50歳を過ぎたら30秒間片足立ちできるかが老化の指標に?

提供元:HealthDay News

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公開日:2024/11/12

 

 50歳以上の人では、片足立ちできる時間が自分の老化の程度を知る指標となるようだ。新たな研究で、片足、特に利き足でない側の足(非利き足)で30秒間立つことができるかが、筋力や歩行の変化よりも老化をよく反映する重要な指標であることが明らかになった。論文の上席著者である米メイヨー・クリニック動作分析研究所所長のKenton Kaufman氏は、「バランスの維持は、筋力に加え、視覚、前庭系、体性感覚系からの入力を必要とするため、老化の重要な指標となる」と述べている。この研究結果は、「PLOS ONE」に10月23日掲載された。

 Kaufman氏はさらに、「バランス能力に変化が認められた際には注意すべきだ。バランス能力が低下した状態では、動いているかどうかとは無関係に転倒リスクが高まる。転倒は深刻な健康リスクであり、重大な結果につながりかねない」と述べている。研究グループによると、65歳以上の高齢者の傷害の主な原因は不慮の転倒であり、転倒のほとんどはバランスを失うことによって起きているという。

 この研究では、50歳以上の健康で自立した40人を対象に、歩行能力、バランス能力、および筋力を測定するテストを実施し、加齢に伴うそれらの変化について検討した。試験参加者は、50〜64歳と65歳以上が半々だった。筋力については、利き手の握力、利き足の膝の筋力を測定した。静的バランス能力については、30秒間、目を開けた状態での両足立ち、目を閉じた状態での両足立ち、さらに利き足と非利き足での片足立ち(目を開けた状態)で評価した。歩行能力については、平坦な道を歩行する参加者の様子を光学モーションキャプチャシステムで評価した。

 その結果、加齢は歩行能力に有意な影響を及ぼさなかった一方で、膝の筋力、握力、およびいくつかのバランス能力は、加齢に伴い有意に低下することが明らかになった。中でも、年齢の影響を最も強く受けていたのは片足立ちでバランスを維持できる時間であり、10年ごとに最も顕著な変化が示された。これに対し、筋力は10年ごとの変化が最も少なかった。性別による違いは筋力にのみ認められ、バランス能力の低下において明確な影響は認められなかった。

 Kaufman氏は、「バランス能力は、段階を踏んで鍛えるとよい。例えば、片足立ちは筋肉と前庭系の反応を調整し、正しいバランスを保つトレーニングになる。片足立ちが30秒間できるようになれば、トレーニングが順調に進んでいる証拠と言える」と話す。同氏は、「使わなければ失われる。使えば維持できる。片足立ちは、特別な器具も必要なく、毎日続けることができる簡単なトレーニングだ」と付け加えている。

[2024年10月25日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら