英国エディンバラのWestern General Hospital臨床神経科学部門のZoe Morris氏らは、脳磁気共鳴画像法(MRI)で見つかる偶発的な所見の定量化を、システマティックレビュー、メタ解析にて試みた。脳病変が偶然見つかることは一般的で、その割合は年齢とともに増すこと、高解像度のMRIを使用するほうが検出率は高まることなどを報告している。BMJ誌2009年9月5日号(オンライン版2009年8月17日号)掲載より。
偶然に見つかった疾患割合および年齢特異性を調査
Morris氏らの解析は、Ovid Medline(1950年~2008年5月)、Embase(1980年~2008年5月)および関連論文文献を対象に、調査と評価が2人のレビュワーによって行われた。対象となったのは、脳MRIを職業・臨床・自費検診で行ったが神経症状的な疾患は見つからなかった人。
それらを対象に、偶然に見つかった脳病変の、疾患割合および年齢的な特異性を主要転帰として調査が行われた。
偶然に見つかる脳病変について患者にインフォームド・コンセントすべき
16の研究において、19,559例のうち135例で偶然に、腫瘍性疾患が見つかった(有病率:0.70%、95%信頼区間:0.47%~0.98%)。そして有病率は、年齢と共に増加していた(線形傾向χ2、P=0.003)。
15の研究において、15,559例のうち375例で偶然に、非腫瘍性の疾患が見つかった(有病率:2.0%、95%信頼区間:1.1%~3.1%、白質病変、無症候性梗塞、microbleedsを除く)。
無症候性の人で脳病変が偶然見つかる割合は、37人につき1人だった。
また、解像度の違いで比べると、高解像度群で偶然脳病変が見つかる割合は4.3%、これに対し標準解像度群は1.7%だった(P<0.001)。
これらからMorris氏は、「脳MRIを受ける患者に対して、こうした偶然に見つかる脳病変に関してはインフォームド・コンセントをしなければならないだろう」と結論。ただし「今回の我々の所見は、臨床診療では意味ある結果ではあるが、集団検診に関しては正当性は十分ではない」とも付け加えている。