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尿路感染症疑い例管理の有効性:管理方法間で有意差なし、経験的投与も3日目以降で

提供元:ケアネット

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公開日:2010/03/05

 



尿路感染症疑い例に対する5つの管理方法の有効性について無作為化試験の結果、症状コントロール達成に5つの方法間に差異はなく、「48時間以降に試験紙法で処方抗菌薬を決定して」あるいは「48時間以降に経験的投与」が、より少量の抗菌薬投与で症状コントロール達成が可能なことが明らかになった。英国サウサンプトン大学地域臨床学部門プライマリ・ケア医学グループのP Little氏らの報告によるもので、BMJ誌2010年2月20日号(オンライン版2010年2月5日号)に掲載された。

プライマリ・ケアベースで非妊娠女性309例を5つの管理方法群に無作為化し検証




Little氏らが検討したのは、(1)速やかに抗菌薬を経験的投与、(2)48時間以降に抗菌薬を経験的投与、(3)排尿症状スコア(尿の混濁・異臭、夜間頻尿、排尿障害のうち2つ以上)に基づき抗菌薬投与、(4)試験紙法の結果(亜硝酸塩、白血球、潜血が陽性)に基づき抗菌薬投与、(5)中間尿検査で陽性なら抗菌薬投与、の5つの管理方法。

研究グループは試験にあたって、(1)に比べて他の群では症状コントロール達成が悪いであろう、特に(2)(5)の待機群で悪いだろうと仮定し、また(4)試験紙法、(5)中間尿検査が他の3方法に比べて効果的であろうと仮定し、試験に臨んだ。

被験者は、2003年6月~2005年9月の間、イングランド南部の62の開業医から、尿路感染症が疑われる妊娠していない女性309例(18~70歳)が集められ、5つの方法群に無作為化された。各群患者に対しては、無作為化試験が患者とのコンセンサスを得たうえで遂行されやすいよう、アドバイスシートを使用して介入をコントロールした。また、症状についての自己評価記録を依頼した。

主要評価項目は、症状の重症度(2~4日目)と期間、抗菌薬の使用についてとした。

抗菌薬減を目指すなら、試験紙法、48時間以降投与が有用




(1)群の抗菌薬を速やかに投与された患者の、中等症期間は3.54日間だった。しかし同期間に関して、その他4群と有意差はみられなかった。(1)群との期間比で、(2)群1.12、(3)群1.11、(4)群0.91、(5)群1.21だった(5群の尤度比検定p=0.369)。

重症度についても、5群間に有意差はなかった。重症度スコア0~6の平均値は、(1)群2.15、(2)群2.11、(3)群1.77、(4)群1.74、(5)群2.08だった(p=0.177)。

一方、抗菌薬使用については5群間に違いがみられた。使用率は(1)群97%、(2)群77%、(3)群90%、(4)群80%、(5)群81%だった(P=0.011)。

また、(2)群の48時間以降投与患者について、(1)群の速やかな投与患者と比べて再診の割合が少なかった(ハザード比:0.57、P=0.014)。しかし平均症状期間は37%長かった(発生率比:1.37、P=0.003)。

これら結果を踏まえてLittle氏は、「5つの管理戦略とも、症状コントロール達成は同程度だった。48時間以降に試験紙法で抗菌薬を決定して処方、あるいは48時間以降に経験的投与が、抗菌薬使用を減らすことにつながると思われる」と結論している。

中間尿検査には利点が見いだせず




中間尿検査の実施については、(1)群23%、(2)群15%、(3)群33%、(4)群36%、(5)群89%と違いがみられた(P<0.001)。しかし5群のなかで平均症状期間が特に長かった[(1)群より73%(95%信頼区間で22~140%)長かった]などから、中間尿検査に関して著者は「ルーチンに行う利点は見いだせなかった」と結論している。