インフルエンザウイルスの家庭内感染率やウイルス排出パターン、新型も季節性も類似

提供元:ケアネット

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公開日:2010/06/23

 



家族がインフルエンザに感染し発症した場合、同居する家族への感染率やウイルス排出のパターンは、H1N1(新型)も季節性も類似していることが明らかにされた。香港大学Li Ka Shing医学公衆衛生校感染症疫学のBenjamin J. Cowling氏らが、約100人の患者とその同居する家族を対象に調べたもので、NEJM誌2010年6月10日号で発表した。

患者と同居する家族300人弱のスワブについて、RT-PCR法とウイルス培養




研究グループは、2009年7~8月にかけて、香港の14ヵ所の外来診療所を訪れた、急性気道疾患の患者348人のうち、インフルエンザ迅速診断キット「QuickVue」でA型ウイルスが確認された99人と、その同居する家族について調査を行った。発症後7日以内に3回訪問し、患者と同居する家族全員の鼻腔・咽頭スワブを採取し、定量的逆転写RT-PCR法とウイルス培養を行い、ウイルス排出や感染の有無を調べた。

同居する家族の数は、新型インフルエンザが130人、季節性が154人だった。なお、QuickVue検査の感受性は、新型インフルエンザが80%、季節性インフルエンザが77%だった。

新型と季節性、家族への二次感染までの日数も同等




その結果、RT-PCR法でインフルエンザウイルスへの二次感染が認められた同居する家族の割合は、新型インフルエンザが8%(95%信頼区間:3~14)で、季節性インフルエンザが9%(同:5~15)と、同等だった。

また、患者から家族への二次感染までの日数は、新型が3.2日(95%信頼区間:2.4~4.0)、季節性が3.4日(同:2.7~4.1)と同等だった。さらに、ウイルス排出は発症後5~7日後に終息するなど、パターンも類似していた。気道症状はまた、いずれも発症後10日まで持続した。

なお、サブグループとして、試験開始時と回復時に血清検査を行い、RT-PCR法で感染が確認された家族19人のうち、新型に感染した11人の36%、季節性に感染した8人の50%で、ウイルス排出が認められなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)