冠動脈疾患患者、血中の海洋性ω-3脂肪酸濃度が高いほど、白血球テロメア長の短縮速度が遅い

提供元:ケアネット

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公開日:2010/02/02

 



安定期冠動脈疾患患者で、血中の海洋性オメガ(ω)-3脂肪酸濃度が高いほど、老化の指標である白血球テロメア長の短縮速度が遅いことがわかった。これまでの研究から、海洋性ω-3脂肪酸の摂取が、冠動脈性心疾患患者の生存期間の延長に関与することは明らかになっていたが、その背景となる機序については不明だった。米国カリフォルニア大学サンフランシスコ総合病院循環器科のRamin Farzaneh-Far氏らが、600人超を対象に行った前向きコホート試験で明らかにしたもので、JAMA誌2010年1月20日号で発表した。

608人を中央値6年追跡




Farzaneh-Far氏らは、2000年9月~2002年12月にかけて、安定期冠動脈疾患の患者608人について試験を開始し、その後2009年まで追跡した。追跡期間は5.0~8.1年で、中央値は6.0年だった。

試験開始時と終了時に、白血球テロメア長を調べた。そして、試験開始時の血中海洋性ω-3脂肪酸[ドコサヘキサエン酸(DHA)+エイコサペンタエン酸(EPA)]濃度と白血球テロメア長の短縮速度について、関連性を調べた。

結果、試験開始時の血中DHA+EPA濃度が最も低い四分位範囲の群では、白血球テロメア長の短縮速度が最も速かった(5年間に0.13T/S単位、95%信頼区間:0.09~0.17)。

一方、同濃度が最も高い四分位範囲の群では、同速度は最も遅かった(5年間に0.05T/S単位、95%信頼区間:0.02~0.08、四分位範囲ごとの線形トレンドp<0.001)。

血中DHA+EPA濃度がSDで1増すごとに、テロメア短縮化オッズ比が32%減




試験開始時の血中DHA+EPA濃度は、リスク因子や交絡因子の補正前後にかかわらず、白血球テロメア長の短縮の抑制に関連していた。

血中DHA+EPA濃度が標準偏差で1増すごとに、白血球テロメア長の短縮化に関するオッズ比は32%減少した(補正後オッズ比:0.68、95%信頼区間:0.47~0.98)。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)