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医師労働人口の推定・予測値、医師会調査と国勢調査でデータに格差が:米国

提供元:ケアネット

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公開日:2009/11/03

 



米国医師労働人口について、米国医師会の医師に関する原ファイル(American Medical Association Physician Masterfile)を基に推定した場合と、米国勢調査局の現況人口調査(Current Population Survey:CPS)を基にした場合とでは、格差があることがわかった。CPSデータによる推定値のほうが、「若い医師が多く、高齢の医師の数は少ない。全体としては医師の労働人口は少ない」という結果だった。米国Dartmouth CollegeのDouglas O. Staiger氏らの研究で明らかになったもので、JAMA誌2009年10月21日号で掲載されている。米国医師会のデータは、これまでにも、退職した医師の情報の更新に時間がかかり、結果として医師の労働人口を過剰に推定する傾向が指摘されていた。

CPSでは55歳以上医師数減で医師労働人口数が全体で10%減




Staiger氏らは、1979~2008年にかけて、週に20時間以上勤務する医師について、米国医師会の医師に関する原ファイルと、米国勢調査局の現況人口調査の両方を使い、10歳区分で週に20時間以上働いている医師について、後ろ向きコホート調査を行った。

その結果、調査期間中の年平均推定医師労働人口は、医師会データと比べてCPSデータでは6万7,000人(10%)少なかった(95%信頼区間:5万7,000~7万8,000人、p<0.001)。これは、55歳以上の医師数が、医師会データよりも少なかったことに起因していた。

CPSの推定値は、高齢医師による、米国公的高齢者向け医療保険(メディケア)への請求データなどと、整合性が取れていたという。

一方、25~34歳の若い医師については、直近15年の年平均推定労働人口が、医師会データに比べてCPSデータは1万7,000人(12%)多かった(同:1万3,000~2万2,000人、p<0.001)。これは、CPSデータのほうが1年目レジデントの数が多かったことによる。

2020年までに医師労働人口は約2割増加




両データは共に、医師の労働人口は2005~2020年にかけていったん約20%増加すると予測していた。ただし、米国医師会による2020年の予測値は105万人なのに対し、CPSは95万7,000人と、10万人近く(9%)少なかった。また、同年の65歳以上の医師の割合についても、米国医師会が18%と予測する一方、CPSは9%と低率だった。

なお、女性医師の増加は医師数に影響を及ぼしてはいなかった。むしろ男性医師に比べ、女性医師のほうが、55歳以後も現役の割合が高いことが明らかになったという。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)