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高齢統合失調症患者の死亡率、その原因と他の精神疾患との比較

 統合失調症でみられる超過死亡は、その後の生活においても影響を及ぼす可能性がある。高齢統合失調症患者でみられる死亡率増加の具体的な原因、および向精神薬の潜在的な影響については、これまで十分にわかっていない。フランス・Corentin-Celton HospitalのNicolas Hoertel氏らは、高齢統合失調症患者の5年死亡率とその原因を調査し、双極性障害やうつ病との比較を行った。European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience誌オンライン版2024年1月31日号の報告。 高齢者の統合失調症、双極性障害、うつ病の入院および外来患者564例(平均年齢:67.9±7.2歳)を対象に、5年間のプロスペクティブコホート研究を実施した。1次分析では、社会人口学的要因、罹病期間と重症度、精神疾患と非精神疾患の併存などの交絡因子の影響を軽減するため、逆確率重み付け(IPW)多変量ロジスティックモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・死亡原因は、心血管疾患(CVD)、感染症などのCVD以外の疾患関連死、自殺、不慮の事故であった。・5年死亡率は、高齢統合失調症患者で29.4%(89例)、双極性障害またはうつ病の高齢者で18.4%(45例)であった。・調整後、統合失調症患者は、双極性障害またはうつ病患者と比較し、すべての原因による死亡率およびCVDによる死亡率の増加と有意な関連が認められた。【すべての原因による死亡】調整オッズ比(aOR):1.35(95%信頼区間[CI]:1.04~1.76)、p=0.024【CVDによる死亡】aOR:1.50(95%CI:1.13~1.99)、p=0.005・これらの関連性は、抗うつ薬を服用している患者において有意な減少が認められた。【抗うつ薬服用患者のすべての原因による死亡】相互作用オッズ比(IOR):0.42(95%CI:0.22~0.79)、p=0.008【抗うつ薬服用患者のCVDによる死亡】IOR:0.39(95%CI:0.16~0.94)、p=0.035 著者らは「高齢統合失調症患者は双極性障害またはうつ病患者と比較し、死亡率が高く、超過死亡の多くはCVDに関連していることが示唆された」とし、本分析において「抗うつ薬の使用は、すべての原因による死亡やCVDによる死亡の有意な減少と関連していたが、他の向精神薬では超過死亡に対し影響を及ぼさない」ことを報告した。

142.

「スーパーマリオ オデッセイ」でうつ病が劇的に改善【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第252回

「スーパーマリオ オデッセイ」でうつ病が劇的に改善Unsplashより使用大うつ病性障害に対する6週間のビデオゲーム介入が、抑うつ気分、訓練意欲、視覚空間(ワーキング)記憶機能の改善につながるかどうかを検討することを目的とした研究を紹介しましょう。選ばれたゲームは、任天堂の「スーパーマリオ オデッセイ」です。いやー、名作ですよね。あのゲームは本当に、色褪せない。RTA(リアルタイムアタック)の動画をよく見ています。まあそんな個人的な話はどうでもよくてですね、このマリオ オデッセイが、うつ病に有効というエビデンスが示されました。Bergmann M, et al. Effects of a video game intervention on symptoms, training motivation, and visuo-spatial memory in depression. Front Psychiatry. 2023 Aug 24;14:1173652.ドイツのボン大学の精神科において、大うつ病性障害(MDD)と診断された18~65歳の入院・通院患者46人を対象に行われた研究です。MDD患者さんを、マリオ オデッセイをプレイする「ビデオゲーム」群(n=14)、コンピュータプログラム「CogPack」を用いて訓練を行う能動的対照群(n=16)、心理療法や薬物療法を含む標準的な臨床治療を受ける通常治療群(n=16)の3群のいずれかにランダムに割り付けました。ちなみに、事前にマリオ オデッセイをプレイしたことがある患者さんは除外されています。いずれのグループも、トレーニングセッションの頻度は週3回、期間は6週間の合計18回で、各セッションは1回45分間でした。45分プレイして、マリオ オデッセイを途中で切られると、それはそれでイラっとしそうですが…。BDI-IIベック抑うつ質問票(BDI-II)で評価すると、マリオ オデッセイをプレイしたMDD患者さんの症状が劇的に改善することが示されました。BDI-IIスコアが「軽度」に該当する患者の割合をみたグラフですが、マリオ オデッセイをプレイした群では、3群の中で唯一統計学的に有意差がついています(図)。図. 各群の抑うつ改善効果(文献より引用)ただし、視空間記憶をテストするBVMT-Rなど、いくつかの試験ではCogPackのほうがよかったりして、一貫してマリオ オデッセイがよいという結論ではありませんでした。どれか1つがよいというよりも、おそらく組み合わせたほうがよいのではないかと考えられます。ゲームって結構バカにされがちですが、これだけの有効性が示されるとなると、そのうちガイドラインにも記載されるんじゃないでしょうか。「ゼルダの伝説」をやっている医師は多いですが、ああいうRPGモノもたぶん有効なんじゃないかと思います。

143.

関節リウマチ高リスク者へのアバタセプト、発症を抑制/Lancet

 アバタセプトによる12ヵ月間のT細胞共刺激抑制は、関節リウマチへの進行を抑制し、投与終了後も有効性を持続し、安全性プロファイルも良好であることが示された。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのAndrew P. Cope氏らが、英国の28施設およびオランダの3施設で行われた無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較第IIb相試験「APIPPRA試験」の結果を報告した。抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)陽性、リウマチ因子(RF)陽性および炎症性関節痛などの症状を有する人は、関節リウマチを発症するリスクが高いとされている。著者は、「関節リウマチの発症リスクを有する段階での治療介入は可能である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年2月13日号掲載の報告。アバタセプト12ヵ月投与・12ヵ月無投与で関節リウマチへの進行をプラセボと比較 研究グループは、炎症性関節痛を有しACPAおよびRF陽性、またはACPA高値(正常上限の3倍以上)の18歳以上の患者を登録した。炎症性関節炎と診断されたことがある患者、疾患修飾性抗リウマチ薬またはステロイドによる治療歴がある患者、臨床的に明らかな炎症性関節炎を有する患者は除外した。 適格患者を、性別、喫煙状況、国を層別因子として、アバタセプトを週1回125mg皮下投与する群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、12ヵ月間投与した後、さらに12ヵ月間追跡調査した。 主要アウトカムは、ACR/EULAR 2010分類基準による3関節以上の臨床的滑膜炎または関節リウマチ発症のいずれか早いほうまでの期間。副次アウトカムは疾患活動性などであった。主要アウトカムのイベント発生率は、アバタセプト群6%、プラセボ群29% 2014年12月22日~2019年1月14日に280例が登録され、このうち213例がアバタセプト群(110例)およびプラセボ群(103例)に無作為に割り付けられた。追跡調査は2021年1月13日に完了した。 主要アウトカムのイベントは、アバタセプト群で110例中7例(6%)、プラセボ群で103例中30例(29%)に認められた。Kaplan-Meier法による関節炎のない患者の推定割合は、12ヵ月時点でアバタセプト群92.8%(SE 2.6)、プラセボ群69.2%(SE 4.7)、24ヵ月時点でそれぞれ70.4%(SE 4.8)、58.5%(SE 5.4)であり、有意な群間差が認められた(log-rank検定のp=0.044)。境界内平均生存期間(RMST)の群間差は、12ヵ月時点で53日(95%信頼区間[CI]:28~78、p<0.0001)、24ヵ月時点で99日(95%CI:38~161、p=0.0016)であり、アバタセプト群が良好であった。 投与期間中はプラセボ群と比較してアバタセプト群で、疼痛スコア、機能的ウェルビーイングおよびQOLが改善し、超音波検査による潜在性滑膜炎のスコアが低かったが、この効果は24ヵ月時点では持続していなかった。 重篤な有害事象はアバタセプト群で7例、プラセボ群で11例に認められ、治療と関連なしと判定された死亡が各群1例報告された。

144.

英語で「それ自体」は?【1分★医療英語】第119回

第119回 英語で「それ自体」は?《例文1》It is not a perfect solution per se but better than nothing.(それは完全な解決策とはいえませんが、何もないよりは良いです)《例文2》The medication doesn’t cure the disease per se, but it relieves the symptoms and improve the patient’s quality of life.(その薬はそれ自体が病気を治すものではありませんが、症状を緩和し、患者の生活の質を改善させます)《解説》今回ご紹介した“per se”はラテン語由来の言葉で、英語の“by itself”や“itself”に当たります。しかし、この“per se”のままで英語表現として用いられることがありますので、覚えておきたい表現です。日本語に翻訳すると、「それ自体は」「本質的には」「正確には」といった意味を指す言葉で、例文にあるように文末に挟み、逆接の前に用いられることが多いフレーズです。逆接の間に見られる場合には、「一見すると矛盾しているように見えるものの、実際には矛盾していない」といった状況を説明する際に使われることが多いです。そのようなシチュエーションでは、“per se”の前に来る文章を「それ自体は」と補強してくれます。使い慣れないと適切な場面で使用するのが難しい表現かもしれませんが、英語ネイティブと話をしていると医療機関内のコミュニケーションでも時々耳にすることがあります。聞いたときに戸惑わないよう、表現の持つニュアンスをつかんでおくとよいでしょう。講師紹介

145.

PPIだけでない?P-CABでも胃がんリスク上昇か/東大病院ほか

 ピロリ菌除菌後の胃がん発症とプロトンポンプ阻害薬(PPI)との関連が報告されている。近年、PPIに替わってカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)が用いられているが、P-CABでもピロリ菌除菌者の胃がん発症リスクの上昇が認められたことが、新井 絢也氏(東京大学医学部附属病院 消化器内科)らによって、Clinical Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2024年2月12日号で報告された。 本研究では、約1,100万例の患者情報を有する大規模レセプトデータを用いて、ピロリ菌除菌後患者5万4,055例を抽出し、P-CABによる胃がん発症リスクを検討した。P-CABによる胃がん発症リスクの上昇の有無は、胃がん発症リスクと関連がないとされるヒスタミン2受容体拮抗薬(H2RA)を内服する患者を対照群(H2RA群)とし、傾向スコアマッチングを行うことで評価した。また、感度分析として、P-CABを内服する患者(P-CAB群)とPPIを内服する患者(PPI群)を比較した。 主な結果は以下のとおり。・平均追跡期間3.65年時点において、5万4,055例のうち568例(1.05%)が胃がんを発症した。・P-CAB群の3~5年時の胃がん累積発症率は、3年時1.64%、4年時2.02%、5年時2.36%で、H2RA群はそれぞれ0.71%、1.04%、1.22%であった。・P-CAB群は、H2RA群と比較して胃がん発症リスクが有意に上昇した(ハザード比[HR]:1.92、95%信頼区間[CI]:1.13~3.25、p=0.016)。・P-CAB内服期間3年以上(HR:2.36)、P-CAB高用量(HR:3.01)ではさらにリスクが上昇し、用量・期間依存性も示された。・感度分析において、P-CAB群とPPI群を比較すると、胃がん発症リスクは同等であった(HR:0.88)。 著者らは、本研究結果について「P-CABはPPIと同様にピロリ菌除菌後の胃がん発症リスクを上昇させる可能性が考えられた。今後は、ピロリ菌除菌後患者に対する処方・内服期間の適正化や内視鏡サーベイランスの徹底が必要になる可能性がある」とまとめた。

146.

電子タバコは禁煙継続に有効?/NEJM

 標準的な禁煙カウンセリングに電子ニコチン送達システム(電子タバコ[e-cigarettes]とも呼ばれる)の無料提供を追加すると、禁煙カウンセリングのみより6ヵ月間の禁煙継続率が高まったことが、スイス・ベルン大学のReto Auer氏らが、スイス国内5施設で実施した非盲検比較試験「Efficacy, Safety and Toxicology of Electronic Nicotine Delivery Systems as an Aid for Smoking Cessation:ESTxENDS試験」の結果で示された。電子ニコチン送達システムは、禁煙を補助するため禁煙者に使用されることがあるが、このシステムの有効性と安全性に関するエビデンスが必要とされていた。NEJM誌2024年2月15日号掲載の報告。禁煙に対する電子タバコの有効性と安全性を、禁煙カウンセリングのみと比較 研究グループは2018年7月~2021年6月に、一般紙やソーシャルメディア、ならびに医療施設や公共交通機関での広告により、1日5本以上の喫煙を12ヵ月以上継続し、登録後3ヵ月以内に禁煙を希望する18歳以上の成人を募集し、適格者を介入群と対照群に1対1の割合で無作為に割り付けた。 介入群では、標準的な禁煙カウンセリングに加え電子タバコおよび電子タバコ用リキッド(e-liquid)の無料提供、ならびにオプション(有料)でニコチン代替療法を実施した。対照群では、標準的な禁煙カウンセリングを行い、ニコチン代替療法を含むあらゆる目的に使用できるクーポン券を配布した。 主要アウトカムは生化学的に確認された6ヵ月間の禁煙継続、副次アウトカムは自己報告による6ヵ月時点での禁煙(タバコ、電子タバコ、ニコチン代替療法を含む)、呼吸器症状、重篤な有害事象とした。生化学的に確認された6ヵ月間の禁煙継続率は介入群28.9% vs.対照群16.3% 2,027例がスクリーニングを受け、計1,246例が無作為化された(介入群622例、対照群624例)。 生化学的に確認された6ヵ月間の禁煙継続率は、介入群で28.9%、対照群で16.3%に認められた。両群の絶対差は12.6%(95%信頼区間[CI]:8.0~17.2)、粗相対リスクは1.77(95%CI:1.43~2.20)であった。 6ヵ月後の受診前7日間にタバコを使用しなかったと報告した参加者の割合は、介入群59.6%、対照群38.5%であった。一方、ニコチン(タバコ、ニコチン入り電子タバコ、ニコチン代替療法)の使用を一切やめた参加者の割合は、介入群20.1%、対照群で33.7%であった。 重篤な有害事象は介入群で25例(4.0%)、対照群で31例(5.0%)が、有害事象はそれぞれ272例(43.7%)および229例(36.7%)に発現した。

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6歳まで持続する牛乳アレルギー、約半数は12歳までに耐性獲得

 6歳の時点で牛乳アレルギー(cow's milk allergy;CMA)が持続していても、約半数の子どもは12歳になるまでに耐性を獲得するという調査結果を、国立病院機構相模原病院小児科の研究グループが「Pediatric Allergy and Immunology」に12月24日発表した。研究では学童期にCMAが持続する3つの危険因子を同定。危険因子を全て保有すると耐性を獲得しにくい可能性も示された。 即時型CMAを有する小児は、就学前までに約50~90%が耐性を獲得すると報告されている。しかし、これらの研究は乳幼児期に追跡調査を開始しているため、学童期にCMAが持続する場合の耐性獲得率は明らかになっていない。責任著者の柳田紀之氏らは同病院に通院し、6歳の時点でCMAが持続している児を12歳になるまで後ろ向きに調査し、牛乳への耐性を獲得する割合の推移を明らかにした。 対象は、6歳の時点でCMAが持続して見られた小児80人(男児69%)。38%(30人)は牛乳によるアナフィラキシーの既往があり、50%(40人)は食事から牛乳を完全に除去していた。6歳時点の牛乳特異的IgE抗体価(CM-sIgE)の中央値は12.0kUA/Lだった。なお、経口免疫療法を受けた児は解析から除外した。 耐性獲得は、非加熱牛乳200mLの食物経口負荷試験結果が陰性だった場合、または、アレルギー症状を呈することなく非加熱牛乳200mLを家庭で摂取可能な場合と定義し、どちらの基準も満たさない場合をCMA持続と判定した。主要評価項目は12歳までの牛乳に対する耐性獲得とし、CMA持続の危険因子についても評価した。 分析の結果、9歳までに25人(31%)が、12歳までに58%(46人)が耐性を獲得した。多変量Cox回帰分析から、CMAが持続する危険因子として、ベースライン時(6歳時点)のCM-sIgE高値(調整ハザード比2.29、95%信頼区間1.41~3.73、至適カットオフ値は12.7kUA/L)、牛乳によるアナフィラキシーの既往(同2.07、1.06~4.02)および牛乳の完全除去(同3.12、1.46~6.67)の3つが判明した。これらの危険因子をいずれも保有しなかった児の86%が12歳までに耐性を獲得したのに対し、危険因子を全て保有する14人のうち耐性を獲得した児はいなかった。 以上から、著者らは「IgE依存性即時型CMAの自然経過を検討した結果、6歳までCMAが持続していた児は、経口免疫療法を受けた子どもを除くと12歳までに58%が耐性を獲得することが分かった。この耐性獲得率はピーナツアレルギーの21.5%(4~20歳、海外からの報告)よりも高いが、われわれが過去に報告した鶏卵アレルギーの60.5%(6~12歳)とほぼ同程度だった」と結論。また、「本研究ではCMAが持続する3つの危険因子が判明し、経口免疫療法を考慮すべき小児についても特定することができた」と述べている。

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薬剤性過敏症症候群、国際的コンセンサスを策定

 薬剤性過敏症症候群(DRESS:Drug Reaction with Eosinophilia and Systemic Symptoms)の重症度評価と治療に関する国際的なコンセンサスを策定する研究結果が、スイス・チューリヒ大学病院のMarie-Charlotte Bruggen氏らにより報告された。DRESSは、発現頻度は低いものの、死に至る可能性もある重症薬疹の1つである。研究グループはRAND/UCLA適切性評価法(デルファイ変法)を用いて100項目について検討を行い、93項目について合意形成に至った。著者は、「DRESSはさまざまな特徴を有する重度の皮膚有害反応を呈する薬疹で、臨床医は診断と治療管理に難渋する。今回のコンセンサスは、DRESS患者の診断、評価、治療を支援するものであり、将来的なガイドライン開発の基礎となるはすだ」と述べている。JAMA Dermatology誌2024年1月1日号掲載の報告。 研究グループは、DRESS患者の診断、重症度評価、治療に関する国際的なコンセンサスを策定することを目的に、デルファイ変法を用いて各国の専門家による検討を行った。DRESSの専門家57人に参加を呼び掛け、54人が2022年7~9月に実施された調査に参加。DRESSのベースライン診断、重症度評価、急性期および亜急性期の治療管理に関する100項目を評価した。合意形成の基準は、デルファイ変法(1点[きわめて不適切]~9点[きわめて適切])による評価の中央値が7点以上かつ見解不一致指数(disagreement index)が1点未満と定義した。 主な結果は以下のとおり。・第1回の適切性評価において、82項目について合意形成が得られた。・第2回評価で13項目が改訂・評価され、最終的に、全体で93項目の合意形成が得られた。・専門家らは、基本的な診断法や重症度評価、臓器固有のさらなる研究について合意した。・また、肝臓、腎臓、血液の関与の程度とその他臓器の損傷に基づく重症度評価(軽症、中等症、重症)について合意した。・DRESSの重症度に応じた治療管理の主な方針に関しても合意した。・DRESS患者の急性期後のフォローアップおよびアレルギー検査に関する一般的推奨事項も策定された。

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第202回 遠隔診療による検査なしの中絶薬処方が安全で効果的

遠隔診療による検査なしの中絶薬処方が安全で効果的遠隔診療による中絶薬処方が安全で効果的なことが米国での大規模なプロスペクティブ試験で裏付けられました1,2)。3年ほど前の2021年に米国FDAは医療機関に足を運ばずとも中絶薬ミフェプリストンの処方を女性が受けられるようにしました。そのおかげで医師はじかに会うこと(直接診察)や超音波などの検査を一切することなく、患者からの申告を基に遠隔診療を行い、中絶薬を郵送できるようになりました。直接診察のための足労を省くことは移動の手間、費用、偏見のせいで二の足を踏んでしまうこと減らし、患者の利便性を向上させます。中絶のための遠隔医療は日時を決めたうえでのビデオ面談などの同時通信が主ですが、そういう同時通信なしのテキストメッセージのやり取りだけの非同時通信(asynchronous communication)のみで中絶薬を提供するインターネット診療もあります。患者の経過はたいていテキストメッセージのやり取りで把握されます。直接診察を経たうえでのミフェプリストンによる中絶が安全で有効なことは長年の裏付けがあります。米国での試験の結果、1万6,794人のうち97.4%が直接診察を介した同剤とミソプロストール処方で中絶を完了することができました3)。重篤な有害事象の発生率は0.5%足らずでした。一方、米国での遠隔医療による中絶の効果や安全性の裏付けは不十分です。そこでカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のチームは、米国の20州と首都ワシントンD.C.での3つのバーチャル診療(Choix、Hey Jane、Abortion on Demand)の記録を利用して直接診察も検査もしない遠隔医療による中絶の効果や安全性の解析を試みました。ビデオ面談かテキストメッセージのやりとりを経てそれらバーチャル診療から中絶薬(ミフェプリストンとミソプロストール)を郵送してもらった6,034人の経過が検討されました。それら約6千人の深刻な有害事象の発生は直接診療の試験結果と同様にまれであり、99.8%は深刻な有害事象なしで中絶が完了しました。また、97.7%はその後の手当てや妊娠継続なしで中絶が完了していました。米国より先にミフェプリストンとミソプロストールの遠隔処方を可能にした英国でもその安全性や効果が裏付けられています4)。英国では米国よりも多い2万人近い(1万8,435人)女性の経過が検討されました。事前の超音波検査なしで遠隔処方を受けたそれら女性の深刻な有害事象の発生率はやはりまれで0.02%でした。また、約99%が外科処置なしでの中絶に成功していました。米国での試験では遠隔診療をビデオ面談でした場合とテキストのやり取りでした場合も比較され、その安全性や効果は幸いにもほぼ同じでした。ビデオ面談のような同時通信は強固なインターネット接続が必要です。一方、テキストメッセージなどの非同時通信は手段がより豊富であり、露出が少なく、待ち時間が短く、予約が不要なので仕事や家事の合間により容易に済ませられるでしょう1)。同時通信と非同時通信のどちらかを都合に合わせて選べるようにすることでより多くの患者に手を差し伸べることができそうです。ミフェプリストンとミソプロストールによる中絶は、日本ではようやく昨春承認・販売5)されたばかりで遠隔診療による処方はまだまだ先の話だと思いますが、女性がプライバシーの心配などで躊躇することなく必要に応じて心穏やかに中絶ができる仕組みが日本でも作られることを期待します。ちなみに、遠隔医療などで中絶がより容易になると中絶がより増えるという心配は無用かもしれません。カナダでは2017年11月までに制限が解除されてミフェプリストン処方がより容易になりましたが、同国のオンタリオ州でのその後の中絶率は変わらずほぼ一定のままでした。中絶がより容易になったところで取るに足るほどの中絶率上昇は生じないようだと著者は言っています6)。参考1)Upadhyay UD, et al. Nat Med. 2024 Feb 15. [Epub ahead of print]2)Telehealth is as safe as a visit to the clinic for abortion pills / Eurekalert3)MIFEPREX(mifepristone) PRESCRIBING INFORMATION4)Aiken A, et al. BJOG. 2021;128:1464-1474.5)人工妊娠中絶用製剤メフィーゴパック の 国内における製造販売承認取得について / ラインファーマ株式会社6)Schummers L, et al. N Engl J Med. 2022;386:57-67.

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日本における小児に対する抗精神病薬処方の動向

 統合失調症は、幻覚・妄想やその他の症状を特徴とする精神疾患である。日本においても統合失調症の治療ガイドラインが確立されているが、小児患者に対する薬物療法は推奨されていない。さらに、小児統合失調症患者に対する抗精神病薬の処方傾向は、あまりよくわかっていない。東北医科薬科大学病院の菊池 大輔氏らは、2015~22年の日本における小児外来患者に対する抗精神病薬の処方動向を明らかにするため、本研究を実施した。その結果、日本では小児統合失調症に対して、主にアリピプラゾールとリスペリドンが処方されており、アリピプラゾールの処方割合が時間の経過とともに有意に増加していることを報告した。Journal of Pharmaceutical Health Care and Sciences誌2024年1月2日号の報告。 対象は2015年1月1日~2022年12月31日に、急性期地域医療連携病院を受診した0~18歳の統合失調症患者。2023年11月時点での日本人小児外来患者の管理データを分析した。対象薬剤は、2022年12月時点に日本で発売されている統合失調症の適応を有する薬剤とした。期間中の抗精神病薬の年間処方傾向は、その割合に応じて算出した。各抗精神病薬の処方割合の評価には、Cochran-Armitageの傾向検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。・小児統合失調症患者に対して主に処方されていた抗精神病薬は、アリピプラゾールとリスペリドンであった。・男性患者では、アリピプラゾールの処方割合が21.5%(2015年)から35.9%(2022年)へ有意な増加が認められた(p<0.001)。一方、リスペリドンの処方割合は、47.9%(2015年)から36.7%(2022年)へ有意な減少が認められた(p<0.001)。・女性患者においても、男性と同様に、アリピプラゾールの処方割合が21.6%(2015年)から35.6%(2022年)へ有意に増加し(p<0.001)、リスペリドンの処方割合は、38.6%(2015年)から24.8%(2022年)へ有意に減少していた(p<0.001)。

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心房細動のない心房性疾患患者の潜因性脳卒中、アピキサバンの再発予防効果は?/JAMA

 心房細動を伴わない心房性心疾患の証拠がある、潜因性脳卒中(cryptogenic stroke)を呈した患者において、アピキサバンはアスピリンと比較して脳卒中再発リスクを有意に低下しなかった。米国・Weill Cornell MedicineのHooman Kamel氏らが「ARCADIA試験」の結果を報告した。心房性心疾患は、臨床的に明らかな心房細動を認めない場合において、脳卒中と関連することが示されている。心房細動への有益性が示されている抗凝固療法が、心房性疾患を有するが心房細動は有さない患者の脳卒中を予防するかどうかは不明であった。JAMA誌オンライン版2024年2月7日号掲載の報告。1,015例を対象に有効性(脳卒中再発予防)と安全性を評価 ARCADIA試験は、潜因性脳卒中および心房性心疾患の証拠(PTFV1>5,000μV、NT-ProBNP>250pg/mL、心エコーでの左房直径≧3cm/m2と定義)がある患者において、脳卒中の二次予防のための抗凝固療法と抗血小板療法を比較する第III相の多施設共同二重盲検無作為化試験。試験登録と追跡調査は2018年2月1日~2023年2月28日に行われ、National Institutes of Health StrokeNet and the Canadian Stroke Consortiumに参加する185施設から患者1,100例を登録し、そのうち1,015例が試験に参加した。 被験者は、1対1の割合でアピキサバン群(5mgまたは2.5mgを1日2回投与、507例)またはアスピリン群(81mgを1日1回投与、508例)に無作為化され追跡評価を受けた。無作為化の時点で被験者に心房細動の証拠はなかった。 主要有効性アウトカムは脳卒中の再発で、time-to-event解析にて評価した。無作為化後に心房細動と診断された患者を含む全被験者を対象とし、無作為化した各群に従って解析が行われた。主要安全性アウトカムは、症候性頭蓋内出血およびその他の大出血であった。平均追跡期間1.8年で試験は中止に 平均追跡期間1.8(SD 1.3)年で、事前に計画された中間解析後に試験は無益であるとして中止となった。 被験者1,015例の平均年齢は68.0(SD 11.0)歳、女性が54.3%であり、87.5%が追跡期間の調査を完了した。 脳卒中再発の発生は、アピキサバン群40例(年率4.4%)、アスピリン群40例(年率4.4%)であった(ハザード比[HR]:1.00、95%信頼区間[CI]:0.64~1.55)。 症候性頭蓋内出血はアピキサバン群では発生せず、アスピリン群で7例(年率1.1%)に発生した。その他の大出血の発生は、アピキサバン群5例(年率0.7%)、アスピリン群5例(年率0.8%)であった(HR:1.02、95%CI:0.29~3.52)。

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ED治療薬、心臓病の薬との組み合わせは危険な場合も

 心疾患の治療目的で硝酸薬を使用中の男性が、バイアグラ(一般名シルデナフィルクエン酸塩)やシアリス(一般名タダラフィル)といった勃起障害(ED)治療薬を併用すると、死亡リスクや心筋梗塞、心不全などのリスクが高まる可能性が、新たな研究で示された。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のDaniel Peter Andersson氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of the American College of Cardiology」1月23日号に掲載された。Andersson氏は「医師が、心血管疾患のある男性からED治療薬の処方を求められることが増えつつある」とした上で、「硝酸薬を使用している患者がED治療薬を併用することで、ネガティブな健康アウトカムのリスクが高まる可能性がある」と警鐘を鳴らしている。 バイアグラやシアリスなどのED治療薬はPDE5阻害薬と呼ばれ、動脈を広げて陰茎への血流を増加させる働きがある。また、硝酸薬にも血管を拡張する作用があり、狭心症による胸痛の治療や心不全の症状を緩和するために使用される。 PDE5阻害薬と硝酸薬はいずれも血圧低下の原因となり得るため、ガイドラインでは、これらを併用すべきではないとの推奨が示されている。それにもかかわらず、実際にはPDE5阻害薬と硝酸薬の両方が処方されている患者の数は増加しつつある。しかし、これらを併用した場合にどのような影響があるのかについてのリアルワールド(実臨床)のデータはほとんどない。 Andersson氏らは、2006年から2013年の間に心筋梗塞を発症するか血行再建術を受け、硝酸薬が最大18カ月の間隔を空けて2回以上処方されていた18歳以上の患者6万1,487人(平均年齢69.5±12.2歳)を選び出し、その医療記録を分析した。硝酸薬の2回目の処方前6カ月間にPDE5阻害薬が処方されていた患者は除外された。対象者のうち5,710人(9%)にはED治療薬としてPDE5阻害薬も処方されていた。追跡期間中央値は5.9年だった。 解析の結果、硝酸薬とPDE5阻害薬の両方が処方されていた男性では、硝酸薬のみが処方されていた男性に比べて、全死亡リスクが39%、心血管疾患による死亡リスクが34%、心血管疾患以外の原因による死亡リスクが40%、心筋梗塞リスクが72%、心不全リスクが67%、冠動脈血行再建術を受けるリスクが95%、主要心血管イベントの発生リスクが70%高いことが示された。ただし、硝酸薬とPDE5阻害薬の両方が処方された男性でも、PDE5阻害薬の使用開始から28日以内では、死亡や心筋梗塞、心不全といったイベントの発生数は少なく、即時性の高いリスクは低~中程度であることが示されたとAndersson氏らは説明している。 Andersson氏は、「われわれの目標は、硝酸薬による治療を受けている患者にPDE5阻害薬を処方する前に、患者中心の視点で慎重に考慮する必要性を明確に示すことだ」と米国心臓病学会(ACC)のニュースリリースで述べている。その上で、「ED治療薬が心血管疾患のある男性に与える影響は現時点では不明瞭だが、今回の結果は、この影響に関するさらなる研究を正当化するものだ」としている。 一方、米ベイラー大学心臓病学教授のGlenn Levine氏は付随論評で「体調管理が行き届いている軽度の狭心症の男性であれば、ED治療薬はそれなりに安全だ。しかし、硝酸薬の継続的な処方が必要な状態でED治療薬を併用するのは、賢明とは言えない」との見解を示している。同氏は、「EDと冠動脈疾患の組み合わせは高頻度に見られる不幸な組み合わせだ。しかし、適切な予防策とケアを行うことで、これらは何年にもわたって共存できる」と述べている。

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高齢統合失調症患者の死亡リスクに対する薬物療法の影響

 人口の高齢化に伴い、統合失調症の罹患においても高齢者の有病率が増加しており、これまで以上に薬剤選択の重要性が増している。現在、高齢統合失調症患者に関するエビデンスが不足していることから、台湾・Far Eastern Memorial HospitalのJia-Ru Li氏らは、向精神薬の使用量および累積投与量が高齢統合失調症患者のすべての原因および原因別の死亡リスクに及ぼす影響を調査するため、コホート研究を実施した。Pharmaceuticals (Basel, Switzerland)誌2024年1月8日号の報告。 対象は、統合失調症と診断された高齢者6,433例。5年間のフォローアップ調査を実施した。抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬、鎮痛薬/睡眠薬の用量(低用量群、中用量群、高用量群)に関連する死亡リスクを、各用量群と投与なし群とで比較を行った。各用量群におけるすべての原因による死亡率および特定の原因による死亡率を比較するため、Cox回帰を生存分析に用いた。特定の向精神薬の投与量を変数とし、それに応じて共変量を調整した。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬の低用量群および中用量群は、抗精神病薬を投与されていない群と比較し、生存率が高かった。・抗精神病薬の中用量群は、心血管疾患による死亡リスクの低下が認められた。・同様に、抗うつ薬の低用量群および中用量群は、生存率が高かった。・鎮痛薬/睡眠薬では、低用量群で死亡リスクが低下していた。 著者らは「高齢統合失調症患者における抗精神病薬の低/中用量での使用は、すべての原因による死亡リスク低下と関連しており、適切な薬剤選択と抗精神病薬投与の重要性が示唆された。高齢統合失調症患者における治療の複雑さに対処するため、多剤併用の慎重な管理や患者ごとの薬物治療戦略が求められる」としている。

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コロナ感染拡大への祝日の影響、東京と大阪で大きな差

 祝日は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の伝播に影響を及ぼしたのだろうか。京都大学のJiaying Qiao氏らが2020~21年の4都道府県のデータを数理モデルで検討したところ、祝日にCOVID-19伝播が増強したこと、またその影響は都道府県によって異なり、大阪で最も大きく東京で最も小さかったことが示唆された。Epidemiology and Health誌オンライン版2024年1月22日号に掲載。 本研究では、2020年2月15日~2021年9月30日における北海道、東京、愛知、大阪の4都道府県におけるCOVID-19発症と流動性のデータを収集し、祝日の感染頻度の増加を評価した。推定された実効再生産数と、調整前後の流動性、祝日、非常事態宣言を関連付けるモデルを作成した。必須の入力変数として祝日を含めた最も適合性の高いモデルを、祝日がない場合の有効再生産数の反事実を計算するために使用した。 主な結果は以下のとおり。・祝日における実効再生産数の増加率(平均)は、北海道5.71%、東京3.19%、愛知4.84%、大阪24.82%だった。・祝日の影響で増加した感染者数の合計は、北海道580例(95%信頼区間:213~954)、東京2,209例(同:1,230~3,201)、愛知1,086例(同:478~1,686)、大阪5,211例(同:4,554~5,867)だった。 著者らは「今後、適切な公衆衛生および社会対策を立案するうえで、祝日を考慮することが重要であることが明らかとなった」と結論している。

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乳がん検診、異型検出後の罹患リスクは?/BMJ

 乳がん検診で異型を伴う病変が検出された場合、その後の短期間において、マンモグラフィ検査を毎年行うことは有益ではないことが、英国・ウォーリック大学のKaroline Freeman氏らによる検討で示された。悪性か否かが不明の異型を伴う乳房病変が検出された場合、乳がんの長期リスクが3~4倍増加する可能性が示されている。英国、欧州、米国のガイドラインでは、異型部位を吸引式乳房組織生検(VAB)または手術で切除し、画像サーベイランスを行うことが推奨されている。しかし、画像サーベイランスを5年間にわたり毎年行うことについてはエビデンスがなく、期間、頻度、妥当性が議論の的となっていた。なお、今回の結果について著者は、「長期的リスクについてさらなるエビデンスが必要である」と述べている。BMJ誌2024年2月1日号掲載の報告。上皮異型が診断された女性3,238例のその後の乳がん例数・種類を調査 研究グループは、検診での異型検出後の乳がん発症例数と種類について調べるため、英国で3年に1回の検診での検出が予測される例数(女性1,000人当たり11.3例)と比較した。 イングランドのSloane Atypia Projectの前向きコホートを対象とした観察研究を実施した。同コホートには、英国の国民保健サービス(NHS)乳がん検診プログラムで診断された異型が含まれており、English Cancer RegistryおよびMortality and Birth Information Systemとリンクしていることから、その後の乳がんおよび死亡に関する情報を得ることができる。 解析には、2003年4月1日~2018年6月30日に上皮異型と診断された女性3,238例が含まれた。 主要アウトカムは、異型診断後1年、3年、6年後に検出された浸潤性乳がんの例数と種類で、異型の種類、年齢、診断暦年別に解析した。マンモと生検の技術的変化で、異型のリスク特定が可能に? 異型検出は、2010年の119例から、デジタルマンモグラフィ導入後の2015年には502例と4倍に増加していた。 2018年12月までの追跡期間中(異型診断後の1万9,088人年)に、女性141例が乳がんを発症した。異型が検出された女性1,000人当たりの浸潤性乳がんの累積発症率は、異型検出後1年時点で0.95(95%信頼区間[CI]:0.28~2.69)、3年時点で14.2(10.3~19.1)、6年時点で45.0(36.3~55.1)だった。異型検出がより直近の時期だった女性ほど、その後3年以内にがんが検出された割合は低かった。 浸潤性乳がん検出(女性1,000人当たり)は、2013~18年は6.0(95%CI:3.1~10.9)であったのに対し、2003~07年は24.3(13.7~40.1)、2008~12年は24.6(14.9~38.3)だった。浸潤性乳がんのグレード、大きさ、リンパ節転移は、一般の検診集団で検出されたがんと同等(同側および対側がんの例数も同等)だった。 結果を踏まえて著者は、「多くの異型はリスク因子ではあるが、短期的には、手術が必要となる浸潤性乳がんの前兆ではないと思われた」とし、「異型検出がより直近の女性ほど、その後にがんが検出される割合が低かったのは、過剰診断に相当する可能性が高い異型を検出するマンモグラフィや生検の技術的変化と関連していると思われる」と述べている。

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「肉なし」食生活でコロナリスクが4割低下?

 植物性食品をベースにした食生活は、血圧の低下、血糖コントロールの改善、体重減少など、さまざまな健康上の利点と関連付けられているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患リスクを低減させる可能性もあることが、新たな研究で明らかになった。この研究では、植物性食品をベースにした食生活により、COVID-19罹患リスクが39%低下する可能性が示されたという。Hospital das Clinicas FMUSP(ブラジル)のJulio Cesar Acosta-Navarro氏らによるこの研究結果は、「BMJ Nutrition Prevention and Health」に1月9日掲載された。 この研究では、2022年3月から7月の間にソーシャルネットワークとインターネットで募集した研究参加者を対象に、食生活のパターンがCOVID-19の罹患と重症度などに及ぼす影響を検討した。調査に回答した723人のうち、702人が本研究の対象者とされた。食生活のパターンは、動物性食品と植物性食品の両方を摂取している雑食群(424人)と、植物性の食品をベースとした食事を摂取している菜食群(278人)に分けられた。菜食群は、ヴィーガン、および卵と乳製品は摂取するラクト・オボ・ベジタリアンから成るベジタリアン(191人)と、植物性食品の摂取が基本だが時に動物性食品も摂取するフレキシタリアン(87人)で構成されていた。 全体で330人(47.0%)がCOVID-19の診断を受けたことを報告した。重症度は、224人(31.9%)が軽症、106人(15.1%)が中等症〜重症だった。雑食群では菜食群に比べてCOVID-19の罹患率が有意に高かった(51.6%対39.9%、P=0.005)。COVID-19の重症度についても、雑食群で菜食群に比べて中等症〜重症の人の割合が有意に高かったが(17.7%対11.2%、P=0.005)、症状の持続期間については両群で有意な差は認められなかった(P=0.549)。 多変量ロジスティック回帰モデルによる検討の結果、菜食群では雑食群に比べてCOVID-19罹患リスクが39%低いことが示された。菜食群をベジタリアンとフレキシタリアンに分けて解析しても、罹患リスクは雑食群よりもベジタリアンで39%、フレキシタリアンで38%低かった。重症度に関しては、雑食群と菜食群の間でも、また菜食群をベジタリアンとフレキシタリアンに分けて3群間で検討した場合でも、有意な差は認められなかった。 こうした結果から研究グループは、「植物性食品をベースにした食事は免疫系の機能を高める栄養素を多く含んでおり、それが新型コロナウイルスへの感染を防ぐ要因になっているのかもしれない」との見方を示している。Acosta-Navarro氏は、「これらの知見と他の研究結果を踏まえ、またCOVID-19の発症に影響を与える因子を特定することの重要性に鑑みて、われわれは、植物性の食品をベースにした食事やベジタリアンの食事パターンの実践を推奨する」と話している。 本研究には関与していない、NNEdPro食品・栄養・健康のグローバル研究所のShane McAuliffe氏は、「この研究結果は、新型コロナウイルスへの感染のしやすさに食事が関係している可能性を示唆する既存のエビデンスに新たに加わるものだ」と評価する。一方で同氏は、「ただし、特定の食事パターンがCOVID-19罹患リスクを増加させるかどうかについて確固たる結論を出すには、より厳密で質の高い研究が必要であることに変わりはない」と述べている。

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グラム陰性菌血症への抗菌薬、早期経口スイッチの効果は?

 抗菌薬は多様な疾患に処方されており、経口投与は点滴投与と比較して医療者・患者負担が少ないが、その効果に違いはあるのか。合併症のないグラム陰性菌血症の患者を対象に、抗菌薬を早期に経口投与に切り替えた場合と静脈内投与を継続した場合の90日死亡リスクを比較した研究結果が発表された。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のSandra Tingsgard氏らによる本研究は、JAMA Network Open誌2024年1月23日号に掲載された。 本試験は、対象試験エミュレーションの枠組みを用いて実施されたコホート研究で、2018年~21年、デンマーク・コペンハーゲンの4病院で診療を受けた合併症のないグラム陰性菌血症の成人の観察データを対象とした。追跡期間は90日間で、初回血液培養後4日以内に経口抗菌薬に切り替えた場合と、5日以上静脈内投与を継続した場合の90日全死因死亡率を比較した。絶対リスク、リスク差(RD)、リスク比(RR)推定のため、プールロジスティック回帰を用いてintention-to-treat解析およびper-protocol解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・計914例(年齢中央値74.5歳、男性56.0%)が組み入れられ、433例(47.4%)が早期切り替え群、481例(52.6%)が長期静脈内治療群に割り付けられた。99例(10.8%)が追跡期間中に死亡した。・長期静脈内治療群は、早期切り替え群と比較して年齢が高く、菌血症の進行がより重篤で、合併症の負担が大きかった。ベースライン時にこれらの差を調整し、per-protocol解析ではベースライン時の交絡因子と時間変動交絡因子の両方を調整し、割り当てられた治療戦略からの逸脱例は除外した。・死亡率は、長期静脈内治療群のほうが高かった(69例[14.3%]対30例[6.9%])。intention-to-treat解析では、90日全死因死亡率は早期切り替え群で9.1%(95%信頼区間[CI]:6.7~11.6)、長期静脈内治療群で11.7%(95%CI:9.6~13.8)であり、RDはー2.5%(95%CI:ー5.7~0.7)、RRは0.78(95%CI:0.60~1.10)であった。per-protocol解析では、RDはー0.1%(95%CI:-3.4~3.1)、RRは0.99(95%CI:0.70~1.40)と、両群に差はなかった。 研究者らは「4日以内の早期に経口抗菌薬へ切り替えた場合の90日全死因死亡率は、静脈内治療を継続した場合と同程度であり、早期の経口投与切り替えが効果的な代替手段となる可能性を示唆している」としている。

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アルコール依存症の治療期間に応じた薬物療法の有用性~ネットワークメタ解析

 アルコール依存症やアルコール使用障害では、再発が多くみられることから、減酒治療をできるだけ長期間にわたり実施する必要がある。しかし、これまでのレビューでは治療期間が考慮されておらず、減酒治療が適切に評価されていない可能性がある。岡山済生会総合病院の小武 和正氏らは、アルコール依存症またはアルコール使用障害の患者における減酒薬物療法の有効性と安全性を治療期間に応じて評価するため、本研究を実施した。Addiction (Abingdon, England)誌オンライン版2024年1月3日号の報告。 15種類の薬剤を評価したランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。2021年5月までに公表された研究をMEDLINE、Embase、PsycINFO、Cochrane Central Register of Controlled Trials、ClinicalTrials.gov、ICTRPより検索した。アウトカムは、多量飲酒日(HDD)、総アルコール摂取量(TAC)、有害事象、禁酒日数とした。 主な結果は以下のとおり。・分析には、55件(8,891例)のRCTを含めた。・ナルメフェンは、長期にわたるHDD(標準化平均差[SMD]:-0.28、95%信頼区間[CI]:-0.37~-0.18)およびTAC(SMD:-0.25、95%CI:-0.35~-0.16)の減少において、プラセボよりも優れていたが、短期間では効果が十分ではなかった。・トピラマートは、短期的にHDD(SMD:-0.35、95%CI:-0.59~-0.12)および禁酒日数(SMD:0.46、95%CI:0.11~0.82)の減少において、プラセボよりも優れていた。・バクロフェンは、短期的にTAC(SMD:-0.70、95%CI:-0.29~-0.11)の減少においてプラセボよりも優れていた。・有害事象の頻度は、プラセボよりもナルメフェン、トピラマートのほうが有意に高かった。 著者らは、「ナルメフェン、トピラマート、バクロフェンは減酒の薬物療法として有効である可能性が示唆されたが、長期的な有効性が実証されている薬剤はナルメフェンのみである」とまとめている。

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遺伝性血管性浮腫、CRISPR-Cas9ベースの生体内遺伝子編集治療が有望/NEJM

 遺伝性血管性浮腫の治療において、NTLA-2002の単回投与は、血漿中の総カリクレイン濃度を強固に、用量依存性で恒久的に減少させ、重度の有害事象は観察されないことが、ニュージーランド・Auckland City HospitalのHilary J. Longhurst氏らによる検討で示された。遺伝性血管性浮腫はまれな遺伝性疾患で、予測不能な重度の浮腫発作を引き起こす。NTLA-2002は、CRISPR-Cas9に基づく生体内遺伝子編集治療で、カリクレインB1をコードする遺伝子(KLKB1)を標的とする。研究の成果は、NEJM誌2024年2月1日号で報告された。3ヵ国3施設の第I相用量漸増試験 本研究は、遺伝性血管性浮腫の治療におけるNTLA-2002の有用性を評価する第I/II相試験の第I相用量漸増試験であり、2021年12月~2022年8月に、ニュージーランド、オランダ、英国の3施設で患者を登録した(Intellia Therapeuticsの助成を受けた)。 年齢18歳以上、1型または2型の遺伝性血管性浮腫と診断され、スクリーニング前の90日間に少なくとも3回の発作を認めた患者10例(年齢中央値51歳[範囲:26~73]、男性6例、1型6例、2型4例)を登録し、NTLA-2002 25mgを単回投与する群に3例、同50mg投与群に4例、同75mg投与群に3例を割り付けた。 主要エンドポイントは、NTLA-2002治療の安全性と副作用のプロファイルであった。用量制限毒性、臨床的に重要な臨床検査所見はみられず 全体で最も頻度の高い有害事象として、注入に伴う反応を7例(70%、NTLA-2002 25mg群2例、同50mg群2例、同75mg群3例)、倦怠感を6例(60%、1例、3例、2例)で認めた。注入に伴う反応の症状の多くはGrade1で、投与日中に消退し、続発症はみられなかった。 また、NTLA-2002投与後に、用量制限毒性、重篤な有害事象、Grade3以上の有害事象、臨床的に重要な臨床検査所見の発現はなかった。 ベースラインと直近の評価では、この間に血漿中の総カリクレイン濃度の用量依存性の低下を認め、平均変化率は、NTLA-2002 25mg群が-67%、同50mg群が-84%、75mg群は-95%であった。1ヵ月当たりの発作数がベースラインから95%減少 ベースラインから1~16週までの、1ヵ月当たりの遺伝性血管性浮腫発作数の平均変化率は、NTLA-2002 25mg群が-91%、同50mg群が-97%、同75mg群は-80%であった。また、全例におけるベースラインから直近の評価までの、1ヵ月当たりの発作数の平均変化率は-95%だった。 著者は、「これらの結果は、遺伝性血管性浮腫に対する新たな治療法として、NTLA-2002によるCRISPR-Cas9ベースの生体内遺伝子編集治療の検討を継続することを支持するものである」としている。

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英語で「慎重かつ前向きに」は?【1分★医療英語】第117回

第117回 英語で「慎重かつ前向きに」は?《例文1》 Let's prepare for the worst and hope for the best.(最悪の事態に備えて準備して、最善を祈りましょう)《例文2》He always has a glass-half-full mentality and never pessimistic.(彼は常に「コップが半分満たされている」という精神でいて、決して悲観的にならない)《解説》“cautiously optimistic”は英語の頻用表現です。“optimistic”は前向き、楽観的という意味で、“pessimistic”(悲観的)の対語です。医療現場では気軽に楽観的な言葉を掛けられない深刻な状況もありますが、「そんな状況でも患者さんを励ましたい」という場面で使うことができます。“cautiously”と前置きすることで、「医師として最大限に慎重に対応はしているが、そのうえで前向きに希望を持って臨みたい」という気持ちを伝えることができます。類似表現として、例文に示した“prepare for the worst and hope for the best”も同じような状況・意図で使われます。英語表現では楽観的・悲観的という性格を、“glass-half-full mentality” or “glass-half-empty mentality”と呼ぶことがあります。これは、水が半分入ったコップを見たときに、楽観的な人は「コップは半分まで満ちている」と言い、悲観的な人は「コップは半分まで空になっている」と言う、という逸話に由来します。講師紹介

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