医療一般

胃がんに初の周術期治療、D-FLOTレジメン承認/AZ

 2026年6月、抗PD-L1抗体デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)が「胃癌における術前・術後補助療法」の適応追加で国内承認された。これまで手術と術後補助化学療法を中心としてきた日本の胃がん治療に、デュルバルマブとFLOT療法を組み合わせた周術期治療の選択肢が加わることとなる。8月4日に開催されたアストラゼネカのメディアセミナーでは、山梨大学医学部外科学講座第1教室教授の市川 大輔氏が「胃がん治療のアンメットメディカルニーズとMATTERHORN試験がもたらすPractice Change」と題して講演を行った。

BMIだけでは心血管リスクを見誤る?腹囲・WHRの意義/JACC

 BMIは全身の肥満度を評価する指標として広く用いられているが、体組成や脂肪分布を反映しにくく、心血管疾患(CVD)リスクの異質性を見落とす可能性がある。腹囲やウエスト・ヒップ比(WHR)は中心性肥満の代替指標であり、BMI区分と一致しない場合も少なくない。そこで、米国・Johns Hopkins Ciccarone Center for Prevention of Cardiovascular Diseaseの Zeina A Dardari氏らは、BMIの標準体重・過体重・肥満区分を腹囲およびWHRで再分類し、9つのCVD関連アウトカムに対する予後的意義を検討した。その結果、腹囲およびWHRは従来のBMI区分におけるリスクの過小・過大評価を同定し、CVDリスクの再分類に有用であることが示された。本研究結果は、Journal of the American College of Cardiology誌2026年8月11日号に掲載された。

認知症サポート制度「チームオレンジ」のメリットとは?

 「チームオレンジ」とは、日本政府の認知症施策推進大綱で掲げられた、認知症に関する国家的な取り組みである。本取り組みは、認知症と共に生きる人やその家族と、研修を受けた地域ボランティア(オレンジサポーター)をつなぐものである。オレンジサポーターは、日常生活における実践的な支援を行うとともに、地域の支援ネットワークの構築を促進する。2023年までに本取り組みは、全国で約1,900のチーム、3万3,000人のサポーターを擁する規模に拡大したが、オレンジサポーターが自身の役割を通じてどのような有益性を感じているかについては、これまで十分に明らかにされていなかった。

長期的な経済的逆境は認知機能低下や脳構造変化と関連か

 経済的逆境は、精神的なストレスを増大させるだけでなく、脳の老化と関連する可能性があるーーそんな研究結果が報告された。若年成人期から中年期にかけて慢性的に経済的困窮を抱えていたり世帯所得が低かった人は、53歳時点で実施された認知機能検査の成績が低い傾向にあることが示された。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のJacques Wels氏らによるこの研究は、7月23日付で「Innovation in Aging」に掲載された。  持続的な経済的逆境が認知機能の加齢に伴う変化や脳の健康に長期的にどのような影響を及ぼすのかは、十分に明らかになっていない。

クレアチンはうつ病改善に役立つ?

 筋力増強を目的に利用されることも多いサプリメントの一つであるクレアチンは、うつ病の治療にも役立つのだろうか? このトピックに関する既報研究をまとめた、オタワ大学(カナダ)のBassam Jeryous Fares氏らによる短報が、「Brain Medicine」に6月30日付で掲載された。それによると、クレアチンがうつ病治療のサポートに有効な可能性はあるものの、十分なエビデンスはまだ得られていないという。  クレアチンは、肉や魚などの食品に含まれているアミノ酸誘導体で、細胞のエネルギー代謝に重要な役割を果たしている。筋力増強作用があることから、筋力トレーニングをしている人の間で、サプリメントとして広く利用されている。

夜型の人では夜遅い食事パターンが肥満関連指標と関連

 夜型の人では、体脂肪が多く、脂質や糖代謝に関連する指標も不良であることが、新たな研究で示された。ニュージーランドの女性287人を対象としたこの研究では、朝型、夜型、中間型のいずれのクロノタイプでも1日の総エネルギー摂取量に大きな差は認められなかった一方、夜型の人では朝の時間帯の摂取量が少なく、夜遅い時間帯の摂取量が多かった。このような食事パターンは、体脂肪率や腹部脂肪の増加、脂質代謝や糖代謝の悪化と関連していることが示されたという。グリフィス大学(オーストラリア)栄養学教授のRozanne Kruger氏らによるこの研究結果は、7月7日付で「Frontiers in Nutrition」に掲載された。

がんの既往歴/家族歴のある女性、原発性肺がんリスク高い

 喫煙歴にかかわらず、がんの既往歴や家族歴を有する成人女性では、新規に原発性肺がんを発症するリスクが有意に高まることが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)East BayのCarissa A. Villanueva氏らによる大規模後ろ向き研究で明らかになった。JTCVS Open誌2026年8月号に掲載。  本研究は、Kaiser Permanente Northern Californiaの2010年1月1日〜2022年12月31日の電子健康記録データを用いた。研究開始時点で肺がんの既往がない18歳以上の成人女性で、期間中に1年以上の加入歴を有する約280万例を抽出。

統合失調症患者の体重管理に有効な薬理学的介入は?

 著しい体重増加は、統合失調症患者が抗精神病薬の服用に伴って経験する懸念すべき有害事象である。統合失調症患者における体重増加の高い有病率と、それが心血管・代謝系疾患の罹患に大きく寄与しているという事実から、抗精神病薬誘発性体重増加および関連する併存疾患の管理について、より明確な合意を形成することが求められている。カナダ・トロント大学のNicolette Stogios氏らは、抗精神病薬治療を受けている統合失調症患者に対する薬物療法と体重変化との関連を評価するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2026年7月8日号の報告。

CKM症候群の突然死リスク、フィネレノンで19%低下(FINE-HEART)

 非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)フィネレノンの有効性と安全性を検証した3件の大規模第III相試験の統合解析「FINE-HEART」の事前規定解析の結果、フィネレノンは心血管・腎・代謝(CKM)症候群における突然死リスクの低下と関連していたことが、イタリア・IRCCS Azienda Ospedaliero-Universitaria di BolognaのAlberto Foa氏らによって示された。これまでの研究で、フィネレノンはCKM症候群の心血管系および腎転帰を改善することが報告されているが、突然死に対する影響は明らかではなかった。Journal of the American College of Cardiology誌2026年8月4日号掲載の報告。

テレビ視聴の多さは脳萎縮と関連

 「テレビばかり見ていると脳がだめになる」という母親の小言は、あながち的外れではないようだ。新たな研究で、テレビを頻繁に視聴することは、複数の脳領域の体積の減少や白質高信号体積の増加と関連することが示された。一方、座位で仕事をすることは、白質高信号体積の減少や複数の脳領域の体積が大きいことと関連していた。白質高信号とは、脳小血管病などによる白質の変化を反映するMRI所見で、白質病変とも呼ばれている。米南カリフォルニア大学(USC)人類進化生物学プログラムのNatan Feter氏らによるこの研究結果は、7月10日付で「Alzheimer’s & Dementia: The Journal of the Alzheimer’s Association」に掲載された。

よくかめる小学生ほど体力が高い傾向、男子でより顕著

 子どもの口腔機能は、食べることだけでなく全身の発育や健康との関わりも注目されている。今回、日本の小学生約1,200人を対象とした研究で、よくかめる小学生ほど体力が高い傾向があり、その関連は男子でより顕著であることが明らかになった。研究は大阪大学大学院歯学研究科有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座の平松里彩氏、高阪貴之氏らによるもので、詳細は7月6日付で「Journal of Dentistry」に掲載された。  子どもの体力は、現在の健康状態だけでなく将来の健康にも影響するとされ、体力に関わる要因を明らかにすることは公衆衛生上の重要な課題となっている。

AST・ALTが高くなる季節は?

 MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)の評価では、ASTやALTなどの肝機能値が広く用いられている。今回、日本人の2型糖尿病患者約6,000人を対象とした研究で、AST・ALTは晩秋から初冬にかけて高く、夏に低い季節変動を示すことが分かった。さらに、この変動はMASLDスクリーニングの判定に影響する可能性も示された。ALTがスクリーニングの判定境界に近かった患者では、約9人に1人で測定季節によって判定が異なったという。研究は、慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室の土岐了大氏、国際医療福祉大学三田病院糖尿病・代謝・内分泌内科の坂本昌也氏らによるもので、詳細は6月19日付の「Liver International」に掲載された。

抗アミロイドβ抗体薬、投与前のAPOE遺伝子検査考慮を追記/厚労省

 2026年8月17日、厚生労働省より添付文書の改訂指示が発出され、抗アミロイドβ抗体薬であるドナネマブおよびレカネマブの「警告」および「重要な基本的注意」の項に、アミロイド関連画像異常(ARIA)のリスク管理などを目的とした「投与開始前のAPOE遺伝子検査の実施考慮」などが追加された。  アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)および軽度認知症患者を対象とした臨床試験や国内外の症例データにおいて、「アポリポ蛋白E対立遺伝子4(APOEε4)ホモ接合型キャリアの患者でARIA(ARIA-浮腫/滲出液貯留[ARIA-E]およびARIA-脳微小出血・脳表ヘモジデリン沈着症・脳出血[ARIA-H])の発現割合、画像上の重症度、症候性ARIAの発現割合がより高い傾向」にあることが認められている。

プラチナ感受性再発卵巣がんの卓越奏効例、PARP阻害薬中止の影響は/JAMA Oncology

 PARP阻害薬による維持療法を受け、卓越奏効(exceptional response)を示したプラチナ感受性再発卵巣がん(PS-ROC)患者を対象とした国際コホート研究の結果、卓越奏効者ではPARP阻害薬を中止しても無増悪生存期間(PFS)は悪化せず、長期的な骨髄系腫瘍の発症も低頻度であると報告された。本研究はオーストラリア・Prince of Wales Hospital and Royal Hospital for WomenのLucy Haggstrom氏らによるもので、JAMA Oncology誌オンライン版に2026年6月25日付で発表されている。

双極症I型に対するアリピプラゾール月1回投与のベネフィットとリスク

 米国・ニューヨーク医科大学のLeslie Citrome氏らは、双極症I型患者の長期維持療法としてのアリピプラゾール月1回投与製剤400mg(AOM 400)のベネフィット・リスク・プロファイルを、治療必要数(NNT)、有害必要数(NNH)、Likelihood of Harm to the Patient(LHH)というエビデンスに基づく指標を用いて評価するため、AOM 400の二重盲検ランダム化比較試験の事後解析を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2026年7月1日号の報告。  データは、AOM 400とプラセボの有効性および安全性/忍容性を比較した52週間の二重盲検ランダム化中止試験より抽出した。

OSASの根本的要因の「肥満」への治療に期待/リリー・田辺ファーマ

 日本イーライリリーと田辺ファーマは、2026年5月に持続性GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチド(商品名:ゼップバウンド)が効能または効果において、「中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(以下“OSAS”)」に対する治療薬として追加承認を取得したことに寄せて、「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の実態と新たな治療選択肢」をテーマに都内でメディアセミナーを開催した。セミナーでは、OSASの病態やリスク、チルゼパチドの概要、診療でのアンメットニーズなどが説明された。

50歳以下の排尿後尿漏れ、座位排尿姿勢が関連~全国調査

 排尿後尿滴下(排尿後尿漏れ)は幅広い年齢層の男性にみられる。今回、そのメカニズムについて、従来の下部尿路症状に関連する因子以外の行動的・機能的因子について、名古屋大学の冨岡 禎史氏らが全国的な疫学調査のサブ解析により検討した。その結果、50歳以下の男性において、座位での排尿姿勢が排尿後尿滴下に独立して関連することが示された。World Journal of Urology誌2026年8月4日号に掲載。

世界で長寿化が進む一方で不健康な期間も拡大

 世界中で人々はこれまでになく長生きするようになったが、延長した人生の多くを健康問題を抱えながら過ごしているようだ。「The Lancet Public Health」8月号に掲載された研究で、平均寿命と健康寿命の差(morbidity gap)は、1990年の8.8年から2023年には10.7年へと約2年拡大したことが示された。  論文の上席著者である米ワシントン大学医学部のChristopher Murray氏は、「この研究結果は、今後の健康増進は、寿命の延長だけでなく、健康な状態で生きる期間を延ばすことによって実現されることを示唆している。健康的な老化の進展は、寿命だけでなく健康寿命によって評価されるべきであり、不健康な状態で過ごす期間(以下、不健康な期間)を減らすためには、予防、長期的な疾患管理、慢性疾患のケアへの投資を拡充する必要がある」とニュースリリースで述べている。

OSAに対する舌下神経電気刺激療法、二次的な健康効果も確認

 舌下神経電気刺激療法(HGNS)は、気道陽圧呼吸(PAP)療法を継続できない閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)患者に対する治療選択肢である。このほど新たな研究で、HGNSを受けた人ではPAP療法を継続できなかった人と比べて、初診から2年以降に糖尿病や高血圧と診断されるリスクが低かったことが示された。米シカゴ大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科のNeil Kondamuri氏らによるこの研究の詳細は、7月16日付で「JAMA Otolaryngology-ead & Neck Surgery」に掲載された。Kondamuri氏らは、「HGNSがPAP療法に代わる治療法となり得ることを支持する結果だ」との見解を示している。

治療抵抗性うつ病に対するSGA増強療法、その有効性・安全性は?

 治療抵抗性うつ病は、うつ病患者の多くに影響を及ぼしており、依然として治療上の大きな課題となっている。第2世代抗精神病薬(SGA)による増強療法は、一般的に行われているが、その有効性と安全性を比較したエビデンスは限られている。英国・Leeds and York Partnership NHS Foundation TrustのRashed Khalid氏らは、成人治療抵抗性うつ病患者を対象に、SGAによる増強療法の有効性および忍容性を評価するため、システマティックレビューを実施した。Cureus誌2026年5月26日号の報告。