特発性頭蓋内圧亢進症を有する女性への、食事療法(低エネルギー食)介入は、有意に頭蓋内圧を低下し、耳鳴りなどの症状、乳頭浮腫も改善することが、英国バーミンガム大学免疫・感染症スクール眼科教育部門のAlexandra J Sinclair氏らによる前向きコホート研究の結果、報告された。食事療法終了後も3ヵ月間、効果は持続していたことも確認された。BMJ誌2010年7月17日号(オンライン版2010年7月7日号)掲載より。
425kcal/日の低エネルギー食介入後の、頭蓋内圧の低下を観察
試験は、英国内の病院の外来および臨床研究施設から被験者を集め行われた。被験者は、BMIが>25、乳頭浮腫を呈し、頭蓋内圧>25cmH2O、慢性(3ヵ月超)特発性頭蓋内圧亢進症の女性25人だった。手術治療を受けた患者は除外された。
被験者は試験登録後、3ヵ月間は新規介入を受けず(ステージ1)、続く3ヵ月間は低エネルギー食(1,777kJ/日、425kcal/日)の介入を(ステージ2)、その後3ヵ月間は追跡期間とされた(ステージ3)。
主要評価項目は、食事療法介入後の頭蓋内圧の低下。副次評価項目には、頭痛(headache impact test-6)スコア、乳頭浮腫[超音波測定(視神経乳頭腫脹、神経鞘腫直径)、OCT測定(乳頭周囲網膜厚)]、ハンフリー視野の平均偏差、LogMAR視力、その他症状を含んだ。評価は、基線、3、6、9ヵ月時点で行われ、また頭蓋内圧は、腰椎穿刺にて、基線、3、6ヵ月時点で測定された。
体重、頭蓋内圧、頭痛、乳頭浮腫が有意に低下
ステージ1の間は、各値に変化はみられなかった。
ステージ2の間では、体重[平均15.7(SD:8.0)kg、P<0.001]、頭蓋内圧[平均8.0(SD:4.2)cmH2O、P<0.001]、頭痛スコア[7.6(SD:10.1)、P=0.004]、乳頭浮腫[視神経乳頭腫脹0.15(SD:0.23)mm(P=0.002)、神経鞘腫直径0.7(SD:0.8)mm(P=0.004)、乳頭周囲網膜厚25.7(SD:36.1)μ(P=0.001)]の、有意な低下がみられた。
ハンフリー視野の平均偏差に変化はなかった。また、患者5例でLogMAR視力の改善(1ライン)が認められた。症状を訴えた被験者はわずかで、耳鳴り(10対4、P=0.004)、複視(7対0、P=0.008)、視野のぼやけ(4対0、P=0.025)だった。
食事療法介入終了後3ヵ月の再評価の結果、体重に有意な変化はなかった[0.21(SD:6.8)kg]。その他のアウトカムも維持されていた。