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コロナワクチンの副反応疑い、長期観察での発生率は?ファイザーvs.モデルナ

 RCTではBNT162b2(ファイザー製)ワクチンおよびmRNA-1273(モデルナ製)ワクチンを接種した人の副反応疑い(有害事象)の発生率が低いことはわかっている。しかし、より長期フォローアップかつ大規模で多様な集団での、より広範囲の潜在的な有害事象に対する安全性は明らかになっていない。そこで、米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のBarbra A Dickerman氏らは、上記2剤のワクチン接種による有害事象リスクに関して直接の安全性を比較するための調査を実施。その結果、ファイザー製またはモデルナ製ワクチン1回目接種から14日以内では有害事象リスクにほとんど差がなかったものの、42日以内でわずかな差が生じることが示唆された。JAMA Internal Medicine誌オンライン版6月13日号掲載の報告。ファイザー製もモデルナ製も有害事象の38週間リスクは概して低かった 本研究は米国最大の統合医療システムであるアメリカ合衆国退役軍人省のデータベースを用い、2021年1月4日~9月20日の期間にファイザー製またはモデルナ製ワクチンの1回目接種を受けた退役軍人の潜在的な有害事象を評価した。その後に各ワクチン接種者を危険因子に応じて1:1でマッチングさせた。 評価に用いた大規模パネルには、神経学的イベント、血液学的イベント、出血性脳卒中、虚血性脳卒中、心筋梗塞、そのほかの血栓塞栓性イベント、心筋炎または心膜炎、不整脈、腎機能障害、虫垂炎、自己免疫疾患、帯状疱疹/単純ヘルペス、関節炎/関節症、および肺炎が含まれた。1次分析では38週間リスクを、2次分析では14日間または42日間の有害事象リスクを分析した。なお、38週間リスクはカプランマイヤー推定量で推定した。 ファイザー製またはモデルナ製ワクチン接種による有害事象リスクを比較した主な結果は以下のとおり。・43万3,672例が評価の対象となり、うち男性が93%(20万908例)、黒人が20%(4万3,452例)だった。年齢中央値は69歳(四分位範囲[IQR]:60〜74歳)だった。・対象者の併存疾患で最も多かったのは高血圧症(ファイザー製群:63%[13万7,265例]、モデルナ製群:65%[14万774例])で、肥満(同:47%[10万885例]、同:47%[10万1,207例])、糖尿病(同:34%[7万2,895例]、同:37%[7万9,338例])と続いた。・過去5年間のインフルエンザワクチン接種回数は5回以上が最も多かった(ファイザー製群:37%[7万9,717例]、モデルナ製群:37%[8万792例])。・有害事象の38週間リスクは、ファイザー製またはモデルナ製のどちらを接種しても概して低かった。・1万人当たりのイベント発生のリスク差を見ると、ファイザー製群はモデルナ製群と比較し、虚血性脳卒中は10.9件(95%信頼区間[CI]:1.9~17.4件)、心筋梗塞は14.8件(同:7.9~21.8件)、そのほかの血栓塞栓イベントは11.3件(同:3.4~17.7件)、腎機能障害は17.1件(同:8.8~30.2件)と多かった。・上記に対応するリスク比(ファイザー製vs.モデルナ製)は虚血性脳卒中で1.17(同:1.03~1.28)、心筋梗塞で1.32(同:1.16~1.49)、そのほかの血栓塞栓イベントで1.20(同:1.05~1.32)、腎機能障害で1.16(同:1.08~1.29)だった。・上記の推定値は、年齢(40歳未満、40~69歳、70歳以上)と人種(黒人/白人)によるサブグループ間でもほぼ同様の値を示した。しかし、高齢者と白人では、虚血性脳卒中のリスク差は非常に大きく、高齢者間では腎機能障害が、黒人間ではほかの血栓塞栓性イベントのリスク差がより大きかった。・2つのワクチンのなかで有害事象の発生リスクにわずかな差が見られたのは1回目接種から42日間で、14日間ではほとんど違いが見られなかった。

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高リスクIgA腎症に対する経口ステロイドの効果と有害事象を勘案した治療法(解説:浦信行氏)

 IgA腎症の治療法として、ステロイド剤はRA系阻害薬と並んで基本的治療法の一つである。一部の例外的報告を除いて腎障害進行抑制効果や尿蛋白低減効果は有意であるが、その治療法にはかなりのバリエーションがあり、0.8~1.0 mg/kg/日程度の高用量、その半量程度の低用量、さらにステロイドパルス療法や隔日投与法などがあるが、高用量以外はいずれも有害事象の発症抑制を意図したものである。 本研究は多施設二重盲検RCTであり、当初高用量群とプラセボ群との比較であったが、実薬群で有害事象が多かったため観察期間の中央値が2.1年で中止となった。この時点で二重盲検が外れたことでデータの解析に多少のバイアスが掛かる結果となった。ただし、低用量による試験再開の結果でも、同様の臨床効果が得られたことから、その臨床的意義は低くはない。加えて有害事象は実薬群でプラセボ群より多かったとはいえ、高用量群の3分の1以下に留まっていることを考慮すれば、結果的に低用量群の優位性も示した結果となった。この結果は今後のステロイドによる治療に大きな示唆を与えるもので、低用量、隔日投与、パルス療法の意義も同方向にある。 この試験には中国人の参加が多いが、サブ解析では治療効果は中国人に比べ、非中国人のほうの効果が有意に大であった。過去にもカナダ在住のアジア人とそれ以外の人種の比較が報告されているが、その効果もアジア人で有意に低値であった(Barbour J, et al. Kidney Int. 2013;84:1017-1024.)とのことで軌を一にする成績であり、その遺伝子レベルでの解析など原因の解明が必要である。 ところで、本研究ではステロイドの効果は治療終了後の追跡期間で減弱していくことも指摘され、病因・病態に直結した免疫抑制療法など、より一層病態に根差した治療法の開発が必要である。

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「がんゲノム医療の現状と未来」国際WEBカンファレンス開催/日本乳がん情報ネットワーク

 日本乳がん情報ネットワーク(JCCNB)では2022年6月25日、「Cancer genome medicineの現状と将来展望」と題した国際WEBカンファレンスを開催する。米国臨床腫瘍学会(ASCO)CEOのClifford A. Hudis氏による基調講演のほか、NCCN(National Comprehensive Cancer Network)のWilliam Gradisher氏による「NCCN ガイドラインの最新情報」などのミニレクチャー、米国・欧州・アジア・オセアニアを繋いだライブでのパネルディスカッションが予定されている。<JCCNB Conference 2022 開催概要>主催:日本乳がん情報ネットワーク(JCCNB)テーマ:Cancer genome medicineの現状と将来展望開催日:2022年6月25日(土)17:00~21:30会議形式:WEB配信(録画・ライブ)参加費:10,000円プログラム:17:00~17:05 「開会」 Dr.中村 清吾(昭和大学臨床ゲノム研究所)17:05~18:00 「基調講演」 Dr. Clifford Hudis(ASCO)18:00~18:05 「Introduction」Dr. Robert Carlson(NCCN)18:05~18:20 「NCCN ガイドラインの最新情報」Dr. William Gradisher(Northwestern University)18:20~18:35 「トリプルネガティブ乳がんにおける最近の話題」Dr. Mellinda Telli(Stanford University School of Medicine)18:35~18:50 「外科医の視点」Dr. Emiel Rutgers(EBC council)18:50~19:05 「腫瘍内科医の視点」Dr. Barbara Pistilli(Gustave Roussy Cancer Center)19:05~19:20 「がん治療における免疫療法の新パラダイム」Dr. Gianpaolo Biancini(Ospedale San Raffaele)19:20~20:00 休憩20:00~21:30 パネルディスカッション(座長:Dr. Clifford Hudis・Dr. 中村清吾)パネルディスカッション参加予定者:Dr. Robert Carlson、Dr. William Gradisher、Dr. Mellinda Telli、Dr. Emiel Rutgers、Dr. Barbara Pistilli、Dr. Gianpaolo Biancini、Dr. Wonshik Han(Seoul National University Hospital)、Dr. Tan Puay Hoon(Singapore General Hospital)、Dr. Bruce Mann(Victorian Comprehensive Cancer Centre) 詳細、ならびに事前参加登録はこちら。

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血圧コントロールのため慢性心不全治療の見直しを提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第47回

 今回は、心不全患者の降圧薬の処方提案について紹介します。高血圧が理由でデイサービスの利用に影響が生じた場合は降圧だけに着目しがちですが、慢性心不全の標準治療薬を見直して心不全そのものをコントロールすることで、血圧やうっ血などの改善も兼ねられます。患者情報70歳、女性(グループホーム入居)基礎疾患慢性心不全(HFrEF)、心房細動、狭心症、高血圧服薬管理施設管理処方内容1.クロピドグレル錠75mg 1錠 朝食後2.ジゴキシン錠0.125mg 1錠 朝食後3.ランソプラゾール口腔内崩壊錠15mg 1錠 朝食後4.カンデサルタン錠4mg 1錠 朝食後5.フロセミド錠20mg 1錠 朝食後6.アトルバスタチン錠5mg 1錠 朝食後7.カルベジロール錠2.5mg 1錠 朝食後8.スピロノラクトン錠25mg 1錠 朝食後本症例のポイントこの患者さんは、最近は収縮期血圧が170~180台と高値が持続するようになり、下腿浮腫も増強したことからフロセミド錠20mgが開始となりました。下腿浮腫は軽減しましたが、血圧は高値で横ばいの状態が続き、デイサービスの利用や入浴の制限などがかかったことから、施設スタッフより医師に降圧薬追加の依頼がありました。そこで、医師よりCa拮抗薬を追加しようと思っているがどの薬がいいか、と相談がありました。確かに血圧だけを下げるのであればCa拮抗薬が妥当ですが、現在の患者さんの状態や治療薬などから、ほかの薬剤でうまくコントロールできないか検討することにしました。まず、基礎疾患とその治療をみると、HFrEFの治療として標準治療薬であるARBのカンデサルタン、β遮断薬のカルベジロール、MR拮抗薬のスピロノラクトンを服用しています。また、下腿のうっ血治療として直近でフロセミド錠が追加されています。現行の薬剤の増量やCa拮抗薬の追加によって降圧を図るという方法もありますが、うっ血症状が最近現れるようになったことから心不全治療薬の再考も選択肢となります。「2021年 JCS/JHFS ガイドライン フォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療」の治療アルゴリズムのとおり、ARBからARNIへ基本薬の変更を行うことは、血圧のコントロールに加え、心不全の管理としても有効ではないかと考えました。処方提案と経過医師に、「Ca拮抗薬の追加も選択肢の1つですが、降圧とともにうっ血症状の管理が必要なため、心不全管理の観点からカンデサルタンをARNIのサクビトリルバルサルタンに変更してみるのはどうですか」と提案しました。心不全診療ガイドラインの改訂についてはPDFファイルでその場で医師と共有してARNIの位置づけを再確認し、提案内容で2週間様子をみようと承諾を得ることができました。翌日の朝よりカンデサルタンからサクビトリルバルサルタン100mg 朝食後に切り替えとなり、開始4日目から血圧は130/80台で安定するようになりました。その後も過度に血圧が下がることはなく、下腿浮腫の増悪や体重増加もなく経過は安定しています。日本循環器学会 / 日本心不全学会.2021年 JCS/JHFS ガイドライン フォーカスアップデート版

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アルツハイマー病およびMCI患者におけるCOVID-19の臨床アウトカム

 アルツハイマー病や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、高血圧などの共通のリスク因子を有しているといわれる。高血圧の治療においては、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)が頻繁に使用される。米国・ベントリー大学のYing Wang氏らは、アルツハイマー病または軽度認知障害(MCI)の患者おけるCOVID-19に対する、ACEI/ARB使用の影響について調査した。その結果、ARB使用はアルツハイマー病およびMCIの患者におけるCOVID-19発症リスクの低下に有意な影響を及ぼしていることが報告された。Alzheimer's & Dementia誌オンライン版2022年4月4日号の報告。 対象は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の検査を行った退役軍人。アルツハイマー病またはMCIを有する場合と認知障害を有さない場合におけるCOVID-19アウトカムを比較するため、古典的スコアと傾向スコアの加重ロジスティック回帰分析を実施し、ACEI/ARB使用の影響を評価した。 主な結果は以下のとおり。・アルツハイマー病と感染率および死亡率の増加との間に、統計学的に有意な関連が認められた。・MCIは、感染のリスク因子であるとは認められなかった。・MCIを有する患者は、臨床アウトカムが不良であった。・ARBの使用により、アルツハイマー病およびMCIの患者におけるCOVID-19発症リスクの有意な低下が認められたが、ACEIでは認められなかった。 著者らは「アルツハイマー病またはMCIの患者においてCOVID-19の影響を減少させるためには、既存薬による効果を調査することが非常に重要である」としている。

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世界人口の40%超がコロナ感染、感染率の高い地域は?/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、オミクロン変異株(B.1.1.529)の急増が始まるまでに世界に衝撃的な影響を及ぼし、2021年11月14日の時点ですでに38億人の感染または再感染を引き起こし、世界人口の43.9%が少なくとも1回の感染を経験しており、累積感染割合は地域によって大きな差が認められることが、米国・ワシントン大学のRyan M. Barber氏らCOVID-19 Cumulative Infection Collaboratorsの調査で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2022年4月8日号に掲載された。バイアスの影響を受けにくい新たな推定法 研究グループは、COVID-19の世界的流行の開始から2021年11月14日までの期間における、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の1日の感染者数や累積感染者数、1回以上感染した集団の人口比率に関して、バイアスを最小限に抑えた頑健な推定値をもたらす新たな方法を提示する目的で、190の国と地域のデータを用いて統計解析を行った(ビル&メリンダ・ゲイツ財団などの助成を受けた)。 解析には、ジョンズ・ホプキンズ大学(米国、メリーランド州、ボルチモア市)と、各国の報告のあった症例、入院、死亡のデータベース、ならびに既報のレビューやSeroTracker、政府機関を介して特定された血清有病割合調査のデータが、主に使用された。 これらのデータについて、報告の遅れなどの既知のバイアスが修正され、SARS-CoV-2に起因する超過死亡率の統計モデルを用いて死亡の過少報告の原因が明らかにされ、血清有病割合調査のデータについて抗体感受性の低下やワクチン接種、SARS-CoV-2エスケープ変異株による再感染の補正が行われた。 次いで、感染-検出比(IDR)、感染-入院比(IHR)、感染-死亡比(IFR)の実証的データベースが構築され、各地域の完全な時系列の値を推定するために地域別および1日ごとのIDR、IHR、IFRを予測する統計モデルが開発され、既報の系統的レビューで正当化されている予測因子の検証が行われた。 次に、1日の感染者数の3つの推定値(症例数÷IDR、入院数÷IHR、死亡数÷IFR)を組み合わせることで、バイアスの影響を受けにくい、より確実な毎日の感染者数の推定値が算出された。さらに、この毎日の感染者数を用いて、累積感染者数と1回以上感染した患者の累積人口比率が推定され、累積感染者数と症例、入院、死亡の修正データを用いて、累積IDR、IHR、IFRの事後推定値が算出された。 最終的に、感染から他者への感染性獲得までの期間と、感染している期間を仮定して、1日の感染者数が、地域別および1日ごとのReffective(実効再生産数:新たな1人の感染者が、その後他者に感染させた感染者数)の当該期間の時系列に変換された。感染者数は南アジアで多く、高所得地域で少ない 2020年4月~2021年10月までに、世界の1日のSARS-CoV-2新規感染者数は300万~1,700万人の間で不規則に変動し、2021年4月中旬に最大となり、とくにインドで急増していた。また、COVID-19の世界的流行の開始から2021年11月14日の期間に、SARS-CoV-2感染と再感染を合わせた総感染者数は推定で38億人(95%不確定区間[UI]:34億4,000万~40億8,000万)に達し、世界人口のうち33億9,000万人(43.9%[95%UI:39.9~46.9])がSARS-CoV-2に1回以上感染していた。 累積感染者数は、7つの広域圏のうち南アジアが13億4,000万人(95%UI:12億~14億9,000万)と最も多かったが、累積感染率はサハラ以南のアフリカが100人当たり79.3人で最も高かった。また、高所得地域(日本を含む世界の高所得国を合わせた地域)は感染者数(2億3,900万人、95%UI:2億2,600万~2億5,200万)が最も少なく、東南アジア/東アジア(日本は高所得国に分類され、ここには含まれない)/オセアニアを合わせた地域は感染率(100人当たり13.0人[95%UI:8.4~17.7])が最も低かった。 累積感染割合は国や地域によって大きなばらつきがみられ、70%を超えた国が40ヵ国、20%未満が39ヵ国であった。 日本は、感染者数が645万人(不確定区間:508万~802万)、感染率は100人当たり5.0人(不確定区間:4.0~6.3)、感染割合は5.0%(不確定区間:4.0~6.2)だった。 Reffectiveとtotal immunity(特定地域の特定期間の人口における推定値[週平均])には明確な関連はなく、total immunityが80%の場合でもReffectiveの急速な低下の徴候は観察されず、データ上では明らかな集団免疫の閾値は認められなかった。 著者は、「これらの情報は、ワクチン接種の優先順位の決定など目標を絞った感染予防介入を行う際に有用となる可能性がある。また、今回の統計解析法は、新たに得られたデータに基づいて推定値を迅速に更新し、広く伝達することができるため、時宜にかなったCOVID-19の調査や科学研究、施策への対応においてきわめて重要な役割を担いうるだろう」としている。

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添付文書改訂:アクテムラが新型コロナ中等症II以上に適応追加/ジャディアンスに慢性心不全追加/エフィエントに脳血管障害の再発抑制追加/アジルバに小児適応追加/レルミナに子宮内膜症の疼痛改善追加【下平博士のDIノート】第92回

アクテムラ点滴静注用:新型コロナ中等症II以上に適応追加<対象薬剤>トシリズマブ(遺伝子組換え)(商品名:アクテムラ点滴静注用80mg/200mg/400mg、製造販売元:中外製薬)<承認年月>2022年1月<改訂項目>[追加]効能・効果SARS-CoV-2による肺炎酸素投与、人工呼吸器管理または体外式膜型人工肺(ECMO)導入を要する患者を対象に入院下で投与を行うこと。[追加]用法・用量通常、成人には、副腎皮質ステロイド薬との併用において、トシリズマブ(遺伝子組換え)として1回8mg/kgを点滴静注します。症状が改善しない場合には、初回投与終了から8時間以上の間隔をあけて、同量を1回追加投与できます。<Shimo's eyes>本剤は、国産初の抗体医薬品として、2005年にキャッスルマン病、2008年に関節リウマチの適応を取得して、現在は世界110ヵ国以上で承認されているヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体です。今回、新型コロナによる肺炎の効能が追加されました。これまで中等症II以上の患者に適応を持つ、レムデシビル(商品名:ベクルリー点滴静注用)、バリシチニブ(同:オルミエント錠)、デキサメタゾン(同:デカドロン)の3製剤に本剤が加わり、新たな治療選択肢となります。新型コロナ患者の一部では、IL-6を含む複数のサイトカインの発現亢進を特徴とする炎症状態により呼吸不全を起こすことが知られており、同剤投与による炎症抑制が期待されています。参考中外製薬 薬剤師向けサイト アクテムラ点滴静注用80mg・200mg・400mgジャディアンス:慢性心不全(HFrEF)の適応追加<対象薬剤>エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス錠10mg、製造販売元:日本ベーリンガーインゲルハイム)<承認年月>2021年11月<改訂項目>[追加]効能・効果慢性心不全ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。[追加]用法・用量通常、成人にはエンパグリフロジンとして10mgを1日1回朝食前または朝食後に経口投与します。<Shimo's eyes>SGLT2阻害薬としては、すでにダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)が慢性心不全の適応を2020年11月に追加しており、本剤は2剤目の薬剤となります。2022年1月現在、添付文書には「左室駆出率の保たれた慢性心不全(HFpEF)における本剤の有効性および安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者(HFrEF)に投与すること」と記載されていますが、HFpEF患者を対象とした第III相試験においても、2021年8月に良好な結果1)が報告されています。なお、本剤25mg錠には慢性心不全の適応はありません。参考エンパグリフロジンの慢性心不全への承認取得/日本ベーリンガーインゲルハイム・日本イーライリリー1)エンパグリフロジン、糖尿病の有無を問わずHFpEFに有効/NEJMエフィエント:脳血管障害後の再発抑制が追加<対象薬剤>プラスグレル塩酸塩(商品名:エフィエント錠2.5mg/3.75mg、製造販売元:アストラゼネカ)<承認年月>2021年12月<改訂項目>[追加]効能・効果虚血性脳血管障害(大血管アテローム硬化または小血管の閉塞に伴う)後の再発抑制(脳梗塞発症リスクが高い場合に限る)[追加]用法・用量通常、成人には、プラスグレルとして3.75mgを1日1回経口投与する。<Shimo's eyes>『脳卒中治療ガイドライン2021』では、非心原性脳梗塞の再発抑制に対しては抗血小板薬(クロピドグレル、アスピリンまたはシロスタゾール)の投与が勧められていますが、本剤の適応は、「大血管アテローム硬化または小血管の閉塞を伴う虚血性脳血管障害後の再発抑制」に限定されました。なお、適応追加の対象は2.5mg錠および3.75mg錠のみです。今回の改訂で、空腹時は食後投与と比較してCmaxが増加するため、空腹時の投与は避けることが望ましい旨の記載が追記されました。用法に「食後投与」は明記されていないので注意しましょう。既存薬のクロピドグレルは、主にCYP2C19によって代謝されるため、遺伝子多型による影響を受けやすいことが懸念されていますが、本剤は、ヒトカルボキシルエステラーゼ、CYP3AおよびCYP2B6などで代謝されて活性体となるプロドラッグであり、遺伝子多型の影響を受けにくいとされています。参考第一三共 医療関係者向けサイト エフィエント錠アジルバ:小児適応追加、新剤型として顆粒剤が登場<対象薬剤>アジルサルタン(商品名:アジルバ顆粒1%、同錠10mg/20mg/40mg、製造販売元:武田薬品工業)<承認年月>2021年9月<改訂項目>[追加]用法・用量<小児>通常、6歳以上の小児には、アジルサルタンとして体重50kg未満の場合は2.5mg、体重50kg以上の場合は5mgを1日1回経口投与から開始します。なお、年齢、体重、症状により適宜増減が可能ですが、1日最大投与量は体重50kg未満の場合は20mg、体重50kg以上の場合は40mgです。<Shimo's eyes>アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)であるアジルサルタンに、小児に対する用法および用量が追加されました。また、新剤型として顆粒剤も発売されました。顆粒剤は、成人にも小児にも適応がありますが、小児の開始用量である2.5~5mgを投与する際に便利です。参考武田薬品工業 医療関係者向けサイト アジルバレルミナ:子宮内膜症に基づく疼痛改善の適応が追加<対象薬剤>レルゴリクス(商品名:レルミナ錠40mg、製造販売元:あすか製薬)<承認年月>2021年12月<改訂項目>[追加]効能・効果子宮内膜症に基づく疼痛の改善<Shimo's eyes>本剤は、経口GnRHアンタゴニストであり、2019年1月に子宮筋腫に基づく諸症状(過多月経、下腹痛、腰痛、貧血)の改善で承認を取得しています。子宮筋腫に続き、子宮内膜症患者を対象とした第III相試験の結果が報告されたことから、今回新たな適応が承認されました。本剤は下垂体のGnRH受容体を阻害することにより、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を阻害します。その結果、エストロゲンおよびプロゲステロンが抑制され、子宮内膜症の主な症状である骨盤痛を改善します。参考あすか製薬 医療関係者向け情報サイト レルミナ錠40mg

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降圧薬服用中の患者の食欲低下…低Na血症?【ママに聞いてみよう(2)】

ママに聞いてみよう(2)降圧薬服用中の患者の食欲低下…低Na血症?講師:堀 美智子氏 / 医薬情報研究所 (株)エス・アイ・シー取締役、日本女性薬局経営者の会 会長動画解説高齢患者さんの食欲低下について相談を受けた正隆さん。内服中のサイアザイドとARBが関係している可能性を考えます。美智子先生がサイアザイドとARBの副作用の1つである低ナトリウム血症の病態と食欲低下との関係について教えます。

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第97回 COVID-19後遺症様の症状が稀にワクチン接種後にも生じうる

イスラエルでもワクチンのCOVID-19後遺症予防効果あり去年9月に発表された英国での試験1)と同様に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン接種済みの人のSARS-CoV-2感染後の長引く症状(COVID-19後遺症)の主なものはどれも非接種の人に比べて少ないことがイスラエルでの試験でも示されました2,3)。もっと言うと、ワクチン接種済みの人のそれらの症状はSARS-CoV-2に感染したことのない人より多くもありませんでした。COVID-19後遺症全般についてはワクチンによる予防効果が認められなかった試験報告4)もありますが、エール大学の岩崎明子(Akiko Iwasaki)氏によれば今回のイスラエルでの試験や英国での試験結果はともあれ吉報です。「COVID-19後遺症は悲惨で、消耗を強いる。そうならないようにする手立ては何であれCOVID-19後遺症がこれ以上増えるのを防ぐのに必要であり、(その手立てを担いうるという)ワクチン接種理由がまた1つ増えた」と同氏は言っています2)。ワクチン接種後にも稀ながら生じうる後遺症ワクチンがCOVID-19後遺症を予防しうるとの期待がある一方で、その後遺症に似た症状がワクチン接種後に生じることが稀ながらあるようです5)。かつて幼稚園の先生をしていたBrianne Dressen氏は2020年11月にSARS-CoV-2ワクチンを接種し、その日の晩までに目がぼやけはじめました。また、貝殻を耳に当てているように音が変になりました。症状は急激に悪化し、やがては心拍異常や筋肉の脱力に見舞われ、電気ショックのような感覚を被るようになりました。Dressen氏はいまやそのほとんどの時間を暗い部屋で過ごし、歯を磨くことや幼い我が子に触れられるのさえ耐えることができません。医師がDressen氏を不安症と診断してからときが過ぎ、今から1年前の2021年1月になると米国国立衛生研究所(NIH)の研究者はDressen氏に降り掛かったような事態を把握し始め、Dressen氏や他の患者をNIH施設に招いて検査し、時には治療も施しました。しかし手がかりは少なく、Dressen氏が被ったような長く続く体調不良をワクチンが引き起こしたのかどうかは分からずじまいでした。NIHと患者のやり取りは昨年2021年の遅くまでに途絶えてしまいました。内々で研究は続いているとDressen氏等の調査を率いたNIHの研究者Avindra Nath氏は言うものの、唯一の頼みの綱であったNIHが手を引いたことに患者は困惑し、がっかりしています。NIHの研究は尻すぼみとなりましたが、ワクチン接種後の後遺症を理解することはそれらで悩む人の助けになるでしょうし、もしワクチンとの関連の仕組みが明らかになれば次世代のワクチン開発の参考になるに違いありません。また、そういう後遺症の恐れがある人を事前に同定可能になるかもしれません。カリフォルニア大学の免疫学者William Murphy氏はSARS-CoV-2スパイクタンパク質が誘発する自己免疫で感染後とワクチン接種後のどちらの長患いも説明できるかもしれないとの論説をNEJM誌に去年11月に発表しました6)。感染後やワクチン接種後の好ましい抗ウイルス効果と生じて欲しくない副作用の両方に免疫反応がどう寄与しているかをもっと基礎から調べる必要があります。Murphy氏はワクチン接種の支持者ですが、ワクチンを皆に安心して接種してもらうにはワクチン接種に安全性の心配はないと言って済ますのではなくワクチンについて隈なく調べ尽くすことが必要だと述べています5)。しかしMurphy氏の期待とは裏腹にNIHのNath氏が率いた患者研究は長続きしませんでした。NIHの研究には患者34人が参加し、そのうち14人がNIHで診られ、残り20人は血液検体、それに何人かは脳脊髄液(CSF)検体を提供しました。しばし治療も受けた患者もおり、たとえばステロイド高用量投与や免疫グロブリン静注(IVIG)が施されました。そのようにNIHは初めこそ患者を助けようとしていたにもかかわらずやがて患者との接触を断つようになりました。去年の9月のDressen氏の神経検査の予定は遠隔面談となり、12月になるとNath氏は患者を来させないようにしました。多くの患者を長期間治療するようにNIHは設えられておらず、患者の地元の担当医が手当てにあたるのが最良だとNath氏は言っています。しかしNath氏の言い分とは裏腹に医師には何もしてもらえないという患者もいますし、気のせいだと決めつけられることもあります。そうして表向きは梯子を外したNIHですが、エール大学の岩崎 明子氏はNIHのNath氏の協力を仰いでワクチン接種後の反応とCOVID-19後遺症がどう関連するかを調べることを計画しています。すでに患者との話が始まっており、血液や唾液などの検体を患者から集めるつもりです。また自己抗体を疑うドイツの研究者Harald Pruss氏はマウスへのSARS-CoV-2ワクチン接種後の自己抗体の特定に取り掛かっています。Pruss氏は感染後やワクチン接種後の患者の治療にもあたっており、患者の血液から抗体のほとんどを取り除く治療を調べる臨床試験を近々開始したいと考えています。自己抗体などの免疫系の関与は患者の体験でも示唆されており、ワクチン接種後に不調に陥った患者の何人かはScienceの取材に応じて免疫抑制剤でいくらか良くなったと言っています。NIHのNath氏も同様の効果を把握しており、免疫抑制/調節作用があるIVIGやステロイドによるCOVID-19後遺症治療を調べているNIH主催臨床試験結果がワクチン関連の合併症にも役立つことを期待しています。岩崎氏がワクチン開発にも着手COVID-19研究で何かと目に耳にすることが多いエール大学の岩崎氏の取り組みは今やワクチン開発にも及んでいます。先週26日にbioRxiv誌に発表された同氏率いるチームのマウス実験の結果、mRNAワクチン筋肉注射に続くSARS-CoV-2スパイクタンパク質やそのmRNAの点鼻投与で呼吸器粘膜の免疫を安全に底上げして感染や発病を防ぎうることが示されました7)。次の段階として、より大きな動物や臨床試験での安全性や有効性の検討が必要です8)。将来的には他の粘膜ウイルス病原体にも今回と似た手段が通用しそうであり、岩崎氏の活躍を見聞きすることは今後ますます多くなりそうです。参考1)Antonelli M,et al.Lancet Infect Dis. 2022 Jan;22:43-55. 2)Long-COVID symptoms less likely in vaccinated people, Israeli data say / Nature3)Association between vaccination status and reported incidence of post-acute COVID-19 symptoms in Israel: a cross-sectional study of patients tested between March 2020 and November 2021. medRxiv. January 17, 20224)Six-month sequelae of post-vaccination SARS-CoV-2 infection: a retrospective cohort study of 10,024 breakthrough infections. medRxiv. November 08, 20215)In rare cases, coronavirus vaccines may cause Long Covid-like symptoms. Science.6)Murphy WJ, et al. N Engl J Med. 2022 Jan 27;386:394-396. 7)Unadjuvanted intranasal spike vaccine booster elicits robust protective mucosal immunity against sarbecoviruses. bioRxiv. January 26, 20228)岩崎 明子氏のTwitter投稿(2022年1月27日)

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ブースター接種こそ感染対策の要 -コロナワクチンブースター接種がコロナ死亡を90%減らす-(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

 現在、日本でも世界でもオミクロン株の猛威により急激な新型コロナウイルス感染症の感染者が増加しているような状況である。米国や欧州の一部では感染拡大のピークを越え、収束傾向になっている地域もあるようだが、2022年1月中旬現在においてWHO(世界保健機関)でも各国の警戒を呼び掛けているような緊迫した状況が続いている。 本邦のコロナワクチン接種は2022年1月20日の時点で2回目接種終了者が全国民の約79%にあたる9,963万人を超えている状況である。ただし2021年末から始まったコロナワクチンの3回目接種、いわゆるブースター接種は194万人(日本全国民の約1.5%)にとどまっており、2回目接種終了後から時間が経過した高齢者や基礎疾患を持つ者、新型コロナウイルスやCOVID-19症例と接触する機会の多い医療従事者はブースター接種を待ち望んでいるところである。 コロナワクチンの3回目の接種、いわゆるブースター接種が日本でも粛々と進められているところである。一般的にワクチンの有効性、コロナの発症予防効果はデルタ株に比べてオミクロン株は低いとされている。さらにワクチン2回接種後の期間が長くなるとさらに効果が低下することがいわれており、接種直後はオミクロン株に対して約60%程度の発症予防効果を認めていたところ、5~6ヵ月が経過すると約10%に低下してしまうことが示されている(United Kingdom Health Security Agency, UKHSA 2021.12.31)。イスラエルの医療従事者に対するBNT162b2によるブースター接種の効果を検討した報告では、約1ヵ月の短い追跡期間ではあるものの、ブースター接種群はブースター非接種群に比べ90%以上もコロナ感染リスクを低下させる結果が示された(Spitzer A, et ai. JAMA. 2022 Jan 10. [Epub ahead of print])。この報告では症例の観察期間が2021年8~9月で行われており、オミクロン株が感染拡大する前の状況であることは注意が必要である。また先に示した英国からの報告では、ファイザー製コロナワクチンBNT162b2やモデルナ製コロナワクチンmRNA-1273のブースター接種後のオミクロン株に対する効果についても検討されており、BNT162b2では約70%、mRNA-1273では約80%まで発症予防効果が回復するとされた(United Kingdom Health Security Agency, UKHSA 2021.12.31)。 米国からの中和抗体価を測定した研究ではコロナワクチン2回接種後3ヵ月以内では高い中和抗体価を示したが、6~12ヵ月経過すると大幅に低下してしまうことが示されている。またオミクロン株に対しては2回接種後3ヵ月以内でも50%以上の方で中和抗体が消失するような結果であり、野生株に対する中和抗体価と比較するとBNT162b2接種群で122倍低く、mRNA-1273接種群では43倍低い結果となった。この報告ではブースター接種での中和抗体価の上昇も検討されており、野生株やデルタ株のブースター接種による中和抗体価の上昇は1~9倍にとどまっていたのに対し、オミクロン株はBNT162b2接種群で27倍、mRNA-1273接種群で19倍中和抗体価が上昇することが示され(Garcia-Beltran WF, et al. Cell. 2022 Jan 6. [Epub ahead of print])、オミクロン株に対抗するためにブースター接種が極めて重要であることが示唆された。 本論評で取り上げたイスラエルのRonen Arbelらの論文(Arbel R, et al. N Engl J Med. 2021;385:2413-2420.)は、BNT162b2を2回接種した約84万人を対象にブースター接種の効果を検証した報告である。この研究の調査対象者は2021年8月調査開始時に年齢が50歳以上で、5ヵ月以上前に2回目接種を完了した方で、約2ヵ月間に3回目接種を受けたブースター接種群75万8,118例と非ブースター接種群8万5,090例で比較検討された。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡が主要評価項目とされ、ブースター接種群で65例(10万人あたり0.16人/日)、非ブースター接種群で137例(10万人あたり2.98人/日)という結果が示された。背景因子や併存症による調整を行った後の両群のCOVID-19による死亡ハザード比は0.10であり、ブースター接種群では死亡率が90%低かった。65歳で区切った年齢や男女別でもブースター接種群がCOVID-19による死亡率が低かった。また副次評価項目として規定された新型コロナ感染者もブースター接種群で2,888例、非ブースター接種群で1万1,108例であり、ブースター接種群で83%低かった。 過去にはブースター接種の有効性として発症予防効果や感染予防効果、そして中和抗体価を評価した報告が主であったが、本研究からはブースター接種が死亡率の低下を示すという心強い結果と捉えることができる。 ただし本研究は50歳以上に限定した報告であり、50歳未満の若年者に当てはめることはできないことは注意が必要である。また解析期間は2021年8~9月の約2ヵ月間という短い時間での検討であることや、その時期には現在世界でも日本でも猛威を振るっているオミクロン株ではなく、B.1.617.2系統、いわゆるデルタ株がメインであったことは差し引いて解釈する必要がある。そして多くの方が懸念しているコロナワクチンの有害事象についての検討はなされておらず、今後のデータの集積に期待したいというのは筆者のRonen Arbelらも懸念されているところである。 この研究に含まれる対象者は約84万例が全例ワクチン2回接種者ということになる。ワクチン接種完了者における新規感染を、ワクチン接種を突破して発生した感染であることから「ブレークスルー感染」と一般的に呼称しているが、本研究でのコロナ感染者は全例ブレークスルー感染の範疇であるものと考える。ブレークスルー感染を惹起したウイルスの種類は、その国や地域のその時点で流行している背景ウイルスに規定される(山口,田中. ケアネット論評1422)が、もはや3回目のブースター接種を行っているか否かで死亡率が大きく異なっている現状では、ブレークスルーかどうかは少し意味合いが薄れていると考えざるを得ない。本邦でも全国民の約8割が2回目を接種完了している状況においては、今後の新型コロナウイルスとの戦いに打ち勝つためには変異ウイルスの違いはあれど、ブースター接種をいかに早く推し進めるかどうかにかかっているのではないか。オミクロン株の感染拡大で多くの医療機関で厳しい状況を目の当たりにしていると思われるが、そのような大変な状況下でもできる限りワクチン接種体制を整備していくことが望まれる。

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ファイザー製ワクチン、ブースター接種で死亡リスク9割減/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)mRNAワクチンのBNT162b2(Pfizer/BioNTech製)の、2回接種から少なくとも5ヵ月後にブースター接種を受けた人は、ブースター接種を受けていない人と比較して、COVID-19による死亡リスクが90%低下した。イスラエル・Clalit Health ServicesのRonen Arbel氏らが、同国半数超の国民が加入する健康保険データを基に解析を行い報告した。SARS-CoV-2のデルタ(B.1.617.2)変異株の出現と、BNT162b2ワクチンの経時的な有効性の低下により、早期にワクチンを接種した集団においてCOVID-19の再流行が発生したことから、イスラエルの保健省は2021年7月30日にBNT162b2ワクチンの3回目接種(ブースター接種)を承認したが、ブースター接種でCOVID-19による死亡率が低下するかどうかのエビデンスが必要とされていた。NEJM誌オンライン版2021年12月8日号掲載の報告。ブースター群と非ブースター群の計84万例超でCOVID-19死を比較 研究グループは、イスラエル国民の半数以上が加入している同国最大の医療保険組織「Clalit Health Services」のデータを用い、ブースター接種が承認された7日後の2021年8月6日時点で50歳以上であり、少なくとも5ヵ月前にBNT162b2ワクチンの2回目の接種を受けた人を対象として、2021年9月29日までの間のブースター接種者(ブースター群)と非接種者(非ブースター群)のCOVID-19による死亡について検討した。試験終了日において、ブースター接種後7日までの人は、非ブースター群に含めた。 時間依存共変量を用いるCox比例ハザード回帰モデルにより社会人口統計学的要因と併存疾患を補正し、ブースター接種の有無と死亡との関連を解析した。 解析対象は、適格基準を満たした84万3,208例であった。ブースター接種で死亡リスクが90%低下 84万3,208例中75万8,118例(90%)が、54日間の試験期間中にブースター接種を受けた。 COVID-19による死亡は、ブースター群で65例(0.16/10万人/日)、非ブースター群で137例(2.98/10万人/日)に認められた。非ブースター群に対するブースター群のCOVID-19による死亡の補正後ハザード比は、0.10(95%信頼区間[CI]:0.07~0.14、p<0.001)であった。 なお、著者は試験期間が54日間と短期であること、高齢者(60歳以上)が若年者(60歳未満)より早くブースター接種を開始していることが生存率に影響している可能性があること、重篤な有害事象に関するデータが不足していること、BNT162b2ワクチンのみの結果であること、などを研究の限界として挙げている。

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抗TROP2抗体薬物複合体Dato-DXd、TN乳がんでの第I相試験最新データ(TROPION-PanTumor01)/SABCS2021

 抗TROP2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan(Dato-DXd、DS-1062)の固形がんを対象とした第I相TROPION-PanTumor01試験のうち、切除不能なトリプルネガティブ(TN)乳がんにおける安全性と有効性に関する最新データについて、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのIan Krop氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS 2021)で発表した。本データから、Dato-DXdが管理可能な安全性プロファイルと有望な抗腫瘍活性を示すことが示唆された。 本試験は進行中の多施設非盲検第I相試験で、進行/転移乳がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、その他のがんを対象に安全性と有効性が評価されている。今回、TN乳がんコホートにおける更新結果を発表した。・対象:標準治療後に病勢進行した切除不能なTN乳がん(ECOG PS 0~1)44例・投与スケジュール:42例はDato-DXd 6mg/kgを3週間ごとに静脈内投与、2例は8mg/kgを投与・評価項目:[主要評価項目]安全性、忍容性[副次評価項目]有効性(盲検下独立中央評価[BICR]による奏効率)、薬物動態など 主な結果は以下のとおり。・データカットオフ(2021年7月30日)時点で、44例中13例(30%)が治療を継続し、30例(68%)が病勢進行、1例(2%)が有害事象により治療を中止していた。・年齢中央値は53歳(範囲:32〜82歳)で、30例(68%)が前治療を2ライン以上受けていた。前治療は、19例(43%)が免疫療法、13例(30%)は別のトポイソメラーゼ阻害薬が結合した抗体薬物複合体(うち10例はsacituzumab govitecan)が投与されていた。・BICRによる奏効率は34%(確定したCR/PR:14例、確定前のCR/PR:1例)で、病勢コントロール率(DCR)は77%だった。・別のトポイソメラーゼI阻害薬が結合した抗体薬物複合体による治療歴のない27例のサブグループ解析において、奏効率は52%(確定したCR/PR:13例、確定前のCR/PR:1例)で、DCRは81%だった。・奏効期間中央値は未到達(範囲:2.7〜7.4+ヵ月)だった。・治療中の有害事象(TEAE)は、全Gradeが98%、Grade3以上が45%に発現し、治療関連TEAEは全Gradeが98%、Grade3以上が23%に発現した。重篤な治療関連TEAEは5%に発現し、死亡例はなかった。・発現の多かった有害事象は、悪心、口内炎、嘔吐、倦怠感、脱毛症で、血液毒性と下痢の頻度は低かった。薬物関連の間質性肺疾患は報告されていない。 なお、本試験におけるHR+/HER2-乳がんコホートについては登録が完了している。ほかにも、TN乳がんに対してDato-DXd+デュルバルマブの有効性と安全性を評価するBEGONIA試験が進行中である。また、HR+/HER2-乳がんに対する第III相TROPION-Breast01試験が開始されており、今後、TN乳がんに対する第III相試験も予定されている。

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サクビトリル・バルサルタン:ステージBにエビデンスが出なかったけど、日本だけはステージAから使えてしまう矛盾(解説:絹川弘一郎氏)

 サクビトリル・バルサルタンはとても良い心不全治療薬である。もう少し正確に言うと素晴らしい軽症心不全治療薬である。Paradigm-HFやLifeのデータを見てもNYHA 4度には効かないし、自分の臨床経験でもその通りである。サクビトリル・バルサルタンは重症テスターともいえ、この薬剤に忍容性がない(=血圧が下がりすぎる、ないしは腎機能が悪化する)場合、NYHA 4度と認定しても構わないのではとすら、最近思う。しかし、血行動態が安定しているNYHA 2度のHFrEFには実によく効くし、リバースリモデリングも大いに期待できる。 閑話休題(それはさておき)、Paradise-MIという試験が発表されて、急性心筋梗塞(AMI)後LVEFが低下したか(40%以下)、または肺うっ血所見のある患者に対してramipril 10mg/dayと比較してサクビトリル・バルサルタン400mg/dayが心血管死亡や心不全入院を減らすかどうかが検証された。 もともと、HFrEFの治療というのはAMI後の遠心性リモデリングから心不全に至る道筋における神経体液性因子の悪循環を阻止するという動物実験モデルがそのベーシックリサーチ的枠組みであり、その視点でいえば、HFrEFの予後を改善する薬剤はすべからくAMI後のリモデリング抑制(時にリバースリモデリングも)とイベント抑制がセットになるべきである。事実、ACE阻害薬の有効性はEFが低下したAMI症例においてSAVE試験(カプトプリル)で実証されており、その後TRACE試験(トランドラプリル)でも追試されている。EFは問わずAMI全般でACE阻害薬にリモデリング抑制とイベント抑制があるというGISSI-3試験(リシノプリル)もあるし、AIRE試験(ramipril)ではEFは問わず心不全を合併したAMI症例での有効性を示している。ARNIはその機序から考えても(例えば、カルペリチドのAMI直後の投与がイベントを減らすというJ-WINDのデータなどから)、ACE阻害薬以上のイベント抑制効果を急性心筋梗塞後の患者でもたらすと想像していた。 しかし、このParadise-MIの結果は否定的である。確かに全体のハザード比[HR]が0.90でカプランマイヤー曲線もずっとramipril群より下にあるし、PCIをしたAMIとか、血圧低めの患者とか、Killip II度以上の急性心不全患者とか、効きそうなサブグループもあるが、やはり有意差なしは有意差なしである。ramiprilは日本では導入されていなくて、使用経験はないが、評判では“最強の”ACE阻害薬と言われている。何をもって最強というのかよくわからんけど(おそらくは降圧効果であろう)、カプトプリルが“最弱の”ACE阻害薬でその対極に位置する。ARBにも“最弱”ロサルタンがあるし、“最強”ARBはカンデサルタンかテルミサルタンか。 この強弱については歴史的に臨床試験の結果である程度の推測がされている。一番弱いはずのカプトプリルにロサルタンはOPTIMAAL試験で勝てないばかりか負けかかっており(HR:1.15、95%信頼区間[CI]:0.99~1.28)、それこそRAS阻害薬中の最弱という位置付けである。そしてVALIANT試験でカプトプリルにようやく引き分けたバルサルタンはその次に弱い感じである。 On Target試験というテルミサルタンとramiprilをハイリスク高血圧患者に対して投与してイベント比較をした試験もあって、そこでは引き分けなので(厳密にはAMI後のEF低下例ではないので引用する意味はないかもしれないが)、イメージとしてARBとACE阻害薬の最強対決が引き分けたみたいに思っている。そこで、日本にramiprilがない上で、通常AMI後にはramiprilより少し弱そうなエナラプリルを投与するのであるから、そこをARNIにしたら血圧の忍容性が良ければもう少しメリットがあるかもしれないという想像は可能である。 とはいえ、テルミサルタンが強かろうと、そもそもOPTIMAALやValiantのせいでAMI後にARBは推奨されてないから強いARB入れましょうともならない。今回ARNIの相手に最強ACE阻害薬を選んだのが間違いというか、やや調子に乗ったというか、エナラプリル相手が無難であったと思われる。 いずれにしても、もうこれで再戦はないので、心筋梗塞後のステージBにおいてACE阻害薬をARNIに切り替える、または最初から投与することを支持するハードなエビデンスはありません、という状況がずっと続く。ただし、この試験では“最初の”心不全増悪と心血管死亡を主要エンドポイントとしており、差は認めなかったけれども、ごく最近になって心不全による“総入院回数”と心血管死をエンドポイントに設定するとARNIが入院回数を減らしたという論文が出た。さらにParadise-MIのプロトコル論文によるとエコーデータをサブ解析用に取得しているようなので、左室リモデリングの点でARNIの方がramiprilより優れているとなれば、やっぱり効果はあるかもと言い出すかもしれない。しかし、ここにも小規模ながら最近negativeなデータがあって、心筋梗塞後3ヵ月以上経過した(しかし無症状のEF40%以下)患者に対するMRIで検討した左室リモデリングやNT-proBNPに対する効果はバルサルタン320mgとの比較で差がないとなっており、相手を選べば勝てるともいえない(これはHFrEFの一歩手前でSOLVD-preventionと同じような患者層であり、HFrEFにおいてARNIによるプラスアルファのリバースリモデリングが実体験上ある中でむしろ差がないことはとても意外である)。とはいえ、日本は世界で唯一高血圧に対する適応症をARNIが取得しており、ステージAから投与可能となっているから、ステージBのエビデンスなどあってもなくてもどっちでも一緒である。

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mRNAワクチン後24週間の感染リスク、ワクチンで差はあるか/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチン、「BNT162b2」(Pfizer-BioNTech製)または「mRNA-1273」(Moderna製)を接種後24週間の感染リスクは4.5~5.8件/1,000人と低率であることが、米国・ハーバード公衆衛生大学院のBarbra A. Dickerman氏らによる、ワクチン接種済み米国退役軍人約44万人のデータの解析で明らかにされた。リスクは、BNT162b2よりもmRNA-1273で低く、こうした情勢はアルファ変異株、デルタ変異株が優勢だった時期にかかわらず一貫していたという。mRNAワクチンはCOVID-19に対して90%以上の効果があることが示されていたが、多様な集団におけるさまざまなアウトカムについて有効性の比較は行われていなかった。NEJM誌オンライン版2021年12月1日号掲載の報告。リスク因子に応じ、各ワクチン接種者を1対1でマッチングし追跡評価 研究グループは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)B.1.1.7変異株(アルファ株)が猛威を振るっていた2021年1月4日~5月14日にかけて、「BNT162b2」または「mRNA-1273」の初回接種を受けた米国退役軍人を対象に、電子健康記録を基に分析を行った。 接種者のリスク因子に応じて、各ワクチン接種者を1対1でマッチングし追跡評価した。アウトカムは、記録されたSARS-CoV-2感染、症候性COVID-19、COVID-19による入院やICUへの入室および死亡で、Kaplan-Meier推定量を用いてリスクを推算した。 また、B.1.617.2変異株(デルタ株)の影響を評価するため、別途2021年7月1日~9月20日にワクチン接種を受けた退役軍人を対象に試験を行った。感染、発症、入院リスクはBNT162b2接種群よりmRNA-1273接種群で低い 「BNT162b2」または「mRNA-1273」の接種者それぞれ21万9,842人について分析を行った。 アルファ株流行期24週間の追跡期間中の確定感染の推定リスクは、BNT162b2群が5.75件/1,000人(95%信頼区間[CI]:5.39~6.23)、mRNA-1273群が4.52件/1,000人(4.17~4.84)だった。 同リスクはBNT162b2群がmRNA-1273群より高く、1,000人当たりの過剰イベント数は、確定感染が1.23件(95%CI:0.72~1.81)、症候性COVID-19が0.44件(0.25~0.70)、COVID-19による入院は0.55件(0.36~0.83)、同ICU入室は0.10件(0.00~0.26)、同死亡は0.02件(-0.06~0.12)だった。 なお、デルタ株流行期に注目した12週間の追跡調査において、確定感染に対する過剰リスク(BNT162b2 vs. mRNA-1273)は、6.54件/1,000人(95%CI:-2.58~11.82)だった(リスク比:1.58、95%CI:0.85~2.33)。 結果を踏まえて著者は、「これらのワクチンについて有効性と安全性のさらなる比較評価が必要である」とまとめている。

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LVEF40%超の心不全、サクビトリル・バルサルタンvs.RAS系阻害薬/JAMA

 心不全で左室駆出分画(LVEF)40%超の患者において、サクビトリル・バルサルタンは、レニン・アンジオテンシン(RAS)系阻害薬またはプラセボと比較して、12週後のN末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)値の低減効果は大きかったが、24週後の6分間歩行距離の改善について有意差はなかったことを、ドイツ・シャリテ大学医学部のBurkert Pieske氏らが、約2,600例を対象に行った無作為化比較試験で明らかにした。これまで、サクビトリル・バルサルタンとRAS系阻害薬を比較した有益性のエビデンスをサロゲートアウトカムマーカー、6分間歩行距離、およびQOLで検討した試験は限られていた。JAMA誌2021年11月16日号掲載の報告。対照群にはACE阻害薬、ARB、プラセボのいずれかを投与 研究グループは、2017年8月~2019年10月にかけて、32ヵ国、396ヵ所の医療機関を通じ、24週間の無作為化並行群間比較二重盲検試験を行った。被験者はLVEFが40%超、高値NT-proBNP、構造的心疾患があり、QOL低下が認められる患者で、4,632例をスクリーニングし、2,572例が被験者として組み込まれた。追跡は、2019年10月28日まで行った。 被験者を1対1の割合で無作為に2群に分け、一方にはサクビトリル・バルサルタンを投与し(1,286例)、もう一方には、患者のバックグラウンドにより、エナラプリル(標的投与量:10mg、ACE阻害薬)、バルサルタン(標的投与量:160mg、ARB)、プラセボのいずれかを投与した(対照群1,286例)。 主要エンドポイントは、12週時点のNT-proBNP値と、24週時点の6分間歩行距離の、それぞれベースラインからの変化だった。副次エンドポイントは、24週時点のQOLスコアとNYHAクラスの、それぞれベースラインからの変化だった。QOLスコアやNYHAクラスも有意差なし 無作為化した被験者2,572例の平均年齢は72.6歳(SD 8.5)、女性は50.7%で、試験を完了したのは87.1%(2,240例)だった。ベースラインのNT-proBNP値の中央値は、サクビトリル・バルサルタン群786pg/mL、対照群760pg/mLだった。 12週後のNT-proBNP値の減少幅はサクビトリル・バルサルタン群が対照群に比べ有意に大きく、ベースラインに対する補正後幾何平均比は、対照群0.98pg/mLに対しサクビトリル・バルサルタン群0.82pg/mLだった(補正後幾何平均比:0.84、95%信頼区間[CI]:0.80~0.88、p<0.001)。 ベースラインから24週時の6分間歩行距離の平均変化値は、サクビトリル・バルサルタン群9.7m延長、対照群12.2m延長と、有意差はなかった(補正後平均群間差:-2.5m、95%CI:-8.5~3.5、p=0.42)。カンザス市心筋症質問票‐臨床サマリースコア(KCCQ-CS)の平均変化値も、それぞれ12.3、11.8と、両群で有意差はなかった(平均群間差:0.52、-0.93~1.97)。NYHAクラスが改善した人の割合も、それぞれ23.6%、24.0%と、有意差は認められなかった(補正後オッズ比:0.98、95%CI:0.81~1.18)。 最も多く見られた有害イベントは、低血圧(サクビトリル・バルサルタン群14.1%、対照群5.5%)、アルブミン尿(12.3%、7.6%)、高カリウム血症(11.6%、10.9%)だった。

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2型DMの新規発症リスクを低下・増加させる降圧薬は?/Lancet

 降圧治療は2型糖尿病の新規発症予防に効果的な戦略であるが、その効果は降圧薬のクラスにより異なっており、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)およびアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)で良好な結果が得られることが、英国・オックスフォード大学のMilad Nazarzadeh氏らBlood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration(BPLTTC)のメタ解析で示された。降圧治療は、糖尿病の細小血管および大血管合併症を予防する戦略として確立されているが、糖尿病そのものの予防に寄与するかは不明であった。著者は、「降圧薬のクラスによる差はおそらくオフターゲット作用の違いによるものと考えられる。今回のエビデンスは、糖尿病発症予防のために降圧薬のクラスを選択する必要があることを支持するものであり、個々の臨床的な糖尿病リスクに応じた薬剤選択の改善に結び付くだろう」と述べている。Lancet誌2021年11月13日号掲載の報告。RCT 19件・約14万6千例をメタ解析 BPLTTC研究グループは、降圧治療が新規2型糖尿病の発症リスクに及ぼす影響を評価するとともに、5つの主要なクラスの降圧薬の新規2型糖尿病発症リスクに対する効果の違いを検討する目的で、無作為化試験の参加者個々のデータを用い、1段階法によるメタ解析ならびにネットワークメタ解析を行った。 対象は、1次予防および2次予防の効果について特定クラスの降圧薬とプラセボまたは他のクラスの降圧薬との比較を行い、各群1,000人年以上追跡した無作為化比較試験とした。ベースラインにおいて糖尿病と診断されている患者、および糖尿病既往の患者を対象とした試験はすべて除外した。 1段階法による個人データのメタ解析は層別Cox比例ハザードモデルを、個人データのネットワークメタ解析はロジスティック回帰モデルを用い、薬剤クラスの比較に関して相対リスク(RR)を算出した。 全体では、1973~2008年に実施された22件の臨床試験のデータが解析対象となった。1段階法による個人データのメタ解析には、このうち19件の無作為化比較試験から得られた14万5,939例(男性8万8,500例[60.6%]、女性5万7,429例[39.4%])が組み込まれ、個人データのネットワークメタ解析には全22試験が組み込まれた。全体では収縮期血圧5mmHg低下で2型DMの発症リスクが11%低下 追跡期間中央値4.5年(IQR:2.0)において、9,883例が新たに2型糖尿病と診断された。収縮期血圧が5mmHg低下した場合、追跡期間中の2型糖尿病の発症リスクは、全体で11%低下した(ハザード比:0.89、95%信頼区間[CI]:0.84~0.95)。 5つの主要なクラスの降圧薬の効果に関する検討では、プラセボと比較してACEI(RR:0.84、95%CI:0.76~0.93)、ARB(0.84、0.76~0.92)は、2型糖尿病の新規発症リスクを減少することが示された。一方、β遮断薬(1.48、1.27~1.72)、およびサイアザイド系利尿薬(1.20、1.07~1.35)は2型糖尿病の新規発症リスクを増加することが示され、カルシウム拮抗薬(1.02、0.92~1.13)についてはマテリアルな影響が見つからなかった。

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コロナワクチン3回接種、抗体はどのくらい増える?/JAMA

 新型コロナのファイザー製ワクチン(BNT162b2:以下、ワクチン)の60歳以上での抗体価の持続については、まだ不明瞭な点が多い。そこで今回、イスラエル・テルアビブ大学のNoa Eliakim-Raz氏らは、60歳以上を対象に3回目ワクチンの接種前後の抗体価を調査した。その結果、3回目接種が接種10~19日後のIgG抗体価の増加と有意に関連していることが明らかになった。JAMA誌オンライン版11月5日号のリサーチレターに掲載された。ワクチン3回目接種前と接種10~19日後のIgG抗体価をを測定 ワクチンを2回接種した人の免疫応答を年齢で見た場合、65~85歳では18~55歳よりも低いことが明らかになっている。さらに、2回目のワクチンを接種した4,868人の医療従事者でとくに65歳以上では、2回目接種から6ヵ月以内に液性免疫(IgG抗体、中和抗体)の有意な低下が観察されている。また、イスラエルのある研究1)で、3回目接種が新型コロナウイルス感染と重症者の発生率低下との関連性を示唆していたことから、本研究では60歳以上の3回目接種による免疫反応を見るために、血清学的検査データを評価項目として追加した。 イスラエルでのワクチン3回目接種が世界で初めて承認後、Rabin Medical Center(RMC)のワクチン接種センターで60歳以上の研究参加者を募集、97例が適格だった。除外基準は、新型コロナウイルス既感染者と活動性の悪性腫瘍を有する者だった。IgG抗体価を3回目の接種前(2021年8月4~12日)と接種10~19日後(2021年8月16〜24日)にSARS-CoV-2 IgG II Quant assayを用いて測定した。血清陽性は、50任意単位(AU:arbitrary units)/mL以上と定義された。 ワクチン3回目接種前と接種10~19日後の抗体価を調査した主な結果は以下のとおり。・97例の年齢中央値は70歳(四分位数[IQR]:67~74)で、61%が女性だった。・3回目の投与前(最初のワクチン接種後の中央値:221日、IQR:218~225)の段階で、94例(97%)が陽性だった。・IgG抗体価の中央値は、3回目接種後に有意に増加し、440AU/mL(IQR:294~923)から2万5,468AU/mL(IQR:1万4,203~3万6,618、p

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新しい作用機序で心血管イベントを抑制するHFrEF治療薬「ベリキューボ錠2.5mg/5mg/10mg」【下平博士のDIノート】第86回

新しい作用機序で心血管イベントを抑制するHFrEF治療薬「ベリキューボ錠2.5mg/5mg/10mg」今回は、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬「ベルイシグアト(商品名:ベリキューボ錠2.5mg/5mg/10mg、製造販売元:バイエル薬品)」を紹介します。本剤は、標準治療を受けている左室駆出率が低下した慢性心不全(HFrEF)患者に対して、新しい作用機序で心血管イベントリスクを低減させることが期待されています。<効能・効果>本剤は、慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)の適応で、2021年6月23日に承認され、9月15日に発売されました。なお、左室駆出率の保たれた慢性心不全(HFpEF)における本剤の有効性および安全性は確立していません。<用法・用量>通常、成人にはベルイシグアトとして、1回2.5mgを1日1回食後経口投与から開始し、2週間間隔で1回投与量を5mgおよび10mgに段階的に増量します。なお、血圧など患者の状態に応じて適宜減量します。<安全性>国際共同第III相試験(VICTORIA、試験16493)において、副作用は本剤投与群2,519例中367例(14.6%)で報告されました。主な副作用は、低血圧172例(6.8%)、浮動性めまい37例(1.5%)、悪心19例(0.8%)、起立性低血圧、消化不良各14例(0.6%)、疲労11例(0.4%)、頭痛10例(0.4%)などでした。なお、重大な副作用として、低血圧(7.4%)が設定されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は心臓や血管の機能を調節し、慢性心不全が悪くなるのを抑えます。2.血管を拡張させる作用によって、めまい・ふらつきが現れることがあります。高い所での作業、自動車の運転や機械の操作には注意してください。3.(女性に対して)本剤を服用中および服用終了後一定期間は確実な方法で避妊してください。妊娠を希望する場合は医師に伝え、今後の方針について相談してください。<Shimo's eyes>本剤は、慢性心不全の適応で承認された初の可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬です。既存のsGC刺激薬としてはリオシグアト(商品名:アデムパス)が肺動脈性肺高血圧症などの適応で承認されています。慢性心不全の病態では、内皮細胞機能不全による一酸化窒素(NO)産生の低下やsGCの機能不全により、cGMPシグナルの低下が引き起こり、その結果として心筋および血管の機能不全の一因、さらには心不全の悪化に寄与していると考えられます。本剤は、NO受容体であるsGCを直接刺激する作用と、内因性NOに対するsGCの感受性を高める作用の2つの機序により、心血管系の重要なシグナル伝達経路であるNO-sGC-cGMP経路を活性化して、慢性心不全の進行を抑制します。日本人を含む国際共同第III相試験(VICTORIA、試験16493)では、慢性心不全の標準的な治療を受けているHFrEF患者に対して本剤またはプラセボが投与されました。前治療として、β遮断薬、ACE阻害薬またはARB、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)の3剤併用療法を受けていた患者が59.7%を占めていました。その結果、本剤群では、心血管死または心不全による初回入院の複合エンドポイント発現の相対リスクが10%減少しました(ハザード比[HR]:0.90、95%信頼区間[CI]:0.82~0.98)。本剤と既存のsGC刺激薬であるリオシグアトは、降圧作用を増強する恐れがあるため併用禁忌であり、シルデナフィルを含むPDE5阻害薬、一硝酸イソソルビドなどの硝酸剤およびNO供与剤も同様の理由から併用注意となっています。なお、本剤投与前の収縮期血圧が100mmHg未満の患者では過度の血圧低下が起こる恐れがあるため血圧の確認も必要です。近年、HFrEFに対する新しい治療薬として、HCNチャネル阻害薬のイバブラジン(商品名:コララン)、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)のサクビトリルバルサルタン(同:エンレスト)、SGLT2阻害薬のダパグリフロジン(同:フォシーガ)などが使用できるようになりました。本剤は既存の治療薬とは異なる作用機序であり、標準治療が効果不十分な患者であっても心血管イベントリスクが低減する可能性があります。参考1)PMDA 添付文書 ベリキューボ錠2.5mg/5mg/10mg

