進行心不全患者の生存率およびQOLは、内科的治療よりも、拍動流型左心補助人工心臓の植込み手術治療を受けた方が改善されることは知られているが、新型の連続流型人工心臓「HeartMate II」はこの拍動流型よりも小型で、拍動流型装置を上回る耐久性が期待されている。米国イリノイ州Advocate Christ Medical CenterのMark S. Slaughter氏ら新型人工心臓の研究グループが、無作為化試験を行い、その評価結果を、NEJM誌2009年12月3日号(オンライン版2009年11月17日号)で発表した。
連続流型 vs. 拍動流型で2年生存率を検証
試験は、心臓移植手術が不適格とされた進行心不全患者を登録し、新型の連続流型人工心臓群(134例)と、現在承認されている拍動流型人工心臓群(66例)に、2:1の比率で無作為に割り付け行われた。
主要複合エンドポイントは、植込み手術後2年時点の、障害が残る脳卒中、装置修理または交換のための再手術が行われていない生存率とした。副次エンドポイントは、生存率、有害事象の頻度、QOL、心機能とした。
患者の術前特性は両群で同様だった。年齢中央値は64歳(範囲26~81歳)、平均左室駆出率17%、そして約80%の患者が強心薬の静脈内投与を受けていた。
2年生存率は新型に軍配
主要複合エンドポイントは、新型の連続流型群の方が134例中62例(46%)で、拍動流型群66例中7例(11%)より達成した患者が多かった(ハザード比:0.38、95%信頼区間0.27~0.54、P<0.001)。
生存率も、連続流型群の方が優れていた(58%対24%、P = 0.008)。有害事象と装置交換の頻度は連続流型の方が低かった。なお、QOLと心機能は両群とも有意に改善した。
これらから研究グループは、新型装置の方が2年生存率を有意に改善したと結論づけた。またQOLと心機能改善は両群とも有意だったとも述べている。
(医療ライター:朝田哲明)