経口糖尿薬での血糖コントロールが最適とならない場合のインスリン複合療法として、どのタイプのインスリン療法が有効なのか。英国オックスフォード大学Rury R. Holman氏らTreating to Target in Type 2 Diabetes(4-T)研究グループは、3タイプのインスリン療法(1日2回の二相性アナログ製剤、食前1日3回の超速効型、基礎インスリンとしての1日1回の持効型)について約700人を対象に、非盲検多施設共同無作為化試験を行った。これまで、どのタイプのインスリン療法が有効かについてエビデンスはほとんどなかった。本試験の結果、3年時点の有効性は、二相性に比べて超速効型、持効型でのコントロールが良好であり、持効型では低血糖の発生頻度がより低く、体重増加はより小さかったことが報告されている。NEJM誌2009年10月29日号(オンライン版2009年10月22日号)掲載より。
708例を二相性、超速効型、持効型の3タイプの複合療法群に無作為化
試験は2004年11月~2006年7月の間にイギリスおよびアイルランドの58クリニックから、病歴12ヵ月以上でインスリン療法を行っていない18歳以上の2型糖尿病患者708例(平均年齢61.7±9.8歳)が参加し行われた。いずれも、メトホルミンとSU薬の服用(4ヵ月以上)では血糖コントロールが不良(HbA1c値:7.0~10.0%)であった、BMI値40未満の患者。チアゾリジンジオン系薬剤服用者および3剤以上服用者は除外された。
試験で用いられたインスリンはフレックスペンタイプの、NovoMix 30(商品名:ノボラピッド30ミックス)、NovoRapid(同:ノボラピッド)、Levemir(同:レベミル)。なお時効型群については必要に応じて1日2回投与もされた。
被験者は、最初の1年間の複合治療で高血糖が許容範囲を超えていた場合、またはHbA1c値が6.5%を超えていた場合、SU薬に代わって第2のインスリン療法が追加された。
評価項目は、HbA1c値、HbA1c値が6.5%以下の患者割合、低血糖の頻度、体重増加。
HbA1c中央値は3群とも同等だったが、6.5%以下の患者割合に差異
HbA1c中央値は、二相性群7.1%、超速効型群6.8%、持効型群6.9%(P=0.28)で、3群とも同等だったが、6.5%以下の患者割合については、二相性群(31.9%)が、超速効型群(44.7%)、持効型群(43.2%)よりも低かった。
第2のインスリン療法追加は、二相性群(67.7%)、超速効型群(73.6%)、持効型群(81.6%)と、3群で有意に異なった(P=0.002)。
低血糖の頻度(年間中央値)は、持効型群(1.7)が最も少なく、二相性群(3.0)、超速効型群(5.7)と高まった(全体比較P<0.001)。
体重増加の平均値は、超速効型群が、二相性群、持効型群よりも大きかった。その他の有害事象については、発生頻度は3群で同等だった。
(医療ライター:武藤まき)