小児がん5年生存児は、一般集団と比べ早期死亡のリスクが高いが、長期において、特に一般集団での死亡が実質的に増え始める診断後25年以降についてはどうなのか。これまでの研究で、20年時点で、死亡リスクが高い疾患要因として、再発がんよりも二次原発がんや循環器系イベントによるものだったことが報告されている。英国バーミンガム大学のRaoul C. Reulen氏らは、それより長期の特異的死亡要因について大規模住民ベースによる調査を行った。JAMA誌2010年7月14日号掲載より。
1940~1991年の英国小児がん5年生存児1万7,981例を追跡
調査は、British Childhood Cancer Survivor Studyに登録された1万7,981例の小児がん5年生存児を対象に行われた。被験者は、英国内で1940~1991年に、15歳未満で小児がんと診断された5年生存者で、2006年まで追跡された。
主要評価項目は、標準死亡率比(SMR)と、絶対超過リスク(AER)とした。
再発死亡は減少するが、代わって二次原発がん・循環器系死亡が増大
追跡期間中の死亡は3,049例で、一般集団の11倍だった(SMR:10.7、95%信頼区間:10.3~11.1)。SMRは追跡期間中減少していったが、診断から45年でもまだ3倍だった(同3.1、2.5~3.9)。
再発による死亡のAERは、診断から5~14年時点では、1万人・年当たり97例(95%信頼区間:92~101)だったが、45年以降では8例(同3~22)に減少していた。
対照的に同期間の、二次原発がんや循環器系イベントによる死亡のAERは、増加していた。二次原発がん死亡のAERは、8例(同7~10)から58例(同38~90)に、循環器系死亡のAERは、2例(同2~3)から29例(同16~56)に増加していた。
診断後45年以降に観察された、再発による死亡のAER(%)は7%だったが、二次原発がん+循環器系の死亡のAER(%)は77%となっていた。
Reulen氏は、「英国の小児がん5年生存児は診断後25年以降、二次原発がんや循環器系イベントによる超過死亡の状態が続いていた」と結論している。