症状監視自動モニタリングと連結した遠隔医療(テレケア)管理システムは、都市部の点在するがんケア施設の患者や、地方のがんケア施設で暮らす患者の、疼痛症状やうつ病を改善する効果があるという。米国インディアナポリス・Richard Roudebush退役軍人メディカルセンターのKurt Kroenke氏らが、無作為比較対照試験を行い明らかにした。疼痛症状とうつ病は、がん関連の最も一般的かつ治療可能な症状だが、認知されていなかったり、治療がされていなかったりする頻度も高い。Kroenke氏らは、テレケア管理システムに、そうした状況を改善する効果があるのか検討を行った。JAMA誌2010年7月14日号掲載より。
がんケア施設入所者をテレケア介入群と通常ケア群に無作為化し追跡
試験は、INCPAD(Indiana Cancer Pain and Depression)試験に協力する地域密着型がんケア施設(都市部と地方合わせて16施設)で行われた。2006年3月~2008年8月に被験者を動員し、2009年8月まで追跡された。
うつ病(Patient Health Questionnaire-9)スコアが10以上か、がん疼痛[Brief Pain Inventory(BPI)worst pain]スコアが6以上、あるいは両スコアを満たしていた被験者を、無作為に、テレケアの介入を受ける群(202例)と、通常ケア群(203例)に割り付け、症状タイプごとに分析した。
介入群の患者は、ナースフィジシャン専門家チームによるテレケア統合管理システムを受けた。双方向の音声録音またはインターネットで症状を自動で監視する在宅モニタリングシステムが活用された。
主要評価項目は、基線・1・3・6・12ヵ月時点で盲見評価された、HSCL-20評価によるうつ病スコア、およびBPI評価による疼痛重症度とした。
介入群の改善効果が一貫して大きい
被験者405例のうち、うつ病の単一症状が認められたのは131例、疼痛の単一症状が認められたのは96例、両症状が認められたのは178例だった。
疼痛症状があった274例のうち、介入群の137例は通常ケア群の137例より、試験12ヵ月一貫してBPIスコアの改善が、より大きかった。平均スコア(範囲0~10)の改善(P<0.001)、基線からのBPI改善が30%以上(P<0.001)、いずれの指標でも介入群の改善が大きかった。
同様にうつ症状があった309例も、介入群の154例が通常ケア群の155例より、12ヵ月の間のHSCL-20スコアの改善が、より大きかった。平均スコア(範囲0~4)の改善(P<0.001)、基線からのHSCL-20改善が50%以上(P<0.001)、いずれの指標でも介入群の改善が大きかった。
両群間の標準エフェクトサイズ差は、疼痛については3ヵ月時点0.67(95%信頼区間:0.33~1.02)、12ヵ月時点0.39(同0.01~0.77)、うつ病については3ヵ月時点0.42(同0.16~0.69)、12ヵ月時点0.41(同0.08~0.72)だった。