歩行速度が遅い高齢者の死亡リスクは1.5倍、心血管死亡リスクは3倍

提供元:ケアネット

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公開日:2009/12/04

 



歩行速度は高齢者の歩行と運動機能を表す、単純で信頼性の高い物差しとされる。また歩行速度の低下は、死亡を含む有害イベントと関連していることが明らかになっている。フランス国立保健医学研究所(INSERM)のJulien Dumurgier氏らの研究グループは、高齢者における歩行速度の低下と死亡リスクとの関連、また全死因および主な死因との関連を調べた。BMJ誌2009年11月21日号(オンライン版2009年11月10日号)掲載より。

65歳以上の3,208人を歩行速度で3群に振り分け、約5年間追跡




調査は前向きコホート研究にて行われ、参加者は、フランスの3都市(ボルドー、ディジョン、モンペリエ)から1999年から2001年にかけて集められた、地域で生活する65歳以上の男女3,208人で、平均5.1年間追跡された。

主要評価項目は、全死亡率および主要な死因による死亡率とした。評価は、6m超歩行時の最大速度を計測し男女それぞれ3分位群(男性:≦1.5m/s、1.51~1.84m/s、≧1.85m/s、女性:≦1.35m/s、1.36~1.50m/s、>1.50m/s)に振り分け、潜在的交絡因子(歩行速度3分位を基線としたカプラン・マイヤー生存曲線、追跡期間中のバイタル、死因)で調整され行われた。

がん死亡率に関しては見られない強い関連が心血管死亡リスクで




追跡期間中の16,414人・年のうち、死亡は209例だった。内訳はがん99例、心血管疾患59例、その他原因が51例だった。

参加者のうち、基線での歩行速度が最も遅い3分位群は最も速い3分位群と比較して、死亡リスクが有意に高かった(ハザード比:1.44、95%信頼区間:1.03~1.99)。

特異的死因解析から、歩行速度が遅い群の心血管死リスクが、速い群と比べて3倍に達することがわかった(ハザード比:2.92、95%信頼区間:1.46~5.84)。がん死亡率に関しては両群で有意差はなかった(1.03、0.65~1.70)。心血管死亡率は、性、年齢中央値、BMI中央値、身体活動レベルなど層別階層での解析いずれにおいても、歩行速度が遅い群が速い群と比べて高かった。

研究グループは、高齢者の歩行速度が遅いことと心血管死のリスク増加と強く関連していると結論づけている。