食生活を少しずつ改善していくためのアドバイス―AHAニュース

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/02/22

 

 新年を迎えるに当たって多くの人が「減量」を目標に掲げる。しかし、結局なにも始められなかったり、いったん体重が減っても年末までにリバウンドしてしまったりという人が少なくない。専門家は、はやりのダイエットに飛びつこうとする前に、栄養の質を改善することを勧めている。健康的な食事に向けて段階的に改善していくと新たな食生活が定着しやすく、その結果、心臓病や脳卒中のリスクが抑制され長年にわたって恩恵を受けられる確率が高くなり、死亡リスクも低下する。

 米国フィラデルフィアを拠点に活動している栄養士のAlexis Newman氏は、「私は、食べる量を減らすという食事療法の考え方には固執しない。なぜなら、そのような食事療法はうまくいかないことが多いからだ。『何を食べないか』ではなく、より健康的な食品を食べるように勧めることが多い」と話す。より健康的な食品とは、玄米などの食物繊維を含む全粒穀物、果物、野菜などであり、それに加えて積極的な水分摂取も大切だという。

 Newman氏が勧める食品は、地中海式ダイエットや高血圧改善のための食事パターンであるDASH食でも推奨される食品だ。米国心臓協会(AHA)が2021年に発表した「心臓のための食事ガイダンス」でも、全粒穀物の摂取を推奨し、タンパク源としては植物性食品や魚介類を主体として、肉類が必要な場合は赤身の未加工肉の摂取を推奨。反対に、砂糖や塩分が添加された食品や飲料の摂取は、最小限に抑えることを奨励している。ある研究によると、このような心臓の健康に良い食生活を実践している人は、そうでない人よりも心血管疾患による死亡リスクが最大28%低いことが示されている。

 AHAの食事ガイダンスの執筆メンバーの1人であり、米マサチューセッツ総合病院とハーバード大学で心臓病医療を専門としているAnne Thorndike氏は、「人々は自分が好きな食べ物、あるいは家族との食事や文化的背景のある食品の摂取をあきらめる必要はなく、それらも健康的な食生活に取り入れることが可能」と話す。具体的には、「何か特別な理由があって健康的でない食品を口にしたら、そのような食品を続けて食べないようにすることだ。そして、多様性を模索して新しい食品を試してみてほしい。バナナが好きで毎日バナナを食べているなら、リンゴ、オレンジ、ブドウを試してみると良い。緑やオレンジ、黄色、赤など、色とりどりの野菜も忘れずに」とアドバイスを送る。

 またNewman氏は、食品の調理法の重要性を指摘する。「揚げ物を食べることが習慣的になっている人は、週に1食や2食は揚げ物ではない食事を追加してはどうか」と提案する。Thorndike氏も、「魚や鶏肉は揚げる代わりに焼いたりソテーにもできる」と話し、そのような料理の際にはバターやトロピカルオイルではなく、オリーブ油などの植物性油で調理することを勧めている。同氏はさらに、精製度の高い白パンや、塩分が添加されパッケージ化されたライスなどの加工食品を避けるよう助言。もし、味を少し変えたいと思った時は、ニンニク、コショウ、クミンなどの塩分を含んでいない調味料を試すと良いとしている。

 新鮮な果物や野菜へのアクセスが限られていたり、食費に余裕がないなどの理由で、健康的な食品を常に取り入れることが困難なケースもある。その対策としてNewman氏は、缶詰や冷凍食品で代用することを提案。缶詰野菜に含まれている塩分は、水洗いすれば減らすことができるという。

 Newman氏、Thorndike氏はともに、健康的な食生活の「全体像」を大切にするアプローチの重要性を指摘している。全体像を見失わないようにすることで、人々はより多くの健康的な選択肢を用いることができ、それらを段階的に採用して、食事パターンを徐々に変更していくことが可能になる。Thorndike氏は、「私たちは、みなさんの今後数週間のことについて話しているのではない。みなさんの残りの人生について話をしている」とも語っている。

[2023年1月6日/American Heart Association] Copyright is owned or held by the American Heart Association, Inc., and all rights are reserved. If you have questions or comments about this story, please email editor@heart.org.
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