経口ビスホスホネート、食道がんや胃がんの発症リスク増大せず

提供元:ケアネット

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公開日:2010/08/24

 

 骨粗鬆症薬として用いられる経口ビスホスホネート製剤を長期に服用しても、食道がんや胃がんの発症リスクは増大しないようだ。英国Queen’s University Belfast公衆衛生センターのChris R. Cardwell氏らが、4万人超の治療群と同数のコントロール群について、約4年半追跡し明らかにしたもので、JAMA誌2010年8月11日号で発表した。ビスホスホネートの服用による副作用として食道炎は知られるが、食道がんとの関係についての信頼性の高い研究は、これまでなかったという。

約4万2,000人の治療・コントロール群を4.4~4.5年追跡

 同研究グループは、英国General Practice Researchデータベースを基に、1996年1月~2006年12月の間に、ビスホスホネートを服用した4万1,826人と、同数のコントロール群について追跡し、食道がんや胃がんの発症リスクについて分析した。

 被験者の81%が女性で、平均年齢は70.0歳(SD:11.4歳)だった。平均の追跡期間は、治療群が4.5年、コントロール群が4.4年だった。追跡期間が6ヵ月未満の人は、除外された。

食道がんまたは胃がん、食道がんのみの発症リスクいずれも両群で同等

 結果、追跡期間中に食道がんまたは胃がんを発症したのは、治療群の116人(うち食道がんは79人)に対し、コントロール群では115人(同72人)だった。食道がんまたは胃がんの罹患率は、治療群・コントロール群ともに、0.7/1,000人・年だった。食道がんの罹患率は、治療群が0.48/1,000人・年、コントロール群が0.44/1,000人・年だった。

 食道がんまたは胃がんの発症リスクについて、治療群とコントロール群の間に、有意差はみられなかった(補正後ハザード比:0.96、95%信頼区間:0.74~1.25)。

 食道がんのみの同補正後ハザード比も1.07(同:0.77~1.49)と、両群に有意差はなかった。なお、ビスホスホネートの服用期間による、食道がんまたは胃がん発症リスクにも有意差はみられなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)