免疫減弱モデルが、流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)ワクチン接種率が高い国で近年観察されたアウトブレイク再燃と強く合致しているとの研究結果が、「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」1月9日号に掲載された。
米ジョージア大学Odum School of EcologyのDeven V. Gokhale氏らは、流行性耳下腺炎ワクチン接種率の高い複数の国での同疾患のアウトブレイク再燃を踏まえ、この傾向の促進因子として、2つのワクチン効果不全のメカニズムを提示した。それらは、(1)免疫の段階的な減弱、(2)ワクチン免疫を回避する新規ウイルス遺伝子型の登場、である。米国の、年齢構造化した疫学、人口統計学的属性、およびワクチン接種に関する時系列データを基に、伝播メカニズムモデルを用いて尤度に基づく仮説検定を実施した。
その結果、データは免疫減弱モデルと強い合致性を見せ、18歳までに推定32.8%の人がワクチン接種により獲得した免疫を喪失していると推定された。減弱モデルにより、本疫学的データの特徴である、流行性耳下腺炎発症の高齢者への移行、近年の流行性耳下腺炎アウトブレイク再発、ワクチン接種済みの個人における流行性耳下腺炎発症率の高さなども再現された。
著者らは、「この研究により、現在のワクチンおよび予防接種スケジュールでは、免疫減弱と一次ワクチン不全が原因で、強固な集団免疫を達成できないことが明らかになった。本研究の結果は、原則として、集団免疫の達成・維持のための定期的な追加接種の実施を強く支持するものである」と述べている。
[2023年1月10日/HealthDayNews]Copyright (c) 20xx HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら