子どもの頃のIQと学歴、さらに父親の学歴は寿命と関係するのか?

提供元:ケアネット

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公開日:2010/01/15

 



子どもの頃のIQ、あるいは学業期間は、長生きすること、寿命と関連するのかどうか。また子どもの頃のIQが高く長生きした人の要因が父親の学歴によって説明できるかどうかという研究が、スウェーデン・ストックホルム大学健康資産研究センターのA Lager氏らによって行われ、BMJ誌年末恒例の「クリスマス特集号」(2009年12月19日号)で発表されている。

10歳児のIQ入手できたスウェーデン人1,530例を75歳まで追跡




試験は、スウェーデンMalmo市の住民ベースで行われた。10歳児のIQテストの結果が入手できた1,530例の子どもを75歳まで追跡し、死亡リスクをCox比例ハザード回帰法にて分析した。

結果、学業期間と全死因死亡との間の関連性は、男女とも、高等教育に進んだ人ほど死亡リスクが低い傾向が見られた。子どもの頃のIQおよび父親の学歴で補正後の学業期間に対する死亡のハザード比は男性0.91(0.85~0.97)、女性0.88(0.78~0.98)だった。

子どもの頃IQが高い男性は、死亡リスクが低かった(IQ標準偏差が1増加するごとのハザード比:0.85、95%信頼区間:0.75~0.96)。学業期間および父親の学歴で補正後も変わらなかった。

対照的に、女性においては子どもの頃のIQの高さの影響は認められなかった。平均以上のIQを持つ女性は、60歳以降の死亡リスクが高かった。ハザード比は1.60(95%信頼区間:1.06~2.42)で、学業期間で補正後も変わらなかった。これら平均以上のIQを持つ女性において、学業期間に加えて社会的キャリアを加えたモデル(36歳時点の職業、子ども数など)では、わずかにハザード比への影響が見られた(ハザード比1.35~1.37、変化値<5%)。

IQよりも子どもの健康環境を向上することが大切




Lager氏は調査結果を受け、長生きするかどうかは、子どもの頃のIQでは説明できないと述べ、子どもの頃のIQと長生きの関連は男女で異なり、父親の学歴も影響しないと結論している。

また、男女間に見られたIQの影響の明らかな違いは、幼児期に健康体であったかということよりも社会的・身体的環境要因がIQと死亡率とを結び付けているだけだと述べ、「大切なのは、我々はもっと子どもの健康環境を向上する努力をしなければならないということだ」とまとめている。