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2024/07/10
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スペインにおける妊娠中の抗てんかん薬使用に関する比較研究

 妊娠中の抗てんかん薬処方パターンは、変化してきているが、スペインでどの程度の変化が起こっているかは、よくわかっていない。妊娠中の発作をコントロールするための新薬の有効性は重要であり、長年にもわたり医師がこれらの新薬を使ってきたことによって、その処方パターンは変化している可能性がある。スペイン・Hospital Mutua de TerrassaのM. Martinez Ferri氏らは、これらの疑問を評価するため、12年にわたって収集したスペインEURAPレジストリの結果を報告した。Neurologia誌2018年3月号の報告。 インフォームドコンセントに署名した後、患者はレジストリに登録され、妊娠初期、妊娠第2期、第3期の終わり、出産後、出産1年後に評価が行われた。抗てんかん薬、てんかんの種類、妊娠1期当たりおよび妊娠期間中全体での発作頻度、妊娠中の発作のない頻度、先天性奇形の頻度について分析を行った。2001年6月~2007年10月(前期)と2008年1月~2015年5月(後期)のデータの比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・前期より304報、後期より127報の単剤療法の文献について比較を行った。・カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタールの使用が減少し、レベチラセタムの使用が明らかに増加した。また、バルプロ酸の使用がわずかに減少し、ラモトリギンおよびoxcarbazepineの使用がわずかに増加した。・カルバマゼピンおよびバルプロ酸で治療したてんかんの種類に変化は認められなかったが、後期においてラモトリギンで治療した全般てんかん症例は少なかった。・この傾向は、発作頻度の有意な変化とは関連が認められず、妊娠第3期における新規発作に対するより良いコントロールと関連が認められた。・発作コントロールに関して、レベチラセタムは、カルバマゼピンやバルプロ酸と同等であり、ラモトリギンよりも有効であった。・全般てんかんは、レベチラセタムで治療された症例の64%を占めていた。 著者らは「スペインにおける妊娠中の抗てんかん薬処方パターンは変化しており、カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタールの使用が減少していた。全般てんかんに対するラモトリギン使用が少ないため、この変化はてんかんの種類の影響を受けている。レベチラセタムは、古典的な抗てんかん薬と同様の発作コントロールを示し、ラモトリギンよりも効果的かつ良好であった」としている。■関連記事妊娠可能年齢のてんかん女性にはレベチラセタム単独療法がより安全「妊娠、抗てんかん薬」検索結果は患者に役立つか?新規抗てんかん薬の催奇形性リスクは

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成人アトピー、日米欧での有病率は約2~5%

 成人におけるアトピー性皮膚炎(AD)の有病率については認識に違いがあることから、フランス・ナント大学病院のSebastien Barbarot氏らは、米国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、英国および日本においてWEBベースの国際横断研究を行った。その結果、各国における成人のAD有病率は2.1~4.9%で、評価尺度または地域に関係なく重症ADの割合は低いことが示された。Allergy誌オンライン版2018年2月13日号掲載の報告。成人アトピーの有病率を米国・カナダ・EU・日本で推定 研究グループは、成人におけるAD有病率を全体および重症度別に推定する目的で、WEBベースの国際横断研究を行った。 オンライン回答者には、ADの確認と重症度評価のためのアンケートを送付した。各国の参加者数は人口統計学的に割り当てた。ADの確認は、modified UK Working Party/ISAAC基準で陽性および医師によるAD診断歴の自己報告に基づいた。ADの治療を受けていると報告したADを有する参加者の割合を算出し、有病率の推定に用いた。重症度の評価尺度は、患者によるアトピー性皮膚炎評価スコア(PO-SCORAD)、患者による湿疹評価スコア(PO-EM)、および患者による全般評価(PGA)を用いた。 成人アトピーの国際横断の有病率を推定した主な結果は以下のとおり。・成人アトピーの時点有病率(有病者全体/治療中の集団)は、米国(4.9%/3.9%)、カナダ(3.5%/2.6%)、EU(4.4%/3.5%)および日本(2.1%/1.5%)であった。・成人アトピーの有病率は、概して女性より男性で低く、加齢とともに低下した。・成人アトピーの有病率は、各国内で地域による変動性が観察された。・成人アトピーの重症度は評価尺度および地域によって変化したが、重症ADの割合は評価尺度または地域に関係なく軽症および中等症ADの割合より低かった。

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複雑性尿路感染症に対するメロペネム/vaborbactamの効果(解説:吉田 敦 氏)-826

 多剤耐性グラム陰性桿菌、とくにカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)の増加と蔓延は、抗菌薬療法の限界を示唆する耐性菌、いわゆる「悪魔の耐性菌」として今や人類の脅威となっている。現在使用できる抗菌薬が限られている中で、セリン型のクラスAおよびクラスC βラクタマーゼを阻害するボロン酸であるvaborbactamとカルバペネム(メロペネム)を配合したメロペネム/vaborbactam(以下MEPM/VBT)が登場し、体内動態に関する第I相試験が行われていたが、今回第III相試験の結果が発表された。 本試験は国際多施設参加ランダム化比較試験であり、18歳以上の複雑性尿路感染症あるいは腎盂腎炎の症例を無作為にMEPM/VBT投与群(2g/2gを3時間かけて投与、1日3回)とピペラシリン/タゾバクタム(PIPC/TAZ)投与群(4g/0.5gを30分で投与、1日3回)に割り付けた。15回以上投与した後、あらかじめ定めた臨床的な改善基準を満たした場合、経口のレボフロキサシンに変更可能とし、治療期間は計10日間とした。primary end pointにはFDA基準(臨床的改善・治癒と、静注薬終了時の尿細菌数が104 CFU/mL未満)とEMA(欧州医薬品庁)基準(治療終了後に治癒確認を目的に診察した際の尿細菌数が103 CFU/mL未満)を用いた。 最終的に17ヵ国550例を対象とすることができ、272例がMEPM/VBT投与群に、273例がPIPC/TAZ投与群に割り付けられた。このうち腎盂腎炎は59%、尿中菌数が105 CFU/mL以上であったのは69%であり、原因微生物のうち65%は大腸菌、15%はK. pneumoniaeであった。なお大腸菌のうちPIPC/TAZ耐性率は5%、MEPM耐性菌はなく、K. pneumoniaeのうちPIPC/TAZ耐性率は42%、MEPM耐性率は5%であった。Primary end pointを達成した成功率は、FDA基準ではMEPM/VBT群98.4%、PIPC/TAZ群94.0%であり、MEPM/VBTはPIPC/TAZに非劣性であるばかりか、それよりも優れていた。EMA基準では、MEPM/VBT群66.7%、PIPC/TAZ群55.7%であり、これでも非劣性が判明した。有害事象はMEPM/VBT群39.0%、PIPC/TAZ群35.5%で報告されたが、抗菌薬に関連したものはそれぞれ15.1%、12.8%であり、重度のものは2.6%、4.8%であった。MEPM/VBT群で多かったのは頭痛や下痢、ALT上昇などであったが、副作用のために投与を中止したのは2.6%とPIPC/TAZ群の5.1%より少なかった。 今回の報告は、βラクタマーゼ・カルバペネム配合剤のヒト感染症例でのランダム化比較試験としては、初めてのものである。この結果を受けて、FDAは2017年8月に成人の複雑性尿路感染症を対象に本剤を認可した(Vabomere)。ただし本試験にはいくつかの限界が存在する。SIRSの基準を満足している割合が1/3以下と高くないこと、原因微生物がメロペネム耐性菌である割合が低く(PIPC/TAZ耐性率は高い)、そもそもカルバペネム耐性菌を主対象とした研究でないことである。そしてこれまでの検討で、MEPM/VBTはCPEのうちKlebsiella pneumoniae Carbapenemase(KPC)には有効であるが、クラスBのメタロβラクタマーゼ産生菌(代表的なのはNDM)にはあまり有効でないことが指摘されている1)。カルバペネム耐性腸内細菌科細菌による複数の感染症に対し、本剤の有効性を調べた続発試験(TANGO II)が行われたとも聞く。KPCが多い地域と、メタロβラクタマーゼ産生菌が多い本邦やアジアでは、本剤が適応となる状況は異なると思われる。メタロβラクタマーゼ産生菌に使用できる選択肢が増えることが、さらに望まれる状況にある。

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ミトコンドリア病〔mitochondrial disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義ミトコンドリア病は、ヒトのエネルギー代謝の中核として働く細胞内小器官ミトコンドリアの機能不全により、十分なATPを生成できずに種々の症状を呈する症候群の総称である。ミトコンドリアの機能不全を来す病因として、電子伝達系酵素、それを修飾する核遺伝子群、ピルビン酸代謝、TCAサイクル関連代謝、脂肪酸代謝、核酸代謝、コエンザイムQ10代謝、ATP転送系、フリーラジカルのスカベンジャー機構、栄養不良による補酵素の欠乏、薬物・毒物による中毒などが挙げられる。■ 疫学ミトコンドリア病の有病率は、小児においては10万人当たり5~15人、成人ではミトコンドリアDNA異常症は10万人当たり9.6人、核DNA異常症は10万人当たり2.9人と推計されている1)。一方、ミトコンドリア脳筋症(MELAS)で報告されたミトコンドリアDNAのA3243G変異の保因者は、健常人口10万人当たり236人という報告があり2)、少なくとも出生10万人当たり20人がミトコンドリア病と推計されている。■ 病因ミトコンドリアは、真核細胞のエネルギー産生を担うのみではなく、脂質、ステロイド、鉄および鉄・硫黄クラスターの合成・代謝などの細胞内代謝やアポトーシス・カルシウムシグナリングなどの細胞応答など、多彩な機能を持つオルガネラであり、核と異なる独自のDNA(ミトコンドリアDNA:mtDNA)を持っている。しかし、このmtDNAにコードされているのは13種類の呼吸鎖サブユニットのみであり、これ以外はすべて核DNA(nDNA)にコードされている。ミトコンドリアに局在する呼吸鎖複合体は、電子伝達系酵素IからIV(電子伝達系酵素)とATPase(複合体V)を指し、複合体IIを除き、mtDNAとnDNAの共同支配である。これらタンパク複合体サブユニットの構造遺伝子以外に、その発現調節に関わる多くの核の因子(アッセンブリー、発現、安定化、転送、ヘム形成、コエンザイムQ10生合成関連)が明らかになってきた。また、ミトコンドリアの形態形成機構が明らかになり、関連するヒトの病気が見つかってきた。ミトコンドリア呼吸鎖と酵素欠損に関連したミトコンドリア病の原因を、ミトコンドリアDNA遺伝子異常(図1)、核DNA遺伝子異常(図2)に分けて示す。図1 ミトコンドリアDNAとミトコンドリア病で報告された遺伝子異常画像を拡大する図2 ミトコンドリア病で報告された核DNAの遺伝子異常画像を拡大する■ 症状本症では、あらゆる遺伝様式、症状、罹患臓器・組織、重症度の組み合わせも取り得る点を認識することが重要である(図3)。エネルギーをたくさん必要とする臓器の症状が出やすい。しかし、本症は多臓器症状が出ることもあれば、単独の臓器障害の場合もあり、しかも、その程度が軽症から重症まで症例ごとに症状が異なる点が、本症の診断を難しくしている。画像を拡大する■ 分類表にミトコンドリア病の分類を示す。ミトコンドリア病の分類は、I 臨床病型による分類、II 生化学的分類、III 遺伝子異常による分類の3種に分かれている。それぞれ、オーバーラップすることが知られているが、歴史的にこの分類が現在も使用されている。表 ミトコンドリア病の分類I 臨床病型による分類1.MELAS:mitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis and stroke-like episodes2.CPEO/KSS:chronic progressive external ophthalmoplegia / Kearns Sayre syndrome3.Leigh脳症   MILS:maternally inherited Leigh syndrome   核遺伝子異常によるLeigh脳症4.MERRF:myoclonus epilepsy with ragged-red fibers5.NARP:Neurogenic atrophy with retinitis pigmentosa6.Leber遺伝性視神経萎縮症7.MNGIE:mitochondrial neurogastrointestinal encephalopathy syndrome8.Pearson骨髄膵症候群9.MLASA:mitochondrial myopathy and sideroblastic anemia10.ミトコンドリアミオパチー11.先天性高乳酸血症12.母系遺伝を示す糖尿病13.Wolfram症候群(DiDmoad症候群)14.autosomal dominant optic atrophy15.Charcot-Marie-Tooth type 2A16.Barth症候群 II 生化学的分類1.基質の転送障害1)carnitine palmitoyltransferase I、II欠損症2)全身型カルニチン欠乏症3)organic cation transporter2欠損症4)carnitine acylcarnitine translocase欠損症5)DDP1欠損症2.基質の利用障害1)ピルビン酸代謝   Pyruvate carboxylase欠損症   PDHC欠損症2)脂肪酸β酸化障害3)TCAサイクル関連代謝   succinate dehydrogenase欠損症   fumarase欠損症   α−ketoglutarate dehydrogenase欠損症4)酸化的リン酸化共役の異常   Luft病5)電子伝達系酵素の異常   複合体I欠損症   複合体II欠損症   複合体III欠損症   複合体IV欠損症   複合体V欠損症   複数の複合体欠損症6)核酸代謝7)ATP転送8)フリーラジカルのスカベンジャー9)栄養不良による補酵素の欠乏10)薬物・毒物による中毒III 遺伝子異常による分類1.mtDNAの異常1)量的異常(mtDNA欠乏)   薬剤性(抗ウイルス剤による2次的減少)   γDNApolymerase阻害   核酸合成障害   遺伝性(以下の項目参照)2)質的異常   単一欠失/重複   多重欠失(以下の項目参照)   ミトコンドリアリボソームRNAの点変異   ミトコンドリア転移RNAの点変異   ミトコンドリアタンパクコード領域の点変異2.核DNAの異常1)酵素タンパクの構成遺伝子の変異   電子伝達系酵素サブユニットの核の遺伝子変異2)分子集合に影響を与える遺伝子の異常   (SCO1、SCO2、COX10、COX15、B17.2L、BSL1L、Surf1、LRPPRC、ATPAF2など)3)ミトコンドリアへの転送に関わる遺伝子の異常   (DDP1、OCTN2、CPT I、 CPT II、Acyl CoA synthetase)4)mtDNAの維持・複製に関わる遺伝子の異常   (TP、dGK、POLG、ANT1、C10ORF2、ECGF1、TK2、SUCLA2など)5)mitochondrial fusion に関わる遺伝子の異常   (OPA1、MFN2)6)ミトコンドリアタンパク合成   (EFG1)7)鉄恒常性   (FRDA、ABC7)8)分子シャペロン   (SPG7)9)ミトコンドリアの保全   (OPA1、MFN2、G4.5、RMRP)10)ミトコンドリアでの代謝酵素欠損   (PDHA1、ETHE1)■ 予後臨床試験で効果が証明された薬物治療は、いまだ存在しない。2012年に発表されたわが国のコホート研究では、一番症例数の多いMELASは、発症して平均7年で死亡している。また、その内訳は、小児型MELASで発症後平均6年、成人型MELASでは発症後平均10年で死亡している。そのほか、小児期に発症するLeigh脳症では、明確な疫学研究はないものの、発症年齢が低ければ低いほど早期に死亡することが知られている。いずれにしても、慢性進行性に経過する難病で、多くは寝たきりとなり、心不全、腎不全、多臓器不全に至り死亡する重篤な疾患である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)従来、用いられてきた診断までの方法を図4に示す。臨床症状からどの病気にも当てはまらない場合は、必ずミトコンドリア病もその鑑別に挙げることが大切である。代謝性アシドーシスも本症でよくみられる所見であり、アニオンギャップが20以上開大すれば、アシドーシスの存在を疑う。乳酸とピルビン酸のモル比(L/P比)が15以上(正常では10)、ケトン体比(3-hydroxybutyrate/acetoacetate:正常では33))が正常より増加していれば、1次的な欠損がミトコンドリアマトリックスの酸化還元電位の異常と推測できる。頭部単純CT検査では、脳の萎縮や大脳基底核の両側対称性石灰化などが判明することが多く、その場合、代謝性アシドーシスの存在を疑う根拠となる。頭部MRI検査では、脳卒中様発作を起こす病型であれば、T1で低吸収域、T2、Flairで高吸収域の異常所見がみられる。MELASでは、異常画像は血管支配領域に合致せず、時間的・空間的に出現・消失を繰り返す。脳卒中様発作のオンセットの判断は、DWI・ADC・T2所見を比較することで推測できる。MRSでの乳酸の解析は、高乳酸髄液症の程度および病巣判断に有用である。また、脳血流を定量的に判定できるSPM-SPECT解析は、機能的脳画像として病巣診断、血管性認知症、脳血流の不均衡分布の判断に有用である。画像を拡大する■ 筋生検最も診断に有用な特殊検査は、筋生検である。筋病理では、Gomori trichrome変法染色で、増生した異常ミトコンドリアが赤ぼろ線維(RRF:ragged-red fiber)として確認でき、ミトコンドリアを特異的に染色するコハク酸脱水素酵素(SDH)の活性染色でも濃染する。RRFがなくても、チトクロームC酸化酵素(COX)染色で染色性を欠く線維やSDHの活性染色で動脈壁の濃染(SSV:SDH reactive vessels)を認めた場合、本症を疑う根拠となる。■ 生化学的検査生検筋、生検肝、もしくは培養皮膚線維芽細胞からミトコンドリアを分離して、酸素消費速度や呼吸鎖活性、blue-native gelによる呼吸鎖酵素タンパクの質および量の推定を行い、生化学的に呼吸鎖異常を検証する。場合によっては、組織内のカルニチン、コエンザイムQ10、脂肪酸の組成分析の必要性も出てくる。大切なことは、ミトコンドリア機能のどの部分の、質的もしくは量的異常かを同定することである。この作業の精度により、その後の遺伝子解析手法への最短の道筋が立てられる。■ 遺伝子検査ミトコンドリア病の遺伝子検索は、mtDNAの検索に加えて新たに判明したnDNAの検索も行わなければいけない。疾患頻度の多いmtDNAの異常症の検出には、体細胞の分布から考え、非侵襲的検査法としては、尿細管剥奪上皮を用いた変異解析が最も有用である。尿での変異率は、骨格筋や心筋、神経組織との相関が非常に高い。一方、ほかの得られやすい臓器としては、血液(白血球)、毛根、爪、口腔内上皮細胞なども有用であるが、尿細管剥奪上皮と比較すると変異率として最大30~40%ほどの低下がみられる。mtDNAの異常症を疑った場合、生涯を通じて再生できない臓器もしくは罹患臓器由来の検体を、遺伝子検査の基本とすることが望ましい。■ 乳酸・ピルビン酸、バイオマーカー(GDF15)の測定従来、乳酸・ピルビン酸がミトコンドリア病のバイオマーカーとして用いられてきた。しかし、これらは常に高値とは限らず、血液では正常でも、髄液で高値をとる場合も多い。さらに、乳幼児期の採血では、採血時の駆血操作で2次的に高乳酸値を呈することもあり(採血条件に由来する高乳酸血症)、その場合は、高アラニン血症の有無で高乳酸血症の存在を鑑別しなければならない。そこで、最近見いだされ、その有用性が検証されたバイオマーカーが「GDF15」である。このマーカーは、感度、特異度ともに98%と、あらゆるMELASの診断に現在最も有用と考えられている3)。最新の診断アルゴリズムを図5に示す4)。従来用いられていた乳酸、ピルビン酸、L/P比、CKと比較しても、最も臨床的に有用である。さらに、GDF15は髄液にも反映しており、この点で髄液には分泌されないFGF21に比較して、より有用性が高い。画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)本症に対する薬物治療の開発は、多くの国で臨床試験として行われているが、2018年2月1日時点で、臨床試験で有効性を証明された薬剤は世界に存在しない。欧州では、Leber遺伝性視神経萎縮症に対して限定的にidebenone(商品名:Raxone)が、米国では余命3ヵ月と宣告されたLeigh脳症に対するvatiquinone(EPI-743)がcompassionate useとして使用されている。わが国では、MELASに対して、脳卒中様発作時のL-アルギニン(同:アルギU)の静注および発作緩解期の内服が、MELASの生存予後を大きく改善しており、適応症の申請を準備している。4 今後の展望創薬事業として、MELASに対するタウリン療法、Leigh脳症に対する5-ALAおよびEPI-743の臨床試験が終了しており、現在、MELAS/MELA Leigh脳症に対するピルビン酸療法が臨床試験中である。また、創薬シーズとして5-MAやTUDCAなどの候補薬も存在しており、今後有効性を検証するための臨床試験が組まれる予定である。5 主たる診療科(紹介すべき診療科)本症は臨床的に非常に多様性を有し、発症年齢も小児から成人、罹患臓器も神経、筋、循環器、腎臓、内分泌など広範にわたる。診療科としては、小児科、小児神経科、神経内科、循環器内科、腎臓内科、耳鼻咽喉科、眼科、精神科、老年科、リハビリテーション科など多岐にわたり、最終的には療養、療育施設やリハビリ施設の紹介も必要となる。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報小児慢性特定疾患情報センター ミトコンドリア病(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター ミトコンドリア病(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報:障害者手帳[肢体不自由、聴覚、視覚、心臓、腎臓、精神]、介護申請など)患者会情報日本ミトコンドリア学会ホームページ(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報:ドクター相談室、患者家族の交流の場・談話室など)ミトコンドリア病患者・家族の会(MCM家族の会)(ミトコンドリア病患者とその家族および支援者の会)1)Gorman GS, et al. Ann Neurol. 2015;77:753-759.2)Manwaring N, et al. Mitochondrion. 2007;7:230-233.3)Yatsuga S, et al. Ann Neurol. 2015;78:814-823.4)Gorman GS, et al. Nat Rev Dis Primers. 2016;2:16080.公開履歴初回2018年3月13日

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第54回

第54回:ペムブロ・化学療法併用の第III相試験KEYNOTE-189キーワード肺がんメラノーマペムブロリズマブ動画書き起こしはこちら<このビデオレターは侍オンコロジスト#52の続編です>FDAの認可というと面白いところはですね。カルボプラチン、ペメトレキセド、ペムブロリズマブ(という)、従来の抗がん剤と免疫チェックポイント阻害薬の併用がアメリカで認可になったという話をしたと思うんですけど、これ実はFull Approvalではなくて、Conditional Approvalという形になっています。それはなぜかというと、臨床試験の結果はポジティブに出たけど、これはRandomized PhaseIIの結果であったからですね。(そのよう中)今回、メルクからのプレスリリースで、PhaseIIIでも同じようにポジティブなったという報告がありました。実際の数字はまだ見ていないので、PhaseIIと同じくらいポジティブな…StageIVの肺がん患者さんに対してカルボプラチン、ペメトレキセド、ペムブロリズマブを使った群のProgression Freee Survivalは13ヵ月を超えるという結果が出たんですけれども…これに準ずるぐらい凄い結果が出るのか、ちょっと覗いてみたいですね。Merck社プレスリリースMerck’s KEYTRUDA(pembrolizumab) Significantly Improved Overall Survival and Progression-Free Survival as First-Line Treatment in Combination with Pemetrexed and Platinum Chemotherapy for Patients with Metastatic Nonsquamous Non-Small Cell Lung Cancer (KEYNOTE-189)ペムブロリズマブ、化学療法併用でNSCLC1次治療のOS延長(第III相KEYNOTE-189)Langer CJ, et al. Carboplatin and pemetrexed with or without pembrolizumab for advanced, non-squamous non-small-cell lung cancer: a randomised, phase 2 cohort of the open-label KEYNOTE-021 study. Lancet Oncol. 2016;17:1497-1508.

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新薬が出ない世界で(1)(解説:岡村毅氏)-808

 現在アルツハイマー型認知症に使用される対症療法薬(アミロイドという疾患の本質には作用しないが臨床症状は改善する薬剤)であるコリンエステラーゼ阻害薬に対して、新薬idalopirdineを追加投与したものの、残念ながら効果はなかった。 20世紀末に文句なしのブロックバスターであったアリセプトが市場に出てから、21世紀も20年の節目が近づきつつあるが、いまだに新しいブロックバスターは出ない(2011年にメマリーというささやかな福音はあったが)。 最高の頭脳を持った神経病理・薬理学者が挑み続けているにもかかわらず、結果が出ないという事実を正面から見据えなければならない。 では、われわれ医療者は呆然と立ち尽くすしかないのだろうか? そんなことはないのである。東京都健康長寿医療センター研究所の粟田 主一研究部長によると、地域在住高齢者の悉皆調査(n=7,614)においては、専門家による認知機能検査、さらに専門医等による臨床診断を経て認知症と判断された方の3割しか、認知症の診断を受けていなかったという(日本公衆衛生学会総会 2017年)。診断すればすべてが解決というものではないが、正しい診断は正しい支援に至る必要条件ともいえる。地域には、新薬どころか、診断されることなく不安にさいなまれている高齢者や、周囲から変な人とされている若年者がいるはずである。地道にこういう方々のために汗をかくことも、われわれの使命ではないだろうか? 最後に、余計な一言。 本研究はSTARSHINE、STARBEAM、STARBRIGHT(いずれも「星の輝き」の意味を持つ)という3つの研究からなるが、なんともかっこいい名前だ、一体どうやって略されたのだろう? ジャーナル四天王をみても、COURAGE試験(勇気)やCALM試験(落ち着き)といったセンスの良いスタディ名が紹介されている。英語圏の「文学」ともいえ、米国東海岸ヒップホップの雄であるWu-Tang ClanにはC.R.E.A.M.というヒット曲があるが“Cash, Rules, Everything, Around, Me”の略である。英語を母語としないわれわれには、なかなか同じ土俵では戦えまい。 ちなみに私の同僚である東京都健康長寿医療センター研究所の宇良 千秋氏は、認知症を持つ人が稲作をすることで健康を回復するというRICE研究(Rice-farming Care for the Elderly people with dementia)をされている。スタディ名文学に明るい人(桑島 巖理事長?)がいたら、ぜひいろいろとご教示願いたいところである。

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軽~中等度アルツハイマー病に新薬idalopirdineは有効か/JAMA

 選択的セロトニン5-HT6受容体拮抗薬idalopirdineは、軽度~中等度アルツハイマー病(AD)患者の認知機能を改善しないことが、米国・California Pacific Medical CenterのAlireza Atri氏らが、idalopirdineの24週間投与の有効性を検証した3件の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験(STARSHINE、STARBEAM、STARBRIGHT)の結果を報告した。アルツハイマー病は、高齢者での有病率が上昇し、治療費も増加していることから、新たな治療法が必要とされているが、今回の結果を受けて著者は、「アルツハイマー病の治療にidalopirdineを用いることは支持されない」とまとめている。JAMA誌2018年1月9日号掲載の報告。軽度~中等度アルツハイマー病患者2,525例でidalopirdine併用の有効性を評価 研究グループは2013年10月~2017年1月に、STARSHINE試験、STARBEAM試験およびSTARBRIGHT試験を行った。対象は、50歳以上の軽度~中等度アルツハイマー病患者2,525例(各試験参加者は933例[119施設]、858例[158施設]、734例[126施設])であった。 STARSHINE試験およびSTARBEAM試験ではドネペジル(商品名:アリセプトほか)、STARBRIGHT試験ではドネペジル、リバスチグミン(同イクセロン、リバスタッチ)またはガランタミン(同レミニール)に、idalopirdine(10mg、30mg、60mg)またはプラセボを24週間併用投与した(最終追跡調査は2017年1月12日)。 主要エンドポイントは、11項目の認知機能評価スコア(Alzheimer's Disease Assessment Scale cognitive subscale[ADAS-cog]:0~70点の範囲で得点が低いほど障害は少ないことを示す)。キー副次エンドポイントは、全般的臨床症状評価(AD Cooperative Study-Clinical Global Impression of Change[ADCS-CGIC])の変化尺度と23項目評価の日常生活動作(ADCS-ADL:ADCS-Activities of Daily Living scale)のスコアであった。主要エンドポイントおよび1つ以上のキー副次エンドポイントについて、プラセボに対し有意差が認められた場合に、その投与群は有効であるとした。認知機能評価スコアの変化、idalopirdineとプラセボで有意差なし 2,525例(平均年齢74歳、ベースラインのADAS-Cogスコア平均26点、女性が62~65%)のうち、2,254例(89%)が試験を完遂した。 ADAS-Cogスコアの24週時におけるベースラインからの変化量は、STARSHINE試験でidalopirdine 60mg群0.37、同30mg群0.61に対し、プラセボ群0.41であった(プラセボ群との補正後平均差:60mg群0.05[95%信頼区間[CI]:-0.88~0.98]、30mg群0.33[95%CI:-0.59~1.26])。STARBEAM試験では、idalopirdine 30mg群1.01、同10mg群0.53に対し、プラセボ群0.56であった(対プラセボの補正後平均差:30mg群0.63[95%CI:-0.38~1.65])。STARBRIGHT試験では、idalopirdine 60mg群0.38に対し、プラセボ群0.82であった(補正後平均差:-0.55[95%CI:-1.45~0.36])。 治療下に発現した有害事象(TEAE)の発現率は、idalopirdine群で55.4%~69.7%、プラセボ群で56.7%~61.4%であった。

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治療抵抗性焦点性てんかんに対する第3世代抗てんかん薬補助療法の間接比較

 第3世代の新規抗てんかん薬として、eslicarbazepine、ラコサミド、ペランパネル、brivaracetamが、最近販売されている。中国・四川大学のZhu Li-Na氏らは、コントロール困難な焦点性てんかんにおける第3世代抗てんかん薬の有用性、忍容性を間接的に比較するためメタ解析を行った。Epilepsy research誌オンライン版2017年11月26日号の報告。 抗てんかん薬用量範囲にわたる治療効果を調査したすべての利用可能なプラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)を、Pubmed、Embase、Cochrane Online Library、Clinicaltrial.govのデータベースより検索を行った。続いて、Indirect Treatment Comparison ソフトウェアを用いて、新規抗てんかん薬間の有効性、忍容性の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・19件のRCTより7,245例の患者が抽出された。・用量にかかわらず第3世代抗てんかん薬間で、50%治療反応率および発作の無い割合のリスク差に有意な差は認められなかった。・治療中に発現した有害事象リスクは、すべての用量において、brivaracetamと比較し、eslicarbazepineおよびペランパネルで有意に高かった。・有害事象による治療中止率は、brivaracetamと比較し、ラコサミドおよびペランパネルの高用量治療を行った患者において有意に高かった。eslicarbazepineまたはラコサミドによる治療は、すべての用量を組み合わせたbrivaracetamよりも高い中止率と関連が認められた。 著者らは「本分析では、コントロール困難な焦点性てんかんにおける第3世代抗てんかん薬の有用性に有意な差は認められなかった。brivaracetamは、最も優れた忍容性を有する可能性がある。他の第3世代抗てんかん薬は、とくに高用量で投与した際、許容しがたい有害事象を高リスクで伴う。これらの間接的な比較結果は、さらなる検証が必要であり、今後よく設計された試験において検証するべきである」としている。■関連記事てんかん重積状態に対する抗てんかん薬処方の変化難治性てんかん重積状態への有用な対処法てんかん重積状態に対するアプローチは

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てんかんとADHD合併の小児および青年における薬物療法の課題

 てんかんの小児および青年における罹病率は、3.2~5.5/1,000である。また、てんかん患者の約1/3は、ADHD症状を合併している。てんかんとADHDとの関連は、よくわかっていないが、不注意、多動、行動障害などのADHD症状は、しばしば抗てんかん薬の有害作用であると考えられる。イタリア・University of L'AquilaのAlberto Verrotti氏らは、行動に対する抗てんかん薬の影響に関するデータを検索した。Clinical drug investigation誌オンライン版2017年10月25日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・ADHD症状の誘発が最も報告されている薬剤は、フェノバルビタールであった。次いで、トピラマート、バルプロ酸であった。・フェニトインは、中程度の影響が認められるようだが、レベチラセタムは、対照的なデータが存在した。・ラコサミドは、行動に対し有益な影響をもたらし、カルバマゼピンおよびラモトリギンは、注意および行動に対し良好な影響を発揮する。・ガバペンチンおよびビガバトリンは、認知機能に対し有害作用を有する。・オクスカルバゼピン、ルフィナミド、eslicarbazepineは、ADHD症状の悪化や誘発が認められないようであるが、ペランパネルは、敵対的/攻撃的行動を高率でもたらす(これは高用量で増加する可能性がある)。・エトスクシミド、ゾニサミド、tiagabine、プレガバリン、スチリペントール、retigabineの行動への影響に関するデータは、まだ限られている。・ADHD症状は、てんかん患者のQOLに著しい影響を及ぼすため、この神経精神医学的な障害に対する臨床的管理は優先事項として取り扱うべきである。・データはまだ少数で、限られているものの、メチルフェニデートは、ADHD症状とてんかんを合併している小児や青年において、多くの場合、発作リスクを有意に増加させることなく有効である。■関連記事てんかん重積状態に対する抗てんかん薬処方の変化ADHD発症しやすい家庭の傾向ADHD児への併用療法や抗精神病治療の傾向

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不眠症と交通事故の関係、トラックドライバー研究

 睡眠関連の問題は、交通事故のリスク因子として知られている。しかし、不眠とそれに伴う要素の影響はほとんど研究されておらず、トラック運転手などリスクに直面している労働者に関する利用可能なデータは存在しない。イタリア・ジェノバ大学のSergio Garbarino氏らは、トラック運転手の自動車事故に対する不眠症の影響について検討を行った。PLOS ONE誌2017年10月31日号の報告。 トラック運転手949例を対象とした断面調査を行った。自動車事故(MVA:motor vehicle accident)およびニアミス事故(NMA:near-miss accident)に対する不眠症の有病率および影響を測定した。 主な結果は以下のとおり。・対象者のうち、不眠症の影響を受けていたのは27.5%であった。・研究の3年前において、不眠症のトラック運転手は、不眠症でない運転手と比較し、非常に高いMVA数が報告されていた。また、過去6ヵ月間で多数のNMAも報告された。・閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、昼間の過度な眠気、短時間睡眠、他の併存疾患で調整した後、不眠症のトラック運転手は、不眠症でない運転手と比較し、MVAリスクが約2倍(OR:1.82、95%CI:1.33~2.49)、NMAリスクが3倍以上(OR:3.35、95%CI:2.06~5.45)であった。 著者らは「不眠症は、MVAおよびNMAの独立したリスク因子であった。不眠症の徴候や症状について運転手をスクリーニングすることは、健康と道路交通上での安全性を向上させるために、強く推奨される」としている。■関連記事ADHDドライバー、トレーニングで危機感知能を改善できるか日本人男性、不眠でうつ病リスクが10倍にも不眠症になりやすい食事の傾向

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1型糖尿病の臓器障害に、RA系阻害薬は有効か?(解説:石上友章氏)-776

 糖尿病は、特異的な微小血管障害をもたらすことで、腎不全、網膜症、神経障害の原因になる。糖尿病治療のゴールは、こうした合併症を抑制し、健康長寿を全うすることにある。RA系阻害薬に、降圧を超えた臓器保護効果があるとされた結果、本邦のガイドラインでは、糖尿病合併高血圧の第1選択にRA系阻害薬が推奨されている。しかし、臨床研究の結果は、必ずしもRA系阻害薬の降圧を超えた腎保護効果を支持しているわけではない。ONTARGET試験・TRANSCEND試験1,2)を皮切りに、最近ではBMJ誌に掲載された報告3)(腎保護効果は、見せかけだった~RA系阻害薬は『万能の妙薬』ではない~)も、観察研究ではあるが、否定的な結果に終わっている。 1型糖尿病の腎保護については、ミネソタ大学のMauerらのRASS試験4)が、決定的な結果を報告している。本研究では、ARB(ロサルタン)、ACEI(エナラプリル)とplaceboの3群に分けた対象で、腎保護作用を検討している。本研究の特筆すべき点は、腎保護効果について、腎生検標本を用いて、厳密に評価していることにある。その結果は、メサンギウム分画容積をはじめとした、すべての病理学的評価指標に、3群間で差が認められなかった。 この結果を受けて、NKF(米国腎臓財団)によるKDOQI Clinical Practice Guideline For Diabetes And CKD/2012 Updateには、6章の6.1として、“We recommend not using an ACE-I or an ARB for the primary prevention of DKD in normotensive normoalbuminuric patients with diabetes.(1A)”とされた5)。この一文には、RA系阻害薬の糖尿病性腎障害抑制作用は、病理学的な変化をもたらすほどの効果はなく、微量アルブミン尿のような不正確な指標で評価された、見かけ上の効果でしかないとの意味が込められている。 英国・ケンブリッジ大学のM Loredana Marcovecchioらが行い、NEJM誌2017年11月2日号に掲載されたAdDIT試験は、スタチンとACE阻害薬を試験薬とし、2×2要因デザインで行われたRCTである。結果は、両試験薬ともに、primary endpointを達成することはできなかった。副次評価項目である、微量アルブミン尿の累積発症率には有意差が認められたが、EBMの原則に従って、著者らはこの結果を採用しなかった。しかしながら、“Many secondary outcomes in the published protocol were exploratory but considered to be clinically relevant in this population of adolescents.”とは、「夢の続きを見ていたい」という著者らの率直な心情の吐露なのかもしれない。

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AHA 2017開催地、カリフォルニア州アナハイムのおすすめスポット

ケアネットでは、AHA2017に参加される先生方に開催地アナハイムを楽しんでいただけるよう、カリフォルニア州在住の河田 宏氏(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器フェローシップ)に、おすすめの観光名所やレストランなどの情報をお聞きしました。AHA 2017 注目の演題はこちらLA(ロサンゼルス) でのAHAに行かれたことはあっても、アナハイムは初めてという方もいらっしゃるでしょう。アナハイムはLAから約1時間のところにあり、ディズニーランドで有名です。学会場のアナハイムコンベンションセンターもディズニーランドのすぐ近くにあります。家族でディズニーランドへ行くという先生もいらっしゃるかと思いますが、多くの方は家族連れでないでしょうし、とくに男性の場合はディズニーランドには行かない可能性が高いと思いますので、今回はディズニーランド以外を中心にご紹介します。西海岸に6年住んでおりますが、かなり独断と私見が入っていますことはご了承ください。おすすめの観光スポットおすすめのレストランショッピング情報アナハイムの気候朝方、少し曇りますが、ほとんど毎日晴れです。日中は半袖で過ごせますが、11月の開催時期には、夜は長袖かジャケットがあれば大丈夫だと思います。雨はまず降りませんし、仮に降ってもすぐやみます。ちなみに、過去3年間で傘を使ったことは一度もありません。アナハイムでの移動手段レンタカーはこちらでの運転に慣れていないと、少し抵抗があるかもしれません。関西出身で大阪の運転に慣れている私でも、カリフォルニアでの運転はいまだに難しいと思うことがあります。赤信号で右折できるといった交通ルールの違いもそうですが、高速道路は6車線以上ということもよくありますし、制限スピードが日本より早いため、事故が起きると大きいものになります。タクシーはホテルや高級レストランからの移動には使えますが、日本のように道で拾うことは非常に難しいです。個人的には断然UberやLyft(一般の人が自家用車で乗客を運ぶ配車サービス)をおすすめします。Uberを使っていないという友人を探す方が難しいぐらい、われわれは活用していますし、アプリさえあれば英語が使えなくても、目的地まで辿りつけます。ドライバーと現金やカードのやり取りをする必要もありませんし、非常に安全です。おすすめの観光スポット午後から少し時間があるという場合は、South coast PlazaやHuntington beach近辺で買い物をして、それから食事をするのがいいかもしれません。もし丸1日あれば、LA、ディズニーランド、ユニバーサルスタジオ、Huntington Beach、Newport Beachなどにぜひ、足を延ばしてください。Los AngelesLAが初めての場合は、1日かけてLA観光に出かけるのも良いかもしれません。今年話題になった、映画La La Landの名所を巡るツアーもあるようです。HISや多くの会社が現地ツアーを催行しています。テレビや映画によく出てくるSanta Monica Pier周辺もビーチやショッピングができるエリアで、1日過ごすこともできます。ほかにもHollywood周辺、ダウンタウンなど、全部見るのには3~4日はかかると思います。Orange Countyオレンジカウンティーを一番感じることができるのはHuntington BeachやNew Port Beachなどの美しいビーチだと思います。Huntington beachはサーフィンのメッカです。最近は、Pacific Highwayという海沿いの道の前に大きなショッピングセンターもできて、ショッピングも楽しむことができます。Newport Beach周辺はお金持ちのエリアで、おしゃれなレストランも沢山あります。ホエールウォッチングなどの、人気のアクティビティを楽しむことも可能です。なお、スーツでビーチを歩いている人はほとんどいませんし、昼間は暑いので、着替えてから行くことをおすすめします。郊外その他、ユニバーサルスタジオやグランドキャニオンなどへのアナハイム発の日帰りツアーもあるようです。スポーツ観戦残念ながらMajor League Baseballは終了しています。NBAはLA Lakers vs Philadelphia 76ersの試合が、11月15日にLAのStaple Centerで予定されています。アナハイムから車で50分ほどですが、混雑すると1時間半ぐらいかかる可能性もあります。またアナハイムはアイスホッケー(NHL)Anaheim Ducksの本拠地であり、11月12日と15日にHonda Centerで試合があります。アナハイムのコンベンションセンターのすぐ近くです。おすすめのレストランステーキ、シーフード米国で食べる一番無難な食べ物はステーキとロブスターかもしれません。これらのレストランはそこそこ値段が張りますが、満足感はそれなりに高いと思います。The Ranch[住所] 1025 E.Ball Road Anaheim, CA 92805[TEL] 714-817-4200The Catch[住所] 2100 E.Katella Ave Anaheim, CA 92806[TEL] 714-935-0101Ruth's Chris Steak House[住所] 2041 S.Harbor Blvd Anaheim, CA 92802[TEL] 714-750-5466Morton's The Steakhouse[住所] 1895 South Harbor Blvd Anaheim, CA 92802[TEL] 714-621-0101South Coast Plaza 周辺The Capital Grille[住所] 3333 Bristol St Costa Mesa, CA 92626[TEL] 714-432-1140Water Grill[住所] 3300 Bristol St Costa Mesa, CA 92626[TEL] 949-208-7060Bar下記の2軒は、コンベンションセンターから車で10分ほど、BJsは12時ぐらいまでやっているので、遅くまで飲みたい場合におすすめです。BJs[住所] 460 The City Drive S Orange, CA 92868[TEL] 714-787-3925Karl Strauss Brewing Company[住所] 2390 E Orangewood Ave, Ste 100 Anaheim, CA 92806[TEL] 714-940-1772和食Newport Beach Kitayama比較的大きなお店で、大人数でも入れます。[住所] 101 Bayview Pl, Newport Beach, CA 92660[TEL] 949-725-0777Nobu海沿いにある有名店で、雰囲気が良いです。[住所] 3450 Via Oporto Suite 101 Newport Beach, CA 92663[TEL] 949-429-4440Sushi Oshima美味しくてこの辺りでは有名ですが、お店が狭いのでカウンターは開店と同時に一杯になってしまうこともあります。[住所] 1956 N Tustin St, Orange, CA 92865[TEL] 714-998-0098焼き肉下記の2店舗は日本の焼肉屋です。美味しいですし、値段も日本とそれほど変わりません。Manpuku[住所] 891 Baker St #A-2, Costa Mesa, CA 92626[TEL] 714-708-3290Anjin[住所] 3033 Bristol St, Costa Mesa, CA 92626[TEL] 714-979-6700鉄板焼きHawaiiにもあるアメリカ的なTeppanyakiです。Benihana[住所] 2100 East Ball Road, Anaheim, CA 92806[TEL] 714-774-4940ラーメンどうしても日本のラーメンが食べたいという場合、Costa Mesaに数店舗ラーメン屋があります。博多一幸舎[住所] 3033 Bristol St Suite O,Costa Mesa[TEL] 714-540-2066喜多方ラーメン坂内[住所] 891 Baker St B21, Costa Mesa, CA 92626[TEL] 714-557-2947EuropeanFig and Olive[住所] 151 Newport Center Dr, Newport Beach, CA 92660[TEL] 949-877-3005The WineryNobuとともに景色重視の場合は良いと思います。[住所] 3131 West Coast Hwy, Newport Beach, CA 92663[TEL] 949-999-6622番外編Packing District一言で言うとおしゃれなモールという感じで、複数の飲食店が入っています。ハンバーガーやピザ、メキシカンなど選択肢がたくさんあるので、手軽に済ませたい場合に便利です。Barやbreweryもあります。ショッピング情報ダウンタウンディズニーディズニーランドには行かないけれど、ディズニー関係のお土産を買いたい場合は、ダウンタウンディズニーがおすすめです。チケットなしでディズニーの雰囲気が楽しめます。South Coast Plazaオレンジカウンティーで一番大きなショッピングセンター。ほとんどのブランド品が購入できます。時期によってはセール品も出ており、買い物がお好きな方は1日中、楽しめると思います。営業時間も21時までですから、午前中は学会に顔を出し、午後からでも楽しめます。上記でも紹介しましたが、周辺にはレストランもたくさんあります。アナハイムのホテルからはシャトルバスも出ていると思います。Metro Pointe at South Coastおすすめのアウトレット。ブランド物のシャツや靴などが50~70%で手に入ります。South Coast Plazaからは目と鼻の先です。Outlet at Orange周辺で最も大きなアウトレット。アナハイムから車で10分ほどですし、食事ができるレストランも近くに10店舗ほどあります。

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中国プライマリケア施設、主要4種の降圧薬常備は3割

 中国における降圧薬の利活用(入手性、費用、処方)は著しく不十分で、とくにガイドラインで推奨される廉価で価値の高い薬剤が、率先して使用されてはいない実態が明らかとなった。中国医学科学院・北京協和医学院のMeng Su氏らが、中国のプライマリケア施設における降圧薬に関する全国調査の結果を報告した。中国の高血圧患者は約2億人と推定されているが、プライマリケアでの治療の実態は、ほとんど知られていなかった。著者は、「今後、高血圧の疾病負荷を減らすために、とくにプライマリケア従事者の活動を介して、価値の高い降圧薬の利用状況を改善する必要がある」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年10月25日号掲載の報告。中国のプライマリケア約3,400施設のデータを解析 研究グループは、2016年11月~2017年5月に実施された中国の全国断面調査(the China Patient-Centered Evaluative Assessment of Cardiac Events[PEACE]Million Persons Project[MPP]primary health care survey)のデータを用い、中国31省のプライマリケア施設3,362施設(地域衛生院203施設、地域衛生サービスステーション401施設、町衛生院284施設、村衛生室2,474施設)における降圧薬62種の入手性・費用・処方パターンを評価した。また、価値の高い降圧薬(ガイドラインで推奨され、かつ低価格)の利用についても評価し、降圧薬の費用と、入手性および処方パターンとの関連性も検証した。主要4種の降圧薬常備は33.8%、高価値の降圧薬常備は32.7% 計3,362施設、約100万例のデータを評価した(農村部:2,758施設、61万3,638例、都市部:604施設、47万8,393例)。 3,362施設中、8.1%(95%信頼区間[CI]:7.2~9.1)は降圧薬を置いておらず、通常使用される4種類(ACE阻害薬、ARB、β遮断薬、Ca拮抗薬)の降圧薬すべてを常備していたのは33.8%(95%CI:32.2~35.4%)であった。降圧薬の入手性が最も低かったのは、中国西部の村衛生室であった。 また、価値の高い降圧薬を常備していたのは、3,362施設中32.7%(95%CI:32.2~33.3%)のみで、それらの処方頻度は低かった(全処方記録の11.2%、95%CI:10.9~11.6)。価格が高い降圧薬のほうが、低価格の降圧薬より処方される傾向があった。

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AHA 2017 注目の演題

2017年11月11~15日、米国・カリフォルニア州アナハイムでAHA (米国心臓病学会)2017が開催されます。ケアネットでは、聴講スケジュールを立てる際の参考にしていただけるよう注目演題に関するアンケートを実施しましたので、その結果を学会開催前にご紹介します。AHA 2017開催地、カリフォルニア州アナハイムのおすすめスポットはこちら※演題名および発表順は、10月25日時点でAHA 2017ウェブサイトに掲載されていたものです。当日までに発表順などが変更となる可能性がございますのでご注意ください。LBS.01. CABG and EP Peri-procedural Dilemmas11月12日(日)15:45 - 17:00  Main Event I (Hall D, Main Building)1. TRiCS III – An International Multicenter Randomized Trial of Transfusion Triggers in Cardiac Surgery2.DACAB - Efficacy and Safety of Dual Acetylsalicylic Acid plus Ticagrelor or Ticagrelor Alone Antiplatelet Strategy after Coronary Artery Bypass Surgery at 12 months: Randomized Multicentre Trial3.PRESERVE - Sodium Bicarbonate and N-Acetylcysteine for the Prevention of Serious Adverse Outcomes Following Angiography4.BRUISE CONTROL-2 - A Randomized Controlled Trial of Continued versus Interrupted Novel Oral Anti-coagulant at the time of Device Surgery5.ABRIDGE J - Clinical Benefit of Minimally-Interrupted Dabigatran versus Uninterrupted Warfarin for Catheter Ablation of Atrial Fibrillation: A Prospective Randomized Multicenter TrialQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するLBS.02. Late Breaking Science in Prevention11月13日(月)09:00 – 10:15  Ballroom CD, 3rd Level (Main Building)1.REAL-CAD - Does High-Intensity Pitavastatin Therapy Further Improve Clinical Outcomes? The REAL-CAD Study in 13,054 Patients with Stable Coronary Artery Disease2.REVEAL - Effects of Anacetrapib on the Incidence of New-onset Diabetes Mellitus and on Vascular Events in People with Diabetes3.FOURIER - Evolocumab and Outcomes in Patients with Peripheral Artery Disease4. FOURIER - Clinical Benefit of Evolocumab in Patients with a History of MI: An Analysis from FOURIER5.CANTOS - Residual Inflammatory Risk and Residual Cholesterol Risk: Critical Analysis from the CANTOS TrialQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するLBS.03. Latest Insights into Hypertension Management11月13日(月)10:45 – 12:00  Main Event I (Hall D, Main Building)1.Chinese BP Trial - Time at Blood Pressure Target and the Risk of Cardiovascular Diseases and Mortality2.SPRINT - Blood Pressure Measurement in the Systolic Blood Pressure Intervention Trial (SPRINT)3.GATEWAY - Effects of Bariatric Surgery in Obese Patients with HypertensionQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するLBS.04. Sweet Spot in Cardiometabolic Care11月13日(月)15:45 - 17:00  Ballroom CD, 3rd Level (Main Building)1.CANVAS - Canagliflozin for Primary and Secondary Prevention of Cardiovascular Events in Type 2 Diabetes: Results from the CANVAS Program2.EXSCEL - Effect of Exenatide Once-Weekly on Clinical Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus and Cardiovascular Disease: Insights from the EXSCEL Trial3.EMPA-REG OUTCOME - Empagliflozin Reduces Mortality and Hospitalization for Heart Failure in Patients with Type 2 Diabetes and Peripheral Artery Disease: A Sub-Analysis of the EMPA-REG OUTCOME Trial4.BiomarCaRE - Serum Metabolomic Profiles Predict Coronary Heart Disease in the General Population - The Biomarcare ConsortiumQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するLBS.05. New Insights into the Risks, Benefits, and Costs of Antithrombotic Therapy11月14日(火)10:45-12:00  Main Event I (Hall D, Main Building)1.COMPASS - Costs Impact Rivaroxaban Plus Aspirin Versus Aspirin in the COMPASS Trial2.RE-DUAL PCI - Subgroup Analysis from the RE-DUAL PCI Trial: Dual Antithrombotic Therapy with Dabigatran in Patients with Atrial Fibrillation Undergoing Percutaneous Coronary Intervention3.POISE-2 PCI Substudy - Aspirin in Patients with Previous Percutaneous Coronary Intervention (PCI) Undergoing Noncardiac Surgery4.GEMINI-ACS-1 - P2Y12 Inhibitor Switching in Response to Routine Notification of CYP2C19 Clopidogrel Metabolizer Status Following Acute Coronary Syndromes5.PRAGUE-18 - One-year Outcomes of Patients with Acute Myocardial Infarction Treated with Primary Angioplasty and Randomized to Prasugrel versus Ticagrelor - The Prague-18 TrialQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するLBS.06. Evaluating Quality Improvement and Patient Centered Care Interventions11月14日(火)15:45 – 17:00  Ballroom CD, 3rd Level (Main Building)1.SWEDEHEART registry results 1995-2014 - Improved Outcomes in Patients with Non-ST-Elevation Myocardial Infarction During 20 years are Related to Implementation of Evidence-Based Treatments2.STIC2IT - Results of the Study of a Tele-pharmacy Intervention for Chronic Diseases to Improve Treatment Adherence (STIC2IT)3.ACS QUIK - Effect of a Quality Improvement Toolkit on Acute Myocardial Infarction in India: The ACS QUIK Cluster Randomized, Stepped Wedge Trial4.NZ STEP WEDGE - National Implementation Of A Clinical Guidance Framework for the Emergency Department Assessment of Patients with Possible Acute Coronary Syndromes5.DECIDE-LVAD - Effectiveness of a Shared Decision Making Intervention for Patients Offered a Destination Therapy Left Ventricular Assist Device for End-Stage Heart Failure: the DECIDE-LVAD Trial6.STEMI ACCELERATOR-2 - Regional STEMI Systems of Care: Results of the Mission: Lifeline STEMI ACCELERATOR-2 StudyQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するLBS.07. Innovative Therapies and Novel Applications11月15日(水)09:00 - 10:15  Ballroom CD, 3rd Level (Main Building)1.REDUCE LAP-HF - Transcatheter InterAtrial Shunt Device for the Treatment of Heart Failure: Results from the REDUCE LAP-HF I Randomized Controlled Trial2.TNT-POAF - Temporary Neurotoxin Treatment to Prevent Postoperative Atrial Fibrillation3.PROPEL - Granulocyte Macrophage Colony-Stimulating Factor with and without Supervised Exercise to Improve Walking Performance in Peripheral Artery Disease4.ALLSTAR - 6-Month Results of ALLogeneic Heart STem Cells to Achieve Myocardial Regeneration (ALLSTAR) Trial: A Randomized, placebo-controlled, double-blind study5.HOPE-Duchenne - Cardiosphere-derived cells for the Treatment of Duchenne Cardiomyopathy: Results of the Halt cardiOmyopathy ProgrEssion [HOPE]-Duchenne Trial Q. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大する

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肺動脈圧ガイドにおける左心室収縮能が低下した心不全のマネジメント

 ガイドラインに準じた薬物療法が増えているにも関わらず、左心室の駆出率が低下した心不全(heart failure and reduced ejection fraction:HFrEF)患者の一部は入院、および死亡率が依然高い。そこで、米国Brigham and Women’s HospitalのMichael M Givertz氏ら研究グループが、肺動脈圧の遠隔モニターにより薬物療法の最適化と予後を改善につながる情報を臨床医に提供しうるか検証した。Journal of the American College of Cardiology誌2017年10月10日号に掲載。CHAMPION試験:LVEFが低下した患者に対するサブ解析 CHAMPION(CardioMEMS Heart Sensor Allows Monitoring of Pressure to Improve Outcomes in NYHA Class III Heart Failure Patients trial)試験では、550例の慢性心不全患者を左室駆出率に関わらず登録し、事前に決められたサブグループ解析で、左室駆出率が低下(LVEF≦40%)した心不全患者の入院と死亡率について、治療群とコントロール群とで比較した。ガイドラインに準じた薬物療法の使用が可能なケースについては、事後解析が行われた。入院と死亡率の解析には、Andersen-GillとCox比例ハザードモデルが使われた。ガイドラインに準じた薬物療法が行われている場合、心不全入院33%、死亡率47%低下 HFrEF患者456例のうち、心不全での入院率は治療群でコントロール群に比べて28%低く(ハザード比[HR]:0.72、 95%信頼区間[CI]: 0.59~0.88、 p= 0.0013)、統計学的な有意差には至らなかったが、死亡率が32%低下する傾向が認められた(HR:0.68、95% CI:0.45~1.02、p=0.06)。試験開始時にガイドラインに準じた薬物療法(ACEI、ARBもしくはβ遮断薬)を少なくとも1種類内服している患者が445例おり、これらの患者では心不全の入院率が33%低下し(HR:0.67、95%CI、0.54~0.82、p=0.0002)、死亡率は47%低かった(HR:0.63、95%CI:0.41~0.96、p=0.0293)。コントロール群と比較して、ガイドラインに準じた薬物療法を2種類とも内服している群(337例)では、心不全の入院が43%低下し(HR:0.57、95%CI:0.45~0.74、p<0.0001)、死亡率は57%低下した(HR:0.43、95%CI:0.24~0.76、p=0.0026)。検証の結果、肺動脈圧を使用した心不全のマネジメントは、心不全の悪化と死亡率を低下させるとともに、血行動態と神経ホルモンの双方を改善するという相乗効果の重要性を明らかにした。CardioMEMS(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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大脳型副腎白質ジストロフィー、遺伝子治療が有望/NEJM

 大脳型副腎白質ジストロフィー(Cerebral Adrenoleukodystrophy:CALD)に対し、Lenti-D遺伝子治療が同種造血幹細胞移植に代わる安全で有効な治療法となる可能性が示された。米国・ハーバード・メディカル・スクール/マサチューセッツ総合病院のFlorian Eichler氏らが、第II/III相単群非盲検臨床試験「STARBEAM試験」の中間解析結果を報告した。副腎白質ジストロフィー(ALD)はABCD1遺伝子変異によるX連鎖性遺伝性疾患で、CALDは脱髄と神経変性を特徴としている。これまでは同種造血幹細胞移植が、神経機能の喪失と死亡につながる疾患進行を食い止める唯一の方法であった。結果を踏まえて著者は、「さらなる追跡調査で、奏効期間や長期安全性を完全に評価することが必要である」とまとめている。NEJM誌オンライン版2017年10月4日号掲載の報告。CALD発症早期の17例において、24ヵ月後の生存と重度機能障害を評価 STARBEAM試験の対象は、17歳以下のCALD男児で、MRIでガドリウム造影効果を認めた発症早期の17例であった。患者から得たCD34+細胞に、elivaldogene tavalentivec(Lenti-D)レンチウイルスベクターを用いてABCD1遺伝子を導入し、自家移植を行った。 今回の中間解析では、移植片対宿主病(GVHD)の発症、死亡、主要機能障害、神経機能の変化、MRI上の病巣範囲の変化について評価した。主要エンドポイントは24ヵ月時の重度機能障害のない生存であった。Lenti-D遺伝子治療後、80%以上が生存 中間解析における追跡期間中央値は29.4ヵ月(範囲:21.6~42.0)であった。全例で移植後にマーカー遺伝子細胞が認められ、遺伝子の挿入部位解析において既知のがん遺伝子の優先的組み込みやクローン増殖は検出されなかった。また、全例でALDタンパクが確認された。治療関連死亡やGVHDの報告はなかった。 17例中15例(88%)が、わずかな臨床症状のみで重度機能障害はなく生存していた。1例は急速に神経機能が悪化し、疾患進行のため死亡した。別の1例は、MRI上で疾患進行が確認され、同種造血幹細胞移植を実施するために本試験から離脱し、後に移植関連合併症のため死亡した。 著者は今後の課題として、「長期的な追跡調査とより多くの症例数で、Lenti-Dレンチウイルスベクターを用いた遺伝子治療の遺伝毒性の低さ、臨床的有効性および安全性の裏付けをとる必要がある」との見解を述べている。

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アスピリン+リバーロキサバン、心血管疾患の2次予防に有効か/NEJM

 心血管疾患の2次予防において、アスピリンにリバーロキサバン(商品名:イグザレルト)を併用すると、アスピリン単剤に比べ転帰が改善するが、大出血が増加することが、カナダ・マックマスター大学のJohn W. Eikelboom氏らが行ったCOMPASS試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年8月27日号に掲載された。心血管疾患の長期的な予防治療として、アスピリンに替わるさまざまな抗血栓療法レジメンが検討されてきた。2次予防では、アスピリンはプラセボに比べ主要有害心血管イベントのリスクを19%、心血管死のリスクを9%低下させることがメタ解析で示されている。また、選択的直接第Xa因子阻害薬リバーロキサバンは、静脈血栓塞栓症の予防、治療や、心房細動における脳卒中や全身性塞栓症の予防に用いられている。33ヵ国2万7,395例を登録、3群をダブルダミーで比較 本研究は、心血管疾患の2次予防におけるリバーロキサバン+アスピリン、リバーロキサバン単剤、アスピリン単剤の有用性を比較する二重盲検ダブルダミー無作為化試験である(Bayer社の助成による)。 対象は、安定期アテローム動脈硬化性血管疾患(冠動脈疾患、末梢動脈疾患あるいはこれら双方)患者であった。被験者は、リバーロキサバン(2.5mg、1日2回)+アスピリン(100mg、1日1回)、リバーロキサバン(5mg、1日2回)+プラセボ(1日1回)、アスピリン(100mg、1日1回)+プラセボ(1日2回)のいずれかを投与する群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、心血管死・脳卒中・心筋梗塞の複合であった。 2013年3月~2016年5月に、日本を含む33ヵ国602施設に2万7,395例が登録され、リバーロキサバン+アスピリン群に9,152例、リバーロキサバン群に9,117例、アスピリン群には9,126例が割り付けられた。 ベースラインの全体の平均年齢は68.2歳、女性は22.0%であった。脂質低下薬は89.8%、ACE阻害薬またはARBは71.2%の患者が使用していた。平均収縮期血圧は136mmHg、平均拡張期血圧は78mmHgで、平均総コレステロール値は162mg/dLであり、90.6%が冠動脈疾患、27.3%が末梢動脈疾患の既往歴を有していた。 本試験は、平均フォローアップ期間23ヵ月時にリバーロキサバン+アスピリン群の優越性が確認されたため中止となった。アスピリン単独よりも主要評価項目が24%低下、大出血は70%増加 主要評価項目の発生率は、リバーロキサバン+アスピリン群が4.1%(379例)、リバーロキサバン群が4.9%(448例)、アスピリン群は5.4%(496例)であった。リバーロキサバン+アスピリン群は、アスピリン群に比べ発生率が有意に低かった(ハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.66~0.86、p<0.001)。リバーロキサバン群とアスピリン群には有意差は認めなかった(HR:0.90、95%CI:0.79~1.03、p=0.12)。 一方、大出血の発生率は、リバーロキサバン+アスピリン群が3.1%(288例)、リバーロキサバン群が2.8%(255例)、アスピリン群は1.9%(170例)であった。リバーロキサバン+アスピリン群およびリバーロキサバン群は、アスピリン群に比し発生率が有意に高かった(HR:1.70、95%CI:1.40~2.05、p<0.001、HR:1.51、95%CI:1.25~1.84、p<0.001)。リバーロキサバン+アスピリン群とアスピリン群の差は、主に入院を要する出血によるもので、脳出血および致死的出血の発生率には有意な差を認めなかった。 全死因死亡の発生率は、リバーロキサバン+アスピリン群が3.4%(313例)、アスピリン群は4.1%(378例)であった(HR:0.82、95%CI:0.71~0.96、p=0.01、有意差を示すp値の閾値は0.0025)。 net clinical benefit(心血管死、脳卒中、心筋梗塞、致死的出血、重要臓器の症候性出血の複合)の発生率は、リバーロキサバン+アスピリン群が4.7%(431例)と、アスピリン群の5.9%(534例)よりも有意に良好であった(HR:0.80、95%CI:0.70~0.91、p<0.001)。 著者は、「早期有効中止となった本試験は、治療効果が過大評価されている可能性があるが、データ安全性監視委員会は中止前に1年以上にわたり併用群でベネフィットの漸進的な増加を観察している」としている。

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ESC 2017 注目の演題

2017年8月26~30日、スペイン・バルセロナでESC(欧州心臓病学会)2017が開催されます。ケアネットでは、聴講スケジュールを立てる際の参考にしていただけるよう注目演題に関するアンケートを実施しましたので、その結果を学会開催前にご紹介します。ESC2017開催地、バルセロナのおすすめスポットはこちら※演題名および発表順は、8月10日時点でESC 2017ウェブサイトに掲載されていたものです。当日までに発表順などが変更となる可能性がございますのでご注意ください。Late-Breaking Science in PCI 1Chairpersons: Michael HAUDE, William WIJNS8月26日(土)13:30 - 15:00 Dali - The Hub1.Comparison of titanium-nitride-oxide-coated versus everolimus-eluting stents in acute coronary syndrome2.A Multicenter, Randomized-Controlled, Blinded Trial of Drug-Eluting vs. Bare Metal Stents in De Novo Saphenous Vein Graft Lesions3.Early strut coverage in patients receiving new-generation drug-eluting stents and its implications for dual antiplatelet therapy: a randomized controlled trial4.Coronary Artery Bypass Grafting Versus Percutaneous Coronary Intervention and Survival in Patients with Type 1 Diabetes Mellitus5.Five-year Outcome of a Trial Comparing Second Generation Drug-eluting Stents Using Either Biodegradable Polymer or Durable Polymer6.Clinical outcomes of State-of-the-Art percutaneous coronary revascularization in patients with de novo three vessel disease: Results of the SYNTAX II trial7.BIOFLOW-V: A Prospective Randomized Multicenter Study to Assess the SaFety and Effectiveness of the Orsiro SiroLimus Eluting Coronary Stent System in the Treatment Of Subjects With up to Three De Novo or Restenotic Coronary Artery LesionsQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するHot Line: Late-Breaking Clinical Trials 1Chairpersons: Jeroen BAX, Barbara CASADEI8月27日(日)11:00 - 12:35 Barcelona - Main Auditorium1.Routine versus aggressive upstream rhythm control for prevention of early atrial fibrillation in heart failure, the RACE 3 study2.Catheter ablation versus standard conventional treatment in patients with left ventricular dysfunction and atrial fibrillation: the CASTLE-AF trial3.Cardiovascular OutcoMes for People using Anticoagulation StrategieS (COMPASS) trial: Primary Results4.Cardiovascular OutcoMes for People using Anticoagulation StrategieS (COMPASS) trial: Results in Patients with Coronary Artery Disease and in patients with Peripheral Artery Disease5. CANTOS - The Canakinumab Anti-Inflammatory Thrombosis Outcomes StudyQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するLate-Breaking Science in PCI 2Chairpersons: Lene HOLMVANG , Patrick SERRUYS8月27日(日)14:00 - 15:30  Spotlight Stage1.The Bivalirudin versus Heparin in non-ST and ST-segment elevation myocardial infarction in patients on modern antiplatelet therapy in SWEDEHEART2.Efficacy and Safety of a Pharmaco-Invasive Strategy versus Primary Angioplasty in ST-Elevation Myocardial Infarction: The EARLY-MYO Trial3.Testing Responsiveness to Platelet Inhibition on Chronic Antiplatelet Treatment for Acute Coronary Syndromes - TROPICAL-ACS – Trial4.RE-DUAL PCI : Dual Antithrombotic Therapy with Dabigatran After Percutaneous Coronary Intervention in Patients with Atrial Fibrillation5.Have we reached the bottom line in mortality after Acute Myocardial Infarction? Changes over 20 years in patient characteristics, management, and 6-month outcomes in the FAST-MI programme: 1995-20156.Improvement in FFR predicts 2 years outcome after PCI. A FAME 2 Sub-AnalysisQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するLate-Breaking Science in Heart FailureChairpersons: Frank RUSCHITZKA, Milton PACKER8月28日(月)08:30 - 10:00 Warsaw - Village 91.Heart failure and death in new users of SGLT2 inhibitors vs other glucose-lowering drugs - consistent risk reduction across patient groups in 4 countries and >270,000 patients: The CVD-REAL Study2.Efficacy of beta-blockers in heart failure according to left ventricular ejection fraction: An individual patient level analysis of double-blind randomised trials3.Marked variation in the efficacy of beta-blockers across cardiovascular health: A Global systematic assessment of mortality, myocardial infarction and stroke4.Heart Failure-Wii study5.Does the risk for heart failure (HF) modulate the effectiveness of empagliflozin on HF hospitalisation or CV death in patients with type 2 diabetes without HF? Insights from EMPA-REG OUTCOME6.Predicting right heart failure after implantation of continuous flow left ventricular assist devices (EUROMACS-RHF) score: analysis of the EUROMACS dataQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するHot Line: Late-Breaking Clinical Trials 2Chairpersons: Stephan ACHENBACH , Sarah Catherine CLARKE8月28日(月)11:00-12:48 Barcelona - Main Auditorium1.SPYRAL HTN OFF-MED Study2.Apixaban vs conventional therapy in anticoagulation-naive patients with atrial fibrillation undergoing cardioversion: The EMANATE Trial3.An international multicenter clustered randomized trial to IMProve treatment with oral AntiCoagulanTs in Atrial Fibrilation4.The Viborg Vascular randomised screening trial5.Impact of a single or two dose regimen of inclisiran, a novel siRNA inhibitor to PCSK9 on time averaged reductions in LDL-C over 1 year. ORION 16.DETermination of the role of OXygen in suspected Acute Myocardial InfarctionQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するHot Line: Late-Breaking Clinical Trials 3Chairpersons: Frans VAN DE WERF , Evgeny SHLYAKHTO8月28日(月)14:00 - 15:30 Barcelona - Main Auditorium1.A Naturally Randomized Trial Comparing the Effect of Genetic Variants that Mimic CETP Inhibitors and Statins on the Risk of Cardiovascular Disease2.Effect of Sildenafil on Clinical Outcomes in Patients with Corrected Valvular Heart Disease and Residual Pulmonary Hypertension3.The PRECISION-ABPM (Prospective Randomized Evaluation of Celecoxib Integrated Safety versus Ibuprofen or Naproxen Ambulatory Blood Pressure Measurement) - Trial4.Protection of the brain on occasion of planned open heart surgery by surgical closure of the left atrial appendage. A randomized study5.Airway management during cardiopulmonary resuscitation: Tracheal intubation versus bag valve mask ventilationQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するHot Line: Late-Breaking Clinical Trials 4Chairpersons: Michel KOMAJDA, Hector BUENO8月29日(火)08:30 - 10:00 Barcelona - Main Auditorium1.Clinical effects of anacetrapib in people with established vascular disease: Results of the Randomized EValuation of the Effects of Anacetrapib through Lipid-modification (HPS3/TIMI55-REVEAL) trial2.Does intensive treat-to-target LDL-C lowering therapy using statin in patients of diabetic retinopathy reduce cardiovascular events?: the EMPATHY study3.Exercise training in diastolic heart failure (Ex-DHF): a multicenter, prospective, randomized, controlled, parallel group trial4.Catheter Ablation compared with optimized Pharmacological Therapy for Atrial Fibrillation, a randomized multicentre study of quality of life and implantable cardiac monitoring after 12 month follow-up5.Assessment of REmote HEArt Rhythm Sampling using the AliveCor heart monitor to scrEen for Atrial Fibrillation (The REHEARSE-AF study)Q. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大する

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高齢糖尿病患者の降圧薬アドヒアランスと効果の関連

 米国Kaiser Permanente Institute for Health ResearchのMarsha A. Raebel氏らによる約13万例の高齢糖尿病患者の後ろ向きコホート研究で、85歳以上もしくは複数の併存疾患を持つ糖尿病患者では、アンジオテンシン変換酵素阻害薬/アンジオテンシンII受容体遮断薬(ACEI/ARB)の服薬アドヒアランスと血圧低下が関連しないことが示された。一方、スタチンのアドヒアランスはLDLコレステロール(LDL-C)の低下と関連していた。Pharmacotherapy誌オンライン版2017年7月28日号に掲載。 米国Centers for Medicare and Medicaid ServicesのMedicare Starプログラムでは、糖尿病患者がACEI/ARBとスタチンの服薬アドヒアランスの目標を満たした場合、ヘルスプランにインセンティブを与えている。これまでに、アドヒアランスと心血管リスク因子のコントロールとの関連は報告されているが、ほとんどの研究が併存疾患のほとんどない若年の患者が含まれており、併存疾患の多い高齢患者における関連はよくわかっていない。そこで著者らは、Medicareでの65歳以上の糖尿病患者12万9,040例において、Starアドヒアランスの目標達成(8割以上の日数)が血圧(140/90mmHg未満)およびLDL-C(100mg/dL未満)に及ぼす影響を調べた。 主な結果は以下のとおり。・アドヒアランスは、高齢者のどの年代群でもほとんど差がなかった。・併存疾患なし患者に比べ、併存疾患4以上の患者ではACEI/ARB(RR:0.88、95%CI:0.87~0.89)やスタチン(RR:0.91、95%CI:0.90~0.92)のアドヒアランスが低かった。・ACEI/ARBのアドヒアランスは、85歳以上の患者における血圧140/90mmHg未満(RR:1.01、95%CI:0.96~1.07)、複数の併存疾患(たとえば、併存疾患3つでのRR:1.04、95%CI:0.99~1.08)と関連がみられなかった。・スタチンのアドヒアランスは、高齢者のすべての年代群(たとえば、85歳以上のRR:1.13、95%CI:1.09~1.16)、すべての併存疾患数(たとえば、4つ以上でのRR:1.13、95%CI:1.12~1.15)でLDL-C 100mg/dL未満と関連していた。

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第42回

第42回:新たな肺がんレジメン、カルボ・ペム・ペムとは?キーワードペムブロリズマブMSI-H固形がん肺がんNSCLC1次治療におけるペムブロリズマブ+化学療法の追跡結果/ASCO2017Langer CJ,et al.Carboplatin and pemetrexed with or without pembrolizumab for advanced, non-squamous non-small-cell lung cancer: a randomised, phase 2 cohort of the open-label KEYNOTE-021 study.Lancet Oncol.2016;17:1497-1508.MERCK社 KEYTRUDA prescribing information

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