ガーデニングと料理の授業で小学生が健康に

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/02/23

 

 小学校でガーデニングと料理の授業を行うと、子どもたちの血糖値やコレステロール値が良好になるという研究結果が報告された。米テキサス大学オースティン校のJaimie Davis氏らの研究によるもので、結果の詳細は「JAMA Network Open」に1月10日掲載された。

 Davis氏は、「砂糖を多く含む食事や飲料の摂取によって、成人だけでなく子どもたちの2型糖尿病のリスクが高くなることが分かっている。われわれは、学校でガーデニングと料理を教えることを通じて、野菜や果物がどのように育ち、食べるまでにはどのような手間がかかるのかを理解させ、子どもたちの食生活に影響を与えることを意図した。さらにそれによって、2型糖尿病などのリスクを抑制し得るかを評価したかった」と、研究目的を語っている。

 「Texas Sprouts(テキサスの子どもたち)」と名付けられたこのプログラムは、テキサス州の低所得世帯の多い地域の小学校を中心に実施されている。子どもたちに対して1年度(9カ月間)にわたり、教育用庭園を用いてのガーデニング、栄養学、料理などの授業が18回行われ、また保護者に対しても月1回のペースで9回の講座が開かれる。Davis氏らの研究には、このプログラムを実施している16の小学校が参加。無作為に8校ずつの2群に分けて、1群はプログラムの開始を遅らせ、比較対照群とした。

 解析対象は、採血検査などの同意が得られた695人。平均年齢は9.28±0.04歳で、男児が44.17%であり、65.03%は給食が無料または割引の対象となる低所得世帯の子どもだった。9カ月の介入前後でのHbA1cの変化量は、同期間の対照群の変化量より0.02%有意に大きく低下し(P=0.005)、LDL(悪玉)コレステロールの変化量も6.40mg/dLの差が見られた(P=0.048)。

 一方、空腹時血糖値やインスリン、インスリン抵抗性、中性脂肪、HDL(善玉)コレステロールの変化量には有意差がなかった。しかし、そうであってもDavis氏は、「われわれが過去20年間続けてきた、運動の奨励や食生活の改善を促すという介入は、このTexas Sproutsほど効果的ではなかった」と述べている。そして、「介入期間は1年度のみだが、うまくいけば子どもたちは介入終了後も、果物や野菜をよく摂取し、そのような食生活を成人になっても継続するかもしれない」と期待している。

 米国の栄養と食事のアカデミーの元会長で、Texas Sproutsの活動を支持しているConnie Diekman氏は、「私はこのアイデアに大賛成だ。食べ物の好みは、学習により変えることができる。このプログラムは、子どもたちがより良い食習慣を身につけるための素晴らしい方法と言える」と評価し、より多くの学校が採用することを望んでいる。ただし同氏は、「身に付いている習慣は短期間では変わらない。この介入期間の終了はプログラムの終わりではなく、始まりと見なされるべきだ」との注意を付け加えている。

[2023年1月16日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら