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チアジド系降圧利尿剤 フルイトラン錠1mg新発売

塩野義製薬株式会社は15日、チアジド系降圧利尿剤「フルイトラン錠1㎎」(一般名:トリクロルメチアジド)を新発売した。フルイトランは、米国シェリング・プラウ社により開発され、1960年に米国で発売されたチアジド系降圧利尿剤トリクロルメチアジドの経口用製剤で、腎臓の遠位尿細管でナトリウムや水分の再吸収を抑え、体内の余分な水分を排出して尿の量を増やし、高血圧症の方々の心臓への負担を軽減する。現在、日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)において、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を含むレニン・アンジオテンシン系抑制薬と、少量の降圧利尿薬の併用療法が、降圧効果の相乗作用のみならず、電解質・糖代謝に対する副作用を相殺できる利点があるとして推奨されている。同社は「フルイトラン錠2㎎」を1960年より販売しているが、今回、少量製剤であるフルイトラン錠1mgを発売し、新たに医療現場に提供することで患者の利便性を向上させ、さらにARBである「イルベタン錠」と併用することで降圧効果の増強を図ることが可能になるとしている。詳細はプレスリリースへhttp://www.shionogi.co.jp/ir/news/detail/090515.pdf

422.

ARB バルサルタン、心房細動の再発予防効果得られず

 アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)投与によっても心房細動の再発予防効果が得られなかったことが報告された。心房細動に関して今のところ、コントロール可能な理想的な治療はないとされる一方で、実験的研究でARBが心房リモデリングに影響を与えることが、また臨床試験からはARBの心房細動予防の可能性が示唆されていた。報告は、バルサルタン(商品名:ディオバン)に関する大規模多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験GISSI-AFからで、NEJM誌2009年4月16日号で掲載された。1,442例が参加した大規模試験 GISSI-AF(Gruppo Italiano per lo Studio della Sopravvivenza nell’Infarto Miocardico–Atrial Fibrillation)試験は、心血管疾患、糖尿病、左心拡大の基礎疾患があり心房細動の既往がある患者に、バルサルタン320mg/日を標準治療として加えることが有効かどうかを調べることを目的とし行われた。試験には、2004年11月~2007年1月の間に、イタリアの114医療センターで1,442例が登録。過去6ヵ月で心房細動が2回以上あった患者、もしくは過去2週間で心房細動があり電気的除細動が成功した患者で、現在は洞調律の者を適格とした。 対象者は無作為に、バルサルタン群(722例)とプラセボ群(720例)に割り付けられた(投与量は、最初の2週間は80mg/日、3~4週間は160 mg/日、以降320 mg/日)。 主要エンドポイントは2つで、追跡1年間の、心房細動再発までの期間と、再発が複数回に及んだ患者の割合とした。ACE阻害薬の服用有無問わず、結果はプラセボと同等 再発があったのは、バルサルタン群371/722例(51.4%)、プラセボ群375/720例(52.1%)で、補正後ハザード比は0.97(96%信頼区間:0.83~1.14、p=0.73)だった。 再発が複数回あったのは、バルサルタン群194/722例(26.9%)、プラセボ群201/720例(27.9%)で、補正後ハザード比は0.89(99%信頼区間:0.64~1.23、p=0.34)だった。 ACE阻害薬を服用していなかった患者を含めたサブグループ解析においても、同様の結果が見られたという。

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ブロプレスとカルシウム拮抗薬の合剤を承認申請

 武田薬品工業株式会社は30日、ブロプレス(一般名:カンデサルタン シレキセチル)とカルシウム拮抗薬(一般名:アムロジピンベシル酸塩、以下、アムロジピン)との合剤である高血圧症治療薬について、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを発表した。 同社が創製したブロプレスは、血圧を上げるホルモンの一つであるアンジオテンシンIIの働きを阻害する、アンジオテンシンII受容体拮抗剤(ARB)。日本では1999年に発売開始され、2005年にはARBとして国内で初めて慢性心不全の効能を取得した。一方、アムロジピンは、ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬であり、細胞内へのカルシウムイオンの流入を抑制することで、主として血管平滑筋を弛緩させ、末梢血管抵抗を減じることで降圧効果を発揮する。 日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2009」では、降圧効果が不十分な場合には降圧薬の併用治療が推奨されており、中でもARBとカルシウム拮抗薬の併用治療は、個々の降圧効果を減じることなく、有効性および安全性の点からも合理的であり、同ガイドラインで推奨される組合せの一つに挙げられている。

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欧州でてんかん治療剤ZEBINIXに関するライセンス契約が締結

エーザイ株式会社の発表によると、同社のの欧州統括会社、エーザイ・ヨーロッパ・リミテッドは、Bial-Portela & Ca社と、てんかん治療剤「ZEBINIX」(一般名:eslicarbazepine acetate)に関して、欧州における販売にかかるライセンス契約および共同販促契約を締結したという。同社はこの契約により、欧州におけるZEBINIXの販売権を獲得することになった。ZEBINIXは現在、Bial社が開発中の新しいてんかん治療剤。同剤はナトリウムチャネルを介して抗てんかん作用を示す。1日1回の投与で、てんかん発作の回数を顕著に減少させるとともに、てんかん患者のQOLやうつ症状も改善することが臨床試験において示唆されている。Bial社は2008年3月に「ZEBINIX」の承認申請を欧州医薬品審査庁(European Medicines Agency: EMEA)に提出している。現在、成人の部分てんかんにおける併用療法の適応についてEMEAが審査中である。詳細はプレスリリースへhttp://www.eisai.co.jp/news/news200903.html

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liraglutideの血糖コントロール作用はグリメピリドを凌駕:LEAD-3 Mono試験

新たな2型糖尿病治療薬であるliraglutideは有効かつ安全で、グリメピリド(商品名:アマリール)よりも良好な血糖コントロールを示すことが、アメリカ・ベイラー医科大学のAlan Garber氏らが行った無作為化第III相試験(LEAD-3 Mono)で明らかとなった。liraglutideはグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)のアナログで、半減期が13時間と長いため1日1回の自己注射が可能。GLP-1はグルコース依存性のインスリン分泌を刺激してグルカゴンの分泌を抑制し、食欲の抑制効果も有するという。Lancet誌2009年2月7日号(オンライン版2008年9月25日号)掲載の報告。アメリカとメキシコで実施された大規模臨床試験研究グループは、2型糖尿病に対するliraglutide単剤療法の有効性を評価する目的で、2種類のプラセボと対照薬としてグリメピリドを用いた二重盲検パラレルグループ試験を実施した。liraglutideの用量は1.2mg/日と1.8mg/日の2種類が用いられ、1日1回皮下投与された。アメリカの126施設とメキシコの12施設に746例が登録され、liraglutide 1.2mg群に251例、1.8mg群に247例、グリメピリド(8mg)群には248例が無作為に割り付けられ、52週の治療が行われた。主要評価項目は糖化ヘモグロビン(HbA1c)のベースラインからの変化率とした。HbA1cの低下率、体重減少効果が有意に優れる52週後におけるHbA1cの低下率は、グリメピリド群の0.51%に対しliraglutide 1.2mg群は0.84%(0.33%低下、p=0.0014)、liraglutide 1.8mg群は1.14%(0.62%低下、p<0.0001)であり、いずれの用量も有意に優れていた。体重は、liraglutide群はいずれの用量でも減少したのに対しグリメピリド群では増加した(いずれもp<0.0001)。体重減少が嘔気によるものか否かを確認するために、嘔気日数が7日以上の群と以下の群を比較したところ、減少の程度は前者で大きかったものの有意差は認めず、嘔気の影響は否定された。liraglutide 1.2mg群で5例、liraglutide 1.8mg群では1例が嘔吐のため治療を中止したが、グリメピリド群では嘔吐による治療中止例は認めなかった。著者は、「liraglutideは2型糖尿病の初回薬物療法薬として有効かつ安全であり、グリメピリドよりも優れたHbA1c低下、体重減少、血糖降下、血圧降下作用をもたらす」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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高血圧治療薬コディオが製造販売承認を取得

 ノバルティス ファーマ株式会社は21日、高血圧治療薬として、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB:AngiotensinII Type1 Receptor Blocker)の「ディオバン」(一般名:バルサルタン)と、サイアザイド系利尿薬のヒドロクロロチアジド(HCTZ)の配合剤である「コディオ配合錠MD」(バルサルタン/HCTZとして80mg/6.25mg)、「コディオ配合錠EX」(バルサルタン/HCTZとして80mg/12.5mg)の製造販売承認を取得したと発表した。 コディオは、ARBであるディオバンと少量の利尿薬の配合剤であり、異なる作用機序の薬剤を組み合わせることで降圧効果の増強が期待される。 国内臨床試験において、コディオ配合錠EXは、治験終了時の収縮期血圧のベースラインからの変化量が-22mmHgと強力な降圧効果を示し、投与開始後2週間で平均収縮期血圧140mmHg未満を達成する速い効果発現が確認されたという。同じく国内臨床試験の治験終了時においては、83.3%と高いレスポンダーレートを示したとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2009/pr20090121_04.html

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ニューロタン錠に新剤型追加・承認

万有製薬株式会社は15日、販売中のアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)「ニューロタン錠」(一般名:ロサルタンカリウム)に従来の25mg錠と50mg錠に加え、新剤型として「ニューロタン錠100mg」の承認を新たに追加取得したと発表した。今回の承認で、用量依存的な降圧効果と蛋白尿抑制効果と、処方可能な1日の最大用量100mgを服用する場合、従来の2錠服用から、1錠の服用が可能になり、コンプライアンスの向上が期待できるという。詳細はプレスリリースへhttp://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2009/product_news_0115.html

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高血圧治療薬CS-866AZを国内製造販売承認申請へ

第一三共株式会社は11日、同社が高血圧治療薬として開発したアンジオテンシン2受容体拮抗薬(ARB)オルメサルタンメドキソミルと、カルシウム拮抗薬アゼルニジピンの配合剤「CS-866AZ」の製造販売承認申請を行ったと発表した。CS-866AZは、同社が創製した高親和性AT1レセプターブロッカーのオルメサルタン メドキソミル(販売名:オルメテック錠)および宇部興産株式会社と共同で研究開発した持続性カルシウム拮抗剤のアゼルニジピン(販売名:カルブロック錠)の配合剤。これまでの臨床試験成績から、CS-866AZはオルメテック、カルブロック、それぞれの単剤よりも良好な降圧作用を示すことが明らかとなったという。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.daiichisankyo.co.jp/4less/cgi-bin/cs4view_obj.php/b_newsrelease_n1/781/081211v1-j.pdf

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ニューロタンのヒトにおける尿酸低下作用の機序が証明される

万有製薬株式会社は9日、同社が販売している高血圧症治療薬ロサルタン(商品名:ニューロタン、アンジオテンシンII受容体拮抗薬:ARB)を用いた臨床研究で、ヒトにおけるロサルタンの尿酸低下作用の機序が初めて証明され、その結果が、米国高血圧学会の学会誌AMERICAN JOURNAL OF HYPERTENSIONに論文掲載されたことを発表した。日本におけるこの臨床研究で、ロサルタンには、降圧作用のみならずヒトの腎尿細管からの尿酸再吸収を担う尿酸トランスポーター(Urate Transporter 1:URAT1)を尿細管管腔側から阻害し、尿酸の再吸収を抑制することで血中の尿酸値を低下させる作用があることが示されたという。詳細はプレスリリースへhttp://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2008/product_news_1209.html

430.

降圧薬カンデサルタン、2型糖尿病の網膜症に対する有効性を確認

アンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)であるカンデサルタンは、2型糖尿病における軽度~中等度の網膜症に対する改善効果を有することが、国際的な大規模臨床試験DIRECT-Protect 2により明らかとなった。糖尿病性網膜症は、依然として生産労働年齢人口の失明の主要原因である。2型糖尿病の診断時に約40%が網膜症を併発しており、6年後にはさらに22%が発症するとされる。これに対し降圧薬の有効性が示唆されているが、網膜症をエンドポイントした試験は行われていないという。デンマークOdense大学病院眼科のAnne Katrin Sjolie氏が、Lancet誌2008年10月18日号(オンライン版2008年9月25日号)で報告した。軽度~中等度の網膜症が見られる2型糖尿病患者が対象研究グループは、2型糖尿病患者における網膜症の進行に対するカンデサルタンの抑制効果について検討した。本試験は、309施設が参加した国際的な二重盲検プラセボ対照パラレルグループ無作為化試験である。軽度~中等度の網膜症が見られる2型糖尿病患者が、カンデサルタン16mg/日を投与する群あるいはプラセボ群に無作為に割り付けられた。カンデサルタンの用量は1ヵ月後に32mg/日に増量された。主要評価項目は網膜症の進行、副次評価項目はその退縮とした。網膜症の進行リスクは同等、退縮効果はカンデサルタンが有意に優れる1,905例(37~75歳)が登録され、カンデサルタン群に951例が、プラセボ群には954例が割り付けられた。網膜症がEarly Treatment Diabetic Retinopathy Studyのスケールで3段階以上進行した症例の割合は、カンデサルタン群が17%(161例)、プラセボ群は19%(182例)であった。網膜症の進行リスクは、プラセボ群に比しカンデサルタン群で13%低下したが、有意差は認めなかった(p=0.20)。網膜症の退縮効果は、カンデサルタン群がプラセボ群よりも有意に優れた(ハザード比:1.34、p=0.009)。このハザード比は、ベースライン時のリスク因子や試験中の血圧の変動で補正しても低下せず、有意差は維持された。カンデサルタン群では、試験終了時における網膜症の軽症化の変化率が、全体としてプラセボ群よりも有意に大きかった(オッズ比:1.17、p=0.003)。有害事象ついては両群間に差は見られなかった。著者は、「カンデサルタンは、軽度~中等度の網膜症を有する2型糖尿病において、網膜症の改善効果を発揮する可能性がある」と結論し、「その良好な有効性は、高度な退縮効果とある程度の進行抑制効果によると考えられる」としている。(菅野守:医学ライター)

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テルミサルタン、有意な予後改善効果はない:TRANSCEND試験

アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)テルミサルタンは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬に不耐用な心血管疾患患者で良好な耐用性を示すものの有意な予後改善効果はないことが、カナダMcMaster大学のSalim Yusuf氏らTRANSCEND試験の研究グループによって報告された。ACE阻害薬は主要な心血管イベントを抑制するが患者の約20%は耐用性がない。不耐用のおもな原因は咳嗽で、特に女性やアジア人に不耐用例が多いという。Lancet誌2008年9月27日号(オンライン版2008年8月31日号)掲載の報告。約6,000例が参加した大規模な無作為化対照比較試験Telmisartan Randomised AssessmeNt Study in ACE iNtolerant subjects with cardiovascular Disease(TRANSCEND)試験は、心血管疾患および臓器障害を有する糖尿病のうちACE阻害薬に不耐用な患者を対象に、テルミサルタンの有用性を検討する無作為化対照比較試験。2001年11月~2004年5月の間に40ヵ国630施設から5,926例が登録された。3週間のrun-in期間ののち、テルミサルタン群(80mg/日、2,954例)あるいはプラセボ群(2,972例)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、心不全による入院の複合エンドポイントとした。耐用性は良好だが、主要評価項目に有意差なしフォローアップ期間中央値は56ヵ月、全例で有効性解析が可能であった。平均血圧は試験期間中を通じてプラセボ群よりもテルミサルタン群で低かった[重み付けされた両群間の差の平均値:4.0/2.2(SD 19.6/12.0)mmHg]。主要評価項目の発生率はプラセボ群17.0%(504例)、テルミサルタン群15.7%(465例)と、両群で同等であった(ハザード比:0.92、95%信頼区間:0.81~1.05、p=0.216)。副次評価項目である心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合エンドポイントの発生率は、プラセボ群の14.8%(440例)に対しテルミサルタン群は13.0%(384例)と有意に低かった(ハザード比:0.87、95%信頼区間:0.76~1.00、非補正p値=0.048)が、補正後は有意差が消失した(p=0.068)。心血管疾患による入院率は、プラセボ群の33.0%(980例)に対しテルミサルタン群は30.3%(894例)と有意に優れた(相対リスク:0.92、95%信頼区間:0.85~0.99、p=0.025)。薬剤の恒久的な中止例は、プラセボ群よりもテルミサルタン群で少ない傾向が見られた[21.6%(639例) vs. 23.8%(705例)、p=0.055]。もっとも高頻度な中止理由は血圧低下症状であった[プラセボ群:0.54%(16例)、テルミサルタン群:0.98%(29例)]。併用投与でベネフィットをもたらす可能性も研究グループは、「テルミサルタンはACE阻害薬に不耐用な心血管疾患および糖尿病患者で良好な耐用性を示した。心不全による入院を含めた主要評価項目に有意差は認めなかったが、副次評価項目である心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合エンドポイントのリスクはテルミサルタン群で中等度に低下する傾向が見られた」と結論している。また、「今回の結果に加えPRoFESS、HOPE、LIFE、ADVANCE、ONTARGETなどの知見を考慮すると、他の確立された治療法と併用すればテルミサルタンは中等度の付加的なベネフィットをもたらすことが示唆される。薬剤の耐用性と心血管イベントに対する効果の観点からは、ACE阻害薬に不耐用な心血管疾患患者、高リスク糖尿病患者の治療薬となる可能性もある」と考察している。(菅野守:医学ライター)

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糖尿病網膜症にかかるカンデサルタンの大規模臨床試験DIRECTの結果が発表される

 武田薬品工業株式会社は、第44回欧州糖尿病学会(EASD:European Association for the Study of Diabetes)において、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)カンデサルタン(日本製品名:ブロプレス)の糖尿病網膜症に対する発症予防と進展抑制効果を検討した大規模臨床試験DIRECTの結果が報告されたと発表した。それによると、カンデサルタン32mg投与群は、主要評価項目ではプラセボ投与群に比し有意差は認めらなかったものの、1型糖尿病患者において糖尿病網膜症発症を抑制する傾向、ならびに2型糖尿病患者において糖尿病網膜症を改善するという有益な知見が得られたとのこと。

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テルミサルタン+ラミプリル併用で腎機能はむしろ低下:ONTARGET試験

血管リスクの高い集団の腎機能に及ぼすテルミサルタンの効果はラミプリルと同等であり、両薬剤を併用した場合は単剤投与に比べ蛋白尿は改善するものの腎機能はむしろ低下することが、ONTARGET試験の参加者を対象とした解析で明らかとなった。アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)とアンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬は蛋白尿を抑制することが確認されており、併用による腎機能の改善効果が期待されていた。ドイツLudwig Maximilians大学Schwabing総合病院のJohannes F E Mann氏が、Lancet誌2008年8月16日号で報告した。2万5,000例以上を対象とした国際的な無作為化試験の腎機能解析ONTARGET(ongoing telmisartan alone and in combination with ramipril global endpoint trial)試験の研究グループは、55歳以上のアテローム動脈硬化性血管疾患患者あるいは臓器障害を伴う糖尿病患者を対象に、ARBであるテルミサルタン、ACE阻害薬であるラミプリルおよびその併用投与が腎機能に及ぼす効果を比較検討した。試験期間は2001~2007年で、3週間のrun-in期間ののち2万5,620例がテルミサルタン群(80mg/日、8,542例)、ラミプリル群(10mg/日、8,576例)、併用群(それぞれ80mg/日+10mg/日、8,502例)に無作為に割り付けられ、腎機能の評価および蛋白尿の測定が行われた。フォローアップ期間(中央値)は56ヵ月であった。主要アウトカムは透析、血清クレアチニン値の倍化、死亡の複合発生率、副次アウトカムは透析、血清クレアチニン値の倍化の複合発生率とした。主要、副次アウトカムがともに併用群で有意に悪化試験期間中に低血圧症状で784例(テルミサルタン群229例、ラミプリル群149例、併用群406例)が治療を中止した。主要アウトカム(透析、血清クレアチニン値の倍化、死亡)の発生率は、テルミサルタン群(1,147件、13.4%)とラミプリル群(1,150件、13.5%)は同等であったが(ハザード比:1.00、95%信頼区間:0.92~1.09)、併用群(1,233件、14.5%)では有意に上昇した(1.09、1.01~1.18、p=0.037)。副次アウトカム(透析、血清クレアチニン値の倍化)の発生率も同様で、テルミサルタン群(189例、2.21%)とラミプリル群(174 例、2.03%)は同等であったが(1.09、0.89~1.34)、併用群(212例、2.49%)では有意に上昇した(1.24、1.01~1.51、p=0.038)。推定糸球体濾過率(eGFR)のベースラインからの低下は、テルミサルタン群(-4.12 mL/分/1.73m2)、併用群(-6.11 mL/分/1.73m2)に比べラミプリル群(-2.82 mL/分/1.73m2)で少なく、いずれも有意差を認めた(いずれもp<0.0001)。尿中アルブミン排泄の上昇は、ラミプリル群に比べテルミサルタン群(p=0.004)および併用群(p=0.001)で有意に少なかった。著者は、「血管リスクの高い集団では、テルミサルタンの腎機能に及ぼす効果はラミプリルと同等であり、両薬剤の併用投与はそれぞれの単剤投与に比べ蛋白尿は改善するものの腎機能はむしろ低下した」と結論し、「明確な蛋白尿が見られる腎疾患患者では、併用投与が腎不全の進行や透析の予防に有効な可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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α遮断薬の投与によって治療中の高血圧症例の尿中アルブミンが減少する

自治医科大学循環器科の苅尾七臣氏(=写真)らは、治療中の高血圧症患者に対するα遮断薬ドキサゾシンの就寝前投与によって、尿中アルブミン/クレアチニン比(urinary albumin/creatinine ratio、以下UAR)の有意な減少が認められたことをJournal of Hypertension誌6月号に発表した1)。これは厳格な早朝高血圧管理が臓器障害の発症抑制に及ぼす影響を検討することを目的としたJapan Morning Surge-1(JMS-1)試験より得られた結果で、α遮断薬の投与によって微量アルブミン尿が減少することを無作為化比較試験において証明した。以下、本試験の概要とこれまで得られていた知見を踏まえてレビューする。600例を越える治療中の高血圧症例を対象とした無作為化比較試験JMS-1試験では治療中の高血圧症患者611例がドキサゾシン群と対照群とに無作為に割り付けられ、6ヵ月後の血圧値(外来血圧、早朝血圧、就寝前血圧)とUARが評価された。ドキサゾシンは1~4mg/日を就寝前に投与された。対象の3人に2人はCa拮抗薬(ドキサゾシン群:66.6%、対照群:65.6%)が、約6割にARB(ドキサゾシン群:60.3%、対照群:57.5%)、約2割に利尿薬が投与されていた。また、約15%が糖尿病を合併しており(ドキサゾシン群:15.3%、対照群:16.5%)、238例(対象の39.0%)に微量アルブミン尿(UAR:30-300 mg/gCr)が認められた。ドキサゾシンの追加投与によって治療中の高血圧症例の血圧が有意に低下ドキサゾシンの投与によって試験期間中を通じて血圧値は対照群より低値でコントロールされ、6ヵ月後におけるドキサゾシン群と対照群の血圧差は、外来血圧で8.7/7.5mmHg、早朝血圧で8.9/6.0mmHg、就寝前血圧で4.8/4.0mmHgであり、いずれも有意な差を認めた。ドキサゾシンの投与によって尿中アルブミン/クレアチニン値が有意に減少UARはドキサゾシンの投与によって3.4mg/gCr減少し、対照群に比べて有意な差が認められた(p

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マルファン症候群の大動脈起始部拡張にはARBが抑制効果

 先天性の遺伝子疾患マルファン症候群において、進行性の大動脈起始部拡張は大動脈解離につながり、患者の若年死の主因となっている。そのマルファン症候群のマウス研究で、大動脈起始部拡張がトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)の過剰な情報伝達に起因し、TGF-β拮抗剤であるアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)などによる治療で緩和可能なことが示されたことを受け、ジョンズ・ホプキンス医科大学のBenjamin S. Brooke氏らは、マルファン症候群の患児でARBの臨床効果を評価。結果、大動脈起始部拡張の進行を遅らせる効果があると報告した。NEJM誌2008年6月26日号より。他の薬物療法が奏功しなかった患児18例を追跡 重度の進行性大動脈起始部拡張を抑制するため、それまでに他の薬剤による治療が奏効しなかった14ヵ月~16歳の患児18例を同定し、2003年11月~2006年5月の間にARB治療を開始して、12~47ヵ月間の治療期間中、追跡調査を行った。 投与したARBは、17例がロサルタン、1例がイルベサルタンだった。ARBによる治療を開始する前後の大動脈起始部直径の変化率を比較することで、有効性を評価した。大動脈起始部拡張の症状進行を有意に抑制 大動脈起始部直径の変化率の平均値は、直前の薬物療法期間中は年率3.54±2.87mmだったが、ARB治療期間中は年率 0.46±0.62mmへ有意に減少した(P

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直接的レニン阻害剤アリスキレン、2型糖尿病で腎保護作用示す

ノバルティスファーマ株式会社は、直接的レニン阻害剤アリスキレンが高血圧と腎障害を合併した2型糖尿病患者で腎保護作用を示すことを証明したと発表した。AVOID試験の結果によると、ARBロサルタンにアリスキレンを追加併用することで、高血圧と腎障害を合併している2型糖尿病の患者の尿中アルブミンを20%減少させた、という。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2008/pr20080606_03.html

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BPLTTCから新たなメタ解析:65歳の上下で降圧薬の有用性を比較

降圧大規模試験に関する前向きメタ解析であるBlood Pressure Lowering Treatment Trialists’Collaboration(BPLTTC)から新たなデータが報告された。65歳未満の高血圧患者には「ACE阻害薬」、「より積極的な降圧」、「利尿薬またはβ遮断薬」がイベント抑制の観点からは好ましいようだ。BMJ誌2008年5月17日号(オンライン版2008年5月14日号)からの報告。31試験20満例弱を対象今回解析対象となったのは31試験に参加した190,606例。異なった薬剤あるいは降圧目標を比較した降圧無作為化試験のうち、1,000人年以上の規模を持ち2006年9月までにデータを入手でき、かつ本メタ解析が事前に定めている患者情報の得られた試験である。65歳「未満」群(平均年齢57歳)と「以上」群(平均年齢72歳)に分け、1次評価項目である心血管系イベント(脳血管障害、冠動脈イベント[突然死含む]、心不全)のリスクが比較された。65歳「以上」「未満」間で有意なバラツキみられず結果だが、まずプラセボ群と比較したACE阻害薬群、Ca拮抗薬群の心血管系イベント減少率は65歳「未満」「以上」で同等だった。すなわちプラセボ群と比較したACE阻害薬群の心血管系イベント相対リスクは、65歳未満で0.76(95%信頼区間:0.66~0.88)、65歳以上で0.83(95%信頼区間:0.74~0.94)[バラツキ:P=0.37]、Ca拮抗薬群では65歳未満0.84(95%信頼区間:0.54~1.31)、65歳以上0.74(95%信頼区間:0.59~0.92))[バラツキ:P=0.59]だった。「非積極的降圧」と「積極的降圧」を比較しても同様で、積極的降圧群の相対リスクは65歳未満で0.88(95%信頼区間:0.75~1.04)、65歳以上1.03(95%信頼区間:0.83~1.24 [バラツキ:P=0.24] となっていた。「ACE阻害薬 vs 利尿薬またはβ遮断薬」、「Ca拮抗薬 vs 利尿薬またはβ遮断薬」、「ACE阻害薬 vs Ca拮抗薬」、「ARB vs その他」で比較しても同様で、65歳「以上」と「未満」の間にイベント抑制作用の有意なバラツキはみられなかった。65歳「未満」・「以上」ではなく年齢を連続変数として解析しても、各種降圧薬による心血管系イベント抑制作用は有意な影響を受けていなかった。なお65歳「未満」と「以上」の間に「一定度の降圧により得られるイベント相対リスクの減少率」の差もなかった。降圧治療は少なくとも本解析で検討された範囲であれば年齢の高低を問わず有用であり、また年齢により降圧薬の有用性に差はない──と研究者らは結論している。(宇津貴史:医学レポーター)

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ARBは心筋梗塞の発症抑制についてACE阻害薬より劣るのか? -ARB史上最大規模の試験「ONTARGET試験」は何をもたらしたか(2)-

 “ARBは心筋梗塞の発症リスクを増加させるのか?”、“ARBの心筋梗塞発症抑制はACE阻害薬より劣るのか?”-これらの疑問に対する答えを一身に背負わされてきた試験が先ごろ発表された。冠動脈疾患ハイリスク例に対してACE阻害薬とARB テルミサルタン、そしてその2剤併用療法を比較したONTARGET試験1)だ。ARBは心筋梗塞の発症リスクを増加させる!? この疑問について注目を集めるきっかけを2004年に発表されたVALUE試験2)にまで遡ってみた。ハイリスク高血圧患者に対して、バルサルタンを投与した場合、アムロジピンより心筋梗塞の発症率が有意に高かったのである。VALUE試験において心筋梗塞の発症は二次評価項目ではあったが、このような結果が発表前に誰が予想しただろうか。 その年の11月、米国トロント総合病院心臓外科のVerma氏は、この結果を受け、「Angiotensin receptor blockers and myocardial infarction –These drugs may increase myocardial infarction and patients may need to be told」というタイトルの論文をBMJ誌に発表した3)。ここでは前述のVALUE試験以外にもCHARM-Alternative試験などの結果からARBは心筋梗塞の発症リスクを増加させる可能性があり、ONTARGET試験の結果が発表されるまで、「ARBが咳の出ないACE阻害薬」と考えることに慎重になる必要があると言及した。そしてこの論争を投げかけたVerma氏も結論をONTARGET試験に委ねたのであった。ARBは心筋梗塞の発症リスクを高めない! その半年後、2005年夏にはARBの有用性を検証した無作為化比較試験のメタアナリシスが2報発表された4,5)。いずれの論文においても「ARBは心筋梗塞の発症リスクを有意に高めない」という結論に達し、Verma氏の仮説を支持するものとはならなかった。そしてここでもONTARGET試験がこの問題を解決する結果を導いてくれるものだと、ONTARGET試験に期待が寄せられた。ACE阻害薬は降圧効果と独立した冠動脈疾患発症抑制作用が認められる 一方、降圧薬の違いによるのアウトカムの格差に関するいくつかのメタアナリシスを発表してきたBlood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration (BPLTTC)は、2007年にACE阻害薬とARBのメタアナリシスを発表した6)。これによると5mmHgの降圧に対して冠動脈疾患の発症リスクをACE阻害薬は16%、ARBは17%減少させると推算されている。一方、降圧効果と独立した冠動脈疾患発症抑制作用はACE阻害薬だけに認められることを示した。 しかし、BPLTTCのメタアナリシスにおいては解析対象となった26の比較試験のうち、ACE阻害薬とARBをhead-to-headで比較した試験はわずか3つしか含まれていなかった。ELITEII7)(慢性心不全3,152例、カプトプリル vsロサルタン)、OPTIMAAL8)(急性心筋梗塞5,477例、カプトプリル vsロサルタン)、VALIANT9)(急性心筋梗塞9,818例、カプトプリル vsバルサルタン)の3つだ。これら個々の比較試験における心筋梗塞発症率や、これら3試験のメタアナリシス6)における冠動脈疾患発症率においてはACE阻害薬カプトプリルとARBの間には有意な差を認めてない。この有名なメタアナリシスもまた「ACE阻害薬とARBを直接比較した非常に大規模な比較試験であるONTARGET試験がこの疑問に対して何らかの重要な情報を与えてくれる」だろうとONTARGET試験への期待を抱かせたのであった。 「ARBは心筋梗塞の発症リスクを増加させる」のではと懸念される中、慢性心不全例へのARBカンデサルタンの有用性を検証したCHARM試験のOverall解析においてカンデサルタンの投与によって慢性心不全例の心筋梗塞の発症率が有意に抑制されたとの報告10)もあったことは押さえておきたい。 ARBと心筋梗塞発症の議論を一身に背負わされたONTARGET試験 このようにONTARGET試験は「脳心血管イベントの高リスク患者におけるARBテルミサルタンのACE阻害薬に対する非劣性を検証する」といった主要目的とは別のところで、「心筋梗塞の発症抑制に関してARBがACE阻害薬より劣るか否か(もしかすると優るのか)」も明らかしてくれるのではないかと期待された試験でもあった。 そして2008年春、ONTARGET試験は発表された1)。この試験では〈1〉冠動脈疾患、〈2〉末梢動脈疾患、〈3〉脳血管疾患、〈4〉臓器障害を伴う糖尿病の4つのうちいずれかを有する55歳以上の者を対象として、〈1〉ARBテルミサルタン、〈2〉ACE阻害薬ラミプリル、〈3〉その併用の3群のうちいずれかの治療が施され、〈1〉心血管死、〈2〉非致死的心筋梗塞、〈3〉非致死的脳卒中、〈4〉うっ血性心不全による入院のいずれかが発症率が主要評価項目として検証された。中央値56ヵ月、すなわち4年と8ヵ月において主要評価項目はテルミサルタン群とラミプリル群でそれぞれ16.7%、16.5%発症し、テルミサルタンのラミプリルに対する非劣性が証明された。 一方、主要評価項目の構成要素の1つとされた「非致死的心筋梗塞」は25,620例中1,291例(5.0%)に発症した。治療群別に見ると、ラミプリル群で4.8%、テルミサルタン群で5.2%であり、テルミサルタンによる治療を受けた場合、5年弱の間に心筋梗塞を発症する危険性はラミプリルと差がないという結果となった(相対リスク1.07、95%信頼区間:0.94-1.22)。すなわち、心筋梗塞発症抑制効果はテルミサルタンとラミプリルで同程度であり、Verma氏の論説から始まった「ARB投与、少なくともテルミサルタン投与の懸念」を払拭するものとなったとみている。1) ONTARGET Investigators:N Engl J Med. 2008;358:1547-15592) Julius S et al.: Lancet. 2004;363:2022-20313) Verma S et al:BMJ. 2004 ;329:1248-12494) McDonald MA et al.: BMJ. 2005;331:873.5) Verdecchia P et al:Eur Heart J. 2005;26:2381-2386.6) Blood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration:J Hypertens. 2007;25:951-9587) Pitt B et al:Lancet. 2000;355:1582-1587.8) Dickstein K et al:Lancet. 2002;360:752-760.9) Pitt B et al:N Engl J Med. 2003;348:1309-1321.10) Demers C et al:JAMA. 2005;294:1794-1798.

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インドの急性冠症候群はSTEMIが多く、貧困層の30日死亡率が高い

インドの急性冠症候群(ACS)患者は先進国に比べST上昇心筋梗塞(STEMI)の割合が高く、貧困層はエビデンスに基づく治療を受けにくいために30日死亡率が高いことが、インドSt John's医科大学のDenis Xavier氏が実施したCREATE registryにより明らかとなった。2001年には世界で710万人が虚血性心疾患で死亡したが、そのうち570万人(80%)が低所得国の症例であった。インドは世界でACSによる負担がもっとも大きい国であるが、その治療およびアウトカムの実態はほとんど知られていない。Lancet誌2008年4月26日号掲載の報告。心筋梗塞疑い例を対象としたレジストリー研究CREATE registryは、インドの50都市89施設で実施されたプロスペクティブなレジストリー研究である。対象は、明確な心電図上の変化(STEMI、非STEMI、不安定狭心症)が見られ急性心筋梗塞(MI)が疑われる症例、あるいは心電図上の変化は見られないが虚血性心疾患の既往を有しMIが疑われる症例とした。臨床的アウトカムおよび30日全原因死亡率の評価を行った。70%以上が貧困層~中間所得下位層2002~2005年の間に2万937例が登録され、明確な心電図上の変化により診断がなされた2万468例のうち1万2,405例(60.6%)がSTEMIであった。全体の平均年齢は57.5歳であり、非STEMI例/不安定狭心症(59.3歳)よりもSTEMI例(56.3歳)のほうが若年であった。1万737例(52.5%)が中間所得層の下位層であり、3,999例(19.6%)が貧困層であった。症状発現から来院までの所要時間中央値は360分、来院から血栓溶解療法開始までの時間は50分。糖尿病が6,226例(30.4%)、高血圧が7,720例(37.7%)、喫煙者は8,242例(40.2%)であった。30日死亡率はSTEMI例および貧困層で有意に高いSTEMI例は非STEMI例よりも血栓溶解薬(96.3%がストレプトキナーゼ)(58.5% vs 3.4%)、抗血小板薬(98.2% vs 97.4%)、ACE阻害薬/アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)(60.5% vs 51.2%)、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)(8.0% vs 6.7%)の施行率が有意に高かった(いずれもp<0.0001)。逆に、STEMI例は非STEMI例/不安定狭心症に比べβ遮断薬(57.5% vs 61.9%)、脂質低下薬(50.8% vs 53.9%)、冠動脈バイパス移植術(CABG)(1.9% vs 4.4%)の施行率が有意に低かった(いずれもp<0.0001)。STEMI例の30日アウトカムが死亡8.6%、再梗塞2.3%、心停止3.4%、脳卒中0.7%であったのに対し、非STEMI例/不安定狭心症ではそれぞれ3.7%、1.2%、1.2%、0.3%と有意に良好であった(いずれもp<0.0001)。富裕層は貧困層に比べ血栓溶解療法(60.6% vs 52.3%)、β遮断薬(58.8% vs 49.6%)、脂質低下薬(61.2% vs 36.0%)、ACE阻害薬/ARB(63.2% vs 54.1%)、PCI(15.3% vs 2.0%)、CABG(7.5% vs 0.7%)の施行率が有意に高かった(いずれもp<0.0001)。貧困層の30日死亡率は富裕層よりも有意に高かった(8.2% vs 5.5%、p<0.0001)。治療法で補正するとこの差は消失したが、リスク因子およびベースライン時の患者背景で補正した場合は維持された。Xavier氏は、「インドのACSは先進国に比べSTEMI例が多かった。これらの患者の多くは貧困層であり、それゆえにエビデンスに基づく治療を受けにくく、30日死亡率が高かった」と結論し、「貧困層における病院へのアクセスの遅れを解消し、高額すぎない治療法を提供できれば、罹患率および死亡率が低減する可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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ARBとACE阻害薬の有効性は同等:ONTARGET試験結果

 本論は、心血管イベントハイリスク患者に対するアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)テルミサルタン(国内商品名:ミカルディス)の生命予後改善効果を検討する大規模臨床試験「ONTARGET」の結果。第57回米国心臓病学会(ACC)にて発表された同日(2008年3月31日)、NEJMオンライン版にて公表され、本誌では2008年4月10日号で掲載された。25,620例対象に単独、併用を比較 ONTARGET試験は、血管疾患患者およびハイリスクの糖尿病患者(ともに心不全なし)を対象に、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬ramipril単独投与、ARBテルミサルタン単独投与、および両剤併用療法を二重盲検無作為化にて比較。 世界40ヵ国730施設から登録された25,620例の対象は、3週間の試験導入期間後(単純盲検法にて)、ACE阻害薬単独投与群(ramipril 10mg/日、8,576例)、ARB単独投与群(テルミサルタン 80mg/日、8,542例)、両剤併用群(8,502例)に割り付けられた。主要評価項目は、心血管系に起因する死亡、心筋梗塞、脳卒中、心不全による入院。両剤併用は有害事象増加 結果、平均血圧はACE阻害薬群に比べて、ARB群は0.9/0.6mmHg、併用群は2.4/1.4mmHg上回って低下していた。 追跡間中央値56ヵ月時点で主要評価項目が観察されたのは、ACE阻害薬群は1,412例(16.5%)、ARB群は1,423例(16.7%)(相対リスク:1.01、95%信頼区間:0.94~1.09)。 ACE阻害薬群に比べてARB群は、咳嗽(1.1% 対 4.2%、P<0.001)、血管性浮腫(0.1% 対 0.3%、P=0.01)の発生率が低かったが、低血圧(2.7% 対 1.7%、P<0.001)の発生率が高かった。失神は同等(0.2%)。 また併用療法群で主要評価項目が観察されたのは 1,386 例(16.3%、相対リスク:0.99、95%信頼区間:0.92~1.07)。ACE阻害薬群に比べてリスクが高かったのは、低血圧(4.8% 対 1.7%、P<0.001)、失神(0.3% 対 0.2%、P=0.03)、腎機能障害(13.5% 対 10.2%,P<0.001)だった。 「血管疾患患者またはハイリスク糖尿病患者において、ARBはACE阻害薬と同等の有効性を有し、血管性浮腫がより少ないことと関連していた。両剤併用は有害事象の増加と関連し、さらなるベネフィットは得られなかった」と結論づけた。

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