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これまで、わが国における薬剤耐性による死亡者数は明らかになっていなかった。今回、国立国際医療研究センター病院の都築 慎也氏らは、薬剤耐性菌の中でも頻度が高いメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)とフルオロキノロン耐性大腸菌(FQREC)について、日本におけるそれらの菌血症による死亡数を検討した。その結果、MRSA菌血症の死亡は減少している一方で、FQREC菌血症による死亡が増加していること、2017年には合わせて8,000例以上が死亡していたことがわかった。Journal of Infection and Chemotherapy誌オンライン版2019年12月1日号に掲載。 本研究では、厚生労働省院内感染対策サーベイランス(JANIS)のデータから、2011~17年における日本全国の菌血症症例数を算出し、過去の研究に基づいた死亡率と合わせて菌血症による死亡数を推定した。 主な結果は以下のとおり。・黄色ブドウ球菌による菌血症での死亡は、2011年は1万7,412例、2017年は1万7,157例と推定された。このうち、MRSA菌血症による死亡は、2011年は5,924例(34.0%)、2017年は4,224例(24.6%)と減少した。・大腸菌による菌血症での死亡は、2011年は9,044例、2017年は1万4,016例と増加した。このうち、FQREC菌血症は、2011年は2,045例(22.6%)、2017年は3,915例(27.9%)と増加した。