rosiglitazoneの安全性に好意的な研究者と製薬会社との関係

提供元:ケアネット

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公開日:2010/04/23

 



2型糖尿病治療薬rosiglitazone(国内未承認)の安全性について好意的な見解を表明している研究者は、そうでない研究者に比べ製薬会社と金銭的な利益相反を有する傾向が強いことが、アメリカMayo Clinic内科学のAmy T Wang氏らの調査で明らかとなった。最近の透明性の向上を求める声にうながされて、利益相反の開示に関する指針のさらなる厳格化と、いっそうの普及が進められている。過去10年間に実施された様々な試験において、利益相反と製薬会社を支持する結論の関連が示されているという。BMJ誌2010年4月10日号(オンライン版2010年3月18日号)掲載の報告。

2つの基準論文に触れた文献を3つに分類し、利益相反の有無との関連を解析




研究グループは、糖尿病患者におけるrosiglitazone投与と心筋梗塞の発症リスクの増大について、著者の金銭的な利益相反とその見解の関連性を検討した。

2009年4月10日に、Web of ScienceおよびScopusを用い、2つの基準論文を引用あるいはこれに言及している文献を抽出した。2つの基準論文とは、NissenとWolskiが糖尿病患者におけるrosiglitazoneと心筋梗塞イベントの関連について初めて行ったメタ解析(N Engl J Med 2007; 356: 2457-71)およびこのメタ解析の結果に応えるかたちで発表されたRECORD試験の中間報告(N Engl J Med 2007; 357: 28-38)である。

対象文献は「rosiglitazone」「心筋梗塞リスク」に触れていることとし、ガイドライン、メタ解析、レビュー、臨床試験、論文に関するレター、解説、エディトリアルが含まれた。

個々の文献について、著者の金銭的な利益相反に関する情報を集めた。2名の評価者が別個に、利益相反の有無を知らされない状況下で個々の論文を「好意的(rosiglitazoneは心筋梗塞リスクを増大させない)」「中立的」「非好意的」のいずれかに分類した。

予想外に低い情報開示率、好意的見解と金銭的利益相反に強固な関連性が




202の文献が抽出され、そのうち利益相反の記述があったのは108(53%)文献に過ぎず、著者に利益相反を認めたのは90(45%)文献であった。

rosiglitazoneと心筋梗塞リスクの関連に「好意的」であった著者は、「非好意的」な著者に比べ、全般に血糖降下薬の製造会社との間に金銭的な利益相反を有する傾向が強く(関連強度率比:3.38、95%信頼区間:2.26~5.06)、特にrosiglitazoneの製造会社とはその傾向が強固であった(同:4.29、同:2.63~7.02)。同様に、「rosiglitazone使用の推奨」と金銭的な利益相反にも強い関連を認めた(同:3.36、同:1.94~5.83)。

このような関連性は、著者よりもむしろ文献を解析対象とした場合に強かった(関連強度率比:4.69、95%信頼区間:2.84~7.72)。さらに、意見論文(同:6.29、同:2.15~18.38)や主にrosiglitazoneに関する論議に焦点を当てた文献(同:6.50、同:2.56~16.53)に限定した場合、およびアメリカ食品医薬品局(FDA)によるrosiglitazoneの安全性に関する警告の発表の前(同:3.43、同:0.99~11.82)、発表後(同:4.95、同:2.87~8.53)でも、一貫してこのような関連が強くみられた。

著者は、「金銭的な利益相反の情報開示率は予想外に低く、著者がrosiglitazone論議について表明した方向性と、彼らの製薬会社との金銭的な利益相反には明確かつ強力な関連性が認められた」と結論し、「これらの知見は、糖尿病患者に対するrosiglitazoneの心臓リスクに関する見解と、著者の金銭的利益相反の因果関係を必ずしも示すものではないが、科学的な業績を信頼に足るものするためには、情報開示手続きをさらに変更する必要性があることを浮き彫りにしている」と指摘する。

(菅野守:医学ライター)