夕食の時間になると、決まってお腹がすくことを、不思議だと感じたことはないだろうか?英サリー大学のJonathan Johnston氏らが行った研究によると、それは単なる習慣的なことではなく、人間の体が周期的な食事の時間帯を予測している結果と考えられるという。この研究の詳細は、「Current Biology」に2月22日掲載された。
動物は、食物の入手可能性の高い時間帯を予測するために、概日リズム(1日24時間周期の生理活動)を活用していることが知られている。ただし、人間にもそのような能力があるのか否かは分かっていない。Johnston氏らは、人間も概日リズムによって食物を大量に手に入れられる時間帯を予測しているとの仮説を立て、以下の研究を行った。
研究参加者は、健康な若年男性24人。研究施設内で、睡眠と摂食のスケジュールが管理された状況で9日間にわたって過ごしてもらった。全体を2群に分け、1群は起床から就寝まで1時間おきに軽食を摂取する群(頻回軽食群)、他の1群は起床から7.5時間後と14.5時間後の2回、大量の食事を摂取する群(大量摂食群)に割り付け。最初の6日間はこのパターンで生活してもらった。なお、1日に摂取するエネルギー量の合計は両群で一致させ、1日の最後の食事の時間帯も一致させた。また、毎日23時から翌朝7時は室内を暗闇(0ルクス)とした。両群の参加者の年齢、BMIなどは同等だった。
研究参加7日目の朝からは、両群ともに37時間にわたって、薄暗い室内(8ルクス未満)で1時間おきにスナックを食べてもらった。なお、研究期間を通じて、間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM)により15分おきに血糖値を把握し、また、2日目、4日目、6日目、および7日目の朝から37時間は、1時間おきに主観的空腹感を記録した。研究期間中、参加者は時計を確認することができ、トイレ利用や読書、テレビ・映画鑑賞、インターネット利用なども許可されていたが、身体的活動は制限された。このような手法によって、環境や行動に伴い生じる血糖値や食欲への影響が抑制され、概日リズムの影響をより正確に評価できるという。
では結果だが、6日目までの血糖変動を見ると、両群ともに毎日早朝から上昇し始めていた。ただしその後、頻回軽食群では就寝まで血糖値が漸増していたのに対して、大量摂食群では起床の2時間後から血糖値が低下し始め、2回の食後に上昇するというパターンだった。平均血糖値は有意差がなかった。
次に、7日目の朝から37時間の血糖値の推移を見ると、早朝に上昇していた点は両群とも6日目までと同じだったが、大量摂食群ではその後、7日目は1時間おきのスナックの摂取のみであるにもかかわらず、6日目までと同様に、大量の食事の時間帯の前に血糖値が低下していた。さらに空腹感についても、大量摂食群では前日までの食事の時間帯に上昇し、その後は食事を摂取していないにもかかわらず、食欲が急減するという変動が認められた。
この結果についてJohnston氏は、「人の体は食事を取るべき時間帯を周期的に予測するようにプログラムされているように見える。それは単に習慣に基づく心理的な影響によるものではないようだ」と述べている。
[2023年3月20日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら