カロリー制限と断続的断食の腸内細菌叢への影響は同等?

減量を試みる人の腸内細菌叢への影響を、カロリー制限と断続的断食とで比較した研究結果が報告された。3カ月の介入では、どちらも同程度に、腸内細菌叢の多様性を高めたという。米コロラド大学のMaggie Stanislawski氏らの研究によるもので、詳細は「Nutrients」に8月16日掲載された。
肥満は腸内細菌叢の組成と関連のあることが知られているが、肥満に対する治療介入によって腸内細菌叢がどのように変化するのかや、介入方法が異なると腸内細菌叢の変化のパターンも異なるのかといった点は明らかになっていない。Stanislawski氏らはこれらの点を検討するため、過体重または肥満の成人47人を対象とする介入試験を行った。
研究参加者は年齢が40.9±9.7歳、女性が77%で、BMIは33.5±4.5だった。介入に用いたのは、カロリー制限(daily caloric restriction;DCR)または断続的断食(intermittent fasting;IMF)の2種類で、無作為にいずれかを割り当てた。DCR群では1週間の総摂取エネルギー量を最大34%減らすように指示。一方、IMF群では、1週間のうち非連続の3日は摂取エネルギー量を25%として、他の4日は自由に摂取して良いこととした。計算上は、IMF群も1週間の摂取エネルギー量がほぼ-34%となると予測された。
この研究の介入期間は1年間で、現在も進行中。今回の報告は、介入3カ月時点の変化をまとめたもので、十分なデータのそろっている40人を解析対象とした。
介入により、摂取エネルギー量は1,764±338kcal/日から1,284±380kcal/日に減少し、摂取エネルギー量に占める脂質の割合は39±7%から35±5%に低下、タンパク質は17±3%から21±4%に増加し、いずれも有意に変化していた(全てP<0.001)。また、食事の質を表すスコア(healthy eating index;HEI)は、57±12から62±12に有意に改善していた(P=0.022)。なお、食物繊維摂取量は介入前が16±5g/日、3カ月後には14±6g/日であり、有意に減少していた。炭水化物エネルギー比は同順に42±8%、42±7%であり有意な変化がなかった。
腸内細菌叢の多様性は、3カ月の介入で両群ともに有意に改善していた。Stanislawski氏は、「どちらか一方の群の多様性が、別の一群に比べてより大きく改善したということではなく、評価した全ての指標が同等に変化していた」と述べている。
同氏は腸内細菌叢について、「われわれが口にする物は、腸内細菌叢の助けがなければ十分に消化することができない。また腸内細菌叢は、食品に含まれている成分を重要な物質に変化させたり、炎症の抑制や亢進、満腹感の誘発など、体のさまざまな生体プロセスに関与している」と解説。その上で今回の研究結果を基に、「腸内細菌叢への影響という点では、検討した2種類の減量方法に違いはなく、その方法が自分に適していると感じる人にとってはどちらも良い選択肢となり得る」とまとめている。
この報告に対して米国の栄養と食事のアカデミーの元会長であるConnie Diekman氏は、介入期間が短期間に限られていること、かつ因果関係は不明であるという解釈上の留意点を指摘した上で、「両群が腸内細菌叢に与えた影響の多くは、脂質の摂取量が減ったことによるものではないか」との考え方を述べている。また、「腸内細菌叢に関してはいまだ不明点が多く残されており、当面は米連邦政府による『米国人のための食事ガイドライン』を遵守することが優先され、それが腸の健康のメリットにもつながるだろう」と話している。
[2023年8月22日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら
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