医療一般

早期TN乳がん術前療法におけるペムブロリズマブ投与時刻とpCRの関連/日本臨床腫瘍学会

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の投与時刻が治療効果と関連する可能性が示唆されているが、乳がんにおけるエビデンスは限られている。第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)では、早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の術前療法におけるペムブロリズマブの投与時刻と病理学的完全奏効(pCR)の関連について後ろ向きに検討した2つの単施設研究の結果を、国立がん研究センター中央病院の齋木 琢郎氏とがん研究会有明病院の久野 真弘氏がそれぞれ発表した。

AFアブレーション後のDOAC、Apple Watchで服用日数を95%削減/日本循環器学会

 心房細動(AF)に対するカテーテルアブレーション術後において、ガイドラインでは脳梗塞・全身塞栓症リスク(CHA2DS2-VAScスコア)に基づいて長期的な抗凝固療法の継続が推奨されている。しかし、術後にAFが抑制されている患者においても一律に直接経口抗凝固薬(DOAC)を継続することは、出血リスクの増加や医療コストの増大を招く懸念がある。そこで、アブレーション術後の患者において、Apple Watchを用いてAFをリアルタイムで検出することで、必要な時だけDOACを服用する「イベント駆動型」戦略について、安全性と有効性を検証する多施設共同研究「Up to AF Trial」が実施された。その結果、DOACの服用日数を約95%削減しつつ、追跡期間中に脳梗塞や重大な出血イベントは発生しなかったことが示された。

ベンゾジアゼピン使用は自殺リスクに影響しているのか

 ベンゾジアゼピン(BZD)は、精神疾患の治療に広く用いられているが、BZD使用開始が自殺行動に及ぼす影響については、これまでの研究で明らかにされていない。米国・インディアナ大学のMarianne G. Chirica氏らは、BZD使用開始前後の自殺行動の時間的ダイナミクスを調査し、患者のサブグループにおけるリスクパターンを検証した。Psychiatry Research誌2026年3月号の報告。  2016~19年の匿名化されたデータベースであるOptum Clinformatics Data Martから得られたBZD使用歴のある患者69万1,517例(年齢範囲:13~64歳)を対象に調査を行った。

EGFR変異陽性NSCLC、オシメルチニブに局所療法を追加すべき患者は?(NorthStar)/ELCC2026

EGFR遺伝子変異陽性の局所進行または転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)において、局所地固め療法(LCT)の有効性や、LCTのベネフィットを受ける集団は、十分に検討されていない。そこで、未治療のEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者を対象に、導入療法後のオシメルチニブ+LCTの有用性を検討する海外第II相無作為化比較試験「NorthStar試験」が実施されている。本試験の1次解析では、LCTの追加により主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)が改善したことが示された。また2次解析の結果、導入療法後のリンパ節転移の消失や胸水の消失が、LCTの有効性の予測因子となる可能性が示された。欧州肺がん学会(ELCC2026)において、Saumil N. Gandhi氏(米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンター)が本試験の2次解析の結果を報告した。

テストステロン補充療法は膝関節全置換術後の合併症リスクを高める?

 米国でテストステロン補充療法(TRT)の利用者が急増する中、膝関節全置換術(TKA)を受ける患者にとっては、このホルモンがより高いリスクをもたらす可能性があるようだ。新たな研究で、手術前の1年以内にTRTを受けていた患者は、術後に感染症、血栓、腎障害、肺炎、膝関節の不安定性などの合併症の発症リスクが高いことが示された。米Hospital for Special Surgeryの整形外科医であるBrian Chalmers氏らによるこの研究結果は、米国整形外科学会(AAOS)年次総会(AAOS 2026、3月2〜6日、米ニューオーリンズ)で発表された。  研究グループによると、テストステロン補充療法の処方件数は2019年の730万件から2024年には1100万件超へと増加している。

