50歳以上の米国人の半数以上が高齢者の世話をしている

提供元:HealthDay News

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公開日:2022/12/20

 

 50歳以上の米国人の半数以上が、高齢者が家事から病状のケアに至るまでの仕事をこなすのを手助けしていることが、新たな全国調査から明らかになった。この調査を実施した米ミシガン大学の研究グループは、「この調査結果は、高齢の家族や友人、隣人の生活の中で一般の人々が果たしている重要な役割を強調するものだ」と述べている。

 この調査結果は、同大学のCourtney Polenick氏らが実施したNational Poll on Healthy Aging(健康的な老化に関する全国調査)の結果に基づくもの。調査はランダムに抽出された50〜80歳の成人2,163人を対象に、2022年7月にオンラインまたは電話により実施された。調査完了率は75%だった。調査の目的は、50歳以上の米国人のどの程度が、介護者としてのみならず、“ヘルパー”として高齢者を支援しているのかを調べることだった。

 Polenick氏によると、“ヘルパー”、つまり高齢者を手助けするのは、高齢者の親戚、友人、隣人などであり、手助けの内容の例は、家の修繕、庭仕事、買い物やお金の管理などである。これらの仕事は、病状のケアや医療機関への同行、着替えや入浴の介助といった、介護者が行う仕事とは性質が異なる。「それでも、これらの仕事は、高齢者がコミュニティの中で自立して生きていく上で重要だ」と同氏は話す。

 調査の結果、過去2年間に50歳以上の米国人の54%が、65歳以上の高齢者が健康や疾患のケアに関わる仕事や個人的な用事をこなすために手助けしていたことが明らかになった。手助けの内容として最も多かったのは、診療の予約を取る、診療に同行する、医療従事者とやりとりするなど外来診療にまつわる用事(33%)であり、次いで多かったのは、家の掃除や庭仕事などの住居にまつわる用事(32%)、食事の支度や買い物など食事関連の用事(31%)、請求書の支払いや銀行での用事などお金に関わる用事(22%)などだった。また、6人に1人(16%)が着替えや入浴などの介助をしていた。

 手助けをする相手としては、半数近く(45%)が親/義理の親を挙げ、そのほかは友人または隣人(19%)、結婚相手またはパートナー(17%)、そのほかの家族(15%)などであった。手助けしている人の3人に2人(65%)は、手助けの提供にからんで1つ以上の問題を抱えていることを報告した。最も多かったのは身体面または感情面での疲労感(34%)であり、仕事やそのほかの責務との両立問題(31%)、セルフケアのための時間の不足(22%)、家族や友人との時間との両立問題(21%)、家族や友人からの支援の欠如(19%)がそれに続いた。

 特に、認知症の高齢者を手助けしている人(28%)は、大変な思いをしていることも浮き彫りになった。そのような人の半数近くは5つ以上の仕事を手助けしており、それらの仕事が想像していた以上に大変だと感じていることを報告していた。Polenick氏は、「認知症患者のケアは特に複雑だ。この調査結果は、認知症患者をケアする家族がそのことをきちんと認識しておくべきことを強調するものだ」と話す。

 高齢者を手助けする人が上述のような問題に直面していることは珍しくないことが明らかになった一方で、この調査では、明るい結果も得られた。これらの人の96%が、高齢者を手助けすることで、目的意識を感じたり、友人や友達との距離が縮まったりといったポジティブな経験をしていることを報告していたからだ。

 非営利団体の米国アルツハイマー病財団で教育および社会サービスを管理するJennifer Reeder氏は、「介護が人間関係のダイナミクスを変え、新たな関係性を築くきっかけとなることがある。家族写真を一緒に見るなどの単純なことから、そうしなければ起こり得なかったような会話が展開することもある」と話している。

[2022年11月3日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら