高齢ICU生存者の約4割が、3年以内に死亡

提供元:ケアネット

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公開日:2010/03/16

 



米国の65歳以上で入院中に集中治療室(ICU)での治療を受け生存退院した人のうち、約4割が3年以内に死亡していたことが報告された。年齢や性別などをマッチした対照群に比べ、そのリスクは約2.4倍だったという。米国コロンビア大学救急部門のHannah Wunsch氏らが、3万5,000人超のICU生存者とその対照群について後ろ向きに調べ明らかにしたもので、JAMA誌2010年3月3日号で発表した。

非ICU・入院の対照群、入院の有無を問わない対照群を抽出、3年追跡




同研究グループは、米国の高齢者向け公的医療保険「メディケア」加入者のうち、入院中ICUで治療を受け、2003年に生存退院した、3万5,308人を抽出した。その対照群として、年齢・性別・人種などをマッチした、(1)2003年に入院し、ICUでの治療は受けず、生存退院した人(入院対照群)、(2)2003年に最低1回はメディケア支払いによる医療を受けたが、ICUでの治療は受けず、入院の有無も問わない人(一般対照群)――の2つの対照群を抽出した。

人工呼吸器を受けたICU生存者、退院後6ヵ月以内の死亡率増大が顕著




退院後3年以内の死亡率について比較したところ、ICU群が最も高率で39.5%(1万3,950人)、次いで入院対照群34.5%(1万2,173人)で、補正後ハザード比は1.07(95%信頼区間:1.04~1.10、p<0.001)だった。一般対照群の同率は14.9%(5,266人)で、ICU群の一般対照群に対する補正後ハザード比は2.39(同:2.31~2.48、p<0.001)だった。

ICU群の中でも、人工呼吸器による治療を受けなかった人の3年死亡率は38.3%と、入院対照群の34.6%との差は少なかった(補正後ハザード比:1.04、95%信頼区間:1.02~1.07)。

一方、ICU群の中で人工呼吸器による治療を受けた人の同死亡率は57.6%と、入院対照群の32.8%に比べ、大幅に高率だった(補正後ハザード比:1.56、95%信頼区間:1.40~1.73)。特に、退院後6ヵ月以内の両群の差は著しく、死亡率はそれぞれ30.1%に対し9.6%と、同補正後ハザード比は2.26に上った(同:1.90~2.69)。

また、ICU群・入院対照群で退院先が施設だった人の6ヵ月以内死亡率も高率だった。同死亡率は24.1%で、退院先が自宅だった人の7.5%と比べ、大幅に高かった(補正後ハザード比:2.62、95%信頼区間:2.50~2.74、ICU群+入院対照群p<0.001)。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)