心筋梗塞発症率、2000年以降有意に低下

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2010/06/23

 



大規模住民ベースを対象とした研究で、2000年以降、心筋梗塞の発症率が有意に低下していることが明らかにされた。ハーバード・メディカル・スクール、マサチューセッツ総合病院循環器部門のRobert W. Yeh氏らによるもので、NEJM誌2010年6月10日号で発表されている。近年の心筋梗塞発症率および転帰の傾向について、住民ベースの研究はほとんどなかったという。

1999~2008年、1,869万超人・年の心筋梗塞発症率と転帰を調査




Yeh氏らは、心筋梗塞の最近の傾向を明らかにするため、加入者300万人以上のHMO(健康維持機構)Kaiser Permanente Northern California加入者を研究対象とした。1999~2008年に心筋梗塞(ICD-9-CM規定)を発症し入院した30歳以上を同定し、年齢、性別で補正後、全心筋梗塞発症率と、ST上昇型・非ST上昇型別の心筋梗塞発症率を算出し検証した。

患者特性、外来薬物療法、入院中の心臓バイオマーカー値は、保健計画データベースを用い、30日死亡率は州および米国社会保障局(SSA)の死亡データベースで確認された。

1999~2008年の追跡期間中、1,869万1,131人・年のうち、心筋梗塞で入院した人は4万6,086例だった。

ST上昇型心筋梗塞の発症率低下が顕著




年齢・性補正後の心筋梗塞発症率は、1999年(274例/10万人・年)から2000年(287例/10万人・年)にかけては増加していた。しかし、その後は年々減少し、2008年までに24%の相対的減少を示した。2008年の発症率は、208例/10万人・年だった。

同補正後のST上昇型心筋梗塞の発症率は、試験期間中低下し続けていた。1999年は133例/10万人・年だったが、2008年は50例/10万人・年だった(線形P<0.001)。

30日死亡率は、1999年より2008年で有意に低かった(オッズ比:0.76、95%信頼区間:0.65~0.89)。

Yeh氏は、「大規模地域集団内での心筋梗塞の発症率は、2000年以降有意に低下していた。ST上昇型心筋梗塞の発症率は、1999年以降顕著な低下がみられている。短期死亡率の低下の一部は、ST上昇型心筋梗塞の発症率低下と、非ST上昇型心筋梗塞後の死亡率低下によるものだろう」と結論している。

(医療ライター:朝田哲明)