医療一般

monarchE試験、日本人サブグループの長期解析結果/日本乳癌学会

 HR+/HER2-でリンパ節転移陽性の高リスク早期乳がんに対する術後内分泌療法(ET)へのアベマシクリブ追加の有用性を検討したmonarchE試験では、浸潤疾患生存期間(iDFS)、無遠隔再発生存期間(DRFS)および全生存期間(OS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が示され、アベマシクリブ併用の内分泌療法は再発抑制のための重要な標準治療の1つとして推奨されている。今回、同試験に登録された日本人患者における長期(追跡期間中央値76ヵ月)の有効性および安全性を評価したサブグループ解析の結果を、中山 貴寛氏(大阪国際がんセンター)が第34回日本乳癌学会学術総会で発表した。

統合失調症における薬物治療反応と発達障害の遺伝的リスクとの関連

 統合失調症は、遺伝性の高い神経精神疾患である。そのゲノム構造は、注意欠如多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)などの神経発達障害のゲノム構造と重複することが報告されている。しかし、ADHDおよびASDのゲノムリスクが統合失調症症状に及ぼす影響は依然として不明であった。東北大学の宮原 一総氏らは、統合失調症における抗精神病薬の治療反応性に神経発達障害の遺伝的リスクが影響するかを検討するため、死後脳を用いてゲノムワイド関連解析(GWAS)を行った。Frontiers in Psychiatry誌2026年4月27日号の報告。

進行・再発子宮体がん、ペムブロリズマブ+化学療法の長期OS結果(NRG-GY018)/ASCO2026

 進行または再発の子宮体がんに対し、ペムブロリズマブと化学療法の併用療法はミスマッチ修復機能欠損(dMMR)およびミスマッチ修復機能正常(pMMR)のいずれのコホートにおいても、標準的な化学療法単独と比較して長期的な全生存期間(OS)の改善効果を維持した。  第III相無作為化比較試験NRG-GY018の長期追跡によるOSおよび後治療に関する解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)において、Ramez N. Eskander氏(米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校)が発表した。

グルコサミンがアルツハイマー病の進行を加速させる可能性

 アルツハイマー病(AD)では広範な代謝異常が観察されるものの、どの代謝経路が病態進行を直接駆動しているのか、その分子メカニズムは十分に解明されていない。米国・フロリダ大学のTara R. Hawkinson氏らの研究グループは、ヒト死後脳およびADマウスを用いた解析から、脳内における過剰糖鎖付加(ハイパーグリコシル化)が病態進行の直接的な駆動因子(ドライバー)であることを突き止めた。さらに、電子カルテデータベースの解析から、関節の健康のためのサプリメントとして広く普及するグルコサミンの使用が、ADの進行加速や死亡リスク上昇に関連している可能性が示唆された。Nature Metabolism誌オンライン版2026年6月9日号に掲載。

がん関連VTEのDOACによる出血リスク、新たな予測モデルが有用か

 直接経口抗凝固薬(DOAC)治療を受けるがん関連静脈血栓塞栓症(VTE)患者を対象に開発された出血リスク予測モデル「ONCO-DOAC BLEEDスコア」は、既存の出血リスクスコアと比較して大出血リスクを良好に層別化できることが示された。本結果は京都府立医科大学循環器内科の長井 智之氏や中西 直彦氏ら(COMMAND VTE Registry-2)が報告し、JACC:CardioOncology誌2026年6月号に掲載された。  本研究グループは、国内31施設において2015年1月~2020年8月の期間に、急性の症候性の肺塞栓症および深部静脈血栓症と診断された患者5,197例を登録した多施設共同の観察研究「COMMAND VTE Registry-2」のデータを使用。

美容目的でのチルゼパチド使用に伴う正常血糖ケトアシドーシス

糖尿病や肥満のない若年女性が、美容目的でチルゼパチドを使用した後、正常血糖ケトアシドーシスを来したという症例報告がなされた。監物 諒相氏、沖田 朋憲氏(大阪けいさつ病院)らが、JCEM Case Reports誌2026年4月8日号で報告した。監物氏、沖田氏らは、チルゼパチド使用後の食欲低下や重度の消化器症状に伴う急性のカロリー不足が、ケトアシドーシス発症に関与した可能性を指摘し、美容目的の適応外使用に注意を促している。  治療として、生理食塩水による補液の後、ブドウ糖含有輸液、電解質補正、持続静注インスリンが行われた。

アイトラッキング式認知機能評価プログラム「ミレボ」の実臨床における有用性評価

 認知症の早期発見やスクリーニングにおいて、多忙な日常診療のなかで効率的かつ客観的に実施できる評価ツールの開発が望まれている。2025年、アイトラッキング技術を用いた神経心理検査用プログラム「ミレボ」が、初の保険適用を有する認知症領域のプログラム医療機器(SaMD)として日本国内で承認された。川崎医科大学高齢者医療センターの和田 健二氏らは、同センターのもの忘れ外来を受診した患者を対象に、ミレボと従来の標準的な神経心理検査であるミニメンタルステート検査(MMSE)および改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)のスコアとの関連性および認知症診断精度を評価するため、本研究を実施した。Neurology and Clinical Neuroscience誌2026年5月号の報告。

CKD合併糖尿病へのセマグルチド、心血管疾患の既往を問わず腎予後を改善(FLOW)

 2型糖尿病と慢性腎臓病(CKD)を併発している患者を対象に、GLP-1受容体作動薬セマグルチドの腎機能への影響を評価したFLOW試験のサブグループ解析の結果、セマグルチドは既往の心血管疾患や将来的なリスクにかかわらず、腎予後および生存を一貫して改善したことが、米国・University of Washington School of MedicineのKatherine R. Tuttle氏らによって示された。Journal of the American College of Cardiology誌2026年6月2日号掲載の報告。  FLOW試験は、2型糖尿病とCKDを有する患者集団において、セマグルチドの腎機能障害進行への影響を検討した二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験。

プラチナ感受性再発卵巣がんに対するmirvetuximab soravtansine+カルボプラチンの結果(MIROVA/AGO-OVAR 2.34)/ASCO2026

 プラチナ感受性進行再発卵巣がんに対し、新たな抗体薬物複合体(ADC)であるmirvetuximab soravtansine(MIRV)とカルボプラチンの併用療法が高い抗腫瘍効果を示した。しかし、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の延長は示されなかった。  プラチナ感受性進行再発卵巣がんに対し、カルボプラチン・MIRV併用療法のfeasibilityと有効性を評価する国際共同無作為化第II相試験の初回解析結果が米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表された。発表者はPhilipp Harter氏(ドイツ・Ev. Kliniken Essen-Mitte)。

日本人の心筋梗塞と大動脈解離、5年生存の違いは?

 急性心筋梗塞(AMI)と急性大動脈解離(AAD)は、いずれも死亡リスクの高い循環器疾患であるが、同一地域の集団で両疾患の長期予後を直接比較した研究は限られている。そこで、澤山 裕一氏(滋賀医科大学)らの研究グループは、滋賀脳卒中・循環器病登録研究のデータを用いて、AMIとAADの死亡率を比較した。その結果、AAD患者ではAMI患者より5年死亡率および心血管死亡率が高かった。しかし、この差は主として発症早期の死亡によるものであり、発症後30日生存した患者集団の比較において、心血管死亡リスクには差が認められなかった。本研究結果は、European Heart Journal Open誌2026年5月30日号に掲載された。

ガソリンスタンドの近くに住む子どもはがんリスク上昇の可能性

 ガソリンスタンドの近くに住む子どもは、白血病やその他の小児がんを発症するリスクが高い可能性のあることが報告された。モントリオール大学(カナダ)のStephane Buteau氏らの研究の結果であり、詳細は「Environmental Pollution」に4月1日掲載された。  この研究から、自宅からガソリンスタンドまでの距離が近いほど、子どものがんリスクが高い傾向が示された。統計学的には明確な有意差は認められなかったものの、100m以内ではリスクの上昇が認められた。また、研究者らによると、蒸気回収システム(給油時などに気化したガソリンが大気中に放出される量を減らす装置)の設置を義務付ける条例がある地域では、リスク上昇は小さい傾向がみられたという。

GLP-1受容体作動薬が乳がんの治療成績を改善する可能性

 血糖コントロールや肥満症の治療のために用いられているGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)が、一部の乳がん患者の予後改善につながる可能性を示唆するデータが報告された。肥満または糖尿病のある乳がん患者では、同薬の使用の有無によって全死亡や再発のリスクに有意差が見られるという。米VCUマッセイ総合がんセンターのBernard Fuemmeler氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に5月11日掲載された。  これまでの研究から、肥満や2型糖尿病を有する乳がん患者は、生存率が低い傾向にあることが示されている。

IDH1変異陽性胆道がんに対するイボシデニブ、国内初のIDH1阻害薬として承認/日本セルヴィエ

 日本セルヴィエは2026年6月19日、IDH1遺伝子変異陽性の切除不能な胆道がんを対象として、イボシデニブ(商品名:ティブソボ)の適応追加承認を取得したと発表した。適応は「がん化学療法後に増悪したIDH1遺伝子変異陽性の治癒切除不能な胆道癌」であり、国内初のIDH1遺伝子変異を標的とした胆道がん治療薬となる。  胆道がんは胆管がん、胆のうがん、十二指腸乳頭部がんからなり、多くが進行期に診断されるため予後不良である。なかでも肝内胆管がんは近年国内で増加傾向にあり、10~20%の症例にIDH1遺伝子変異が認められると報告されている。これまで国内では、胆道がんに対するIDH1変異標的薬は承認されておらず、2次治療以降の選択肢は限られていた。

双極症の維持療法に有効な薬剤とその用量〜ネットワークメタ解析

 双極症は、生涯にわたる治療を必要とする慢性精神疾患である。イタリア・University School of Medicine of Naples Federico IIのMichele Fornaro氏らは、双極症の維持療法における薬物療法の有効性と安全性を、年齢層別の用量効果を考慮して比較検討するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌2026年8月15日号の報告。  PubMed/MEDLINE、Embase、Web of Science、Scopusより創刊から2026年1月12日までに公表された研究を、システマティックに検索した。

病名や薬物治療手順を一部変更、「蕁麻疹診療ガイドライン」改訂/日本皮膚科学会

 国際ガイドラインの改訂や病態解明の進展、新たな生物学的製剤の登場などを背景に、8年ぶりの改訂版となる「蕁麻疹診療ガイドライン2026(第4版)」が2026年4月に公開された。病型分類および病名の一部変更や治療アルゴリズムのアップデートが行われた今回の改訂について、ガイドライン策定委員会の委員長を務めた福永 淳氏(大阪医科薬科大学)が第125回日本皮膚科学会総会で講演した。  蕁麻疹の病型について、特発性の蕁麻疹、刺激誘発型の蕁麻疹、血管性浮腫、蕁麻疹関連疾患という4つの大分類に変更はないが、その下の分類や病名がいくつか変更された。

腎デナベーションの国内治療成績と期待されること/メドトロニック

昨夏に発刊された『高血圧管理・治療ガイドライン2025』での治療に関するClinical Question*に対し、作成委員の合意率100%のもとで盛り込まれた腎デナベーション。2026年2月には『腎デナベーションシステムの適正使用指針』が各関連学会を通じて公表され、翌3月にはその治療システムが国内初の保険適用を取得、2社より同時発売された**。高血圧症治療における唯一の侵襲的治療であることからも、現時点での実施可能施設や施行可能医師は限定的であるが、治療の個別最適化が求められる今、このシステムがどのように活用されていくべきなのだろう―。

睡眠時無呼吸症候群治療薬、臨床試験で症状改善を確認

 睡眠時無呼吸症候群(OSA)の治療法の一つであるCPAP(持続陽圧呼吸療法)を忍容できない患者では、毎晩1回服用する錠剤がCPAPに代わる治療法となり得ることが、第3相臨床試験で示された。実験的治療薬AD109(aroxybutynin/atomoxetine)は、上気道筋の弛緩を抑制する作用を有する。臨床試験では、この薬を服用した患者で、睡眠1時間当たりの無呼吸と低呼吸の合計数(無呼吸低呼吸指数〔AHI〕)が約44%低下したという。米ピッツバーグ大学医療センターの睡眠医療専門医であるPatrick John Strollo氏らによるこの研究結果は、「American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine」に5月18日掲載された。

メル・ギブソン氏の発言後、イベルメクチンの併用処方が倍増

 俳優のメル・ギブソン(Mel Gibson)氏が、著名なポッドキャストで抗寄生虫薬イベルメクチンを「がんに有効な適応外治療」として宣伝して以降、同薬を含む併用処方数が倍増したことが、新たな研究で報告された。2025年1月、ギブソン氏はジョー・ローガン(Joe Rogan)氏のポッドキャスト番組「The Joe Rogan Experience」で、ステージ4のがんに罹患していた3人の友人が、イベルメクチンとフェンベンダゾールの併用療法により回復したと語った。フェンベンダゾールは、動物用としてのみ承認されている駆虫薬である。

セマグルチドがMASH適応を取得、国内初の治療薬に/ノボ

 2026年6月19日、ノボ ノルディスク ファーマは同社のGLP-1受容体作動薬セマグルチド(ウゴービ)が、肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎(metabolic dysfunction-associated steatohepatitis:MASH)のうち、中等度または高度の肝線維化を有する患者を対象とした効能・効果の追加承認を取得したことを発表した。これにより同薬は日本で初めて承認されたMASH治療薬となる。  MASHは、従来「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」として知られていた疾患概念を発展させたもので、代謝異常を背景として肝細胞障害や炎症、線維化が進行する慢性肝疾患である。

多発性骨髄腫治療薬イサツキシマブ、皮下注射製剤の承認取得/サノフィ

 サノフィは2026年6月19日、イサツキシマブ(商品名:サークリサ)について、皮下注射製剤の製造販売承認を取得した。この承認は、多発性骨髄腫に対する、ポマリドミド・デキサメタゾン併用療法(Pd)、カルフィルゾミブ・デキサメタゾン併用療法(Kd)、ボルテゾミブ・レナリドミド・デキサメタゾン併用療法(VRd)を対象としている。  今回の承認により、イサツキシマブは点滴静注製剤に加え、皮下注射製剤による提供が可能になる。皮下注射製剤では、市販のシリンジを用いた手動による皮下投与が可能になり、静脈内投与と比較して投与に要する時間の大幅な短縮が可能で、患者さんや医療従事者の負担を軽減することが期待される。