睡眠リズムの乱れで若年者の血圧上昇に対する内臓脂肪の影響が増大する

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/08/02

 

 若年者では、血圧上昇に対する内臓脂肪組織(VAT)の影響は、睡眠リズムが乱れると増大するという研究結果が「Hypertension」に3月6日掲載された。

 VATは心血管代謝系の健康状態に影響し、また両者は同時に睡眠リズムの影響を受けることが知られている。米ペンシルベニア州立大学医学部のNatasha Morales-Ghinaglia氏らが行った今回の後ろ向きコホート研究では、VAT(肥満)が心血管代謝系の健康状態(血圧)に影響を及ぼす際における調整変数(moderator)としての睡眠リズムの役割について検討した。

 対象はPenn State Child Cohortに参加した若年者303人(平均年齢16.2±2.2歳、女性47.5%)。アクチグラフを用いて7晩にわたり、総睡眠時間および標準偏差、睡眠中央時刻(就寝時刻から起床時刻までの中央の時刻)および標準偏差を、通学日・非通学日、平日・週末別に算出した。睡眠中央時刻および標準偏差(睡眠の不規則性)が、VATと収縮期血圧(SBP)/拡張期血圧(DBP)との関連に対する調整変数となるか否かを、多変量線形回帰モデルにより人口統計学的因子、総睡眠時間および標準偏差を調整して解析した。VATは二重エネルギーX線吸収スキャンにより測定し、血圧は座位で測定した。

 その結果、全体としてのSBPおよびDBPについて、VATと睡眠の不規則性との間に有意な交互作用が認められた(P値はそれぞれ0.007、0.022)。ただし、睡眠中央時刻は有意でなかった。また、平日の通学日のSBPおよびDBPについて、VATと睡眠中央時刻との間に有意な交互作用が認められた(P値はそれぞれ0.026、0.043)。さらに、平日の非通学日のSBPについて、VATと睡眠の不規則性との間に有意な交互作用が認められた(P=0.034)。

 著者らは、「今回の結果から、睡眠・覚醒相が不規則であることは、睡眠時無呼吸症候群や睡眠不足とは無関係に、中心性肥満に伴う心血管疾患の発症を助長する可能性がある」と結論。その上で、「われわれの研究は、若年者の睡眠と心血管疾患の問題に対する、行動面からの、また薬物による介入の重要性を示すものであり、トランスレーショナルな観点からも、公衆衛生学的な予防と臨床的ケアの両面で極めて意義深い」と付言している。

[2023年3月6日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら