医療一般

MCIからアルツハイマー病への進行率は? スクリーニングツールの精度は?

 軽度認知障害(MCI)は、正常な脳老化と病的な脳老化の中間段階であり、30~50%が3~5年以内に認知症へと進行するといわれている。進行リスクの高い患者を早期に特定することは、公衆衛生戦略においてきわめて重要である。イタリア・Italian National Institute of HealthのFlavia L. Lombardo氏らは、MCIからアルツハイマー病への進行リスクを評価した。Alzheimer's & Dementia誌2026年4月号の報告。  MCI患者398例を対象に、INTERCEPTORプロジェクトを実施した。社会人口統計学的、臨床的、神経心理学的、遺伝学的(アポリポタンパク質E)、脳脊髄液(アミロイドβ、タウ)、脳波(脳接続性)、MRI(海馬体積測定)、FDG-PETについて、統一された手順を用いて、ベースライン評価を行った。

糖尿病患者の下痢・便秘に有効なビフィズス菌の種類は?

 2型糖尿病患者の下痢・便秘といった消化器症状にプロバイオティクスであるビフィドバクテリウム・ビフィダムG9-1(BBG9-1)が有効であることをマキノ病院の小林 玄樹氏らが明らかにした。Diabetes, Obesity and Metabolism誌オンライン版2026年4月22日号掲載の報告。  研究者らは、下痢または便秘を伴う2型糖尿病患者100例を対象に12週間の非盲検ランダム化比較試験を実施。対照群またはBBG9-1群に1対1に無作為に割り付け、BBG9-1群にはビフィズス菌を1日12mg投与した。主要評価項目は全解析対象者(BBG9-1群43例、対照群51例)の消化器症状評価尺度(Gastrointestinal Symptom Rating Scale:GSRS)の変化。

眼底写真を基にした「網膜年齢」が健康状態を知る手がかりに?

 目は心の窓であるだけでなく、その人の健康状態を映し出す窓でもある――そんな研究結果が発表された。この研究によると、網膜の早期老化は、糖尿病や心疾患といった重大な病気の兆候となる可能性があるという。東北大学大学院医学系研究科眼科学分野教授の中澤徹氏らによるこの研究結果は、「Communications Medicine」に4月8日掲載された。  網膜は、眼球の奥にある光を感知する細胞層である。研究グループによると、網膜は血管や神経の状態を非侵襲的に観察できる部位であることから、眼の画像データを解析して全身の健康状態や疾患リスクを読み解く「オキュロミクス」と呼ばれる新たな研究領域が注目を集めている。

複数ドナー由来の細胞製剤追加で臍帯血移植に有望な結果

 白血病などの血液悪性腫瘍の患者に対する臍帯血移植で、通常の単一臍帯血移植に加えて、複数ドナー由来の臍帯血を用いて製造された細胞製剤を追加投与する方法が有効である可能性が、臨床試験で示された。小規模な患者集団において、通常の臍帯血製剤の投与後にこのような幹細胞製剤を投与したところ、ほとんどの患者で重度の移植片対宿主病(GVHD)は認められず、28人中27人が少なくとも1年間生存したことが確認されたという。米フレッド・ハッチンソンがんセンターの臍帯血プログラム部門長のFilippo Milano氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of Clinical Oncology」に4月27日掲載された。Milano氏は、「移植患者が実質的に9人の異なるドナー由来の細胞の移植を受けたのは、これが初めてだ」とニュースリリースで述べている。

男性の生殖能力低下、一部のがんリスク上昇と関連

 男性不妊症が一部のがんのリスクと関連しているとする研究結果が報告された。ルンド大学(スウェーデン)のMichael Kitlinski氏らが、1973年以降に同国内で生まれた全ての人の医療記録(Medical Birth Register;MBR)を用いて明らかにしたもので、研究結果は「European Journal of Epidemiology」に2月21日掲載され、4月16日に同大学からリリースが発行された。リリースにおいてKitlinski氏は、「生殖能力が低下している男性は、自然妊娠で父親になった男性と比べて、大腸がんのリスクは約2倍であり、甲状腺がんのリスクは約3倍であることが分かった」と述べている。

過剰な塩分摂取は男性の記憶力を低下させる?

 ソルトシェーカー(塩入れ)に手を伸ばすことは、記憶力や脳の健康に長期的な影響を与えるかもしれない。新たな研究で、ナトリウムの摂取量が多いことは、過去の個人的な経験や特定の出来事についての記憶である「エピソード記憶」に悪影響を及ぼす可能性があることが明らかになった。こうした影響を受けやすいのは主に男性であり、女性では同様の関連は認められなかったという。エディス・コーワン大学(オーストラリア)のSamantha Gardener氏らによるこの研究の詳細は、「Neurobiology of Aging」6月号に掲載された。

T2D合併肥満患者、セマグルチドvs.減量手術

 糖尿病(T2D)と肥満を合併する患者が多いことはよく知られている。こうした患者では、肥満治療薬と減量手術のどちらを利用し、その医療費、臨床転帰はどのようになるだろう。このテーマについて、米国のニューヨーク大学グロスマン医学部公衆衛生学科のKaran R. Chhabra氏らの研究グループは、T2Dと肥満を合併する患者におけるセマグルチドと減量手術の費用と臨床転帰の比較を検討した。その結果、減量手術は3年間の自己負担額が少なく、総医療費は同程度であり、長期的な主要心血管イベント(MACE)発生率も低いことが示された。Obesity誌オンライン版2026年5月6日に掲載。

抗精神病薬+SSRIの併用による突然死や心室性不整脈リスクはどの程度か

 抗精神病薬と選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、それぞれ心室性不整脈または突然死のリスク増加と関連しているといわれている。両薬剤の併用は、リスクをさらに高める可能性があるものの、その臨床的エビデンスは限られている。国立台湾大学のHsiu-Ting Chien氏らは、抗精神病薬とSSRIが併用されている患者における心室性不整脈または突然死のリスクを評価するため、本研究を実施した。JAMA Network Open誌2026年4月1日号の報告。

日本人成人の1日の食事の料理数と心血管疾患リスクの関連

 日本食の「一汁三菜」に代表される、料理の品数が多い食習慣は、心血管疾患による死亡率の低下など、日本人の健康長寿に寄与する因子として注目されている。今回、北海道大学の高林 早枝香氏らが2018〜19年の国民健康・栄養調査のデータを用いた横断研究を行った結果、1日の全食事の料理の数(NDAM)が多い食習慣は、脂質異常症や肥満、高血圧などの心血管リスク因子の低下と関連している可能性が示された。Nutrition Journal誌2026年5月号に掲載。  本研究は、2018〜19年の国民健康・栄養調査に参加した20歳以上の男女2,900人を対象とした横断研究である。NDAMは、飲料を除くすべての料理および食品を含む1日の食事記録(秤量記録法)に基づいて算出された。

プレハビリテーションにより術後合併症が減少

 手術前に、運動や栄養管理をベースにしたプレハビリテーションを実施することで、術後合併症のリスクが大幅に低下することが、新たな研究で明らかになった。そのようなプレハビリテーションを実施した患者では、術後の入院期間も半日程度短縮したという。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)デヴィッド・ゲフィン医科大学のJustine Lee氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American College of Surgeons」に4月29日掲載された。Lee氏は、「今回の結果は、特に合併症リスクの高い患者や、手術前に追加のサポートが有益と考えられる患者に対するプレハビリテーションプログラムの有用性を裏付けるものだ」と述べている。

ガバペンチノイドと併用薬で薬物中毒リスクが上昇か

 ガバペンチノイド系鎮痛薬(以下、ガバペンチノイド)を他の薬剤と併用すると、薬物中毒のリスクが上昇する可能性が、新たな研究で示された。ガバペンチノイドとオピオイド系鎮痛薬(以下、オピオイド)やベンゾジアゼピン系薬剤(以下、ベンゾジアゼピン)の併用はこのリスクを高め、特に治療初期には顕著なリスク上昇が認められたという。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の薬剤疫学者であるKenneth Man氏らによるこの研究は、「PLOS Medicine」に4月16日掲載された。  Man氏らは、「今回の結果は、ガバペンチノイドが安全ではない、あるいは処方すべきではないことを示すものではない。ただ、特に他の薬剤を使用中の患者に処方する際には注意が必要であり、臨床医は患者を慎重にモニタリングする必要がある」とニュースリリースで述べている。

潰瘍性直腸炎は直腸がんリスク上昇と関連せず

 潰瘍性直腸炎患者における直腸がんリスクは一般集団と同程度であるという研究結果が、「Gastroenterology」に2月3日掲載された。  カロリンスカ研究所(スウェーデン)のÅsa H. Everhov氏らは、潰瘍性直腸炎患者における直腸がんリスクを検討した。解析対象は、1997~2023年に直腸炎型の潰瘍性大腸炎と診断された患者1万5,957人(患者群)と、年齢や性別などでマッチさせた15万8,079人(対照群)であった。  その結果、直腸がんおよび高度異形成の累積発生率は、病変の口側進展時点で打ち切りとした解析を含め、患者群と対照群で同程度であった。

ベンラリズマブ、好酸球増多症候群に対し承認取得/AZ

 アストラゼネカは2026年5月18日、ベンラリズマブ(遺伝子組換え)(商品名:ファセンラ皮下注30mgシリンジ/30mgペン)が、「好酸球増多症候群(HES)」に対し、日本で承認を取得したことを発表した。ベンラリズマブは現在、日本、米国、EU、中国を含む80ヵ国以上で重症好酸球性喘息の追加維持治療として承認されており、日本および米国では、6歳以上の小児および青年に対しても承認されている。また、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の成人患者に対する治療薬としても、日本を含む70ヵ国以上で承認されている。

GSKの組換えRSVワクチン、重症化リスクの高い18歳以上に対象拡大

 グラクソ・スミスクラインは2026年5月18日、組換えRSウイルスワクチン(商品名:アレックスビー)について、RSウイルス(RSV)による感染症が重症化するリスクの高い18~49歳の成人を対象として、用法・用量追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表した。  すでに、重症化リスクの高い50~59歳を対象として2024年11月に承認を取得しており、今回の承認により、本邦では重症化リスクの高い18~59歳の成人に使用可能な唯一のRSVワクチンとなる。なお、本剤は母子免疫による新生児・乳児におけるRSV感染症の予防に対する適応はない。

アルツハイマー病に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾールの安全性解析

 アルツハイマー病では、アジテーションが頻繁にみられる。これは、患者にとって大きな負担となっている。従来、アルツハイマー病に伴うアジテーションのマネジメントには、非定型抗精神病薬などが適応外で使用されてきたが、高齢で脆弱な患者において、安全性が懸念されていた。ブレクスピプラゾールは、アルツハイマー病に伴うアジテーションの治療薬として、近年複数の国で承認された非定型抗精神病薬である。これまでの解析では、ブレクスピプラゾールは、最長24週間まで有効性が報告されており、忍容性もおおむね良好であることが示されていた。

加熱式タバコも頻回な頭痛に関連/JASTIS研究

 加熱式タバコは、従来の紙巻タバコより「有害物質が少ない」と一般的に認識されているが、頭痛との関連についてはエビデンスが限られていた。長岡技術科学大学の勝木 将人氏らの研究グループは、日本の大規模インターネット調査のデータを解析した結果、紙巻タバコだけでなく加熱式タバコの使用も、頻回な頭痛の有病率上昇と独立して関連していることを明らかにした。Headache誌オンライン版2026年3月2日号に掲載。  本研究では、2025年2月〜3月に実施された「日本における社会と新型タバコに関するインターネット調査研究プロジェクト」(JASTIS研究)の回答者のうち2万3,228例(年齢中央値49歳、女性49.3%)を対象とした。

CKD患者の筋肉の質が死亡リスク増加と関連

 CKD患者において、MRIで評価した筋肉組成異常(筋肉量低下と筋肉内脂肪浸潤)が全死因死亡リスク増加と関連し、筋肉量の低下だけでなく筋肉の質の悪化が死亡リスク予測に重要である可能性が、スウェーデン・Linkoping UniversityのAinhoa Indurain氏らによって示された。Clinical Journal of the American Society of Nephrology誌オンライン版2026年4月14日号掲載の報告。  研究グループは、UK Biobankのデータを用いてCKDを有する患者(eGFRcys<60mL/分/1.73m2)を特定し、MRIで評価した筋肉組成と全死因死亡との関連を検討した。

75歳以上の降圧薬、ARB vs.Ca拮抗薬~日本人大規模データ

 75歳以上の高齢者では高血圧が多くみられ、心血管疾患や死亡のリスク因子となる。降圧治療の第1選択薬として、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)やカルシウム拮抗薬(CCB)が多く用いられるが、高齢者におけるエビデンスは限られている。そこで、野間 久史氏(統計数理研究所/総合研究大学院大学)、福田 治久氏(九州大学大学院医学研究院)らの研究グループは、本邦の全国規模の医療ビッグデータを用いて、target trial emulationの手法により75歳以上の高齢者におけるARBを含む治療とCCBを含む治療を比較した。その結果、ARBを用いた群はCCBを用いた群と比較して、全死亡、心不全入院、心筋梗塞、脳卒中、主要心血管イベント(MACE)のリスク低下と関連することが示された。

異形成のある炎症性腸疾患患者では大腸腫瘍発症リスクが上昇

 炎症性腸疾患(IBD)患者において異形成を認める場合、将来的な大腸腫瘍(CRN;大腸異形成および大腸がんを含む)のリスクが上昇するという研究結果が、「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に2月16日掲載された。  米ニューヨーク大学グロスマン医学部のJordan Axelrad氏らは、IBD患者における異形成の有無およびタイプ別の臨床経過を検討するため、スウェーデン全国患者登録およびESPRESSO組織病理学コホートを用いた全国規模のコホート研究を実施した。対象は1969~2023年にIBDと診断された患者5万4,534人で、初回の異形成発生エピソードに基づき、異形成なし(ND)、判定保留(IND)、軽度の異形成(LGD)、高度の異形成(HGD)に分類された。

双極症II型の死亡リスクは双極症I型より高いのか?

 双極症II型(BD-II)が長期死亡率の上昇と関連しているかどうかは、依然として不明である。その理由は、ほとんどの研究がBD-IIと双極症I型(BD-I)を区別していないことにある。台湾・長庚大学のChih-Wei Hsu氏らは、BD-IIが一般集団や非双極症の兄弟姉妹、およびBD-I患者と比較して、すべての原因による死亡率および原因別死亡率の上昇と関連しているかどうかを調査した。JAMA Network Open誌2026年4月1日号の報告。  本集団ベースのレトロスペクティブコホート研究では、2000~22年の台湾国民健康保険データベースのデータを使用し、検討を行った。