62万人の解析で見えてきた、日本人のバレット食道リスクとは

 「バレット食道」は、胃酸などの逆流によって食道の粘膜が本来とは異なるタイプの細胞(円柱上皮)に置き換わる状態を指す。この状態は、将来的に食道腺がんの発生母地になることが知られている。今回、日本人約62万人の大規模データを解析した研究から、胃食道逆流症(GERD)や食道裂孔ヘルニアなどが、日本人におけるバレット食道のリスク因子である可能性が示された。研究は、静岡県立総合病院消化器内科の平田太陽氏、静岡社会健康医学大学院大学の菅原照氏、名古屋市立大学大学院医学研究科の中谷英仁氏らによるもので、詳細は2月6日付で英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

意欲低下と抑うつの併存、高齢者の多面的フレイルと関連か

 高齢者のフレイルは身体機能だけでなく、認知、社会、口腔など多面的な側面を持つことが知られている。今回、地域在住高齢者を対象とした研究で、意欲低下(アパシー)と抑うつ症状はいずれも身体・認知・社会フレイルと関連し、両者を併存する場合には口腔を含む多面的フレイルとの関連が示唆された。研究は、島根大学医学部内科学講座内科学第三の黒田陽子氏、同大学地域包括ケア教育研究センター(CoHRE)の安部孝文氏らによるもので、詳細は2月6日付で「Geriatrics & Gerontology International」に掲載された。

乳がんオリゴ転移、今わかっていること・いないこと/日本臨床腫瘍学会

 乳がんオリゴ転移については、手術や放射線療法などの局所療法が検討されるが、その有効性についての報告は多くが後方視的検討であり、どのような患者にどの治療を選択すべきかについて明確なコンセンサスは得られていない。第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)において、東京科学大学病院の石場 俊之氏が「乳癌オリゴ転移の今とJCOG2110(OLIGAMI試験)の可能性」と題した講演を行い、近年の研究結果と現在患者登録中のOLIGAMI試験の概要について解説した。

年収2,000万円以上の割合は? 地域・診療科による違いは?/医師1,000人アンケート

 ケアネットでは、2026年3月に会員医師1,000人(男性883人、女性117人)を対象として「年収に関するアンケート」を実施した。その結果、1,000万~2,000万円の割合は58.0%、2,000万円以上の割合は24.0%であり、8割超が1,000万円以上であった。  全体で最も多い年収帯は2,000万~2,500万円(全体の13.7%)で、次点が1,400万~1,600万円(13.3%)であった。2016年に実施した調査結果と比較すると、1,000万円以下、1,000万~2,000万円、2,000万円以上の割合は、2016年がそれぞれ21.2%、58.8%、20.0%であったのに対し、2026年がそれぞれ18.0%、58.0%、24.0%であり、やや年収の上昇傾向がみられたが、大きな変化はなかった。

日本のアルツハイマー病患者における介護者負担と神経精神症状との関係

 地域在住のアルツハイマー病患者を対象とした先行研究では、認知症における重度の神経精神症状(NPS)と介護負担との関連が報告されている。鹿児島県・あいらの森ホスピタルの永田 智行氏らは、日本における地域在住のアルツハイマー病患者の家族介護負担、認知症のNPS、介護サービスの利用状況の現状を調査した。Psychogeriatrics誌2026年3月号の報告。  地域在住のアルツハイマー病患者の同居家族介護者を対象に、2023年11月13~27日にウェブベースの質問票を用いて調査を実施した。パネルデータに登録された8,108人の参加者の中から、705人の家族介護者(年齢範囲:19~79歳)を抽出した。参加者は、神経精神医学的評価尺度(Neuropsychiatric Inventory-Brief Questionnaire)の日本語版に回答した。

待機的PCIの実施率、国内で4倍以上の地域格差~J-PCIレジストリ/日本循環器学会

 日本国内における待機的経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の実施件数には、依然として地域ごとに4倍以上の大きな格差が存在し、人口、面積当たりのPCI実施可能施設の密度が過剰介入に関連している可能性が、J-PCIレジストリを用いた大規模解析より示唆された。齋藤 佑一氏(千葉大学医学部附属病院 循環器内科)が3月20~22日に開催された第90回日本循環器学会学術集会のLate Breaking Cohort Studies 4にて報告した。  2013年のDPCデータを用いた先行研究では、急性心筋梗塞(AMI)に対する人口10万人当たりのPCI実施件数は全国で比較的均一であった一方、安定冠動脈疾患(安定狭心症)に対する待機的PCIの実施件数には顕著な地域差があることが示されていた。

KRAS G12C変異陽性大腸がん、ソトラシブ+パニツムマブのアジア人・長期の有用性(CodeBreaK 300/101)/日本臨床腫瘍学会

 既治療のKRAS G12C変異陽性の転移大腸がん(mCRC)において、選択的KRAS G12C阻害薬ソトラシブと抗EGFR抗体パニツムマブの併用療法は、第III相CodeBreaK 300試験および第Ib相CodeBreaK 101試験において有用性が示され、すでに米国と日本において承認されている。今回、本レジメンのアジア人に対する有用性と、長期にわたる臨床的ベネフィットが確認された。第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO 2026)において九州がんセンターの江崎 泰斗氏がアジア人サブグループ解析の結果を、国立がん研究センター東病院の久保木 恭利氏が両試験を統合した長期生存解析の結果を報告した。

日本の成人血液腫瘍の5年純生存率の推移:2000~14年(CONCORD-3)

 日本における成人血液腫瘍患者の5年純生存率(net survival)は2000~14年に全体的に改善し、その改善は高齢患者よりも若年患者においてより顕著であったことが、世界的ながん生存率調査を目的としたCONCORD-3プログラムの日本人データを用いた分析により示された。国立病院機構 四国がんセンターの吉田 功氏らがJapanese Journal of Clinical Oncology誌2026年3月号で報告した。  本研究では、国内16の地域がん登録データから、2000~14年に骨髄系またはリンパ球系悪性腫瘍と診断され、2014年12月31日まで追跡された成人患者(15~99歳)のデータを分析した。

コラーゲンサプリ、皮膚と関節の健康に有益な可能性

 コラーゲンのサプリメント(以下、サプリ)には、皮膚の健康を改善し、加齢による変形性関節症の痛みを軽減するなど、一定の効果があることが、新たなエビデンスレビューで明らかになった。コラーゲンサプリを摂取している間は皮膚の弾力性と水分量が改善し、変形性関節症による痛みやこわばりも緩和されることが示された。サプリによるこのような効果は、摂取期間が長いほど大きくなることも確認されたという。英アングリア・ラスキン大学公衆衛生学分野のLee Smith氏らによるこの研究結果は、「Aesthetic Surgery Journal Open Forum」に1月30日掲載された。Smith氏は、「コラーゲンは万能薬ではないが、継続的に摂取することで、特に皮膚や変形性関節症に対して信頼できる効果がある」と述べている。

EGFR変異NSCLC、アミバンタマブ+ラゼルチニブがアジア人でもOS良好(MARIPOSA)/日本臨床腫瘍学会

EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療として、アミバンタマブ+ラゼルチニブは、国際共同第III相無作為化比較試験「MARIPOSA試験」において、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を改善することが示されている1)。第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)において、本試験のアジア人集団におけるOSなどのアップデート解析結果が、林 秀敏氏(近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門 主任教授)により発表され、アミバンタマブ+ラゼルチニブは、アジア人集団においてもオシメルチニブ単剤と比較してOSが良好であることが示された。なお本演題は、欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia2025)のアンコール演題であったが、日本人集団のpost-hoc解析結果が追加された。

