抗ウイルス薬が処方されていないCOVID-19外来患者のリバウンド

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/06/29

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患時に抗ウイルス薬が投与されなかった患者で、症状がいったん軽快した後に再燃したり、ウイルス量が増加したりすることが少なくないという報告が、「Annals of Internal Medicine」に2月21日掲載された。米ハーバード大学のRinki Deo氏らの研究によるもの。

 COVID-19に対する抗ウイルス薬の一つであるニルマトレルビル/リトナビルによる治療後に、症状が再燃(リバウンド)することが報告されている。ただし、抗ウイルス薬を用いていない患者でのCOVID-19の自然経過は十分明らかになっていない。Deo氏らの研究は、非入院COVID-19患者に有効な薬剤探索のための多施設共同プラットフォーム試験「ACTIV-2/A5401」のデータを用いた後方視的研究により、この点を検討した。

 解析対象は、ACTIV-2/A5401でプラセボが投与されていた外来COVID-19患者563人。参加者は、薬剤(本研究ではプラセボ)投与開始から28日目まで毎日、発熱、咳、呼吸困難、咽頭痛、筋肉痛、倦怠感、頭痛、悪寒、鼻閉、嘔気、嘔吐、下痢という13の症状の自己評価に基づく重症度を記録。また、14日目までの毎日と、21日目、28日目には、鼻スワブで検体を採取してもらい、そのウイルス量の変化を把握した。

 経過観察開始後、出現している症状が4種類以上増加した場合に、「症状のリバウンド」と定義。また、「ウイルス量のリバウンド」は、直前の検査から0.5log10コピー/mL以上増加した場合と定義し、さらに5.0log10コピー/mL以上のレベルで同様の増加が観察された場合は「ウイルス量の高レベルなリバウンド」と定義した。

 解析の結果、COVID-19罹患後の最初の症状発現から中央値11日後(四分位範囲9~14)に、26%の患者に症状のリバウンドが発生していたことが確認された。ウイルス量のリバウンドは参加者の31%に認められ、ウイルス量の高レベルなリバウンドは13%に認められた。

 症状のリバウンドの89%、およびウイルス量のリバウンドの95%は、1時点でのみ認められた。このことから、症状やウイルス量のリバウンドは、治癒に向かう自然経過の中で生じる一時的な現象と考えられた。また、症状のリバウンドとウイルス量の高レベルなリバウンドの双方が認められた患者は全体の3%と少なかった。

 以上より著者らは、「抗ウイルス薬による治療を受けていないCOVID-19患者では、症状やウイルス量のリバウンドが一般的に生じているようだ。ただし、それら両者のリバウンドが併発することは少ないと考えられる」と結論付けている。なお、本研究の解析対象となった患者は大半がオミクロン株出現以前のCOVID-19患者であり、かつワクチン未接種者であることは、結果解釈上の留意点として残されている。

[2023年2月21日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら