542例、女性286例、糖尿病患者355例を含む)が、早期開始群404例、晩期開始群424例に割り付けられ、2009年11月まで追跡された。主要評価項目は、全死因死亡とした。死亡率、有害事象とも有意差は認められず透析開始までの期間の中央値は、早期開始群1.8ヵ月(95%信頼区間:1.60~2.23)、晩期開始群は7.4ヵ月(同:6.23~8.27)だった。なお晩期開始群のうち75.9%は、開始指標としたeGFRは7.0mL/分より高値だったが、臨床症状が発現したため透析開始となった。追跡調査期間の中央値3.59年の間に、早期開始群404例中152例(37.6%)、晩期開始群424例中155例(36.6%)が死亡した(早期開始群のハザード比:1.04、95%信頼区間:0.83~1.30)、P=0.75)。有害事象(心血管イベント、感染症、透析合併症)の頻度においても、有意な群間差は認められなかった。(朝田哲明:医療ライター)

3952.

米国40歳以上糖尿病患者のうち網膜症罹患率は28.5%

米国の40歳以上糖尿病患者のうち、糖尿病性網膜症の罹患率推定値は、28.5%と高率であることが明らかになった。特に非ヒスパニック系黒人で高く、4割近くにみられたという。米国疾病対策予防センター(CDC)のXinzhi Zhang氏らが、1,000人超の糖尿病患者について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2010年8月11日号で発表した。糖尿病性網膜症の罹患率、重症度に関して、全米人口をベースとした最近の動向は存在しなかったという。糖尿病1,006人について蛍光眼底撮影を実施同研究グループは、全米の断面調査「National Health and Nutrition Examination Survey」2005~2008年を基に分析を行った。サンプル数は1,006人だった。糖尿病の定義については、自己申告による糖尿病診断歴あり(妊娠糖尿病除く)、またはHbA1cが6.5%以上とした。両眼について2回の蛍光眼底撮影を行い、その程度についてAirlie House分類スキーム、Early Treatment Diabetic Retinopathy Study重症度スケールにて分類した。サンプルから求めた罹患率を基に、全米の40歳以上に関する罹患率推定値を算出した。40歳以上糖尿病の、男性の31.6%、女性の25.7%が糖尿病性網膜症全米40歳以上糖尿病患者における糖尿病性網膜症の罹患率推定値は、28.5%(95%信頼区間:24.9~32.5)だった。そのうち、治療をせずに放っておくと間もなく失明するほどの重症度の同罹患率推定値は、4.4%(同:3.5~5.7)だった。男女別では、同推定値は、男性が31.6%と、女性の25.7%に比べ有意に高かった(p=0.04)。人種別では、非ヒスパニック系黒人で同推定値が38.8%、また治療をせずに放っておくと間もなく失明する程の重症度の同推定値は9.3%と、非ヒスパニック系白人の各値26.4%、3.2%に比べ、いずれも有意に高かった(p=0.01)。なお、糖尿病性網膜症に関する独立危険因子は、男性(オッズ比:2.07)、HbA1c高値(同:1.45)、長期糖尿病歴(同:1.06)、インスリン使用(同:3.23)、収縮期血圧高値(1mmHg上昇につきオッズ比:1.03)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

3953.

心筋梗塞のリスクがカルシウム・サプリメントで増大

 サプリメントとしてのカルシウムの使用(ビタミンDは併用しない)により、心筋梗塞のリスクが有意に増大することが、ニュージーランド・オークランド大学のMark J Bolland氏らが行ったメタ解析で判明した。カルシウムは高齢者の骨格系の健康維持を目的としたサプリメントとして一般的に用いられている。ところが、カルシウム・サプリメントは心筋梗塞や心血管イベントのリスクを増大させる可能性があることが、プラセボを対照とした無作為化試験で示唆されているという。BMJ誌2010年8月7日号(オンライン版2010年7月29日号)掲載の報告。カルシウム・サプリメントと心筋梗塞などの心血管イベントの関連をメタ解析 研究グループは、カルシウム・サプリメントと心血管イベントのリスク増大の関連の評価を目的に、患者レベルおよび試験レベルのデータに関してメタ解析を行った。 1966年~2010年3月までのデータベース(Medline、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials)などを用いて、100例以上、平均年齢40歳以上、試験期間1年以上のカルシウム・サプリメント(≧500mg/日)に関するプラセボ対照無作為化試験を抽出した。 これらの試験の筆頭著者からデータの提供を受け、心筋梗塞などの心血管アウトカムは患者自身の報告、入院記録、死亡診断書で確認した。心筋梗塞リスクがカルシウム・サプリメント群で約30%増大 15試験が適格基準を満たした。患者レベルのデータは5試験[8,151例、フォローアップ期間中央値3.6年(四分位範囲2.7~4.3年)]で得られ、試験レベルのデータは11試験(1万1,921例、平均試験期間4.0年)から得られた。 5試験の患者レベルのデータの解析では、心筋梗塞の発症はカルシウム・サプリメント群が143例と、プラセボ群の111例に比べリスクが有意に31%増加していた(ハザード比:1.31、95%信頼区間:1.02~1.67、p=0.035)。 脳卒中(ハザード比:1.20、95%信頼区間:0.96~1.50、p=0.11)、心筋梗塞/脳卒中/突然死の複合エンドポイント(同:1.18、同:1.00~1.39、p=0.057)、死亡(同:1.09、同:0.96~1.23、p=0.18)については有意なリスクの増大を認めなかった。 試験レベルのデータの解析でも同様の結果が示された。すなわち、心筋梗塞を発症した296例のうち、166例がカルシウム・サプリメント群で、プラセボ群は130例であり、リスクはサプリメント群で有意に27%増加していた(ハザード比:1.27、95%信頼区間:1.01~1.59、p=0.038)。 著者は、「カルシウム・サプリメント(ビタミンDの併用なし)は心筋梗塞のリスクを有意に増大させることが明らかとなった」と結論し、「この大きいとは言えない心筋梗塞のリスク増大も、カルシウム・サプリメントの使用の拡大に伴って、膨大な疾病負担をもたらす可能性がある。骨粗鬆症の治療におけるカルシウム・サプリメントの役割の再評価が急務である」と指摘する。

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抗てんかん薬と自殺傾向の関連、てんかん患者では認められず

抗てんかん薬と自殺との関連について、てんかん患者においては自殺リスク増大との関連は認められなかったこと、一方で、うつ病患者、あるいはてんかん、うつ病、双極性障害のいずれでもない患者で抗てんかん薬を服用していた患者ではリスク増大が認められたことが、スペイン・Risk MR Pharmacovigilance ServicesのAlejandro Arana氏らにより明らかにされた。これまでに行われた臨床試験のメタ解析の結果では、抗てんかん薬と自殺傾向(自殺念慮、自殺行動、または両方)との関連が示されていたが、Arana氏らは、一般集団を代表する患者データベースを用い、ケースコントロール試験にて、抗てんかん薬服用の有無と自殺関連イベント(自殺未遂、自殺既遂)との関連を解析した。NEJM2010年8月5日号掲載より。英国民の患者データベースで服薬有無と自殺との関連を解析Arana氏らが解析コホートとしたのは、英国の一般集団を代表する患者データベース「The Health Improvement Network(THIN)」(診療所医師による日々の臨床記録が集約、患者670万人以上を含む)で、そのうちてんかん、うつ病、双極性障害患者の治療データ(1988年7月1日~2008年3月31日に6ヵ月以上治療)を取得し、抗てんかん薬治療の有無を調べ追跡した。また、同コホートから、各症例患者にマッチ(年齢、性、治療内容)する5例ずつを選定しコントロール(対照)群とした。そのうえで抗てんかん薬使用の有無と自殺関連イベント発生率を調べ、交絡因子を補正し、ロジスティック回帰分析法でオッズ比を算出した。うつ病での服用者、疾患を有さない服用者ではリスク増大解析コホートは合計513万795例だった。このうち、いずれの疾患も有さず抗てんかん薬も未服用だったコホート(基準群:451万4,366例)の自殺関連イベント発生率は、10万人・年につき15.0(95%信頼区間:14.6~15.5)だった。これに対し同服用していたコホート(7万7,319例)の同発生率は39.4(32.6~47.1)だった。一方、てんかん患者では、未服用者(1万6,120例)は38.2(同:26.3~53.7)、服用者(3万9,325例)は48.2(同:39.4~58.5)だった。補正後解析の結果、抗てんかん薬の服用と自殺関連イベントのリスク増大との関連は、てんかん患者(オッズ比:0.59、95%信頼区間:0.35~0.98)、双極性障害患者(同:1.13、0.35~3.61)では認められなかったが、うつ病患者(同:1.65、1.24~2.19)と、いずれの疾患も有さないが服薬していた患者(同:2.57、1.78~3.71)では有意な関連が認められた。(武藤まき:医療ライター)

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投身自殺名所への防止柵設置で自殺は減ったか? 既遂者約1万5,000人の解析

カナダ・トロント市の投身自殺名所の橋への自殺防止柵設置によって、その橋での自殺は解消されたものの、市全体の自殺率には変化がなかったことが、Sunnybrook Health Sciences Centre and Women’s College Hospital(トロント市)のMark Sinyor氏らの調査で明らかとなった。今回の結果と同様、これまでの調査でも防止柵設置後に全体の自殺率が低下したとの報告はない。一方、柵の設置がある程度自殺を予防しているのか、あるいは単に別の橋が代用されたり別の手段で自殺が試みられているのかははっきりしていないという。BMJ誌2010年7月24日号(オンライン版2010年7月6日号)掲載の報告。自殺防止柵設置前後の自殺既遂者約1万5,000人の記録を調査研究グループは、年間の投身自殺率が「金門橋(Golden Gate Bridge、アメリカ・サンフランシスコ市)」に次いで世界で2番目に高率の橋である「ブロア通り高架橋(Bloor Street Viaduct、カナダ・トロント市)」への自殺防止柵の設置が、自殺率に変化をもたらしたかについて調査を行った。対象は、1993~2001年(自殺防止柵設置前の9年間)および2003年7月~2007年6月(設置後の4年間)のオンタリオ州主席検死官事務所の記録に記載された自殺既遂者1万4,789人。主要評価項目は、ブロア通り高架橋、その他の橋、高層建築物からの人口当たりの年間投身自殺率、および他の手段による年間自殺率とした。投身自殺への誘惑に満ちた特別の場所ではないことが判明トロント市の人口当たりの年間投身自殺率は、ブロア通り高架橋への自殺防止柵設置前が56.4、設置後が56.6であり、設置前後で全体的な変化はみられなかった(p=0.95)。防止柵設置前のブロア通り高架橋における平均年間投身自殺率は9.3であったのに対し、設置後は自殺は1件も起きていない(p<0.01)。ブロア通り高架橋以外の橋における平均年間投身自殺率は、柵設置前の8.7に対し設置後は14.2と有意に増加しており(p=0.01)、高層建築物からの投身自殺率は設置前の38.5から42.7へと増大したものの有意な差は認めなかった(p=0.32)。著者は、「ブロア通り高架橋での投身自殺は防止柵の設置によって解消されたが、トロント市全体の人口当たりの年間投身自殺率に変化はなかった。その原因は、他の橋や高層建築物からの投身自殺が代償的に増加したためと考えられる」と結論し、「これらの知見により、ブロア通り高架橋が人を自殺に誘う独特の場所ではないこと、また防止柵を設置しても近隣に代わりになる橋などがあれば絶対自殺率には影響がない可能性が示唆される」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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膝前十字靱帯断裂の急性期は、まずリハビリを

米国では毎年20万件以上の膝前十字靱帯(ACL)再建手術が行われ、直接医療費は約30億ドルに上ると推計されるが、ACL再建が他の治療に比べて優れているとのエビデンスは、質の高い無作為化試験によっても明らかにはなっていない。ACL断裂は、若年者の活動性に重大な損傷をもたらすため、特にスポーツ愛好者・選手は、スポーツ再開を望み断裂修復こそが最良であるとみなし手術を受けるが、治療の中心はあくまで保存療法(体系的リハビリテーション)である。ただし現状では必ずしもリハビリは行われていない。そこで、スウェーデンのランド大学臨床科学整形学部門のRichard B. Frobell氏らは、ACL断裂の至適な治療戦略に関する検討を行った。NEJM誌2010年7月22日号掲載より。リハビリ+早期ACL再建 vs.リハビリ+必要に応じたACL再建Frobell氏らが検討した治療戦略は、体系的リハビリテーション+早期ACL再建(早期再建術群)と、体系的リハビリテーション+必要に応じて行うACL再建(待機的再建術群)の2つで、無作為化試験にて行われた。対象は急性期のACL断裂を有した活動的な若年者121例。主要アウトカムは、ベースラインから2年時点までの、KOOS(Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score)の、4つのサブスケール(疼痛、症状、スポーツ・レクリエーション時の機能、膝に関係するQOL)の平均スコア(0~100;点が高いほど良好)の変化とした。副次アウトカムには、KOOSのサブスケール5つすべて(前述+ADL機能)、SF-36健康調査票の結果、Tegner Activity Scaleスコアを含んだ。2年時の主要アウトカムの差は0.2ポイント早期再建術群に割り付けられた被験者62例のうち、1例は手術を受けなかった。一方、待機的再建術群に割り付けられた被験者59例は、手術を受けたのは23例で、36例はリハビリテーションのみで手術は必要としなかった。KOOS(4)の平均スコアの変化は、2年時点で、早期再建術群が39.2ポイント、待機的再建術群が39.4ポイントで、両群の絶対差は0.2ポイント(95%信頼区間:-6.5~6.8、P=0.96)だった。副次アウトカムについても、両群治療戦略間に有意な違いは認められなかった。有害事象は両群で同等に認められた。実際に行われた治療に基づき分析した結果も同様だった。これらからFrobell氏は、「ACL断裂を有した活動的な若年者では、リハビリ+早期ACL再建術の治療戦略が、リハビリ+必要に応じたACL再建術の治療戦略と比べ、優れているとは認められなかった。また後者の治療戦略を取ることで、再建手術がかなり減った」と結論している。(医療ライター:武藤まき)

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特発性頭蓋内圧亢進症への低エネルギー食介入、3ヵ月で有意に改善

特発性頭蓋内圧亢進症を有する女性への、食事療法(低エネルギー食)介入は、有意に頭蓋内圧を低下し、耳鳴りなどの症状、乳頭浮腫も改善することが、英国バーミンガム大学免疫・感染症スクール眼科教育部門のAlexandra J Sinclair氏らによる前向きコホート研究の結果、報告された。食事療法終了後も3ヵ月間、効果は持続していたことも確認された。BMJ誌2010年7月17日号(オンライン版2010年7月7日号)掲載より。425kcal/日の低エネルギー食介入後の、頭蓋内圧の低下を観察試験は、英国内の病院の外来および臨床研究施設から被験者を集め行われた。被験者は、BMIが>25、乳頭浮腫を呈し、頭蓋内圧>25cmH2O、慢性(3ヵ月超)特発性頭蓋内圧亢進症の女性25人だった。手術治療を受けた患者は除外された。被験者は試験登録後、3ヵ月間は新規介入を受けず(ステージ1)、続く3ヵ月間は低エネルギー食(1,777kJ/日、425kcal/日)の介入を(ステージ2)、その後3ヵ月間は追跡期間とされた(ステージ3)。主要評価項目は、食事療法介入後の頭蓋内圧の低下。副次評価項目には、頭痛(headache impact test-6)スコア、乳頭浮腫[超音波測定(視神経乳頭腫脹、神経鞘腫直径)、OCT測定(乳頭周囲網膜厚)]、ハンフリー視野の平均偏差、LogMAR視力、その他症状を含んだ。評価は、基線、3、6、9ヵ月時点で行われ、また頭蓋内圧は、腰椎穿刺にて、基線、3、6ヵ月時点で測定された。体重、頭蓋内圧、頭痛、乳頭浮腫が有意に低下ステージ1の間は、各値に変化はみられなかった。ステージ2の間では、体重[平均15.7(SD:8.0)kg、P

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肥満症治療薬lorcaserin、プラセボに比べ体重減少・維持改善が有意

選択的セロトニン2C受容体アゴニストである肥満症治療薬lorcaserin(国内未承認)の体重減少および維持改善効果は、プラセボに比べ有意であることが報告された。米国フロリダ病院&サンフォード-バーナム研究所のSteven R. Smith氏らが行った、2年にわたる98施設参加の多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検試験「BLOOM」の結果で、NEJM誌2010年7月15日号で発表された。2年にわたる無作為化プラセボ対照二重盲検試験BLOOM(Behavioral Modification and Lorcaserin for Overweight and Obesity Management)試験は、3,182例の肥満・過体重の成人(平均BMI:36.2)を無作為に、lorcaserin 10mgを1日2回投与を受ける群と、同プラセボ投与を受ける群に割り付け行われた。全員、食事療法と行動変容のカウンセリングも受けた。試験は2年にわたり、投与開始52週時点で割り付けの再設定が行われ、プラセボ群は全員引き続きプラセボを、lorcaserin群は無作為にlorcaserinかプラセボを受ける群に再設定された。主要評価項目は、1年時点の体重減少、2年時点の体重減少維持。安全性については、FDA定義の心弁膜症の発現について心エコー検査で確認がされた。1年時点で試験を受けていたのは、lorcaserin群55.4%(883/1,595例)、プラセボ群45.1%(716/1,587例)だった(両群計1,599例)。2年時点では、両群計1,553例だった。1年で5%以上体重減少、lorcaserin群47.5%、プラセボ群20.3%1年時点で、体重が5%以上減少したのは、lorcaserin群は47.5%、プラセボ群は20.3%だった(P<0.001)。重量減少でみると、1年間でlorcaserin群は平均5.8±0.2kg、プラセボ群は平均2.2±0.1kgだった(P<0.001)。1年間lorcaserin投与を受け基線より5%以上体重減少した人について、2年目も引き続きlorcaserin投与を受けた人の方が、2年目はプラセボ投与を受けた人よりも体重減少が維持されていた(67.9%対50.3%、P<0.001)。心エコー検査が行われたのは、1年目2,472例、2年目1,127例だった。いずれもlorcaserin投与に関する心臓弁膜症の増大は認められなかった。lorcaserin群で最も頻度の高かった有害事象は、頭痛、めまい、吐き気で、重篤な有害事象の発生は両群で同等だった。Smith氏は、「行動変容とともにlorcaserin投与を受けた患者の体重減少および維持改善は、プラセボ群と比べて有意だった」と結論している。(医療ライター:武藤まき)

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テレケア介入で、がん患者の疼痛症状、うつ病を改善

症状監視自動モニタリングと連結した遠隔医療(テレケア)管理システムは、都市部の点在するがんケア施設の患者や、地方のがんケア施設で暮らす患者の、疼痛症状やうつ病を改善する効果があるという。米国インディアナポリス・Richard Roudebush退役軍人メディカルセンターのKurt Kroenke氏らが、無作為比較対照試験を行い明らかにした。疼痛症状とうつ病は、がん関連の最も一般的かつ治療可能な症状だが、認知されていなかったり、治療がされていなかったりする頻度も高い。Kroenke氏らは、テレケア管理システムに、そうした状況を改善する効果があるのか検討を行った。JAMA誌2010年7月14日号掲載より。がんケア施設入所者をテレケア介入群と通常ケア群に無作為化し追跡試験は、INCPAD(Indiana Cancer Pain and Depression)試験に協力する地域密着型がんケア施設(都市部と地方合わせて16施設)で行われた。2006年3月~2008年8月に被験者を動員し、2009年8月まで追跡された。うつ病(Patient Health Questionnaire-9)スコアが10以上か、がん疼痛[Brief Pain Inventory(BPI)worst pain]スコアが6以上、あるいは両スコアを満たしていた被験者を、無作為に、テレケアの介入を受ける群(202例)と、通常ケア群(203例)に割り付け、症状タイプごとに分析した。介入群の患者は、ナースフィジシャン専門家チームによるテレケア統合管理システムを受けた。双方向の音声録音またはインターネットで症状を自動で監視する在宅モニタリングシステムが活用された。主要評価項目は、基線・1・3・6・12ヵ月時点で盲見評価された、HSCL-20評価によるうつ病スコア、およびBPI評価による疼痛重症度とした。介入群の改善効果が一貫して大きい被験者405例のうち、うつ病の単一症状が認められたのは131例、疼痛の単一症状が認められたのは96例、両症状が認められたのは178例だった。疼痛症状があった274例のうち、介入群の137例は通常ケア群の137例より、試験12ヵ月一貫してBPIスコアの改善が、より大きかった。平均スコア(範囲0~10)の改善(P<0.001)、基線からのBPI改善が30%以上(P<0.001)、いずれの指標でも介入群の改善が大きかった。同様にうつ症状があった309例も、介入群の154例が通常ケア群の155例より、12ヵ月の間のHSCL-20スコアの改善が、より大きかった。平均スコア(範囲0~4)の改善(P<0.001)、基線からのHSCL-20改善が50%以上(P<0.001)、いずれの指標でも介入群の改善が大きかった。両群間の標準エフェクトサイズ差は、疼痛については3ヵ月時点0.67(95%信頼区間:0.33~1.02)、12ヵ月時点0.39(同0.01~0.77)、うつ病については3ヵ月時点0.42(同0.16~0.69)、12ヵ月時点0.41(同0.08~0.72)だった。

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変形性腰椎症を伴う慢性腰痛へのグルコサミン投与、痛みの日常生活への影響を改善せず

変形性腰椎症を伴う慢性腰痛に対しグルコサミンを6ヵ月投与したが、日常生活の痛みの改善に効果は認められなかったことが、ノルウェーのオスロ大学病院のPhilip Wilkens氏らが行った、無作為化プラセボ対照二重盲検試験で明らかにされた。グルコサミンを服用する腰痛患者は少なくないが、変形性腰椎症を伴う慢性腰痛に対する効果についての研究は、これまでほとんど行われていなかった。JAMA誌2010年7月7日号掲載より。グルコサミンを6ヵ月投与、RMDQスコアやQOLスコアを比較同氏らは、変形性腰椎症を伴う慢性腰痛で25歳以上の患者、合わせて250人を無作為に2群に分け、一方には経口グルコサミン1,500mg/日を、もう一方にはプラセボを、6ヵ月にわたり投与した。試験開始後、6週間、3ヵ月、6ヵ月、1年後に、その効果について調査を行った。主要アウトカムは、痛みの日常生活に与える影響についての尺度であるRoland Morris Disability Questionnaire(RMDQ)スコアだった。副次アウトカムは、安静時・運動時の痛みのスコアと、生活の質(QOL)の尺度であるEuroQol-5 Dimensions(EQ-5D)スコアだった。6ヵ月、1年後ともに両群で有意差なし試験開始時のRMDQスコアの平均値は、グルコサミン群9.2、プラセボ群9.7と、両群で有意差はなかった(p=0.37)。試験開始6ヵ月後のRMDQスコアの平均値も、グルコサミン群とプラセボ群ともに、5.0(95%信頼区間:4.2~5.8)だった。試験開始1年後も、RMDQスコアの平均値はグルコサミン群が4.8(同:3.9~5.6)、プラセボ群が5.5(同:4.7~6.4)と同等だった。また試験開始6ヵ月後から1年後にかけての変化についても、RMDQスコア(p=0.72)、安静時の腰痛スコア(p=0.91)、運動時の腰痛スコア(p=0.97)、QOLに関するEQ-5Dスコア(p=0.20)のいずれについても、両群で有意差はみられなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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