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原発性アルドステロン症〔PA:Primary aldosteronism〕

1 疾患概要原発性アルドステロン症(PA)は治癒可能な高血圧の代表的疾患である。副腎からアルドステロンが過剰に分泌される結果、腎尿細管からのナトリウム・水再吸収の増加による循環血漿量増加、高血圧を呈するととともに、腎からのカリウム排泄による低カリウム血症を示す。典型例では高血圧と低カリウム血症の組み合わせが特徴であるが、近年は、血清カリウムが正常な例も多く経験され、通常の診察のみでは本態性高血圧との区別がつかない。高血圧は頻度の高い生活習慣病であることから、日常診療において常にその診断に配慮する必要がある。頻度が高く、全高血圧の約3~10%を占めることが報告され、わが国の患者数は約100万人とも推計されている。典型例は片側の副腎腺腫が原因となる「アルドステロン産生腺腫」であるが、両側の副腎からアルドステロンが過剰に分泌される両側性の原発性アルドステロン症(「特発性アルドステロン症」と呼ばれてきた)もあり、最近では、前者より後者の経験数が増加している。腺腫による場合は病変側の副腎摘出により、高血圧、低カリウム血症が治癒可能で、治癒可能な二次性高血圧の代表的疾患である。一方、診断の遅れは治療抵抗性高血圧の原因となり、これに低カリウム血症、アルドステロンの臓器への直接作用が加わって、脳・心血管・腎などの重要臓器障害の原因となる。わが国の研究からも通常の高血圧より、脳卒中、心不全、心肥大、心房細動、慢性腎臓病の頻度が高いことが明らかにされていることから、早期診断と特異的治療が極めて重要である1)。腺腫によるPAでは、細胞膜のカリウムチャンネルの一種であるKCNJ5の遺伝子変異などいくつかの遺伝子異常が発見され、アルドステロンの過剰分泌の原因となることが明らかにされている。一方、両側性は肥満との関連が示唆2)されているが、病因は不明である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 自覚症状低カリウム血症がある場合は、四肢のしびれ、筋力低下、脱力感、四肢麻痺、多尿、多飲などを認める。正常カリウム血症の場合では、高血圧のみとなり、血圧の程度に応じて頭痛などを認めることもあるが、非特異的な症状であり、本態性高血圧との区別はつかない。■ どのようなケースで疑うか正常カリウム血症で特異的な症状を認めない場合は本態性高血圧症と鑑別が困難なことから、すべての高血圧患者でその可能性を疑う必要があるが、ガイドラインでは特にPAの頻度が高い高血圧患者を対象として積極的にスクリーニングすることを推奨している(表)3)。表 PAの頻度が高いため、特にスクリーニングが推奨される高血圧患者低カリウム血症合併(利尿薬投与例を含む)治療抵抗性高血圧40歳未満での高血圧発症未治療時150/100mmHg以上の高血圧副腎腫瘍合併若年での脳卒中発症睡眠時無呼吸症候群合併(文献3より引用)■ 一般検査所見代謝性アルカローシス(低カリウム血症がある場合)、心電図異常(U波、ST変化)を認めることがある。典型例では低カリウム血症を認めるが、正常カリウム血症の症例が多い。また、血清カリウム濃度は(1)食塩摂取量、(2)採血時の前腕の収縮・伸展、(3)溶血などのさまざまな要因で変動することから、適宜、再評価が必要である。■ スクリーニング検査血漿アルドステロン濃度(PAC)と血漿レニン活性(PRA)を測定し、両者の比率アルドステロン/レニン活性比(ARR)≧200以上かつPAC≧60pg/mLの場合に陽性と判定する。ARRは分母であるPRAに大きく依存することから、偽陽性を避けるためにPACが一定レベル以上であることを条件としている。従来、PACはラジオイムノアッセイにより測定されてきたが、本年4月から化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)に変更され、それに伴ってPAC測定値が大幅に低下した。このためARR100~200の境界域も暫定的に陽性とし、個々の例で患者ニーズと臨床所見を考慮して検査方針を判断することが推奨される。■ 機能確認検査スクリーニング陽性の場合、アルドステロンの自律性・過剰産生を確認するために機能確認検査を実施する。カプトプリル試験、生食負荷試験、フロセミド立位試験、経口食塩負荷試験がある。カプトプリル試験は外来でも実施可能である。フロセミド立位試験は起立に伴い低血圧を来すことがあるので、前2つの検査が実施困難な場合を除き、推奨されない。一検査が陽性の場合、機能的にPAと診断する。測定法の変更に伴い、陽性判定基準も見直されたため注意を要する。約25%にコルチゾール同時産生を認めるため、明確な副腎腫瘍を認める場合には、デキサメタゾン抑制試験(1mg)を実施する。降圧薬はレニン・アルドステロン測定値に影響するため、可能な限り、Ca拮抗薬、α遮断薬の単独あるいは併用が推奨されるが、血圧コントロールが不十分な場合は、血圧管理を優先し、ARBやACE阻害薬を併用する。ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の影響は比較的大きいが、高血圧や低カリウム血症の管理が困難な場合は、適宜使用する必要がある。■ 局在・病型診断病変が片側性か両側性か、片側性の場合、右副腎か左副腎かを明らかにする。副腎摘出術の希望がある場合に実施する。まず副腎腫瘍の有無を確認するため造影副腎CTを実施するが、PAの腺腫は小さいことから、約60%はCTで腫瘍を確認できない。一方、明確な腫瘍を認めても非機能性腺腫の可能性があり、腫瘍の機能評価はできない。このため、確実な局在・病型診断には副腎静脈サンプリングが最も推奨される。副腎静脈血中のアルドステロン濃度/コルチゾール濃度比の左右差(Lateralized ratio)にて病変側を判定する。侵襲的なカテーテル検査であり、技術に習熟が必要であることなどから、専門医療施設での実施が推奨される。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 主たる治療法副腎腫瘍を有する典型的な片側性PAでは腹腔鏡下副腎摘出術が第1選択、両側性や手術希望が無い場合は、MR拮抗薬を主とする薬物治療を行う。片側性PAでは手術による降圧効果が薬物治療より優れることが報告されている。通常の降圧薬のみで血圧コントロールが良好であっても、PAではアルドステロン過剰に対する特異的治療(手術、MR拮抗薬)による治療が推奨される。スクリーニング陽性であるが、機能確認検査を初めとする精査を実施しない場合、臨床所見の総合判断に基づき、MR拮抗薬投与の必要性を検討する。■ 診断と治療のアルゴリズム日本内分泌学会診療ガイドラインの診療アルゴリズムを図に示す3)。PAの頻度が高い高血圧患者でスクリーニングを行い、陽性の場合に機能確認検査を実施する。1種類の検査が陽性判定の場合に臨床的にPAとし、CT検査さらには、患者の手術希望に応じて副腎静脈サンプリングを実施する。機能確認検査以降の精査は、専門医療施設での実施が推奨される。局在・病型診断の結果に基づき、手術あるいは薬物治療を選択する。図 日本内分泌学会PAガイドラインにおける診療アルゴリズム3)画像を拡大する(文献3より引用)4 今後の展望局在・病型診断には副腎静脈サンプリングが標準的であるが、侵襲的検査であるため、代替えとなる各種バイオマーカー4)、PETを用いた非侵襲的画像診断法5)の開発が進められている。MR拮抗薬に変わる治療薬として、アルドステロン合成酵素の阻害薬の開発が進められている。PAの多くが両側性PAであることから、その病因解明、適切な診断、治療方針の確立が必要である。5 主たる診療科診断のスタートは高血圧の診療に従事する一般診療クリニック、市中病院の内科などである。スクリーニング陽性例は、内分泌代謝内科、高血圧内科などの専門外来に紹介する。副腎静脈サンプリングの実施が予想される場合は、それに習熟した専門医療施設への紹介が望ましい。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難治性副腎疾患プロジェクト(医療従事者向けのまとまった情報)「重症型原発性アルドステロン症の診療の質向上に資するエビデンス構築(JPAS)」研究班(研究開発代表者:成瀬光栄)(医療従事者向けのまとまった情報)「難治性副腎疾患の診療に直結するエビデンス創出(JRAS)」研究班(研究開発代表者:成瀬光栄)(医療従事者向けのまとまった情報)「難治性副腎腫瘍の疾患レジストリと診療実態に関する検討」研究班(主任研究者:田辺晶代)(医療従事者向けのまとまった情報)1)Ohno Y, et al. Hypertension. 2018;71:530-537.2)Ohno Y, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2018;103:4456-4464.3)日本内分泌学会「原発性アルドステロン症診療ガイドライン策定と診断水準向上」委員会 編集.原発性アルドステロン症診療ガイドライン2021.診断と治療社;2021.p.viii.4)Nakano Y, et al. Eur J Endocrinol. 2019;181:69-78.5)Abe T, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2016;101:1008-1015.公開履歴初回2021年11月11日

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