グレードの高い形成異常症の治療を受けた女性の大半は、その時点での浸潤性子宮頸癌が予防されるが、治療後も長期にわたって子宮頸癌や膣癌のリスク亢進がみられるとの報告がある。イェーテボリ大学(スウェーデン)産婦人科Bjorn Strander氏らは、グレード3の頸部上皮内癌の治療を受けた患者の、浸潤性子宮頸癌や膣癌のリスク亢進はどれぐらいの期間にわたるのか前向きコホート研究にて調査した。BMJ誌オンライン版10月24日付け、本誌11月24日号掲載より。
1958年~2002年に診断を受けたスウェーデン女性対象
対象としたのは、1958年~2002年の間に重度形成異常症または頸部上皮内癌(グレード3に相当するもの)の診断を受けたと記録されているスウェーデン女性132,493例、累計2,315,724例。
主要評価項目は、スウェーデンの一般女性集団での癌リスクに対する標準化発生率、および内部標準を用いた多変量ログ線形回帰モデルによる相対リスク。
子宮頸癌の標準化発生率は2.34、膣癌6.82
グレード3の頸部上皮内癌を有したことのある女性の侵襲性子宮頸癌の標準化発生率は2.34(95%信頼区間:2.18~2.50)だった。
1970年以後に治療を受けた女性では、リスク亢進は時間とともに減少していたが、四半世紀を過ぎてもまだリスク亢進はみられる。
年齢的には50歳以上女性でリスク亢進が目立ち、リスクは1958年以降着実に増大していることも明らかとなった。
膣癌の標準化発生率は6.82(同5.61~8.21)であったが、25年以上経過では2.65まで減少していた。
これらの結果を受けStrander氏らは、「グレード3相当の頸部上皮内癌治療経験者の、侵襲性子宮頸癌と膣癌の治療後リスク亢進は25年以上にも及ぶ。未解決な疑問点もあるが、治療経験女性に対して定期的な細胞診を年齢にかかわらず25年以上は実施すべきだ」と提言した。