低体重と肥満が片頭痛の発症リスク上昇と関連

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/02/21

 

 低体重および肥満は片頭痛の発症リスクと関連しており、リスクはBMI 20kg/m2未満と29kg/m2超で上昇することが、「Headache: The Journal of Head and Face Pain」7/8月号に掲載されたレビューにおいて明らかになった。

 過去のメタアナリシスからBMIと片頭痛との関連が示されているが、用量反応解析は行われておらず、また、緊張型頭痛(TTH)など、他の一次性頭痛疾患と肥満との関連は明らかにされていない。

 そこで、テヘラン医科大学(イラン)のFahimeh Martami氏らは、BMIと一次性頭痛疾患との関連性を検討するため、システマティックレビューと用量反応メタアナリシスを実施した。2020年9月までにPubMedとScopusのデータベースに掲載された、BMIと7つの一次性頭痛疾患〔片頭痛、TTH、頭痛、慢性連日性頭痛(CDH;月15日以上の頭痛)、非片頭痛性頭痛(過去1年間で頭痛の症状はあるが、片頭痛の診断基準を満たさない頭痛)、慢性片頭痛、反復性片頭痛〕の発症リスクとの関連を報告した観察研究を検索した。BMIに基づき、肥満群(30.0kg/m2以上)、過体重群(25.0~29.9kg/m2)、正常体重群(18.5~24.9kg/m2)、低体重群(18.5kg/m2未満)の4群に分類し、ランダム効果モデルを用いてオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。研究間の異質性はQ検定およびI2検定で評価した。解析には、41件の研究(15万4,044症例、対象者79万2,500例)を含めた。

 その結果、片頭痛の発症リスクは、正常体重群と比較して、低体重群(OR 1.21、95%CI 1.09~1.34、I2=6.2%、P=0.383)および肥満群(同1.28、1.15~1.43、I2=89.7%、P<0.0001)で上昇していた。一方、非片頭痛性頭痛では、正常体重群と比較して、過体重群(同1.06、1.02~1.11、I2=23.8%、P=0.252)および肥満群(同1.20、1.14~1.26、I2=0.0%、P=0.371)で発症リスクが高かった。TTH、CDH、頭痛全体ついては、いずれの群においてもリスク上昇は認められなかった。

 また、用量反応メタアナリシスを行ったところ、BMIと片頭痛発症リスクとの間に非線形の関連が認められた(非線形性のP<0.0001)。ORはBMI 17kg/m2で1.12(95%CI 1.04~1.20)と高く、20~29kg/m2では1.0程度であり、29kg/m2超で上昇が認められ、30kg/m2では1.06(同0.98~1.15)、35kg/m2では1.26(同1.10~1.44)、40kg/m2では1.51(同1.23~1.84)であった。この非線形の関連は、効果量で調整していない研究を除外しても有意なままであった。

 著者らは、「今回のメタアナリシスにより、低体重および肥満の人では片頭痛の発症リスクが上昇しており、BMIと片頭痛との関連は非線形であることが示唆された。これらの結果は、正常なBMIが片頭痛リスクを低減する可能性があるとの説を支持するものである」と述べている。

[2022年8月30日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら