花粉症の原因となる花粉の飛散量は、季節や日によってだけでなく、1日のうちの時間帯によっても差があり、気温の上昇に伴い増加することが明らかにされた。米Atlanta Allergy and Asthmaのアレルギー専門医であるStanley Fineman氏らによるこの研究結果は、米国アレルギー・喘息・免疫学会年次学術集会(ACAAI 2022、11月10~14日、米ルイビル)で発表されるとともに、「Annals of Allergy, Asthma & Immunology」11月号(増刊号)に掲載された。
Fineman氏によると、花粉の飛散量の監視はこれまでも行われてきたが、24時間単位での測定が一般的であったという。これに対して、Atlanta Allergy and Asthmaの研究チームは、2021年3月24日から31日にかけて米エモリー大学の研究チームとともに、アトランタの3カ所のエリアで1週間にわたり1時間ごとの花粉飛散量を、画像技術を用いてリアルタイムでモニタリングした。天候の変化による日ごとのばらつきを低減するため、この期間中の1時間ごとの花粉濃度の平均値を算出した。その結果、花粉飛散量は、午前4時から正午までの間は比較的少なく、午後2時から午後9時の間は多くなることが明らかになった。
Fineman氏は、「米国では温暖化傾向により、1年の中で花粉の飛散量が増える時期も早まりつつある。個人差はあるが、重度の花粉症の人が屋外で活動する場合には、午前中の早い時間帯にする方が良いだろう」と助言している。
今回の知見をレビューした米LifeMDのPayel Gupta氏は、「温暖化に加え、天候も花粉の飛散量に影響を及ぼす」と指摘する。同氏は例として、風の強い日には花粉が多く飛び、激しい雨が降れば雑草の花粉が地面から舞い上がることを挙げ、「日によって大きな変動があったはずだ。影響を及ぼした可能性のある小さな因子も含めた全てのデータを見てみたい」と述べている。
Gupta氏は、「花粉の飛散量がいつ増えるのかを知っていれば、窓を開けたり、外で運動する時間帯を選ぶ際に役立つ。また、花粉の飛ぶ時期に外から帰宅した際には、顔や手を洗い、服を着替えるなどして花粉を落とすことも重要だ」と話す。さらに同氏は、「今回の技術を応用し、花粉飛散量の情報を、アプリ等を通してリアルタイムで受け取れるようになれば、大きな利点がある」との考えを示している。
花粉症に対して飛散量を確認する以上のケアが必要な人には、市販薬を利用する手も考えられる。その場合には、「薬をどう使えば一番効果的なのかを、専門家に相談する方が有益だ」とGupta氏は話す。それでも改善しない場合には、注射等で環境アレルゲンを投与する免疫療法もある。また、イエダニおよび雑草花粉アレルギーについては、米食品医薬品局(FDA)が承認した錠剤薬がある。同氏は、「注射剤も錠剤も、患者の症状を大いに軽減する」と話す。Fineman氏は、「花粉症の症状を治療するには、まずアレルギー専門医の診察を受け、検査で原因を明らかにするべきだ」と助言している。
[2022年11月10日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら