頸動脈狭窄、内膜摘除か?ステント留置か?:短期・中期アウトカムの比較

提供元:ケアネット

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公開日:2010/03/12

 



米国ミシガン大学のPascal Meier氏らの研究グループは、議論が続いている頸動脈狭窄に対する頸動脈内膜摘除術と頸動脈ステント留置術の、周術期における安全性と中期の有効性を評価するため、過去に行われた無作為化臨床試験のシステマティックレビューとメタ解析を行い、BMJ誌2010年2月27日号(オンライン版2010年2月12日号)に発表した。

死亡または脳卒中の複合エンドポイントで比較




使用したデータ・ソースは、1990年1月1日から2009年7月25日までのBIOSIS、Embase、Medline、the Cochrane central register of controlled trials、International Pharmaceutical Abstracts database、ISI Web of Science、Google scholar and bibliographies。症状の有無にかかわらない頸動脈狭窄患者を対象とした無作為化対照試験で、頸動脈内膜摘除術群と頸動脈ステント留置術群について比較を行った。

主要エンドポイントは「死亡または脳卒中」の複合とした。また2次エンドポイントとして、「死亡」「脳卒中」「心筋梗塞」「顔面神経麻痺」と「死亡または重い障害の残る脳卒中」を評価した。

11試験(4,796例)が対象となり、そのうち10試験(4,709例)が短期アウトカム(30日以内の周術期)を、9試験が中期アウトカム(1~4年)を報告していた。

中期アウトカムは有意差なし、症状に応じた選択が必要




周術期の「死亡または脳卒中」リスクは、ステント術群より内膜摘除術群の方が低かった(オッズ比0.67、95%信頼区間:0.47~0.95、P=0.025)。その主な要因は「脳卒中」リスクの低下(0.65、0.43~1.00、P=0.049)によるもので、「死亡」リスク(1.14、0.56~2.31、P=0.727)ならびに「死亡または重い障害の残る脳卒中」リスクに有意差はなかった(0.74、0.53~1.05、P=0.088)。

一方、周術期の「心筋梗塞」(2.69、1.06~6.79、P=0.036)、「脳神経損傷」(10.2、95%CI 4.0~26.1、P<0.001)の各リスクは、ステント術群より内膜摘除術群で高かった。

中期的には、2つの治療法間で、「脳卒中または死亡」の有意差はなかった(0.90、0.74~1.1、P=0.314)。

Meier氏は、「短期アウトカムでは、頸動脈内膜摘除術が頸動脈ステント留置術より優れていることが判明したが、その違いは主に軽度の脳卒中に関してだった。脳神経損傷と心筋梗塞については頸動脈ステント留置術群での発症が有意に少なかった。しかしいずれも、中期アウトカムでは両術群に有意差はみられなかった」とまとめ、それぞれの治療法の役割を考慮し、症状の有無に応じて適切に選択すべきだとしている。