HR+HER2-転移・再発乳がんへのSG、日本人での有効性と安全性(ASCENT-J02)/日本臨床腫瘍学会

 日本人の既治療HR+HER2-転移・再発乳がんに対するサシツズマブ ゴビテカン(SG)の有効性・安全性を評価した非盲検第I/II相ブリッジング試験(ASCENT-J02試験)の結果、国際第III相TROPiCS-02試験における結果と同程度の効果が認められ、安全性についても既知の安全性プロファイルと同様であったことが報告された。国立国際医療センターの下村 昭彦氏が、第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)で同試験の第II相HR+HER2-転移・再発乳がんコホートの結果を発表した。

虚血の急性期治療が瘢痕関連VTアブレーション成績に及ぼす影響~TITAN-VT/日本循環器学会

虚血性心筋症(ICM)に伴う瘢痕組織関連心室頻拍(VT)に対するカテーテルアブレーションは、急性心筋梗塞(AMI)発症から5時間以内の早期再灌流により良好な結果をもたらすことが、「TITAN-VT研究」より示唆された。西村 卓郎氏(東京科学大学 循環器内科)が3月20~22日に開催された第90回日本循環器学会学術集会のLate Breaking Cohort Studies 1にて報告した。  AMIに対する早期再灌流は、梗塞サイズを縮小し、左室機能の保存や生存率の向上に寄与するため、最新の『急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)』ではST上昇型心筋梗塞(STEMI)の発症から90分以内に搬送し、primary PCIを実施することが推奨されている1)。

リチウムが高齢の軽度認知障害患者の言語記憶低下を抑制か

 気分障害の治療に用いられるリチウムは、抑うつや不安などに有効であるだけでなく、脳にも利点をもたらすようだ。予備的な臨床試験で、低用量のリチウムの錠剤が、軽度認知障害(MCI)がある高齢者の言語記憶能力の低下を遅らせる可能性が示された。米ピッツバーグ大学精神医学分野のAriel Gildengers氏らが実施したこの試験の詳細は、「JAMA Neurology」に3月2日掲載された。Gildengers氏らは、「今回の臨床試験の結果は決定的なものではないが、より大規模な追加試験を実施する必要性を示すには十分な有望な兆候が得られた」と説明している。

うつ病患者の死亡リスク低下に有効な食事パターンは?

 食事は、うつ病の発症に重要な役割を果たしている。しかし、食習慣がうつ病患者の死亡率に及ぼす影響は、これまで明らかになっていなかった。中国・中南大学のHonghui Yao氏らは、成人うつ病患者における6つの食習慣とすべての原因による死亡率および死因別死亡率との関連性を調査した。European Journal of Nutrition誌2026年2月12日号の報告。  対象は、英国バイオバンクの参加者のうち、うつ病と診断され、診断後24時間食習慣評価を1回以上受けた5,368例(2006~10年に登録)。食事データは、ベースライン時および4回のオンラインフォローアップ調査を通じて収集した。

変わるドライアイ治療:“自覚症状”に着目した新しい治療選択肢の登場/千寿

 2026年3月、千寿製薬は世界初のTRPV1拮抗作用を持つドライアイ治療薬、モツギバトレプ(商品名:アバレプト懸濁性点眼液0.3%)に関するプレスセミナーを開催した。セミナーではモツギバトレプの開発経緯の紹介の後、堀 裕一氏(東邦大学医療センター大森病院 眼科 教授)が「ドライアイの新たな側面を捉える」というテーマで講演をした。  日本国内のドライアイ患者は2,200万人を超えるとされており、現代のライフスタイルや高齢化によって患者数は増加傾向にある。ドライアイは涙液層の安定性の低下と瞬目時の摩擦亢進が相互に悪循環を形成することで炎症が起こり、眼表面障害と眼の乾きや不快感などの症状を引き起こす。これらの症状は患者さんのQOL低下につながることが示唆されており、実際に患者さんの治療に対するニーズは自覚症状に対する早期の改善効果である。