医療一般

HR+/HER2-進行乳がんに対するパクリタキセル+ベバシズマブへのアテゾリズマブ追加、PFSの改善みられず(JCOG1919E/AMBITION)/ASCO2026

 ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)進行乳がんは免疫学的に「cold」な腫瘍とされ、免疫チェックポイント阻害薬の臨床的有用性は限定的と位置付けられる。一方、VEGFを介した血管新生は免疫抑制的な腫瘍微小環境を促進するため、VEGF阻害により免疫抑制状態を解除し、免疫療法への応答を増強できると考えられる。こうした背景のもと、パクリタキセルおよびベバシズマブへのアテゾリズマブの上乗せ効果を検証する第III相JCOG1919E(AMBITION)試験が国内24施設で実施された。その主要解析結果を、愛知県がんセンターの原 文堅氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO 2026)で報告した。

HER2陽性進行胃食道腺がん、zanidatamab+チスレリズマブはPD-L1発現にかかわらず有効(HERIZON-GEA-01)/ASCO2026

 今年1月に行われた米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO GI 2026)で発表されたHERIZON-GEA-01試験では、HER2陽性局所進行または転移のある胃食道腺がん1次治療において、化学療法に二重HER2標的抗体zanidatamabと抗PD-1抗体チスレリズマブを追加することで、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の改善が示された。5月29日~6月2日に行われた米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO 2026)では、韓国・延世がんセンターのSun Young Rha氏が、本試験におけるPD-L1サブグループの解析結果を報告した。

小細胞肺がん脳転移例の2次治療、タルラタマブがCNS進行リスクを低下(DeLLphi-304)/ASCO2026

 小細胞肺がん(SCLC)では脳転移を来す患者が多く、脳転移を有する患者の予後は不良である。しかし、脳転移を有するSCLCの2次治療において、タルラタマブが良好な治療成績を示す可能性がある。プラチナ製剤を含む化学療法後に進行したSCLC患者を対象とした国際共同第III相試験「DeLLphi-304試験」1)において、ベースライン時に脳転移を有する患者のpost-hoc解析が実施された。その結果、タルラタマブは化学療法と比較して、中枢神経系無増悪生存期間(CNS PFS)を延長し、全生存期間(OS)も改善した。本研究結果は、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)において、Giannis S. Mountzios氏(ギリシャ・Henry Dunant Hospital Center)によって報告された。

パーキンソン病患者を支援する遠隔診療への期待/アボット

 アボットは、2025年7月に発売したパーキンソン病(PD)などの治療に使用される脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation:DBS)の治療機器、充電式脳深部刺激システム「Liberta RC DBSシステム」が、令和8年の診療報酬改定で「遠隔プログラミング」として新たに算定されたことに寄せ、都内でPDの診療に関するメディアセミナーを開催した。  DBSはジスキネジア(自分の意思に反する身体の動き)などにより日常生活に支障がある患者に対し、前胸部の皮下に植え込んだ刺激装置から脳深部に電気刺激を与えることで、異常な神経信号を中断し、運動症状の改善を図る治療法。DBSの認定医は脳神経外科医の約3%程度である一方で、遠方などの患者の通院負荷が課題とされていた。

統合失調症スペクトラム症に最適な抗精神病薬の投与量は?

 急性期の統合失調症スペクトラム症に対する最適な抗精神病薬の用量に関する研究が進められている。しかし、依然として不明点が多く残存している。ドイツ・ミュンヘン工科大学の古川 由己氏らは、急性期統合失調症における抗精神病薬の用量反応関係を明らかにするため、2段階アプローチよりも多くの情報を活用した1段階用量反応メタ解析を実施した。EClinicalMedicine誌2026年3月26日号の報告。  2025年1月13日までのCochrane Schizophrenia Groupレジストリーおよび2026年1月19日までのPubMedより、成人および小児・青年の急性期統合失調症患者を対象に、20種類の抗精神病薬を固定用量で検討した研究を検索した。

バージンオリーブオイルが脳に良い可能性とその理由

 バージンオリーブオイル(VOO)は、腸や脳に良い影響を及ぼす可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。一方、一般的により安価で販売されている精製オリーブオイルには、そのような効果が認められないという。ルビーラ・イ・ビルジーリ大学(スペイン)のJiaqi Ni氏らの研究によるもので、詳細は「Microbiome」に1月24日掲載された。論文の筆頭著者である同氏は、「全てのオリーブオイルが認知機能に良い影響を与えるわけではない」と述べている。

免疫療法の適応とならない転移TN乳がん1次治療のSG、PFS2と後治療までの期間(ASCENT-03)/ASCO2026

 ASCENT-03試験において、PD-(L)1阻害薬の適応とならない転移のあるトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の1次治療で、サシツズマブ ゴビテカン(SG)が化学療法より無増悪生存期間(PFS)を改善したことがすでに報告されている。今回、PFS2と後治療までの期間を解析した結果、クロスオーバー率が高いにもかかわらずPFS2がSGで長く、最初と2番目の後治療までの期間がどちらもSG群で長かったことがわかった。米国・Dana-Farber Cancer InstituteのSara M. Tolaney氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。

大腸がん術後患者の運動プログラム、費用対効果検証でも有益(CHALLENGE)/ASCO2026

 2025年の米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025)で発表されたCHALLENGE試験は、大腸がん術後患者に対する構造化運動プログラムが生存期間を延長することを示し、NEJM誌に同時掲載されるなど大きな注目を集めた。  CHALLENGE試験では、StageIIIまたは高リスクStageIIの大腸腺がんで切除術を受け、術後補助化学療法を完了した患者を対象に、標準的な経過観察と健康教育資料の提供のみを受ける群、健康教育資料+3年間の構造化運動プログラム(structured exercise program:SEP)を受ける運動群に1対1の割合で割り付けた。

未治療尿路上皮がんへのEV+ペムブロリズマブ、3.5年の長期解析結果(EV-302/KEYNOTE-A39)/ASCO2026

 EV-302/KEYNOTE-A39試験の結果に基づき、エンホルツマブ ベドチン(EV)+ペムブロリズマブ併用療法は、未治療の局所進行または転移を有する尿路上皮がんに対する標準治療となっている。英国・Barts Cancer InstituteのThomas Powles氏は、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で、3.5年時点における同試験のフォローアップ解析結果を発表した。 ・対象:未治療の局所進行/転移を有する尿路上皮がん患者(GFR≧30mL/分、ECOG PS≦2)

小型NSCLC、複雑区域切除の治療成績は?(JCOG0802/WJOG4607L) /ASCO2026

 臨床病期IA期で最大腫瘍径2cm以下の肺野末梢小型非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、区域切除と肺葉切除を比較した無作為化非劣性検証試験「JCOG0802/WJOG4607L試験」のpost-hoc解析の結果、複雑区域切除は単純区域切除と同様に、肺葉切除と比較して全生存期間(OS)改善傾向を示し、呼吸機能の低下も小さかった。一方、局所領域再発リスクは肺葉切除より高かった。米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)において、上垣内 篤氏(広島大学病院 呼吸器外科)が結果を報告した。

高尿酸血症リスク、1日6~28gの大豆食品摂取で低下

 大豆食品の摂取と高尿酸血症の発症との関連を評価した、大規模前向きコホート研究の結果、大豆食品の摂取は高尿酸血症リスクと非線形的かつ逆相関の関係にあることが示された。1日当たり6~28gの大豆食品摂取で最も顕著なリスク低減効果が観察された。中国・Minhang District Center for Disease Control and PreventionのXiaoli Xu氏らによるNutrients誌2026年4月24日号掲載の報告。  本研究では、上海市郊外成人コホート・バイオバンク(SSACB)のベースラインおよび追跡調査データを用いて、食事と高尿酸血症発症率(男性:血清尿酸値420μmol/L以上、女性:360μmol/L以上)を評価した。29の食品カテゴリーからなる食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて、過去12ヵ月間の食品摂取量を定量化した。

統合失調症に対するブレクスピプラゾール2~4mgの有用性評価:メタ解析

 ブレクスピプラゾールは、統合失調症治療薬として承認された新規ドーパミンD2パーシャルアゴニストであり、D2、5-HT1A、5-HT2A受容体への作用バランスを取ることで、有効性と忍容性を向上させた薬剤である。パキスタン・イスラマバード大学のSher Bano氏らは、ブレクスピプラゾール2~4mg/日の有効性と安全性に関する最新のエビデンスを評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。PCN Reports誌2026年4月12日号の報告。  PubMed、ScienceDirect、Cochrane Libraryより、2011~25年に公表された研究を、特定のキーワードを用いて検索した。

StageIAのHER2+乳がん、術後カペシタビン+トラスツズマブで5年iDFS率97.8%(IRIS-A)/ASCO2026

 StageIAのHER2陽性(HER2+)乳がんにおいて、カペシタビンとトラスツズマブによる術後療法により97.8%という優れた5年無浸潤疾患生存(iDFS)率が得られ、治療継続に影響を及ぼす有害事象は認められなかったことがIRIS-A試験で示された。中国・Fudan University Shanghai Cancer CenterのRuo-Xi Wang氏らが米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。  IRIS試験シリーズは、早期HER2+乳がんにおける静脈内化学療法を行わない術後療法のde-escalationを検討する単群第II相試験として設計された4つの試験で、IRIS-A試験はカペシタビン6サイクルとトラスツズマブ1年間の併用を検討。

BRAF V600E変異転移大腸がんに対するEC+FOLFIRI、PFS・OSを改善(BREAKWATER)/ASCO2026

BRAF V600E変異陽性転移大腸がん(mCRC)は予後不良で知られ、従来の1次治療ではFOLFOX系またはFOLFIRI系±ベバシズマブが標準療法として用いられてきた。BREAKWATER試験では、BRAF阻害薬エンコラフェニブと抗EGFRモノクローナル抗体・セツキシマブの併用(EC)+mFOLFOX6が従来の標準療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効率(ORR)を有意に改善したことが報告されている。  一方、実臨床ではオキサリプラチン不適応例に対してFOLFOX に替えてFOLFIRIを併用するレジメンも用いられていることから、BREAKWATER試験では同レジメンとEC+FOLFIRIを比較する「コホート3」が設定された。

麻しんの現状を解説/感染症クォータリーレポート

 ケアネットライブにて4半期に1回実施している感染症クォータリーレポート。6月3日に配信された2026年第2クォーターの報告を期間限定で無料公開する。  感染症クォータリーレポートでは感染症専門医である国立国際医療センター・国際感染症センターの石金 正裕氏が、世界の病原微生物の流行状況を4半期ごとにレポートしている。  第2クォーターでは麻しんを取り上げる。

ACC/AHA脂質異常症GLで格上げの石灰化スコア、30分の心臓ドックで評価/CVIC

 心臓画像診断を専門とする医療法人社団CVIC心臓画像クリニック飯田橋(以下、CVIC)は、30分で心血管リスクを可視化する新サービス「スピーディー心臓ドック」の提供を開始した。これは冠動脈石灰化スコア、大動脈石灰化スコア、心血管バイオマーカー検査を組み合わせたもので、非造影CTおよび血液検査によって行われる。この中に含まれる冠動脈石灰化スコアは、近年その重要性が明らかになっており、米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)の合同委員会が関連学会とともに2026年3月に公開した『脂質異常症管理ガイドライン2026年版』1)において、推奨度が引き上げられた。

atypical EGFR変異NSCLC、アミバンタマブ+ラゼルチニブのOS中央値41ヵ月(CHRYSALIS-2)/ASCO2026

 非小細胞肺がん(NSCLC)におけるEGFR遺伝子変異の多くは、exon19欠失またはL858R変異などであるが、G719X、S768I、L861Qなどのatypical変異も一定割合で認められる。atypical EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLCでは、既存のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)の効果が限定的であり、治療選択肢の拡充が求められている。そこで、atypical変異を有するNSCLC患者を対象に、アミバンタマブとラゼルチニブの併用療法を評価するCHRYSALIS-2試験コホートCにおいて、長期追跡が行われた。その結果、1次治療としてアミバンタマブ+ラゼルチニブによる治療を受けたatypical EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLC患者において、全生存期間(OS)中央値は41.0ヵ月であった。Joel W. Neal氏(米国・スタンフォードがん研究所)が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で報告した。

日本において軽度うつ病の初回受診時から抗うつ薬が処方される割合は?

 軽度うつ病に対する抗うつ薬の有効性については、依然として議論が続いている。ガイドラインでは、まず心理社会的介入を推奨しているが、実際の臨床現場では抗うつ薬が処方されることが少なくない。杏林大学の浦田 実氏らは、軽度うつ病患者の精神科初診時における抗うつ薬の処方パターンを調査し、処方決定に影響を与える症状関連因子を特定することを目的に、レトロスペクティブカルテレビュー研究を実施した。Pharmacopsychiatry誌オンライン版2026年4月8日号の報告。

1晩2回以上の夜間頻尿、日本人男性40歳以上の3割~2023年全国調査

 夜間に2回以上の排尿はQOLの低下や死亡リスクの増加と関連することが報告されている。今回、山梨大学の吉良 聡氏らが2023年日本における大規模疫学調査(Japan Community Health Survey:JaCS 2023)の参加者において調査した結果、1晩に2回以上と定義される夜間頻尿の有病率は加齢により増加し、男女共に年齢、パフォーマンスステータス(PS)1以上、不眠、高血圧が夜間頻尿と有意に関連していた。International Journal of Urology誌2026年5月号に掲載。  本研究は、下部尿路症状と日常生活に関する48項目の質問票から成る全国規模のオンライン調査であるJaCS 2023のデータを用い、20~99歳の参加者6,210人を対象に評価を行った。

高血圧治療補助アプリ、オンライン算定点数の新設や要件緩和へ/CureApp

 株式会社CureAppが開発・提供する「CureApp HT 高血圧治療補助アプリ」について、令和8年度(2026年度)診療報酬改定における主な変更点が明らかになった。今回の改定では、同アプリにおけるオンライン診療時の算定点数が新設されたほか、ベースとなる医学管理料の要件緩和が実施された。  今回の診療報酬改定において、「CureApp HT 高血圧治療補助アプリ」に関連する主な変更点は以下の2点である。