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検索結果 合計:4227件 表示位置:4181 - 4200

4181.

やっぱりメタボは癌になりやすい!?

体重超過(過体重:BMI 25~29.9kg/m2および肥満:BMI≧30 kg/m2)は、食道癌、膵癌、結腸・直腸癌、閉経後乳癌などの一般的に見られる癌の発症と関連することが示されている。今回、英国Manchester大学癌研究部門外科のAndrew G Renehan氏らが行った28万例を超える癌患者を対象としたメタ解析により、比較的まれな癌もBMIの増加と関連しており、性差や人種差が見られる癌も存在することが明らかとなった。Lancet誌2008年2月16日号掲載の報告。体重と癌の関連を検討した28万2,137例のデータを解析研究グループは、2007年11月までにMedlineおよびEmbaseに登録された文献から体重と15部位20種の癌の関連についてプロスペクティブに検討した研究を系統的に検索した。BMIの5 kg/m2増加と発癌リスクの関連を評価するために、変量効果(random-effect)のメタ解析およびメタ回帰分析を用いた。141論文の221のデータセットが抽出され、解析対象は28万2,137例(男性:15万4,333例、女性:12万7,804例)、フォローアップは1億3,300万人年以上に達した。部位別の平均フォローアップ期間は、8.4年(乳癌)~14.4年(多発性骨髄腫)であった。生物学的メカニズムの研究に有益な情報を提供BMIの5 kg/m2増加と強い相関を示した腫瘍として、男性では食道癌(リスク比:1.52、p<0.0001)、甲状腺癌(1.33、p=0.02)、結腸癌(1.24、p<0.0001)、腎癌(1.24、p<0.0001)が、女性では子宮内膜癌(1.59、p<0.0001)、胆嚢癌(1.59、p=0.04)、食道癌(1.51、p<0.0001)、腎癌(1.34、p<0.0001)が確認された。BMIの増加と弱い相関(リスク比<1.20)を示した腫瘍として、男性では直腸癌、悪性メラノーマが、女性では閉経後乳癌、膵癌、甲状腺癌、結腸癌が確認された。また、白血病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫は、男女ともに弱い相関が見られた。結腸癌とBMI増加の関連は女性よりも男性で有意に強かった(p<0.0001)。北米、ヨーロッパ、オーストラリア、アジア太平洋地域の試験において、BMIの増加と特定の腫瘍の関連性は全般に類似していたが、アジア太平洋地域では他の地域に比べBMI増加と閉経前乳癌に強い相関を認め(p=0.009)、閉経後乳癌にも相関の傾向が見られた(p=0.06)。Renehan氏は、「BMIの増加は一般的な癌だけでなく、比較的まれな癌とも相関し、いくつかの癌ではBMI増加との関連に性差や人種差が認められた」と結論し、「これらの疫学的観察データは、肥満が発癌と関連する生物学的メカニズムの探索的研究に有益な情報を提供するものである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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服毒に対する活性炭投与は死亡率を抑制しない

開発途上の農業国では、意図的な自己服毒に毒性の強い農薬や植物を用いるため、先進国に比べ致死率が10~50倍も高いという。今回、スリランカで実施された無作為化試験により、腸血管や腸肝循環の一時的な遮断を目的に自己服毒患者に対しルーチンに施行されている活性炭の投与は死亡率を抑制しないことが明らかとなった。英国Oxford大学熱帯医学研究所のMichael Eddleston氏らがLancet誌2008年2月16日号で報告した。活性炭1回投与、6回投与、非投与を比較する無作為化試験本研究は、活性炭50gの1回投与、同6回投与(4時間ごと)、非投与の3群を比較する無作為化対照比較試験である。2002年3月~2004年10月の間にスリランカの3つの病院に4,632例が登録され、非投与群に1,554例、6回投与群に1,533例、1回投与群に1,545例が無作為に割り付けられた。アウトカムが評価可能であったのは4,629例(1回投与群の1例、6回投与群の2例がフォローアップ不可)。そのうち2,338例(51%)が農薬を、1,647例(36%)が黄花夾竹桃(キバナキョウチクトウ、yellow oleander、Thevetia peruviana)の種子を摂取していた。主要評価項目は死亡率。死亡率は3群とも試験期間中に311例が死亡し、全体の死亡率は6.7%であった。そのうち非投与群が105例(6.8%)であったのに対し、6回投与群は97例(6.3%)(補正オッズ比:0.96、95%信頼区間:0.70~1.33)、1回投与群は109例(7.1%)(1.11、0.82~1.52)といずれも有意差を認めず、両投与群間(0.87、0.64~1.18)にも差は見られなかった。農薬の摂取者、黄花夾竹桃種子の摂取者はともに、入院時の重症度および服毒から治療までの時間と活性炭投与との間に明確な関連は見られなかった。Eddleston氏は、「活性炭の早期投与が有用で経済的に無理のない治療法か否かについてはさらなる検討を要するが、アジア太平洋地域の農業国では自己服毒患者に対する活性炭のルーチン投与は推奨されない」と結論したうえで、「不必要な死を防止する効果的な治療法および新たな治療介入法を見つけ出すための臨床試験を実施することが喫緊の課題である」と訴えている。(菅野守:医学ライター)

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認知症発症後の生存期間は4.5年――イングランド/ウェールズの場合

Jing Xie氏(ケンブリッジ大学公衆衛生/プライマリ・ケア科、イギリス)によれば、認知症は死亡リスクを増大させるが、イングランド/ウェールズ地方における認知症患者の生存期間は明らかにされていない。同氏らの研究グループは、認知症発症後の生存期間を推計し、さまざまな背景因子ごとに解析を行った。その結果、フォローアップ期間14年における認知症発症後の推計生存期間中央値は4.5年であり、性別、発症年齢、機能障害が生存期間に有意な影響を及ぼした。BMJ誌2008年2月2日号(オンライン版2008年1月10日号)掲載の報告。65歳以上の1万3,004人の発症状況と生存期間を調査Medical Research Council’s Cognitive Function and Ageing Study (MRC CFAS)は、認知症発症後の生存期間の評価を目的に、1991~2003年にイングランド/ウェールズで実施された地域集団をベースとしたプロスペクティブな多施設共同コホート研究。農村部の2施設および都市部の3施設に65歳以上の1万3,004人登録された。登録後2年、6年、8年、10年に認知症の評価を行い、フォローアップ期間14年(2005年)の時点における生存期間を推計した。死亡の有意な予測因子は「男性」「より高齢で発症」「重度の機能障害」試験期間中に認知症を発症した438人(女性:311人、男性:127人)のうち、2005年12月までに356人(81%)が死亡した。認知症の発症年齢中央値は女性84歳、男性83歳であり(p=0.001)、死亡年齢中央値はそれぞれ90歳、87歳であった(p=0.001)。認知症発症後の推計生存期間中央値は女性が4.6年、男性が4.1年で、全体では4.5年であった。発症年齢別の生存期間中央値は、65~69歳が10.7年、70~79歳が5.4年、80~89歳が4.3年、90歳以上が3.8年であり、65~69歳と90歳以上の間には約7年の差が認められた。多変量解析では、フォローアップ期間中に認知症がみられた患者における死亡の有意な予測因子として、男性(p=0.007)、発症年齢が高齢(p=0.03)、Blessed dementia scaleによる機能障害が重度(p=0.002)が確認された。Xie氏は、「認知症発症後の推計生存期間中央値は4.5年、死亡の有意な予測因子は性別、発症年齢、機能障害であった」と結論し、「これらの知見は、患者、介護者、サービス提供者、政策立案者にとって予後予測や計画立案に有用と考えられる」と指定している。(菅野守:医学ライター)

4184.

Caサプリメントで心血管系イベント増加傾向

 健康な閉経後女性がCaサプリメントを常用すると、5年間で心血管系イベントのリスクが50%近く増加する可能性がある。ニュージーランドで行われた無作為化試験を報告したUniversity of AucklandのMark J Bolland氏らによる論文が、BMJ誌オンライン版2008年1月15日号で早期公開、本誌では2008年2月2日号に収載された。骨折予防を目的としたCaサプリメントの推奨に一石 この試験では心血管系疾患履歴のない閉経後女性1,471例(平均74歳)が、Ca(200mg)含有サプリメント(1g)/日群(732名)とプラセボ群(739名)に無作為割り付けされ、単盲検で5年間追跡された。 その結果、「心筋梗塞、脳卒中、または突然死」はCaサプリメント群で増加傾向を示した(相対リスク:1.47、95%信頼区間:0.97~2.23)。ただし心筋梗塞のみで比較するとサプリメント群で有意な増加を認めた(21例 vs 10例、相対リスク:2.12、95%信頼区間:1.01~4.47)。 Bolland氏らは、Caサプリメントによる骨折減少作用は認められないことを、すでに本研究から報告しており [Am J Med 2006; 119: 777] 、今回の解析は「Caサプリメントの心血管系に対する悪影響を示すデータではないが、(骨に対する有用性が明らかになるまでは)Caサプリメントの有効性と危険性を考慮する必要を示唆している」としている。

4185.

救急外来受診例の約半数に深部静脈血栓リスク。予防は不十分

救急外来を受診後入院例で、外科的治療の適応となった患者の6割以上、内科的治療適応例の4割以上が、深部静脈血栓(DVT)のリスクを有しているが、それらのうち深部静脈塞栓(DVE)の予防措置を受けていたのは50.2%だった──とする国際的横断研究の結果がLancet誌2008年2月2日号に掲載された。研究の名称はENDORSE(Epidemiologic International Day for the Evaluation of Patients at Risk for Venous Thromboembolism in the Acute Hospital Care Setting)。King’s College Hospital(英国)のAlexander T Cohen氏らによる論文である。32ヵ国7万例弱で検討本研究には世界32ヵ国の358施設(50床以上)で救急外来を受診し入院した68,183例が登録された。内訳は、内科的治療を受けた40歳以上の37,356例と外科的治療の適応となった18歳以上の30,827例である。入院後、DVTリスクが調べられた。リスク評価には、米国胸部疾患学会(ACCP)が2004年刊行した「静脈血栓塞栓予防」ガイドラインを用いた。予防が行われていたのは外科的治療例58.5%、内科的治療例39.5%その結果、外科的治療例の64.4%、内科的治療例の41.5%にDVTリスクが認められた。東南アジアから唯一参加していたタイのリスクも世界平均と同様で、DVTリスクを認めた患者は、外科62%、内科49%だった。次に、これらのDVTリスクを認める患者において、上記ACCPガイドラインが推奨する深部静脈塞栓(DVE)の予防が行われていた割合を見ると、外科的治療58.5%、内科的治療39.5%だった。これらよりCohen氏らは、DVTリスクを持つ入院患者は多いにもかかわらず、適切な予防措置がとられていないと結論している。なお、上記ACCPガイドラインでは手術後「DVT低リスク」群に対しては、「早期からの“積極的”歩行」を推奨するが特にDVE予防措置をとる必要はないとしているが、本研究では術後「低リスク群」の34%が何らかの「予防措置」を受けていた。(宇津貴史:医学レポーター)

4186.

嚢胞性線維症患者への悪影響は間接喫煙曝露と遺伝子変異が相互に連関

嚢胞性線維症(CF)は白人に高頻度でみられる単一遺伝子疾患だが、Johns Hopkins医科大学遺伝学部門のJ. Michael Collaco氏らは、本疾患をめぐる遺伝子-環境の相互連関を調べることで疾患変異の洞察を試みた。具体的に間接喫煙曝露とCF患者の肺機能やその他転帰との関連性、また間接喫煙曝露と肺疾患重症度との社会経済学的側面からみた関連性、肺機能に影響を与える間接喫煙曝露は特異的な遺伝子-環境なのかを検証。JAMA誌2008年1月30日号で結果が掲載された。2000年10月~2006年10月の米国人CF患者を調査対象はUS Cystic Fibrosis Twin and Sibling Studyから集められ、2000年10月から2006年10月の間にCFと診断された主として米国人。欠落データについては嚢胞性線維症財団の登録データで補完された。このデータについて、環境因子および遺伝的因子で階層化し、肺機能に関するレトロスペクティブな評価を実施。主要評価項目は、横断的および縦断的肺機能測定時の疾患特異性。間接喫煙曝露群は横断・縦断的肺機能とも有意に低下家庭での間接喫煙有無が確認できた812例のうち188例(23.2%)が曝露群。妊娠期間中に母親の能動喫煙有無が確認できた780例のうちでは129例(16.5%)が曝露群だった。家庭での間接喫煙曝露群は非曝露群と比較して、横断的評価でも(パーセンタイル値9.8ポイント減、P<0.001)、縦断的評価でも(同6.1ポイント減、P=0.007)有意に肺機能が低かった。また回帰分析の結果、肺機能への間接喫煙曝露の有害性は社会経済的背景とは関連性は認められなかった。変異遺伝子と間接喫煙曝露の相互連関が肺機能の有意な低下を招いていることも明らかとなった(嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子CFTR non-ΔF508 ホモ接合体はパーセンタイル値12.8ポイント(P=0.001)、トランスホーミング増殖因子TGFβ1-509 TTホモ接合体は同22.7ポイント(P=0.006)、トランスホーミング増殖因子TGFβ1codon10CCホモ接合体も同20.3ポイント(P=0.005)それぞれ低下)。このため「どのような間接喫煙曝露もCF患者の肺機能に悪影響を及ぼす。またCF遺伝子(CFTR)とCF変異遺伝子(TGFβ1)は、間接喫煙曝露の負の影響を増幅する」と結論付けている。(朝田哲明:医療ライター)

4187.

薬剤溶出性ステント、パクリタキセル vs シロリムス、有意差なし:SORT OUT II

薬剤溶出性ステントの承認は比較的小規模の治験結果に基づいているが、実際の診療においては幅広い患者を対象に使われる。本研究は、Gentofte大学病院(デンマーク)Anders M. Galloe氏らによって、先頭を走るシロリムス(免疫抑制剤)溶出性ステントとパクリタキセル(抗癌剤)溶出性ステントの2つの入手可能な薬剤溶出性ステントを用いて行われたSORT OUT IIの結果報告。診療実態に沿って、主要な症状の予防効果に重点が置かれた。JAMA誌2008年1月30日号より。PCI患者2098例をシロリムス群とパクリタキセル群に割り付け試験は2004年8月から2006年1月にかけてデンマークの5つの大学病院で、無作為盲検方式にて実施された。対象は経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた男女合わせて2,098例(平均63.6 歳[標準偏差10.8])で、シロリムス溶出性ステント群(n=1,065)と、パクリタキセル溶出性ステント群(n=1,033)にランダムに割り付けられた。PCIの適応にはST上昇心筋梗塞(STEMI)、非STEMIまたは不安定狭心症、安定狭心症が含まれた。主要評価項目は重大な心イベントの複合エンドポイント(心臓死、急性心筋梗塞、対象病変の血行再建術、血管再形成術によると定義)。二次評価項目には、全原因死亡率とステント血栓症も含まれた。両剤に転帰上の有意差は見いだせず結果、両剤ステント群間には、重大な有害心イベントについても(98例[9.3%]対114例[11.2%]、ハザード比0.83[95%信頼区間0.63-1.08]、P=0.16)においても、あるいはどの二次的エンドポイントの結果にも有意差は確認できなかった。ステント血栓症発生率はそれぞれ、シロリムス群27例(2.5%)、パクリタキセル群30例(2.9%)で、ハザード比0.87[95%信頼区間、0.52-1.46]、P=0.60)。この結果から研究グループは、シロリムスあるいはパクリタキセル溶出性ステントによる治療を受けた患者間で、臨床転帰上の有意差は見いだせなかったと結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

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アスピリン抵抗性は心血管系死亡のリスク?

アスピリンによる抗血小板作用が通常ほど見られない「アスピリン抵抗性」の存在が知られているが、20試験2,930例を解析したところ、心血管系疾患患者の28%に「抵抗性」が見られ、それらの患者では「非抵抗性」患者に比べ心血管系イベントリスク、死亡ともにオッズ比が有意に増加しているとの報告がBMJ誌2008年1月26号に掲載された(オンライン版1月17日付)。University Health Network(カナダ)のGeorge Krasopoulos氏らが報告した。解析20試験中アスピリン抵抗性は2,930例中810例(28%)本解析に含まれた20試験はいずれも、心血管系疾患患者に対するアスピリンの予後改善作用を検討したものである。アスピリン抵抗性の有無はそれぞれの試験で定義されている場合それに従い、定義がない場合はKrasopoulos氏らが文献から判定した。また6試験985例では、クロピドグレルやGPIIb/IIIa阻害薬などアスピリン以外の抗血小板薬服用が許されていた。その結果、アスピリン抵抗性は2,930例中810例(28%)に認められた。男性に比べ女性、腎機能正常患者に比べ腎機能低下患者で「抵抗性」は有意に多かった。また「抵抗性」患者では、心血管系イベント発生リスクが有意に高かった。すなわち、「非抵抗性」患者に比べたオッズ比は、全心血管系イベント:3.85(95%信頼区間:3.08~4.80)、急性冠症候群:4.06(95%信頼区間:2.96~5.56)、脳血管障害初発:3.78(95%信頼区間:1.25~11.41)、全死亡:5.99(95%信頼区間:2.28~15.72)だった。アスピリン抵抗性患者における心血管系イベントリスクの増加は、75~100mg/日、100超~325mg/日、いずれの用量でも認められた。本当にアスピリン抵抗性なのか以上などからKrasopoulos氏らは「アスピリン抵抗性患者は心血管系イベントリスクが高い」と結論する。ただし本研究では3試験390例(13.3%)ではアスピリンの服薬コンプライアンスが全く確認されておらず、試験期間中コンプライアンスが繰り返し検討されたのは1試験71例だけだった。またKrasopoulos氏らは、アスピリン抵抗性が見られる患者でも、それ故に処方を中止することのないよう注意を喚起している。なおアスピリン抵抗性患者を対象としたGPIIb/IIIa阻害薬による二次予防作用を賢答化する無作為化試験として、TREND-AR(TiRofiban Evaluation of Surrogate ENDpoints in Prevention of Ischemic Complications During Percutaneous Interventions in Patients With Coronary Disease and Aspirin Resistance)[NCT00398463] が2006年5月に開始されたが、2007年末、対象患者にクロピドグレル抵抗性患者も含まれるよう変更された。終了は2011年の予定だという。(宇津貴史:医学レポーター)

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NPPA遺伝子変異型の降圧剤への効果と関連性

 高血圧治療は近年優れた薬剤の登場でコントロールが可能となってきているが、ミネソタ大学薬理学のAmy I. Lynch氏らは「患者個々の遺伝子特性に合わせた治療が可能となれば、心血管疾患(CVD)罹患率および死亡率をもっと低下することができるのではないか」と考えた。その可能性をALLHAT(Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial)の高血圧患者のデータを利用し解析。JAMA誌2008年1月23日号に結果が掲載された。ALLHATから高血圧患者38,462例のデータを事後解析Lynch氏らがターゲットとしたのは、一部の降圧剤の効能をコントロールする可能性が示唆される心房性ナトリウム利尿ペプチドの前駆体をコードしているNPPA遺伝子。その変異による降圧剤への効果と関連性を調べた。NPPA T2238CあるいはNPPA G664A変異を有する対象者での心血管疾患率および血圧の変化の違い、利尿剤と他の降圧薬治療との違いについて調査。ALLHATから高血圧患者38,462例のデータによる事後解析の内訳は、利尿剤(クロルサイアザイド)13,860例、Ca拮抗剤(アムロジピン)8,174例、ACE阻害剤(リジノプリル)8,233例、αブロッカー剤(ドキサゾシン)8,195例となっている。遺伝子タイピングの実施期間は2004年2月から2005年1月の間に行われた。平均追跡期間は4.9年。主要評価項目は、致死的CHD・非致死的心筋梗塞と定義された虚血性心疾患(CHD)。副次評価項目は、脳卒中、全死亡、心血管疾患併発、6ヵ月後の収縮期・拡張期血圧の変化。血圧変化(収縮期)はCC遺伝子型で最も大きな変化TT、TCなど各遺伝子型(NPPA T2238C:TT、TC、CC NPPA G664A:GG、GA、AA)の結果から最大・最低値をみると、CHDの最低はAAにおける15.3、最高はTTで19.3、脳卒中は9.6(TT)、15.4(AA)、全死亡は27.4(TT)、30.7(AA)(いずれも/1,000人年)。NPPA T2238C変異群でイベント発症が低いことが明らかとなった。6ヵ月後の血圧変化(収縮期)については、CC遺伝子型で最も大きな変化がみられた(利尿剤:-6.5mmHg、Ca拮抗剤:-3.8mmHg、ACE阻害剤:-2.4mmHg、αブロッカー剤:-3.8mmHg)。TT遺伝子型では、投薬による降圧効果は収縮期、拡張期とも、いずれの薬剤においても低かった。NPPA G664A異型では「遺伝薬理学的な関連性をみいだせなかった」とも報告されている。Lynch氏らは、「NPPA T2238C異型は、心血管疾患、血圧に影響を及ぼす降圧剤との関連が認められた。C遺伝子型を有する場合は、利尿剤投与が最も心血管疾患のアウトカムに有利で、TT遺伝子型の場合は、Ca拮抗剤が最も有利」とまとめている。(武藤まき:医療ライター)

4190.

局所NSAIDsのほうが経口NSAIDsよりも有用?

高齢者に多い慢性膝痛に対し、局所NSAIDs、経口NSAIDsのいずれを用いることを推奨すべきか。有害事象発現に着目した無作為化試験および患者選択試験が、ロンドン大学健康科学センターMartin Underwood氏らによって行われた。BMJ誌オンライン版2007年12月4日付け、本誌2008年1月19日号で報告されている。50歳代の膝痛患者585例対象本試験は、一般医26人の協力を得て、50歳代の膝痛を有する患者585例の参加のもと行われた(無作為化試験参加282例、患者選択試験303例)。局所もしくは経口の非ステロイド系消炎鎮痛薬イブプロフェン(NSAIDs)を医師のアドバイスに基づき投与。主要評価項目は、変形性関節症指標WOMAC(Western Ontario and McMaster Universities)および大小の有害事象とした。経口NSAIDsのほうがやや不利?12ヵ月時点における全体的なWOMACスコアの変化は、局所投与も経口投与もほとんど変わらなかった。試験別にみると、無作為化試験での局所投与と経口投与の差異は2ポイント(95%信頼区間:-2~6)、患者選択試験では1ポイント(同-4~6)。有害事象発現に関する両試験の違いも特に見られなかった。有意差がみられたのは無作為化試験の副次評価項目で、「呼吸器障害」について局所群7%に対し経口群17%(差異の95%信頼区間:-17%~-2%)、「血清クレアチニン値の変化」について経口群のほうが3.7mmoL/L(0.9μmol/lから6.5μmol/l)不利との結果が得られている。その結果、有害事象を理由とする治療を変更した参加者がより多く存在した(経口群16%に対し局所群1%、95%信頼区間:-16%~-5%)。局在群で途中で治療を変更したのは、慢性痛グレードがIIIまたはIVの患者で3ヵ月時点で無効だった患者だった。以上からUnderwood氏は、副作用発現に関して両者に違いは見られなかったが、副次評価項目でみられたように経口NSAIDsのほうがやや不利だったことを踏まえ、「局所NSAIDsのほうが、経口NSAIDsよりも有用かもしれない」と結論づけている。

4191.

テストステロン補充療法がメタボを促進?

男性ホルモンの一種であるテストステロンは、年齢とともに有意に減少することから、テストステロンの補充が老化に対してプラスに働くと考えられている。本論文は、テストステロン濃度が低下した高齢男性に対するテストステロン補充療法の効果に関する臨床試験の報告。運動機能、認知機能、骨密度、体組成、血漿脂質、QOL、安全性が調べられた。JAMA誌2008年1月2日号より。テストステロン160mg/日を60日間投与試験を行ったのはユトレヒト大学医療センター(オランダ)のMarielle H. Emmelot-Vonk氏らの研究グループ。二重盲検無作為化プラセボ対照試験で、テストステロン濃度が13.7nmol/L未満に低下した60~80歳の健常男性237例を対象に、2004年1月から2005年4月にかけて実施した。対象者は、テストステロン(アンドリオール)を1日2回(80mg/回)投与群とプラセボ投与群にランダムに割り付けられ、6ヵ月間投与を受けた。主要評価項目は、運動機能(スタンフォード式健康評価質問票、timed get up and go test、握力、脚伸筋力)、認知機能、骨密度(股関節と腰椎)、体組成、メタボリック危険因子(空腹時血漿脂質、グルコース、インスリン)、QOL(SFH36とQLSMによる)ならびに安全性指標(血清前立腺特異抗原濃度、前立腺体積、国際排尿症状スコア、血清クレアチニン濃度、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ:AST、アラニンアミノトランスフェラーゼ:ALT、γ-グルタミルトランスフェラーゼ:GGT、ヘモグロビン、ヘマトクリット)。身体機能、認知機能、QOLに有意な変化みられず解析対象となった207例のうち、テストステロン投与群はプラセボ投与群と比較して、体脂肪は減少したが除脂肪体重が増大した。しかし、除脂肪体重増によって運動機能や筋力がアップすることはなく、認知機能と骨密度にも変化はみられなかった。インスリン感受性は向上したが、HDLコレステロールは減少。試験終了時には、テストステロン投与群の47.8%、プラセボ投与群の35.5%にメタボリックシンドロームがみられた(P=0.07)。QOLに関しては、ホルモン関連のQOL指標がアップした以外は変化がなかった。前立腺の安全を脅かす因子は検出されていない。これらから研究グループは、テストステロンが低下した高齢男性へのテストステロン補充療法は、除脂肪体重の増加、代謝面の複合的な影響がみられた以外は、身体機能あるいは認知機能への影響は確認できなかったと結論づけている。(朝田哲明:医療ライター)

4192.

活動的な両親の子は活動的に育つ?

小児期の身体活動に影響を及ぼす因子が同定されれば、より優れた介入戦略の開発に役立つ可能性がある。しかし、乳幼児期の因子が後年の身体活動にどう影響するかはほとんど知られていない。Calum Mattocks氏(イギリス、ブリストル大学社会医学)らは、5歳までの乳幼児期の因子が後年の11~12歳時の身体活動と相関するか否かについて検討。妊娠中や乳幼児期の両親の身体活動が11~12歳時の身体活動に影響を及ぼすことなどが明らかとなった。BMJ誌2008年1月5日号(オンライン版2007年11月23日号)掲載の報告。イギリスの同時出生コホート研究Avon longitudinal study of parents and children(ALSPAC)は、イギリスで実施されたプロスペクティブな同時出生コホート研究。1991年4月1日~1992年12月31日に出産予定の妊婦14,541人が登録され、14,062人の生児が誕生した。研究グループは、5歳までの乳幼児期の因子が後年の11~12歳時における身体活動と相関するか否かについて検討した。身体活動レベルはcounts per minute(cpm)で評価し、身体活動は11歳時に単軸性アクティグラフ(身体運動記録装置)加速度計を装着してもらい7日間測定することとした。妊娠中の早歩き、水泳が11~12歳時の活動性を高める5,451人の小児から、1日最低10時間の身体活動を少なくとも3日間測定したアクティグラフデータが集められた。回帰係数をカテゴリー変数が“none”のベースラインと比較したところ、「妊娠中の妊婦早歩き」「妊娠中の妊婦水泳」「生後21ヵ月時の両親の身体活動」などが11~12歳時の身体活動に関連していた。Mattocks氏は、「乳幼児期のいくつか因子が後年の11~12歳における身体活動に影響を及ぼすことがわかった」としたうえで、「妊娠中や乳幼児期の両親の身体活動が11~12歳の子どもの身体活動をわずかながら増進させたため、活動的な両親の子どもは活動的に育つ傾向が示唆された。それゆえ、両親が身体活動を増進するよう支援すれば、子どもの活動性が促進される可能性がある」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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肺塞栓症の画像診断でCTPAは本当に有用なのか?

 肺塞栓症が疑われる患者に対して、肺換気・血流シンチグラフィ (V/Q)とCT肺アンギオグラフィ(CTPA)は広く行われている画像診断法だが、多くの医療施設でCTPAが主流となりつつある。Dalhousie University(カナダ)のDavid R. Anderson氏らは、CTPAがV/Qスキャンより有用であるかを検討した。JAMA誌2007年12月19日号にて掲載。カナダ・アメリカ1,417例を対象にCTPAとV/Qを比較 V/QスキャンとCTPAについて正式に比較検討したものは少なく、またCTPAについては感受性が低い(臨床的に重要な肺塞栓見落としの可能性が高い)懸念が言われている。Anderson氏らは、急性肺塞栓症の診断を行う最初の肺画像診断として、CTPAがV/Qスキャンの安全な代替方法かどうかを確認するため、無作為単盲検臨床試験を実施した。 対象は、高度医療を担うカナダ4施設、米国1施設の医療機関で、2001年5月~2005年4月の間にWells clinical model score 4.5以上、Dダイマー検査陽性との結果に基づき急性肺塞栓症とみなされた1,417例の患者。 患者は、V/Q(701例)もしくはCTPA(716例)に無作為に振り分けられ、肺塞栓症と診断された患者は抗凝固療法を受け3ヵ月間フォロー。除外された患者についても、抗凝固療法を受けることなく3ヵ月間追跡調査が行われた。 主要評価項目は、肺塞栓症が除外された患者の症候性肺塞栓症または深在静脈血栓症の発現。CTPAはV/Qスキャンに劣っていない? 肺塞栓症と診断され抗凝固療法を受けたのは、CTPA群133例(19.2%)、V/Q群101例(14.2%)。初回検査による相違は5.0%(95%信頼区間:1.1%~8.9%)だった。肺塞栓症が除外された患者のうち、フォローアップ期間中に静脈血栓塞栓症を呈したのは、CTPA群2/561例(0.4%)、V/Q群6/611例(1.0%)。これには致死性肺塞栓症1例が含まれる。両群相違は-0.6%(95%信頼区間:1.6%~-0.3%)だった。研究者らは、「本研究においてCTPAは肺塞栓症を除外する際、V/Qスキャニングより劣ってはいなかった」としながらも、「CTPAアプローチで肺塞栓症と診断された患者が、かなり上回っていたが、CTPAで見つかった全ての肺塞栓症が抗凝固療法の対象としなければならないかどうか、さらなる調査が必要だ」とまとめている。

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新開発の着用可能な血液透析機の有用性を確認

 透析あるいは腎移植を要する慢性腎不全患者は世界で約130万人に上る。これらの患者は、より頻回の血液透析を行えば生存率およびQOLの双方が改善される可能性があるが、イギリスにはそれを可能にするcapacityがほとんどないという。そこで、Andrew Davenport氏(ロンドン大学、Royal Free and University College Hospital Medical School)らは、新たな透析手段として着用して使用する透析機を開発、その安全性および有効性を評価するパイロット試験を実施した。Lancet誌12月15日号掲載の報告。標準的透析治療を受けている末期腎不全患者が着用透析機を装着 対象は、週に3回の標準的な血液透析を受けている末期腎不全患者8例(男性5例、女性3例、平均年齢51.7歳、平均透析期間17.9年)。これらの患者が新たに開発された着用透析機(重量約5kg)を1日に4~8時間装着し、標準の透析法と同様に抗凝固薬として未分画ヘパリンを投与された。 心血管系への重大な影響や血清電解質、酸塩基のバランスの変化は認めなかった。いずれの症例でも臨床的に有意な溶血のエビデンスは得られなかった。より長時間の装着が可能となるよう改良を重ねるべき 平均血流量は58.6mL/分、透析液流量は47.1mL/分であった。また、平均血漿尿素クリアランスは22.7mL/分、クレアチニンクリアランスは20.7mL/分であった。これらのデータは従来の透析法に比べ低値であるが、透析の時間および期間を延長できれば従来法よりも改善されることが示唆された。 ヘパリン用量が低下した際に2例に血管穿刺部位の血液凝固がみられたが、2例とも部分トロンボプラスチン時間は正常域へと回復した。1例で穿刺針の脱落がみられたが安全装置により失血は防止され、穿刺針を取り換えて治療が継続された。 これらの結果により、Davenport氏は「新開発の着用して使用する透析機器は安全性および有効性ともに有望な結果が得られた」と結論している。また、「これらの知見をより多くの症例で検証する試験が必要である。今後は、有効性を高めるために、より長時間の装着が可能となるよう改良を重ねれば、末期腎不全患者の透析回数をふやす実用的な手段となる可能性がある」と指摘している。

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「グリベック」6年間投与の最新データ発表、病期の進行は見られず

「グリベック」(一般名:メシル酸イマチニブ*) の最大の臨床試験であるIRIS (International Randomized Interferon versus ST1571)で得られた最新のデータによると、「グリベック」投与6年目においても病期の進行が見られないことが米国血液学会(ASH)の第49回年次大会で発表された。IRIS試験は、慢性期のPh+CMLと新たに診断された患者さん1,106名を対象に、16カ国177施設で行なわれたオープンラベル方式の第3相臨床試験。試験結果によると、2年間の治療を経た後の年次憎悪率は年々減少を続け、6年目では0%となった。また、「グリベック」による治療を受けた患者の6年目における全生存率は約88%だった。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2007/pr20071220.html

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新開発のクラミジア迅速検査により即日診断・治療が可能に

クラミジアの核酸増幅検査は、現在使用されている迅速検査よりも感度および特異度が優れるが、高価なため財源が限られた診療所は導入が困難だ。また、核酸増幅検査は結果が出るまでに1~2週間を要するため、治療の勧告やパートナーへの告知に支障が生じる。イギリス・ケンブリッジ大学診断法開発部門の研究グループは、医療財源が限定された状況を想定して非侵襲的な自己採取の膣スワブ標本を用いた新たなクラミジア迅速検査を開発した。 Diagnostics for the Real World(Europe) 社のLourdes Mahilum-Tapay氏らは、クラミジアの診断およびスクリーニングのツールとしての本法の有用性を評価し、BMJ誌12月8日号(オンライン版11月30日号)で報告した。迅速検査と2つの核酸増幅検査を比較若者の性の健康センター(施設1)、泌尿生殖器クリニック(施設2および3)に16~54歳の女性1,349人(施設1:663人、施設2:385人、施設3:301人)が登録された。試験期間は2005年11月~2006年3月。施設1では自己採取した膣スワブを2標本と初尿を提供してもらい、施設2、3では医師の採取による膣スワブ、自己採取膣スワブ、初尿および子宮頸管スワブの提供も受けた。クラミジア迅速検査と、polymerase chain reaction(PCR)アッセイおよびstrand displacement amplification(SDA)アッセイという2つの核酸増幅検査の感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率を比較した。また、迅速検査のvisual signalと病原体量の相関、膣スワブの自己採取を受容できるか否かについても評価した。持続感染や感染拡大のリスクを低下させうるPCR法によるクラミジア陽性率は、施設1が8.4%、施設2が9.4%、施設3が6.0%であった。PCR法との比較における迅速検査の感度は83.5%、特異度は98.9%、陽性的中率は86.7%、陰性的中率は98.6%であった。SDA法との比較における迅速検査の感度は81.6%、特異度は98.3%であった。これらの検出能には有意な差は認めなかった。自己採取膣スワブの病原体量はクラミジアプラスミド数換算で5.97×10の2乗~1.09×10の9乗であり、迅速検査のvisual signalと良好な相関を示した(r=0.6435、p<0.0001)。ほとんどの参加者(95.9%)が、膣スワブの自己採取について「快適」と回答した。Mahilum-Tapay氏は、「自己採取膣スワブによるクラミジア迅速検査は即日診断およびスクリーニングのツールとして有用」と結論、「30分以内に結果が得られるため即日治療や接触者の追跡が可能となり、持続感染や感染拡大のリスクを低下させうる。また、スクリーニングにおいて核酸増幅検査に代わる簡便かつ信頼性の高い検査法となる可能性がある」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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製薬会社スポンサー付きのメタ解析は解釈に疑問が

単独の製薬会社と経済的つながりを持つメタ解析では、解析結果は影響を受けないが、結論はその会社に好ましい内容になる傾向があるという。スタンフォード大学のVeronica Yank氏らによる検討で、BMJ誌オンライン版11月16日付けで早期公開、本誌12月8日号で報告されている。単独スポンサー付きメタ解析では、結果と結論の不一致が37%にYank氏らは2004年12月までに出版された降圧薬臨床試験のメタ解析から、重複を除いた124解析を抽出した。40%にあたる49解析が単独の製薬会社から資金提供を受けていた。まず製薬会社に好ましい「解析結果」をもたらす要因を単変量解析で求めると、「試験の高品質」、「バラツキ検定の実行」、「感度解析の実行」が有意な因子であり、「単独製薬会社との経済的つながり」は有意な因子となっていなかった。製薬会社に好ましい「結論」をもたらす因子は、唯一「単独製薬会社との経済的つながり」だけが有意だった。事実、単独製薬会社と経済的つながりのあるメタ解析では、当該会社製品の有用性を示す結果が得られていたのは27解析(55%)だったにもかかわらず、45解析(92%)がその薬剤が有用であると結論しており、結果と結論の不一致が18解析(37%)に認められた。スポンサーなしの場合の不一致はゼロ一方、複数製薬会社と経済的につながりのあるメタ解析14件では不一致率21%、経済的つながりの明記されていない25試験では12%、製薬会社以外と経済的つながりを持つ36解析では、結果と結論の不一致は1つもなかった。Yank氏らは結果と結論が一致していないメタ解析を掲載した編集者とピアレビュアーを指摘している。「データの解釈に問題がある」のであれば、いわゆる「総説」さらに「ガイドライン」も同様の問題を内包している可能性がある。元New England Journal of Medicine編集長だったJerome P. Kassirer氏は著書「On The Take(買収の危機)」(Oxford Press、2005)において、具体的事例を挙げながら警告を発している。(宇津貴史:医学レポーター)

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卵円孔開存と脳卒中の関連が高齢者でも

卵円孔開存の存在と原因が特定できない潜因性脳卒中との関連は明らかだが、先行研究は55歳未満の若年患者に関するもので、55歳以上の高齢患者についての関連は明らかとなっていない。 そこでフライブルグ大学病院(ドイツ)循環器科のMichael Handke氏らは、高齢患者でのエビデンスを求める検証を行った。NEJM誌11月29日号より。18~85歳までの連続症例を検討対象は、2001年1月~2002年4月の16ヵ月間にフライブルグ大学病院の脳卒中ユニットあるいは神経系ICUに入院した18~85歳までの連続症例。脳卒中を発症した509例(潜因性脳卒中227例、原因が特定された脳卒中276例)が前向きに比較検討された。全例に対して経食道心エコーを用い、卵円孔開存の有病率と心房中隔瘤を伴う卵円孔開存の有病率が調べられ、また、55歳未満患者(131例:若年患者群)と55歳以上患者(372例:高齢患者群)との比較も行われた。若年・高齢とも潜因性脳卒中患者群で有意に高い卵円孔開存の有病率は若年・高齢患者群とも同様の傾向、すなわち脳卒中の原因が特定された患者群(対照群)より潜因性脳卒中患者群のほうが有意に高いという結果が示された。若年患者群ではオッズ比4.70(43.9%対14.3%、95%信頼区間:1.89~11.68、P

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頸部上皮内癌治療後のリスク亢進は25年以上にわたる

グレードの高い形成異常症の治療を受けた女性の大半は、その時点での浸潤性子宮頸癌が予防されるが、治療後も長期にわたって子宮頸癌や膣癌のリスク亢進がみられるとの報告がある。イェーテボリ大学(スウェーデン)産婦人科Bjorn Strander氏らは、グレード3の頸部上皮内癌の治療を受けた患者の、浸潤性子宮頸癌や膣癌のリスク亢進はどれぐらいの期間にわたるのか前向きコホート研究にて調査した。BMJ誌オンライン版10月24日付け、本誌11月24日号掲載より。1958年~2002年に診断を受けたスウェーデン女性対象対象としたのは、1958年~2002年の間に重度形成異常症または頸部上皮内癌(グレード3に相当するもの)の診断を受けたと記録されているスウェーデン女性132,493例、累計2,315,724例。主要評価項目は、スウェーデンの一般女性集団での癌リスクに対する標準化発生率、および内部標準を用いた多変量ログ線形回帰モデルによる相対リスク。子宮頸癌の標準化発生率は2.34、膣癌6.82グレード3の頸部上皮内癌を有したことのある女性の侵襲性子宮頸癌の標準化発生率は2.34(95%信頼区間:2.18~2.50)だった。1970年以後に治療を受けた女性では、リスク亢進は時間とともに減少していたが、四半世紀を過ぎてもまだリスク亢進はみられる。年齢的には50歳以上女性でリスク亢進が目立ち、リスクは1958年以降着実に増大していることも明らかとなった。膣癌の標準化発生率は6.82(同5.61~8.21)であったが、25年以上経過では2.65まで減少していた。これらの結果を受けStrander氏らは、「グレード3相当の頸部上皮内癌治療経験者の、侵襲性子宮頸癌と膣癌の治療後リスク亢進は25年以上にも及ぶ。未解決な疑問点もあるが、治療経験女性に対して定期的な細胞診を年齢にかかわらず25年以上は実施すべきだ」と提言した。

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抗肥満薬rimonabantによりうつ症状が増加の可能性

米国食品医薬品局(FDA)に対し、同局の諮問委員会委員13名の全員一致で「非承認」を採択・答申した食欲抑制剤rimonabantの安全性に関し、Lancet誌11月17日号にメタ解析が掲載された。rimonabant服用例では抑うつ・不安による服薬中止がプラセボ群よりも有意に多いため「慎重な観察が必要である」と著者であるFrederiksberg Hospital(デンマーク)のRobin Christensen氏らは結論している。約4,000例を対象にメタ解析今回のメタ解析の対象としたのは、肥満例を対象にrimonabantと他剤・プラセボの体重減少作用を比較した無作為化二重盲検試験。結果としてRIO-Europe、RIO-Lipids,RIO-North America、RIO-Diabetes,の4試験が対象になった。それらの試験から、プラセボ群とrimonabant 20mg/日群の試験開始1年後のデータを抽出し、メタ解析を行った。rimonabant群2,503例、プラセボ群1,602例での比較となった。体重は有意に減少したが……その結果rimonabant群では1年間で体重が5.1kg、プラセボ群に比べ有意に低下した(95%信頼区間:3.57~7.31kg)。その一方、rimonabant群では「重篤な抑うつ」の増加が見られた。「全ての抑うつ」で比較すると発現リスクはプラセボ群と同等だが、「服薬中止を必要とする抑うつ」の発現はrimonabant群で有意にリスクが高かった(26例/2,503例 vs 5例/1,602例、オッズ比:3.03、95%信頼区間:1.09~8.42)。 一方「不安」は、服薬中止必要性の有無を問わず、rimonabant群で有意にリスクが増加していた。なお「抑うつ」・「不安」の評価に用いられていたのは 病院不安・抑うつ尺度(HADS:Hospital anxiety and depression scales)である。また「抑うつ」発現リスクと背景因子を検討したところ、「血中トリグリセライド(TG)値」と「年齢」がrimonabantによる「抑うつ」発現リスクと相関しており、高TG血症と高齢者が高リスクと考えられた。大規模試験CRESCENDOの今後の結果次第では盛り返しも「考察」において著者らも触れているとおり、冒頭のFDAの諮問委員会では開発社から提供されたデータを用い、同様のメタ解析を行っている。それによると肥満例を対象とした試験に限ればrimonabant 20mg/日による自殺傾向惹起リスクはプラセボと有意差はなく(オッズ比:1.8,95%信頼区間:0.8~3.8)、rimonabant群6,802例例中、自殺者はなく、自殺未遂が4例だった。ただしrimonabantは禁煙補助剤でもあるため、禁煙試験を含めて解析すると、自殺傾向の惹起リスクは1.9と有意に高かった(95%信頼区間:1.1~3.1)。なお、冠動脈イベント高リスク患者に対するrimonabantの1次予防作用をプラセボと比較する大規模試験CRESCENDOが現在進行中であり、結果によっては再び、rimonabantの「リスク・ベネフィット」が話題になるだろう。(宇津貴史:医学レポーター)

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