大腿骨頸部の関節形成術後に圧迫寒冷療法を行うことで、術後出血が減り、術後の鎮痛薬使用の減少および入院期間の短縮、創部の浸出液の減少、術後6週時点の疼痛もより小さい傾向がみられたことが報告された。オランダ・Spaarne HospitalのLeegwater氏らが、患者30例を対象とした無作為化試験の結果、報告したものである。圧迫寒冷療法は、急性期の細胞損傷処置で効果的に用いられている。Game Ready Systemは周期的圧縮と寒冷療法を組み合わせたものだが、これまで大腿骨頸部全置換術(THA)における効果について無作為化試験は行われていなかった。Hip international誌オンライン版2102年10月31日号掲載の報告。
待機的大腿骨頸部の関節形成術を受けた30例を2群に無作為化し評価を行った。15例はトリコット編地の包帯で圧迫処置のみを受け、15例は圧迫包帯処置に加えて間欠的寒冷圧迫療法(30分間を15回)を行った。
術後痛、モルヒネ使用、出血、創部の浸出液、患者と医療スタッフの満足度とともに、圧迫寒冷装置の実行可能性、総入院期間、感染率、深部静脈血栓症と、短期的な人工関節関連の問題を観察した。
主な結果は以下のとおり。
・被験者30例は、平均年齢68歳(範囲:31~83歳)、変形性関節症の末期で、待機的大腿骨頸部関節形成術を受けた。
・術後1日目のヘモグロビン値は、対照群は2.34mmol/L、介入群は1.87mmol/L下落した(p=0.027)。
・術後3日目のヘモグロビン値は、それぞれ2.63、2.16ずつ減少した(p=0.646)。
・介入群では、モルヒネ使用がより少なく、入院期間がより短く、創部の浸出液量もより少ない傾向がみられた。
・術後痛スコアの有意差は認められなかった。
・深部静脈血栓症イベントは対照群で1例発生した。
(ケアネット)