近年、断続的断食のメリットを示唆する報告が増え、それを実践する人も増えているが、1日の中で早めの時間帯に大半の食事を済ますことが、2型糖尿病の予防につながる可能性が新たに報告された。米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスのJoanne Bruno氏らの研究によるもので、米国内分泌学会(ENDO2023、6月15~18日、シカゴ)で発表された。
この研究には、肥満で前糖尿病状態の10人が参加した。前糖尿病とは、血糖値が基準値より高いものの、糖尿病と診断されるほどではない状態を指し、肥満とともに2型糖尿病のリスク因子とされている。
研究デザインはクロスオーバー法で、2群に分けたうちの1群は、1日の摂取エネルギー量の80%を午後1時までに摂取するという食事パターンとし、他の1群は午後4時以降に1日の摂取エネルギー量の半分を摂取するという通常の食生活に近いパターンとして、1週間継続。2週目にはそれぞれ1週目と反対の食事パターンに切り替えて生活してもらった。その結果、前者の条件の時の方が血糖値の変動が少なく、1日を通して血糖値が基準値を超える時間が減少した。この結果は、体重変化にかかわりなく認められた。
Bruno氏は、「1日の中で早い時間帯に食べることが、代謝への影響という点で有益であることがこれまでにも示されてきている。ただ、このような断続的断食では摂取エネルギー量を制限しなくても体重が減ることが多い。そのため、代謝への好ましい影響が体重減少を介したものなのか、それとも独立して現れるのかが不明だった。われわれの研究結果は後者の可能性を示唆している」と解説。そして、「摂取エネルギー量を考えなくてもよいこの方法は、ほかの食事療法よりも続けやすく、糖尿病予防に役立つのではないか」と付け加えている。
一方、本研究には関与していない専門家からは、確かな結論が導き出されるまでにはより長期間かつ大規模な研究が必要であり、また、1日の早い時間帯にほとんどの食事を済ませるという食事パターンを遵守できる人は限られているのではないかとする指摘が挙がっている。その1人であるワシントンDCにある体重・ウェルネスセンター所長のScott Kahan氏は、「報告された結果は、就寝前の食事を避けた方がよいという長年支持されてきている考え方を、より強固にするものと言える。ただし、午後1時以降の食事を最小限に抑えるのは、ほとんどの人にとって難しいのではないか」と述べている。
また米イリノイ大学シカゴ校のKrista Varady氏は、「この研究は規模が小さく、介入期間が短いなど、結果解釈に際していくつかの制限がある」と指摘。「早い時間帯に大半の食事を取ることは血糖変動の抑制に役立つかもしれないが、これを確認するにはさらに多くの研究が必要だ。加えて、この食事パターンを継続できる人は多くはないだろう。なぜなら、午後の時間帯に食事を取らないとなると、他者との社会的交流に支障が生じるからだ」と語っている。
なお、学会発表された研究は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものとみなされる。
[2023年6月15日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら