血小板新生を促進する新しい経口活性型トロンボポエチン受容体作用薬であるeltrombopagは、がん化学療法やC型肝炎ウイルスに関連した血小板減少症の治療薬として期待され、臨床試験が進められている。本論はデューク大学(イギリス)のJohn G. McHutchison氏ら研究グループによるもので、同剤の、HCV関連肝硬変に伴う血小板減少症患者の抗ウイルス治療に対する寄与を評価したもの。NEJM誌2007年11月29日号より。
eltrombopag投与群は用量依存的に血小板が増加
血小板数が20,000以上70,000未満(単位:立方ミリメートル;/mm3)のHCV関連肝硬変患者74例を、eltrombopag(1日30、50または75mg)投与群とプラセボ群にランダムに割り付け4週間にわたって連日投与された。
主要評価項目は、4週目の血小板数が100,000/mm3以上であることとした。
試験ではさらにその後12週間、eltrombopagあるいはプラセボを継続投与しながら、ペグインターフェロンとリバビリンによる抗ウイルス治療を開始した。
4週目にデータが有効だった例では、血小板数は用量依存的に100,000/mm3以上に増加した。内訳は、プラセボ投与群が18例中0例、30mg投与群12例中9例(75%)、50mg投与群19例中15例(79%)、75mg投与群21例中20例(95%)だった(P<0.001)。
血小板増加で抗ウイルス治療の開始が可能に
抗ウイルス治療が開始されたのは49例。内訳は、プラセボ投与群は18例中4例、30mg投与群14例中10例、50mg投与群19例中14例、75mg投与群23例中21例だった。
eltrombopagまたはプラセボの並行投与による12週間の抗ウイルス治療が完了したのは、30mg投与群36%、50mg投与群53%、75mg投与群65%、プラセボ投与群は6%だった。
有害事象については、最初の4週間において最も多かったのは頭痛であり、その後はインターフェロン治療で一般に予想されるものであった。
これらから研究グループは、eltrombopag投与がHCV関連肝硬変に伴う血小板減少症患者の血小板数を増加させ、それによって抗ウイルス治療の開始が可能になると述べ、同剤の有用性を結論づけている。
(朝田哲明:医療ライター)