ST上昇型心筋梗塞の冠動脈再灌流に向けた州の救急システムへの介入

ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者に対する迅速な冠動脈再灌流治療の利点は、20年にわたってエビデンスが示されているにもかかわらず、多くの患者があまりに遅く、あるいは全く治療されていない事実が明らかになっている。デューク大学(アメリカ)のJames G. Jollis氏らのグループは、ノースカロライナ州全体で再灌流治療システムを確立するための介入試験を行った。JAMA誌2007年11月28日号より。
救急システム改変前後でSTEMI患者への対応を比較
本試験はシステムへの介入前後の、再灌流治療実施までの時間と実施率の変化を調べる質向上研究で、ノースカロライナ州の5地域65病院から成る救急体制システムが介入対象となった。このうち経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が可能なのは10病院、非PCI病院は55病院。
研究グループによるシステム介入は、早期診断およびケアの段階に応じた最善の再灌流方法の選択(救急体制、救急治療部、カテーテル検査室、そして転送を含む)。5地域にわたるPCI病院には、1回の呼び出しでカテーテル検査室を稼働、空きベッドの有無、紹介元が提携病院か否かにかかわらず患者を受け入れ、州全体のSTEMIケア向上に協力するよう要請した。
比較調査は、介入前の2005年7月1日~9月30日までの3ヵ月間と、介入後の2007年1月1日~3月31日までの3ヵ月間で行われた。主要評価項目は、再灌流までの時間と実施率。
この間にPCI病院で治療を受けたSTEMI患者は1,164例(介入前579例、介入後585例)で、年齢中央値61歳、女性31%、4%がKillip分類IIIまたはIVだった。同じく非PCI病院で治療を受けたSTEMI患者は925例(介入前518例、介入後407例)で、年齢中央値62歳、女性32%、4%がKillip分類IIIまたはIV。
治療開始、あるいはPCI病院への搬送までの時間は有意に短縮
介入後、PCI病院での来院から治療開始までの時間は、患者が直接運ばれてきたケースで85分から74分に(P<0.001)、他病院から搬送されたケースで165分から128分に短縮(P<0.001)した。
非PCI病院での来院から血栓溶解療法までの時間は35分から29分に短縮(P=0.002)、来院からPCI病院への転送までの時間も120分から71分に有意に短縮された(P<0.001)。
非PCI病院で再灌流治療を受けられなかった患者の割合は15%で変わらなかったが、PCI病院では23%から11%まで減少した。PCI病院に運ばれた患者、あるいは転送された患者の転帰(死亡、心停止、心臓性ショックを含む)はシステム介入による有意な変化はなかった。
これらから研究グループは、STEMI患者を対象とした再灌流治療に特化した地域システムの州全体の取り組みは、ケアの質を有意に高めることができると結論づけるとともに、STEMI起因の死亡率と罹患率の低下が期待できる再灌流治療の応用向上を確かなものにするため、さらなる研究が必要だと述べている。
(朝田哲明:医療ライター)
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