二次救命処置(ACLS)における薬剤の静脈内投与に関して、投与を行わなかった場合と退院時生存率などが同等であることがわかったという。ノルウェー・オスロ大学病院実験医学研究所のTheresa M. Olasveengen氏らが、無作為化対照試験を行い明らかにしたもので、JAMA誌2009年11月25日号で発表した。現行のACLSガイドラインには、薬剤の静脈内投与が盛り込まれているものの、投与によるアウトカム改善に関するエビデンスは不明だった。
入院時生存率は投与群が高率
Olasveengen氏らは、2003年5月1日~2008年4月28日にかけて、ノルウェーの首都オスロの救急医療サービスを利用した、院外で非外傷性の心停止のあった18歳以上、合わせて851人について追跡した。
被験者は無作為に、薬剤の静脈内投与を行うACLS群(418人)と、静脈内投与を行わないACLS群(433人:対照群)に分けられた。入院時の心拍再開生存率は、対照群が21%だったのに対し、静脈内投与群は32%と有意に高率だった(p<0.001)。
退院時生存率、1年後の神経学的アウトカム良好生存率も同等
主要アウトカムとした退院時生存率は、対照群が9.2%、静脈内投与群が10.5%と、両群に有意差はなかった(p=0.61)。
また副次アウトカムとした、1年後生存率(8% vs. 10%、p=0.53)、1年後神経学的アウトカムが良好な生存率(9.8% vs. 8.1%、p=0.45)についても、それぞれ有意差はなかった。
心室細動や反応時間、心停止時の目撃者の有無などで補正を行った後も、両群の退院時生存率には有意差はなかった(補正後オッズ比:1.15、95%信頼区間:0.69~1.91)。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)