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早期アルツハイマー病における多剤併用と身体能力との関係

 トルコ・University of Health SciencesのAysegul Akkan Suzan氏らは、早期アルツハイマー病患者の歩行を評価するために用いられる特定の身体能力測定と、多剤併用との関連を評価する目的で本研究を実施した。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2023年12月11日号の報告。 3次医療センターの認知症外来クリニックで横断的研究を実施した。1日当たり5剤以上の薬物治療を多剤併用の定義とし、対象患者から中等度~重度の認知症患者は除外した。身体的パフォーマンスステータスの評価には、通常歩行速度(UGS)、Timed Up & Go(TUG)テスト、椅子立ち上がりテスト(CSST)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・対象患者134例(女性の割合:67.9%、平均年齢:80.2±7.9歳)のうち、75例(56%)が多剤併用患者であった。・多剤併用患者はそうでない患者と比較し、身体的パフォーマンスが不良であった(UGS:p=0.005、TUG:p<0.001、CSST:p<0.001)。・多剤併用患者では、次のパラメーターが有意に高かった。 BMI(p=0.026) 高血圧(p=0.013) 糖尿病(p=0.018) 虚血性心疾患(p<0.001) 心房細動(p=0.030) うつ病(p=0.012) 甲状腺機能低下症(p=0.007)・多変量解析では、多剤併用と独立して関連していた因子は次のとおりであった。 UGSの遅さ(オッズ比[OR]:1.248、95%信頼区間[CI]:1.145~1.523、p=0.007) TUGの長さ(OR:1.410、95%CI:1.146~1.736、p=0.001) CSSTの長さ(OR:1.892、95%CI:1.389~2.578、p<0.001) 著者らは、「早期アルツハイマー病患者において、多剤併用と身体的パフォーマンス低下との関連が示唆された。高齢のアルツハイマー病患者における多剤併用および薬剤サブグループと身体的パフォーマンスとの関係を調査する、長期プロスペクティブ研究の実施が望まれる」としている。

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開発中の外用PDE4阻害薬、アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬に有望

 軽症~中等症アトピー性皮膚炎または尋常性乾癬患者において、開発中の外用PDE4阻害薬PF-07038124は、忍容性が良好で有効性に優れることが示された。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のLawrence F. Eichenfield氏らが海外第IIa相無作為化二重盲検比較試験の結果を報告した。アトピー性皮膚炎および尋常性乾癬は、外用治療薬についてアンメットニーズが存在する。外用PF-07038124は、オキサボロール骨格を有するPDE4阻害薬で、T細胞ベースアッセイにおいて免疫調節活性が確認されており、IL-4およびIL-13に対する阻害活性を有している。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年12月20日号掲載の報告。 試験は2020年12月21日~2021年8月18日に、4ヵ国の34施設で行われた(データ解析は2021年12月15日まで)。対象は、軽症~中等症アトピー性皮膚炎(病変が体表面積の5~20%)または尋常性乾癬(体表面積の5~15%)を有する18~70歳の患者とした。対象患者を1対1の割合で、PF-07038124(0.01%外用軟膏)群または溶媒群に無作為に割り付け、1日1回6週間塗布した。 主要エンドポイントは、アトピー性皮膚炎患者についてはEczema Area and Severity Index(EASI)総スコアのベースラインからの変化率、尋常性乾癬患者についてはPsoriasis Area and Severity Index(PASI)スコアのベースラインからの変化で、いずれも6週時点で評価した。安全性は、治療中に発現した有害事象や塗布部位の反応などを評価した。 主な結果は以下のとおり。・全体で104例が無作為化された(年齢[平均値±標準偏差]:43.0±15.4歳、女性:55例[52.9%]、アジア人:4例[3.8%]、黒人:13例[12.5%]、白人:87例[83.7%])。・内訳は、アトピー性皮膚炎患者70例、尋常性乾癬患者34例であった。・ベースラインの患者背景は、概してバランスが取れていた。・6週時点において、PF-07038124群は溶媒群と比較して、EASI総スコアのベースラインからの変化率(最小二乗平均値:-74.9% vs.-35.5%、群間差:-39.4%[90%信頼区間[CI]:-58.8~-20.1]、p<0.001)が有意に改善した。・同様に、PASIスコアのベースラインからの変化(-4.8 vs.0.1、群間差:-4.9[90%CI:-7.0~-2.8]、p<0.001)もPF-07038124群が有意に改善した。・治療中に有害事象が発現した患者数は、アトピー性皮膚炎患者の治療群間(PF-07038124群9例[25.0%]vs.溶媒群9例[26.5%])、尋常性乾癬患者の治療群間(3例[17.6%]vs.6例[35.3%])のいずれも同等であった。・PF-07038124の塗布部位反応は報告されなかった。

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ガイダンスに基づくオピオイド処方で死亡率が低減/BMJ

 オピオイド使用障害の患者では、「リスク軽減ガイダンス(Risk Mitigation Guidance; RMG)」に基づくオピオイド処方により、過剰摂取による死亡および全死因死亡の発生率が有意に低下し、違法薬物に代わる医薬品の提供は有望な介入策となる可能性があることが、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のAmanda Slaunwhite氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年1月10日号で報告された。カナダ・ブリティッシュコロンビア州の後ろ向きコホート研究 研究グループは、RMGに基づくオピオイド(モルヒネ)および精神刺激薬(デキストロアンフェタミン、メチルフェニデート)の処方が、薬物の過剰摂取と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)という公衆衛生上の二重の緊急事態下に、死亡と急性期治療のための受診に及ぼした影響を明らかにする目的で、住民ベースの後ろ向きコホート研究を行った(カナダ健康研究所[CIHR]などの助成を受けた)。 2020年3月27日~2021年8月31日に、カナダ・ブリティッシュコロンビア州で、RMG処方としてオピオイド(5,356例、年齢中央値38歳、女性36.4%)または精神刺激薬(1,061例、39歳、38.5%)の処方を受けたオピオイド使用障害または精神刺激薬使用障害の患者5,882例(535例が両方の処方を受けた)を解析に含めた。RMG精神刺激薬処方では予防効果はない 高次元傾向スコアマッチング法による解析では、RMGに基づく1日分以上のオピオイド処方を受けた患者(5,356例)は、同処方を受けていない対照群の患者(5,356例)と比較して、処方日から1週間以内の全死因死亡率(補正後ハザード比[HR]:0.39、95%信頼区間[CI]:0.25~0.60)および過剰摂取関連死亡率(0.45、0.27~0.75)が有意に低かった。 一方、RMGに基づく1日分以上の精神刺激薬処方を受けた患者(1,061例)と、同処方を受けていない対照群の患者(1,061例)の比較では、1週間以内の全死因死亡率(補正後HR:0.50、95%CI:0.20~1.23)および過剰摂取関連死亡率(0.53、0.18~1.56)の低下について、いずれも有意差を認めなかった。 また、RMGオピオイド処方による1週間以内の死亡の予防効果は、特定の週に処方された薬剤の日数が多いほど高くなった。RMGオピオイド処方を4日分以上受けた患者は、対照群と比較して、全死因死亡(補正後HR:0.09、95%CI:0.04~0.21)および過剰摂取関連死亡率(0.11、0.04~0.32)が有意に低下し、いずれも1日分以上の処方よりも優れた。RMG精神刺激薬処方は全原因による急性期受診を抑制 RMGオピオイド処方は、あらゆる要因による急性期治療のための受診(オッズ比[OR]:1.02、95%CI:0.95~1.09)および過剰摂取による急性期治療のための受診(1.09、0.93~1.27)のいずれにも有意な変化をもたらさなかった。 また、RMG精神刺激薬処方は、あらゆる要因による急性期受診(OR:0.82、95%CI:0.72~0.95)を有意に低下させたが、過剰摂取による急性期受診(0.88、0.63~1.23)には影響しなかった。 著者は、「RMG処方を受けた人々の多くは、不安定な住宅事情と貧困の割合が不釣り合いに高いことから、劣悪な健康状態への寄与が示されている重層的で複雑な社会的・経済的な不平等を経験していることが示唆される」としている。

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父親の飲酒は子の先天性異常と関連

 妊婦の飲酒が胎児の健康に悪影響を及ぼすことは、これまで多くの研究で指摘されている。しかし、男性の飲酒も新生児の先天性異常のリスクを高める可能性のあることが新たな研究で明らかになった。論文の上席著者である米テキサスA&M大学獣医学・生物医学科学大学教授のMichael Golding氏は、「新生児の先天性異常を避けたい男性は、妊娠を試みる3カ月前から禁酒するべきだ」と述べている。この研究結果は、「Andrology」に12月3日掲載された。 胎児性アルコール症候群は妊娠中の大きなリスクであり、出生児に顔面などの形態異常、低出生体重、注意力や多動性の問題、協調性の欠如などを引き起こす可能性がある。胎児性アルコール症候群を診断する際には、母親の妊娠中の飲酒の有無を確認する必要があるが、父親に対する確認は必要とされていない。Golding氏は、「長い間、男性の飲酒については全く考慮されてこなかった。ここ5〜8年間でようやく、特定の条件下では、父親のアルコール摂取が胎児の発育に非常に強い影響を及ぼす可能性のあることが検討されるようになった」と話す。 研究グループによると、定期的に飲酒する男性の精液は、胎児性アルコール症候群やその他の妊娠合併症に関連する脳や顔の欠陥に関連し、父親の飲酒により精子の遺伝子に生じたエピジェネティックな変化が子の外観や性質などに影響を及ぼすことが、先行研究で示唆されているという。しかし、禁酒することで精子のエピジェネティックな変化がどの程度緩和するのかについては、明確になっていない。 Golding氏らは今回、定期的に飲酒している人が飲酒を4週間控えた場合に、精巣上体頭部での精子の遺伝子発現パターンが飲酒をしていない場合と比べてどう変わるのかを、マウスを用いた実験で検討した。マウスには、6%または10%のアルコールを10週間摂取させ、その後の4週間は摂取させなかった。その後、精巣上体の頭部から精子を採取してRNAやミトコンドリアDNAの解析を行い、アルコール摂取が精子のsmall RNA量やミトコンドリアDNAのコピー数に及ぼす影響を検討した。これまでの研究では、small RNAが親から子への環境情報のエピジェネティックな伝達において中心的な役割を果たすことや、アルコール摂取が肝臓でのミトコンドリアDNAのコピー数と転写に影響を与えることが示唆されている。 その結果、慢性的なアルコール摂取は、精巣上体頭部のミトコンドリア機能、酸化的リン酸化、および一般的なストレス応答に関連する遺伝的経路の転写制御に変化をもたらすことが明らかになった。また、精巣上体全体にわたってアルコール摂取によりミトコンドリアDNAのコピー数が変化し、この変化はアルコールに曝露した精子のミトコンドリアDNA含有量の増加と関連することも判明した。アルコールを摂取したマウスでは、アルコールの離脱から1カ月が経過してもミトコンドリアDNAのコピー数の増加が維持され、small RNAの一種であるマイクロRNA(mir-196a)はアルコールを摂取していないマウスの約100倍であった。 こうした結果を受けてGolding氏は、「この研究では、アルコールからの離脱期間でも、精子はアルコール摂取の悪影響を受け続けていることが明らかになった。これは、精子がもとの正常な状態に戻るまでには、これまで考えられていたよりもはるかに長い時間がかかることを意味する」と大学のニュースリリースで述べている。 またGolding氏は、「離脱期間中に肝臓は恒常的に酸化ストレスにさらされるため、肝臓から体全体にそのシグナルが送られる。生殖系はそのシグナルを、『酸化ストレスが非常に強い環境に置かれている』と解釈し、その環境にも適応できるように子孫をプログラムしている可能性がある」と説明する。そして、そうした適応が、胎児性アルコール症候群のような問題を引き起こしている可能性が高いとの見方を示している。 Golding氏は、今回の研究で得られた知見により、妊娠アウトカムが改善するとともに、アルコール関連の先天性異常の責任を母親にのみ求める考え方に変化が生じることに期待を示している。また、「精子は60日かけて作られ、アルコール離脱には少なくとも1カ月かかるため、安全を期して、父親は、妊娠の3カ月前からアルコールの摂取を控えるべきだ」と助言している。

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耳かきによる外耳道がん、利き手側に多い【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第249回

耳かきによる外耳道がん、利き手側に多いUnsplashより使用耳かきをし過ぎると、外耳道がんのリスクが上昇するということが知られています。右利きの人は、右耳を重点的に掃除しやすく、左利きの人は左耳を重点的に掃除しやすいそうです。確かに、利き腕側の穴のほうがきれいに掃除できる気がする…。ホジホジ。ということは、利き腕側に外耳道がんが発生しやすいということでしょうか。それを調べた研究を紹介しましょう。Tsunoda A, et al. Right dominance in the incidence of external auditory canal squamous cell carcinoma in the Japanese population: Does handedness affect carcinogenesis?Laryngoscope Investig Otolaryngol. 2017 Feb;2(1):19-22.この後ろ向き観察研究は、68例の外耳道がん(扁平上皮がん)を登録し、左右どちらの耳に発がんしたのかを観察した後ろ向き研究です。全体としては、52例が右側、16例が左側の外耳道がんだったのですが、利き腕と耳かきの習慣については、34例のみで情報収集可能でした。34例の利き手に関しては、29例が右利き、4例が左利き、1例が両利きという結果でした。右利き29例中27例および両利き1例では右側にがんが発生し、左利き3例では左側にがんが発生しました(表)。表. 外耳道がん発生の詳細(文献より引用)すなわち、ほとんどの症例が自分の利き手と同じ側に外耳道がんを発症しており、統計学的に有意差があったと記載されています。耳かきは、とくに日本でポピュラーな習慣ですが、実は今から3千年以上前の、河南省安陽の殷墟婦好墓から、耳かきが2本出土していることが耳かき界ではよく知られていることです。クセになって外耳道がんのリスクが上がるというのは困ったものですね。個人的には毎日やらないよう、注意しています。

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ATTR心アミロイドーシス、acoramidisが予後を改善/NEJM

 トランスサイレチン型(ATTR)心アミロイドーシス患者において、acoramidisの投与により、全死因死亡、心血管関連入院および心機能と身体機能の要素を含む4段階の階層的主要アウトカムがプラセボより有意に改善し、有害事象は両群で類似していた。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのJulian D. Gillmore氏らが、第III相無作為化二重盲検比較試験「Efficacy and Safety of AG10 in Subjects with Transthyretin Amyloid Cardiomyopathy:ATTRibute-CM試験」の結果を報告した。ATTR心アミロイドーシスは、単量体がミスフォールドされたトランスサイレチン(TTR)の心臓への蓄積が特徴である。acoramidisは四量体TTRの解離を阻害する高親和性TTR安定化薬で、ex vivoでは異なる投与間隔の全体で90%以上の安定化をもたらし、第II相試験で有効性が確認されていた。NEJM誌2024年1月11日号掲載の報告。4つのアウトカムを階層的に解析しacoramidisとプラセボを比較 研究グループは、ATTR心アミロイドーシスと確定され臨床的心不全を有する18歳以上90歳未満の患者を、acoramidis群(acoramidis hydrochloride 800mgを1日2回投与)またはプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付け、30ヵ月間投与した。 主要有効性解析対象集団は、推定糸球体濾過量(eGFR)30mL/分/1.73m2以上の患者。4段階の階層的主要アウトカムは、全死因死亡、心血管関連入院、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)値のベースラインからの変化量、6分間歩行距離のベースラインからの変化量とし、Finkelstein-Schoenfeld法を用いて階層的に解析を行い、各層内のすべての患者をペアワイズ法により比較した。重要な副次アウトカムは、全死因死亡、6分間歩行距離、カンザスシティ心筋症質問票の全体サマリーのスコア、血清TTR値とした。acoramidis群で、全死亡、心血管関連入院、NT-proBNP、6分間歩行距離が有意に改善 2019年4月~2020年10月に、計632例が無作為化され(acoramidis群421例、プラセボ群211例)、主要有効性解析対象集団は611例(それぞれ409例、202例)であった。 主要アウトカムは、4段階の階層的解析においてacoramidis群がプラセボ群よりも有意に良好であることが示された(p<0.001、Finkelstein-Schoenfeld検定)。ペアワイズ比較の63.7%がacoramidisを支持、35.9%がプラセボを支持し、win比は1.8(95%信頼区間[CI]:1.4~2.2)であった。 全死因死亡と心血管関連入院を合わせると、勝ち負けの半分以上(全ペアワイズ比較の58.0%)が勝率に寄与し、4つの項目のうちNT-proBNPのペアワイズ比較でwin/loss比が最も高かった(23.3% vs.7.0%)。 すべての有害事象の発現率はacoramidis群98.1%、プラセボ群97.6%で類似しており、重篤な有害事象の発現率はそれぞれ54.6%および64.9%であった。

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睡眠で認知症予防、良質な睡眠を誘う音楽とは?【外来で役立つ!認知症Topics】第13回

認知症予防の睡眠で注目される「グリンパティック系」多くの病気の予防因子として共通するのが、運動、栄養、休養である。認知症の場合は、これに知的刺激や社会交流が加わる。具体的な予防法に注目すると、運動なら有酸素運動やデュアルタスク、栄養なら地中海食など具体的な目玉項目がある。しかし休養ではそれがなかった印象がある。「そもそも休養とは何か?」も難しいのだが、これは睡眠のことと考えていいだろう。とはいえ、「認知症予防の睡眠とは?」となるとこれというものはなく、いまひとつであった。そこに現れたのが、「グリンパティック系」である。筆者が学生の頃には、代謝過程の老廃物の処分を担うリンパ系器官が脳にはないと教わった。確かに脳には解剖学的にリンパ系はないが、実は同じ役割を担うものがあると判明した。それがグリンパティック系である1)。これは血管周囲の星状膠細胞により形成されたトンネル様構造で、中枢神経系の廃棄物を脳脊髄液と共に除去する系である。アルツハイマー病等の変性疾患に関連する異常蓄積蛋白もこの系で除去される。そして除去は睡眠中に行われることがわかったことが重要だ。だから睡眠不足は悪者蛋白の除去効率を下げることになる。さて疫学的に睡眠時間と認知症発症の関係は注目され、7時間睡眠が最も発症に防御的だとした大規模メタアナリシスも報告されている。ところが、日本人は世界的にみて最も睡眠時間が短く、平均6時間程度とされる。このこともあってか、近年アルツハイマー病予防に関連して、グリンパティック系を軸にした睡眠に注目が集まりつつある。睡眠関連障害と認知症の関係ところで睡眠障害は不眠ばかりでない。たとえばレム睡眠行動障害、睡眠時無呼吸症候群、レストレスレッグス症候群(RLS)などいくつもの病気がある。こうしたさまざまな睡眠関連障害と認知症発症の関係もまた研究され、すでにメタアナリシスもある2)。そしてこれらの睡眠関連障害の多くが認知症発症に関係することが示されている。認知機能低下に関連する要因として代表的なものが、レム睡眠行動障害(リスク比[RR]=1.90、95%信頼区間[CI]=1.23~2.91、I2=0%)、睡眠時無呼吸症候群(RR=1.29、95%CI=1.12~1.48、I2=40%)、ベッドで長時間過ごすこと(RR=1.15、95%CI=1.02~1.30、I2=22%)である。なおレストレスレッグス症候群とは無関係であった。逆に認知症に防御的と思われるものもある。習慣的昼寝(high trend:RR=0.46、95%CI=0.21~1.01、I2=45%)については、有意に効果的な傾向が報告されている。良質な睡眠を誘う音楽さて認知症者における睡眠障害はありふれたものである。たとえば、睡眠の不連続性(中途覚醒)、日中の眠気、睡眠効率の悪さ(寝ている時間/ベッドにいる時間)がアルツハイマー病でみられやすい睡眠障害だとされる。そして症状の進行とともに睡眠・覚醒リズムが乱れ、昼夜逆転パターンに至る例が多い。それだけに睡眠の質を良くするという課題は、認知症当事者と家族、また医療者、ケアスタッフにとっても大切である。普通いわれるのは、就床に先立つ運動や入浴、寝室温度をいくらか低めに設定、適切な明るさの設定などである。これまであまり知られていないが、音楽によるスムーズな入眠への効果も検討されており、効果的だとしたメタアナリシスもある。ところが、「どのような音楽をどのように聴いたら、スムーズな入眠効果が生まれるのか?」はほとんど検討されておらず、エビデンスが乏しい3)。しかし経験論的には以下がポイントだとされる。耳に心地よい音楽歌詞のない音楽自然の音のヒーリングミュージック長調の音楽である。音楽の内容は、クラシックや歌謡曲などではない。チルアウト系、アンビエント・ミュージックなどが代表だが、波の音、雨音など自然で単調なものがいい人もいる。筆者の場合、炭がぱちぱちと燃える音を聴いていると自然に眠りに落ちやすい。さて就床してから睡眠への移行における自律神経の活動ぶりは、スムーズな入眠にとっておそらく生理学的な鍵だろう。ところが確立された所見は、意外なほど少ない。ただ副交感神経の働きが優位になることが重要なのは確かなようだ。睡眠と自律神経という観点から考えたとき、音楽的な規則性と不規則性の調和を意味する「1/fのゆらぎ」の音楽が注目され、これが心地よさを生み出すといわれる。そしてこの種の音楽が副交感神経活動を優位にするとの報告もある。マインドフルネス瞑想も認知症者の睡眠の質を向上させる一方で、現代社会で、ストレスを軽減する方法として、マインドフルネスなど自律神経に注目したものが有名である。つまり副交感神経の働きを高め、交感神経の働きを低下させることで、心身の安定を得ることが基本になる。マインドフルネスのみならず、ヨガ、瞑想、また座禅にも同様の効果があるとされる。これらに共通するのは、ペースド・ブリージング(paced breathing)と呼ばれる「1分間あたり10回以下」のゆったりとした呼吸方法である。この呼吸法によって、横隔膜に至る迷走神経が刺激を受けて、副交感神経の働きが高まるとされる。知的に正常の人はもとより、軽度認知障害や認知症の人でも、この方法は有効だとの報告がある。睡眠に関しては、マインドフルネス瞑想で睡眠の質が向上すると報告したメタアナリシスもある。こうした知見から、呼吸法、副交感神経という観点から、認知症者の不眠改善につながる音楽を追求するのも、これからの治療法になるかと思われる。参考1)Lohela TJ, et al. The glymphatic system: implications for drugs for central nervous system diseases. Nat Rev Drug Discov. 2022;21:763-779.2)Xu W, et al. Sleep problems and risk of all-cause cognitive decline or dementia: an updated systematic review and meta-analysis. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2020;91:236-244.3)Jespersen KV, et al. Music for insomnia in adults. Cochrane Database Syst Rev. 2015;2015:CD010459.

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第80回 外来で増えた「私も抗MDA5抗体ですか?」

Unaplashより使用八代 亜紀さんが、抗MDA5抗体陽性の間質性肺炎増悪のため逝去されました。東日本大震災のときに被災地に行って歌っていたのが印象的でした。彼女が亡くなってからというもの、膠原病関連間質性肺疾患で通院している患者さんから「私も八代 亜紀さんのように肺炎が急速に悪化しないでしょうか?」「私も抗MDA5抗体陽性でしょうか?」という質問が増えました。確かに心配になりますよね。ただ、現在通院している人が実は抗MDA5抗体陽性でした、ということは今の日本の診療ではほとんどないと思います。たぶん。抗MDA5抗体陽性の皮膚筋炎は通称、CADM(Clinically amyopathic dermatomyositis:筋症状のない皮膚筋炎)と呼ばれていますが、その他の膠原病と比較して重症の間質性肺炎を起こしやすい特徴があります。この抗体が陽性になった場合、「スイッチが入る」と表現する医師が多いです。同抗体が測定されないと診断しようがないのは事実ですが、皮膚筋炎をみたときにはチェックしておきたいですし、手の潰瘍やGottron徴候・逆Gottron徴候があるのに抗核抗体が陰性ならば疑う必要があります1)。そして、この疾患を診療していくうえで、とにかく重要なのはフェリチンと考えられます。抗MDA5抗体陽性例では、フェリチン高値(≧500ng/mL)は死亡リスクが高くなり、高いほど予後不良になっていきます2)。「同じ病気」で死去したとされるのが美空 ひばりさんです。Wikipediaによると、最後の1年では「脚の激痛と息苦しさで、歌う時はほとんど動かないままの歌唱であった。この頃すでに、ひばりの直接的な死因となった『間質性肺炎』の症状が出始めていたとされており、立っているだけでも限界であったひばりは、歌を歌い終わるたびに椅子に腰掛け、息を整えていたという。」と記載されています。当時は抗MDA5抗体なんて知る由もなかった時代ですし、膠原病関連間質性肺疾患でさえ存在があまり知られていなかったと思われます。ただ、彼女は肝硬変やCOPDも合併していましたし、亡くなる数年前から症状が出ていることから、「同じ病気」とは断定できないと思っております。参考文献・参考サイト1)Chen F, et al. Anti-MDA5 antibody is associated with A/SIP and decreased T cells in peripheral blood and predicts poor prognosis of ILD in Chinese patients with dermatomyositis. Rheumatology international. 2012;32:3909-3915.2)Goto T, et al. Clinical manifestation and prognostic factor in anti-melanoma differentiation-associated gene 5 antibody-associated interstitial lung disease as a complication of dermatomyositis. Rheumatology. 2010 Sep;49(9):1713-1719.

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ROS1融合遺伝子陽性NSCLC、repotrectinibが有望/NEJM

 ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、repotrectinibはROS1チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の治療歴を問わず、持続的な臨床活性を示したことが、米国・スローンケターリング記念がんセンターのAlexander Drilon氏らが行った第I/II相試験(「TRIDENT-1試験」)で示された。有害事象は主にグレードが低く、長期の投与に適するものであった。ROS1融合遺伝子陽性NSCLCの治療に承認されている初期世代のROS1 TKIは、抗腫瘍活性を有するが、耐性が生じ、頭蓋内活性が最適とはいえない。repotrectinibは、前臨床試験においてROS1 G2032Rなどの耐性変異を含むROS1融合遺伝子陽性がんに対する活性が示された次世代のROS1 TKIであり、研究グループは承認申請のため本検討を行った。NEJM誌2024年1月11日号掲載の報告。奏効率、奏効期間、無増悪生存期間などを評価 研究グループは、ROS1融合遺伝子陽性NSCLCを含む進行固形がん患者を対象に、repotrectinibの有効性と安全性を評価する第I/II相試験を行った。 第II相試験の有効性の主要評価項目は奏効率だった。有効性の解析は、第I相および第II相試験の被験者を対象に行った。第II相試験の副次評価項目は、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、および安全性であった。ROS1 TKI未治療患者のDOR中央値は34.1ヵ月 第I相試験の結果に基づき、第II相試験でのrepotrectinibの推奨用量は、160mg/日を14日間投与後、160mgを1日2回とされた。 ROS1 TKI未治療のROS1融合遺伝子陽性NSCLC患者において、奏効が認められたのは71例中56例(79%、95%信頼区間[CI]:68~88)であり、DOR中央値は34.1ヵ月(95%CI:25.6~推定不能)、PFS中央値は35.7ヵ月(27.4~推定不能)だった。 1種類のROS1 TKIによる治療歴があり、化学療法歴のないROS1融合遺伝子陽性NSCLC患者において、奏効が認められたのは56例中21例(38%、95%CI:25~52)であり、DOR中央値は14.8ヵ月(95%CI:7.6~推定不能)、PFS中央値は9.0ヵ月(6.8~19.6)だった。 ROS1 G2032R変異陽性の患者において、奏効が認められたのは17例中10例(59%、95%CI:33~82)だった。 第II相試験用量の投与を受けた426例のうち、頻度が高かった治療関連有害事象は、めまい(58%)、味覚障害(50%)、錯感覚(30%)であった。治療関連有害事象のためrepotrectinibを中止したのは3%だった。

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脂質異常症に対する遠隔栄養指導の効果は対面と同等

 脂質異常症の患者に対する管理栄養士によるオンラインでの栄養指導は、対面での指導と同等の効果があるとする研究結果が報告された。米ミシガン大学のShannon Zoulek氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Clinical Lipidology」に11月17日掲載された。 オンラインによる遠隔医療は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによって急速に普及した。その後、COVID-19は収束したが、引き続き遠隔医療を利用する患者が少なくない。本研究が行われたミシガン大学の心臓病予防のための栄養プログラムでは、2022年時点において受診者の約5人に1人が遠隔での指導を希望している。ただし、これまでのところ、脂質異常症に対する栄養指導の効果が、対面と遠隔で異なるのかどうかは十分検討されておらず、Zoulek氏らはその点を観察研究により検証した。 2019年3月末から2022年9月末に、同大学の心疾患予防プログラムの栄養指導を受けた274人のうち192人が解析対象とされた。このうち151人(78.6%)が対面、41人(21.4%)が遠隔で指導を受けていた。これら両群間で、性別、人種/民族、BMI、処方されているスタチンの強度、エゼチミブの処方率、およびその他の脂質異常症治療薬の使用状況などの群間差は非有意だった。 栄養指導の前と指導の後(間隔は中央値33日)に、血清脂質〔総コレステロール、善玉コレステロール(HDL-C)、中性脂肪〕を測定。それらの測定値からSampson式に基づき悪玉コレステロール(LDL-C)を算出し、また善玉以外のコレステロール(non-HDL-C)も算出した。これらの検査値の改善幅を両群間で比較したところ、総コレステロール、LDL-C、non-HDL-Cは、いずれも両群ともに指導後に有意に低下していて、低下幅に有意差は見られなかった。 この結果について論文の筆頭著者であるZoulek氏は、「われわれの研究は、バーチャルのフォーマットを利用した栄養指導でも、対面での介入と同等の短期的な臨床転帰を達成できるという考えを裏付けるものだ」と総括。その上で、「コレステロール値の改善は心血管イベントリスクの軽減につながると考えられ、治療アクセスの選択肢が増えることは、治療を受けようとしている患者にとってメリットとなるだろう」と付け加えている。 また、共著者の1人である同大学のBeverly Kuznicki氏は、「栄養ケアへのアクセスは非常に重要であり、われわれの研究はコレステロール値の改善に対してバーチャルケアがいかに効果的であるかを示している。バーチャルケアでは、栄養士が患者のキッチンの様子を覗き込み、2人が協力して冷蔵庫の中にある食材を使った献立を考えたりすることも可能だ」と、対面医療にはない遠隔医療の特色を強調している。 また研究グループによると、遠隔医療のそのほかのメリットとして、経済的弱者やマイノリティー、非都市部の居住者の医療アクセスが改善される可能性が、米国全土での調査結果として示されているという。さらに論文の上席著者である同大学のEric Brandt氏は、「バーチャルケアの推進は、COVID-19パンデミックという災禍の中から生まれた希望の光と言えるのではないか。従来型のケアにあった、いくつかの障壁の克服につながる多くのメリットが、バーチャルケアには存在している」と評している。

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脂の多い魚の摂取はCVDリスクを低下させる

 心血管疾患(CVD)の家族歴のある人は、サケ、サバ、ニシン、イワシなどの脂肪の多い魚の摂取を増やすと良いようだ。CVDの家族歴がありオメガ3脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)の血中濃度が低い人では、CVDの家族歴がなくEPA/DHAの血中濃度も低くない人に比べて、CVDのリスクが40%以上高いことが新たな研究で明らかになった。一方、EPA/DHAの血中濃度が十分であれば、CVDの家族歴があってもリスクは25%の増加にとどまることも示されたという。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のKarin Leander氏らによるこの研究の詳細は、「Circulation」に12月4日掲載された。 この研究では、4万885人の成人を対象に、多価不飽和脂肪酸(PUFA)の低血中濃度と、CVDの家族歴を有する人におけるCVDリスク(致死的または非致死的な冠動脈疾患と脳梗塞)との関連が検討された。対象者の血液および組織を用いて、n-6系PUFAであるリノール酸(LA)と、n-3(オメガ3)系PUFAであるα-リノレン酸(ALA)およびEPA/DHAのレベルを測定し、そのレベルが下位25%以下の場合を「低濃度」と定義した。これらのPUFAはいずれも体内では合成できないため、食事から摂取する必要がある。Leander氏は、「PUFA量は、自己申告による食事データよりも血液や組織中の脂肪酸レベルに基づいて推定する方が、より客観的で正確だ」と説明している。 関連因子を調整して解析した結果、EPA/DHAは、CVD家族歴との間に有意な交互作用のあることが示された。EPA/DHAが低濃度ではなくCVDの家族歴もない人に比べて、EPA/DHAが低濃度でCVDの家族歴がある人でのCVD発症の相対リスクは1.41(95%信頼区間1.30〜1.54)であった。同リスクは、EPA/DHAが低濃度またはCVDの家族歴のどちらかのみを有する場合には低下し、CVDの家族歴のみの場合で1.25(同1.16〜1.33)、EPA/DHA低濃度のみの場合で1.06(同0.98〜1.14)であった。 研究グループは、「これらの結果は、健康的な生活習慣により遺伝的リスクを克服できる可能性があることを示すものだ」と述べる。Leander氏も、「この研究は、CVDの家族歴がある人は、脂肪の多い魚の摂取を増やすことで得られるものが多いことを示唆している」と語る。 Leander氏は、「CVDは、双生児研究で示されているように、ある程度は遺伝性のものであり、その制御遺伝子を特定することは困難であった。現時点で考えられる有力な仮説は、CVDは遺伝と環境の組み合わせにより生じるというものだ」と話している。

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宴席などの誘いを断っても、相手は気にしていない

 年末年始は何かとイベントの誘いが増える。中にはあまり気の乗らないイベントがあるかもしれない。そのような時、「せっかく誘ってくれたのに断ったら、相手は嫌な思いをするのではないだろうか」と心配し、断り切れずに参加してしまうということがないだろうか。しかし、新たに発表された研究報告によると、そのような心配はあまり必要ないことが明らかになった。人々は一般的に、他人の誘いを断ることによる相手の心情への影響を気にしすぎる傾向があるという。 この研究は、米ウェストバージニア大学のJulian Givi氏と米ニューヨーク工科大学のColleen P. Kirk氏によるもので、詳細は「Journal of Personality and Social Psychology」に12月11日掲載された。調査によると、4人に3人以上(77%)は、イベントに誘われた際に参加を辞退した場合の影響を懸念して、参加したくない誘いへの招待に応じた経験があるとのことだ。 なぜ、人々は誘いを断ることに後ろめたさを感じ、無理をしてイベントに参加するのかという理由を探るために、Givi氏らは2,000人以上を対象とするいくつかの実験を行った。なお、同氏自身も、「絶対に参加したくないイベントに招待されたことがあるが、参加しなかったら招待してくれた人が機嫌を悪くするのではないかと不安だったので参加した経験がある」という。しかし一連の研究の結果、「誘いを断ることのマイナスの影響は、人々が考えているよりはるかに軽微であることが分かった」と同氏は述べている。 ある実験では、招待される側に設定された人には、レストランでの有名シェフによるディナーに友人から招待されたものの、その日は既に日中の予定が決まっていて夕方以降は自宅でくつろぎたいとの理由で、誘いを断るというシチュエーションを想像してもらった。その一方、招待する側に設定された人には、声をかけた友人から上記と同じ理由で断られたというシチュエーションを想像してもらった。すると、誘いを断った側の人は断られた人以上に、その後の友人関係への影響を懸念し、「これからはもう同じような誘いをしてくれなくなるのではないか」と心配しがちであることが分かった。 別の実験は、恋愛期間5年以上が74%、1~5年未満が21%を占める、付き合いの長いカップル160人を対象に行われた。カップルのうち1人に、今後数週間以内に二人でやってみたいこと(例えば映画鑑賞や外食、ハイキングなど)のパートナー宛の招待状を書いてもらった。その招待状を受け取ったパートナーには、「家でリラックスしたいから」という理由で断るように求めた。すると、断った側の人は、パートナーが実際に感じている以上に怒っているのではないかと懸念したり、または誘いを断ったことが相手の存在を軽視していると解釈されるのではないかと過度に心配したりすることが分かった。これにより研究者らは、たとえ互いに長年の親密な関係にあったとしても、誘いを断った側はその影響を過大評価すると結論付けている。 Givi氏は、無理をして誘いに乗るよりも時には断ることで、燃え尽き症候群のリスクが低下するというメリットがあるとする。同氏は、「休みの日にあまりに多くのイベントがあると、燃え尽き症候群になることが実際にあり得る。よって、誘いを断ることを恐れないでほしい。ただし、他者とともに過ごす時間によって人間関係が構築されることも確かであるため、全ての誘いを断ってよいということではない」とのアドバイスをしている。

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英語で「ICUに立ち寄る」は?【1分★医療英語】第113回

第113回 英語で「ICUに立ち寄る」は?《例文1》Could you swing by the office?(オフィスに立ち寄っていただけますか?)《例文2》I will stop by the floor and talk to the patient.(病棟に立ち寄って、その患者さんと話をしておきます)《解説》“swing by~”は「~に立ち寄る」「顔を出す」という意味になり、病棟やICU、ナースステーションなどに立ち寄ることを伝えるときに使える表現です。“swing”は「揺れる」という意味の動詞ですが、「ブランコが揺れるようにふらっと立ち寄る」というイメージを持ってもらうとよいでしょう。「立ち寄る」という意味を表すほかの表現には“stop by”や“drop by”という熟語がありますが、“stop by”よりも“swing by”や“drop by”のほうが、「より短時間で立ち寄る」というイメージになります。また、例文に出てきた表現の“check on”は「様子を見る」「無事を確かめる」という意味になり、こちらも臨床現場で頻繁に使うフレーズです。講師紹介

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第197回 セマグルチドと自殺念慮は関連せず

セマグルチドと自殺念慮は関連せずGLP-1受容体作動薬の自殺リスクが取り沙汰されていますが、併せて180万例強の電子カルテ解析で幸いにもノボ ノルディスク ファーマのセマグルチド使用患者の自殺念慮はほかの糖尿病薬や抗肥満薬使用患者に比べて多くなく、むしろ少なめでした。今月5日にNature Medicine誌に掲載された解析結果です1)。2つの集団が解析され、その1つは2021年6月~2022年12月にセマグルチドかほかの抗肥満薬が処方された米国の肥満か太り過ぎの約24万例(24万618例)の医療記録の解析です2)。被験者の大半の23万2,771例は先立って自殺念慮を被ったことがなく、残り7,847例は過去に自殺念慮を生じたことがありました。自殺念慮の経験がなかった患者にセマグルチド処方後6ヵ月間に認められた自殺念慮の発生率、すなわち初発率は0.11%、自殺念慮の経験があった患者のセマグルチド処方後6ヵ月間のその再発率は7%ほどでした。一方、ほかの抗肥満薬処方患者の自殺念慮の初発率と再発率はどちらもより高く、それぞれ0.43%と14%でした。2017年12月~2021年5月にセマグルチドかほかの糖尿病薬が投与された2型糖尿病患者160万例弱(158万9,855例)の医療記録を使ったもう1つの解析も同様の結果となりました。セマグルチド投与群の自殺念慮の初発率と再発率はそれぞれ0.13%と10%、ほかの糖尿病薬投与群の自殺念慮の初発率と再発率はより高くそれぞれ0.36%と18%でした。2型糖尿病へのセマグルチド使用は2017年に米国で承認されているので、より長期の経過の比較が可能です。そこで最大3年間の経過を比較したところ、差は縮まってはいたもののセマグルチド投与群の自殺念慮初発率はやはりより低く保たれていました。セマグルチドと自殺念慮が生じ易くなることの関連をそれらの結果は支持していません。一方、セマグルチドが自殺念慮を生じ難くすると決めつけることはできなさそうですが、もしそうであるなら体重減少が心理的によい影響をもたらすことによるのかもしれませんし、まだ知られていないメカニズムによるのかもしれません3)。先週11日に米国FDAはセマグルチドなどのGLP-1作動薬と自殺念慮や自殺行為の関連の調査の途中経過を発表しました。幸い、Nature Medicine誌の報告と一致し、GLP-1作動薬と自殺念慮や自殺行為の因果関係は示されていないとひとまず判断されています4)。ただし若干のリスクの恐れ(small risk may exist)の払拭には至っておらず、FDAの検討は続いています。今後の課題としてより長期のセマグルチド使用と自殺念慮の関連を調べる必要があるとNature Medicine誌報告の著者は言っています2)。また、自殺念慮から一線を越えた自殺企図(suicide attempt)との関連の検討も必要です。参考1)Wang W, et al. Nature Medicine. 2024 January 5. [Epub ahead of print] 2)Semaglutide associated with lower risk of suicidal ideations compared to other treatments prescribed for obesity or type 2 diabetes / NIH3)No link between popular weight loss drugs and suicidal thoughts, health records suggest / Science4)Update on FDA’s ongoing evaluation of reports of suicidal thoughts or actions in patients taking a certain type of medicines approved for type 2 diabetes and obesity / FDA

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エムポックスワクチン、5分の1の投与量でも有効

 コンゴ民主共和国では2023年に入って以来、エムポックス(サル痘)の感染例が例年より大幅に多く、すでに何百人もの人が死亡している。こうした中、米ニューヨーク大学(NYU)の研究グループが、エムポックスワクチン(Jynneos)の5分の1の量を皮内接種することでも十分な感染予防効果が得られるとする研究結果を報告した。筆頭著者であるNYUグロスマン医学部の感染症専門医であるAngelica C. Kottkamp氏は、「ワクチン不足に直面した際の緊急措置として少量のワクチンを投与することの有効性が確認された」と述べている。この研究結果は、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」12月14日号に掲載された。 2022年にLGBTQ+の人やHIV感染者を中心に世界各国でエムポックスが流行し、それに伴い、エムポックスワクチンの供給が限界にまで逼迫した。この事態に対処するために、米食品医薬品局(FDA)は2022年8月9日、より多くのワクチンを行き渡らせるために、通常は皮下投与するJynneosの5分の1の量を皮内投与する接種法に緊急使用許可を与えた。NYUのニュースリリースによると、この年の夏にニューヨークでエムポックスが流行した際に約15万5,000人のニューヨーカーがワクチンを接種したが、その大部分は5分の1用量の接種だったという。しかし、HIV感染者におけるワクチンの皮内投与の効果やJynneos接種後のエムポックスウイルスに対する抗体の持続期間は明らかになっていない。 この研究では、エムポックス罹患歴のない145人のニューヨーカー(男性80.7%)を対象に、Jynneosの皮内投与後の抗体の持続期間が調査された。対象者の24%はHIV感染者で、20%は天然痘ワクチンの接種歴があり、89%(うち85%が男性)はLGBTQ+を自認していた。Kottkamp氏らは、エムポックスウイルス中和の指標として、エムポックスウイルスのH3Lタンパク質に対するIgG抗体価を測定した。 その結果、天然痘ワクチンの接種歴がない人では、Jynneosの2回接種後にH3Lタンパク質に対するIgG抗体価がピークに達した後、低下していくことが明らかになった(抗体半減期107.9日)。一方、天然痘ワクチンの接種歴がある人では2回目接種後3カ月にわたり、より高い抗体価を維持していた。天然痘ワクチンの接種歴がない人では、Jynneosの2回接種後の幾何平均抗体価が1回接種後の4倍だった(199.4対49.6)。Jynneosの2回接種後のIgG抗体価に、投与経路(皮内/皮下投与)やHIVの状態による違いは認められなかった。 主任研究者であるNYUグロスマン医学部のMark Mulligan氏は、「この研究結果は、エムポックスウイルスへの感染リスクが最も高い人には貴重なサポート情報を提供し、また、感染症の専門家には、エムポックスが再流行した場合に、それを短期間で効果的に対処するためのワクチン接種の手段と知識があることの裏付けとなるだろう」と述べている。

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幹細胞治療が進行性心不全患者のQOLを改善

 進行した心不全患者には幹細胞治療が有効であることが、臨床試験で明らかになった。損傷した心臓組織を修復するようにプログラムされた幹細胞の注入を受けた患者では、シャム治療を受けた患者と比べて全体的な生活の質(QOL)が改善することが示されたのだ。米メイヨークリニックの循環器専門医である山田さつき氏らによるこの研究の詳細は、「Stem Cell Translational Medicine」に11月24日掲載された。 心筋梗塞後に心不全が生じる例は珍しくない。これは、心筋が損傷を受けることで心臓から全身に血液を送り出す力が弱まるためだと研究グループは説明する。心不全患者の多くには、息切れ、疲労、足のむくみなどの症状が現れる。病状が進行すると、日常生活が制限され、QOLが低下する。論文の上席著者である、メイヨークリニック再生医療センター長のAndre Terzic氏は、「心不全は急増しつつある疾患で、新規の治療法の開発が必要だ」と同クリニックのニュースリリースで述べている。 今回の研究では、10カ国、39カ所の病院から、食事療法、薬物療法、血行再建療法などの標準的な治療が奏効しない進行性慢性心不全患者315人を試験対象者として登録。患者は、自身の骨髄から採取した幹細胞を損傷した心筋を修復するように再プログラムした後に心臓に注入する治療を受ける群(157人、幹細胞治療群)とシャム治療を受ける群(158人、シャム治療群)にランダムに割り付けられた。アウトカムとした心不全に関連するQOLは、治療開始前と治療後26、39、52週目の時点でMinnesota Living With Heart Failure Questionnaire(MLHFQ)により評価した。MLHFQは21項目の質問で構成され、総スコア(0〜105点)が高いほどQOLが不良であることを意味する。 最終的に、幹細胞治療群の120人、シャム治療群の151人の合計271人が割り当てられた治療を受け、前者で104人、後者で132人が52週目の追跡調査を完了した。1年間の追跡期間中のMLHFQ総スコアの変化(平均)は、幹細胞治療群、シャム治療群の順に、26週時点で−15.9点と−10.4点、39週目時点で−14.9点と−11.0点、52週目時点で−15.6点と−11.5点と、両群とも低下していた。1年間の追跡期間全体での両群間の総スコアの差は−4.6点と幹細胞治療の方が改善効果が大きく、統計学的にも有意であった。さらに、幹細胞治療群は死亡率や入院率も低かった。 山田氏は、「メイヨークリニックで開発された再生技術を検証した最大規模の心血管細胞治療の試験データから、進行性心不全患者に対する幹細胞治療は、生存期間の面でもQOLの面でも有益であることが示された」と話す。また同氏は、「再生医療の有用性は、これまで臨床医が報告する転帰に基づいて評価されてきた。それに対してこの研究では、患者の経験に耳を傾けるようにデザインされており、その点が他の研究とは異なっている」と付言している。

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統合失調症の神経認知プロファイルに対するアリピプラゾールとオランザピンの有効性比較

 統合失調症は、重篤な神経認知障害を引き起こす疾患である。統合失調症に対する抗精神病薬治療は、精神病理および神経認知機能の改善をもたらすことが期待される。インド・Government Medical College and HospitalのSanya Sharma氏らは、統合失調症患者の神経認知プロファイルに対するアリピプラゾールとオランザピンの有効性を比較するため、プロスペクティブ介入比較研究を行った。その結果、アリピプラゾールとオランザピンは、神経認知プロファイルの改善に有効であり、それぞれ特定の領域に対してより有効であることが示唆された。Indian Journal of Psychiatry誌オンライン版2023年10月号の報告。 精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-V)に従い、統合失調症患者をベースライン時の簡易精神症状評価尺度(BPRS)、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)および神経心理学的検査で評価した。対象患者は、コンピューターで生成したランダムナンバーに基づき、アリピプラゾール群(1日当たり10~30mgを経口投与)とオランザピン群(1日当たり5~20mgを経口投与)にランダムに割り付けられ、10週目に再評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者40例が、10週間の研究期間を終了した。・ベースライン時、大多数の患者において、1つ以上の神経認知領域の重大な欠損が認められた。・アリピプラゾール群、オランザピン群のいずれにおいても、精神症状および神経認知プロファイルの改善が認められた。・アリピプラゾール群では、オランザピン群と比較し、処理速度の有意な改善が認められた。・アリピプラゾールによるストループ効果(p=0.000)および視空間認識能力(p<0.001)の非常に有意な改善が認められた。・オランザピン群では、意味流暢性(p<0.01)、言語流暢性(p<0.01)において非常に有意な改善が認められた。

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現行のHbA1c糖尿病判定値は閉経前女性にとって高すぎる可能性

 性差が考慮されていない現在のHbA1cの糖尿病判定値は、閉経前女性には高すぎる可能性を示すデータが報告された。仮に性特異的なカットオフ値を適用したとすると、50歳未満の女性糖尿病患者が17%増加する可能性があるという。英国の臨床検査関連企業であるBenchmarking Partnership社のDavid Holland氏らの研究によるもので、第59回欧州糖尿病学会(EASD2023、10月2~6日、ドイツ・ハンブルク)で発表されるとともに、「Diabetes Therapy」に9月30日掲載された。 耐糖能の評価や糖尿病の診断には経口ブドウ糖負荷試験が行われるが、血糖コントロールの指標であるHbA1cも糖尿病の判定ツールとして利用されている。そのHbA1cは溶血や失血、鉄欠乏性貧血からの回復期などの赤血球寿命が短縮する状態において、低値となりやすい。閉経前女性は同年代の男性よりHbA1cが低いことが報告されているが、これには月経による鉄欠乏の反復のためにHbA1cが低値となっている女性が一定数存在していることの影響も考えられる。一方、女性糖尿病患者の診断時年齢は平均すると男性よりも高齢である反面、死亡率は男性よりも高い。この事実に、糖尿病の診断の遅れが関与している可能性がある。 これらの点を検討するためHolland氏らはまず、英ノースミッドランド大学病院で2012~2019年にHbA1c検査を1回のみ受け、その値が50mmol/mol(約6.8%)以下だった14万6,907人のデータを解析。このうち50歳未満のHbA1cを性別で比較すると、女性は男性よりも平均1.6mmol/mol有意に低値であり(P<0.0001)、HbA1cの中央値である36mmol/molに該当する年齢は、男性では34~36歳であるのに対して女性は46~47歳だった。これにより、50歳未満の女性の糖尿病診断年齢が、男性より最大10年遅くなる可能性のあることが分かった。なお、50歳以上の集団でも女性の方が平均HbA1cは低値だったが、男性との差は0.9mmol/molだった(P<0.0001)。 次に、同大学病院とは別の英国内6件の医療機関、計93万8,678人のデータを用いた解析を実施したところ、上記と同様の結果が再現された。現行の糖尿病判定のためのHbA1c基準値は国際的に48mmol/mol(6.5%)とされているが、これを仮に46mmol/molに下げた場合、16~50歳の女性の0.26%が新たに糖尿病と判定される可能性が示唆された。 続いて、イングランドとウェールズで実施された一般住民対象糖尿病実態調査のデータを援用した解析を施行。HbA1cの判定値を性特異的なものとし、女性に対しては46mmol/molという値を適用したとすると、50歳未満の糖尿病女性患者数は現在よりも17%増加すると試算された。また、16~50歳の糖尿病患者における死亡リスクの差(女性が男性より26.7%高値との報告がある)の最大64%は、診断遅延の影響により発生している可能性が考えられた。 著者らは、「われわれの研究結果は、50歳未満の女性にとって現行のHbA1cによる糖尿病の判定値が、約2mmol/mol高すぎる可能性があることを示唆している。判定値を再検討し、性特異的なカットオフ値を設定すべきかもしれない。それによって女性の糖尿病を早期に見いだし介入することができ、将来的には女性患者の予後改善につながるのではないか」と述べている。

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炎症性乳がんへのNAC、1ラインvs.2~3ラインで転帰の差は

 多くのStageIII炎症性乳がん患者は、第1選択治療として術前化学療法(NAC)を受け、十分な反応を示し手術可能となるが、追加のNACが必要となるケースもある。米国・ハーバード大学医学大学院のFaina Nakhlis氏らは、1ラインvs.2~3ラインのNACを受けた患者における臨床転帰を評価した。Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2023年12月28日号への報告。 2施設において、1ラインまたは2~3ラインのNACを受けたStageIII炎症性乳がん患者が特定された。ホルモン受容体とHER2の状態、グレード、および病理学的完全奏効(pCR)が評価され、乳がんのない生存期間(BCFS)および全生存期間(OS)はKaplan-Meier法により評価された。多変数Coxモデルを用いてハザード比(HR)が推定された。 主な結果は以下のとおり。・808例の適格患者が特定された(1997~2020年、年齢中央値:51歳、追跡期間中央値:69ヵ月)。・733例(91%)が1ライン、75例(9%)が2~3ラインのNACを受けていた。2~3ラインのNACを受けた患者において、グレード3、トリプルネガティブ、HER2陽性の乳がんがより多かった。・1ラインの患者178例(24%)、2~3ラインの患者14例(19%)でpCRを達成した。・5年BCFSは2~3ラインの患者で不良であったが(33% vs.46%、HR:1.37、95%信頼区間[CI]:0.99~1.91)、pCRを達成した192例では同様であった(1ラインの患者:76% vs.2~3ラインの患者:83%)。・308例(1ラインの患者:276例、2~3ラインの患者:32例)が死亡した。・5年OSは1ラインの患者:60% vs.2~3ラインの患者:53%(HR:1.32、95%CI:0.91~1.93)、 pCR達成例では1ラインおよび2~3ラインの患者でともに83%であった。 著者らは、「StageIII炎症性乳がん患者において、pCR率はNACのライン数によらず同様であり、pCRを達成した患者におけるBCFSおよびOSは同程度であった」としている。

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コロナ外来患者への高用量フルボキサミン、症状期間を短縮せず/JAMA

 軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)外来患者において、高用量フルボキサミン(100mgを1日2回投与)を12日間投与しても、プラセボと比較してCOVID-19症状期間を短縮しなかった。米国・バージニア大学のThomas G. Stewart氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照プラットフォーム試験「ACTIV(Accelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines)-6試験」の結果を報告した。JAMA誌2023年12月26日号掲載の報告。発症から7日以内の軽症~中等症患者を対象に、高用量フルボキサミンvs.プラセボ ACTIV-6試験は、軽症~中等症のCOVID-19外来患者における既存治療転用を評価するようデザインされた分散型臨床試験である。 研究グループは、2022年8月25日~2023年1月20日に米国103施設において、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染確認後10日以内で、COVID-19の症状(疲労、呼吸困難、発熱、咳、悪心、嘔吐、下痢、体の痛み、悪寒、頭痛、喉の痛み、鼻の症状、味覚・嗅覚の異常)のうち2つ以上の症状発現後7日以内の、30歳以上の外来患者を、フルボキサミン群またはプラセボ群に無作為に割り付けた。 フルボキサミン群では、1日目にフルボキサミン50mg錠1錠を2回投与し、その後50mg錠2錠(100mg)を1日2回12日間投与した。 主要アウトカムは持続的回復までの期間(少なくとも3日間連続して症状がないことと定義)、副次アウトカムは28日以内の死亡、入院または死亡、あるいは入院・救急外来(urgent care)/救急診療部(emergency department)受診・死亡の複合などであった。持続的回復までの期間中央値、両群とも10日 無作為化されて治験薬の投与を受けた1,208例は、年齢中央値50歳(四分位範囲[IQR]:40~60)、女性65.8%、ヒスパニック系/ラテン系45.5%、SARS-CoV-2ワクチンの2回以上接種者76.8%であった。 有効性解析対象集団のフルボキサミン群589例およびプラセボ群586例において、持続的回復までの期間の中央値は両群とも10日(IQR:10~11)であり、持続的回復までの期間に差は確認されなかった(ハザード比[HR]:0.99、95%信用区間[CrI]:0.89~1.09、有効性の事後確率p=0.40)。 副次アウトカムついては、死亡例の報告はなく、入院はフルボキサミン群1例およびプラセボ群2例、入院・救急外来/救急診療部受診はそれぞれ14例および21例(HR:0.69、95%CrI:0.27~1.21、有効性の事後確率p=0.86)であった。 重篤な有害事象は、6例(フルボキサミン群2例、プラセボ群4例)で7件報告された。

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