消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:95

日本人における糖尿病とがんリスクを検証~JPHC研究

 日本人集団における糖尿病とがんリスクについて、多目的コホート研究(JPHC研究)での前向きメンデルランダム化解析により、これらの関連を裏付ける強いエビデンスは見いだされなかったことを、国立がん研究センターの後藤 温氏らが報告した。従来の回帰モデルを用いたコホート研究では、2型糖尿病患者のがんリスク増加が一貫して示されていた。しかし、因果の逆転や糖尿病とがんに共通する危険因子による残余交絡が存在する可能性があり、糖尿病そのものががん発症に寄与しているかどうかは不明であった。International Journal of Cancer誌オンライン版2019年3月30日号に掲載。

β遮断薬長期投与、肝硬変の代償不全を予防/Lancet

 代償性肝硬変および臨床的に重要な門脈圧亢進症(CSPH)の患者では、β遮断薬の長期投与により代償不全(腹水、胃腸出血、脳症)のない生存が改善されることが、スペイン・バルセロナ自治大学のCandid Villanueva氏らが実施したPREDESCI試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年3月22日号に掲載された。肝硬変における臨床的な代償不全は予後不良とされる。CSPHは、肝静脈圧較差(HVPG)≧10mmHgで定義され、代償不全の最も強力な予測因子だという。

がんサバイバーのオピオイド使用、米国での実態/JCO

 オピオイド依存が深刻な米国では、疼痛マネジメントへの懸念も高いようだ。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのTalya Salz氏らは、「がんサバイバーは、オピオイド関連被害を受けるリスクが高い可能性がある」として、オピオイドの継続的使用と高用量使用について、大腸がん、肺がん、乳がんの高齢がんサバイバーと非がん対照集団の比較解析を行った。これまで、診断後のオピオイド使用の経時的傾向は知られていなかったという。

長期PPI使用と認知症リスク

 プロトンポンプ阻害薬(PPI)と認知症リスクの潜在的な関連性については、相反するデータが報告されている。台湾・国立台湾大学のShih-Tsung Huang氏らは、高齢者におけるPPI使用とその後の認知症リスクの関連について検討を行った。Clinical Pharmacology and Therapeutics誌オンライン版2019年3月12日号の報告。  混合軌跡モデリング(group-based trajectory modeling)を用いて、3年以上の長期PPI使用に関して異なるグループを特定し、5年のフォローアップ期間におけるPPI使用と認知症との関連を調査した。

こんなにある子供の便秘サイン

 2018年3月18日、EAファーマ株式会社は、「大人が知らない『子供の慢性便秘症』の実態と世界標準へと歩み出した最新治療~便秘難民ゼロを目指して~」をテーマに、都内でプレスセミナーを開催した。  セミナーでは、子供が抱える「言うに言えない便秘の悩み」に大人がどう気付き、診療へ導くのか解説された。セミナーでは、十河 剛氏(済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科)を講師に迎え、小児の便秘症について詳しくレクチャーを行った。

診療科別、サービス残業の実情

 ケアネットでは2019年3月、会員医師約1,000人を対象に「医師の働き方改革」に関するアンケートを実施した。前編では、医師たちの時間外労働の現状と規制への賛成・反対意見について結果を報告している。今回は、支払いのない時間外勤務“サービス残業”の実態について、アンケート結果を発表する。  “サービス残業”だと感じている時間数について尋ねたところ、“なし”と答えた医師は21.2%。50%以上の医師が毎週少なくとも6時間以上のサービス残業はあると感じており、19.5%は週20時間以上がサービス残業になっていると回答した。

日本ではC. difficile感染症の多くが見過ごされている?

 Clostridioides(Clostridium) difficileは、先進国における医療関連感染性下痢症の主要な原因である。後ろ向き研究では、日本では欧州や北米よりC. difficile感染症(CDI)の発生率が低いことが示されている。CDI発生率が実際に低いのか、不適切なC. difficile検査によるものかを調べるため、国立感染症研究所の加藤はる氏らが前向き研究を実施した。その結果、臨床的に意義のある下痢症患者を積極的に検査することによって、CDI発生率はわが国における今までの報告より高かった。この結果から、著者らは「日本ではCDI診断のための細菌学的検査が不適切であるため、多くのCDI患者が見過ごされていることを示唆している」と述べている。Anaerobe誌オンライン版2019年3月11日号に掲載。

絶食治療患者の消化吸収力と血糖管理/糖尿病学の進歩

 2019年3月1~2日に開催された第53回糖尿病学の進歩において、瓜田 純久氏(東邦大学総合診療・救急医学講座)が「絶食治療を要する疾患で救急搬送された糖尿病患者の臨床経過と栄養管理」について講演し、絶食治療による消化吸収とそれに付随する血糖値変動について講演した(特別企画1:低栄養リスクのある糖尿病患者の栄養サポートと栄養管理)。  慢性的な栄養不足は、栄養障害によるランゲルハンス島細胞の栄養不良、β細胞量と機能の低下などを引き起こす。そして、救急搬送される患者の多くには、β細胞機能不全を招くほどの急性の負荷が生じている。このような状況下での低栄養を防ぐため、瓜田氏は同施設における2005年7月からの1,531名のカルテを用いて、糖尿病患者の急性疾患時の栄養状態をケトアシドーシス以外の観点から解析した。

血液1滴で13がん種を同時診断、日本発miRNA測定技術

 血液中に含まれるマイクロRNA(miRNA)をマーカーとして、13種類のがんを同時診断する検査システムの開発が進み、実用化が近づいている。2019年3月1日、都内で「1滴の血液や尿で、がんが分かる時代へ」と題したメディアセミナーが開催された(共催:日本臨床検査薬協会、米国医療機器・IVD工業会)。落谷 孝広氏(国立がん研究センター研究所分子細胞治療研究分野)が登壇し、自身が開発のプロジェクトリーダーを務めるmiRNAによるリキッドバイオプシーの精度や、実用化に向けた動きなどについて解説した。

最新鋭のがん患者用手引きHPで公開-静岡がんセンター

 近年、がん治療の分野では、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤などの新薬が次々に発売されている。また、多剤併用による治療、外来患者の増加により、治療・副作用対策の指導が複雑なものになりつつある。そんな折、2019年2月25日に静岡県立静岡がんセンターは、これらの問題を解決するべく、「処方別がん薬物療法説明書【患者さん向け】」をホームページ上に公表した。  この説明書は、抗がん剤治療の全貌がわかるように作成されている。そして、これを患者に渡すのは医師であり、がん薬物療法の決定後、治療前に患者へ手渡しされる。その後、薬剤師や看護師がその冊子を用いて、必要に応じて説明を行うそうだ。