無作為化臨床試験のうち主要アウトカムとして代替アウトカム(surrogate outcome)を用いたものは17%に及ぶが、その使用を明記し、妥当性につき考察を加えた試験は約3分の1にすぎないことが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のJeppe Lerche la Cour氏が行ったコホート研究で示された。代替アウトカムは、無作為化試験において主要アウトカムの代わりに使用可能な場合があるが、不用意に用いると誤解を招いたり、有害な介入が実施されてしまう可能性があるという。欧米では、代替アウトカムに基づいて新薬の市販承認が行われる場合があり、その危険性を指摘する声もある。BMJ誌2010年8月21日号(オンライン版2010年8月18日号)掲載の報告。
主要6誌掲載の代替アウトカムを用いた無作為化臨床試験を評価
研究グループは、無作為化臨床試験に関する論文の著者が代替アウトカムの使用を告げているか、およびその妥当性を考察しているかについて検討するコホート研究を実施した。
2005~2006年に発行された主要な医学ジャーナル6誌(JAMA、New England Journal of Medicine、Lancet、BMJ、Annals of Internal Medicine、PLoS Medicine)に掲載された無作為化臨床試験のうち、主要アウトカムとして代替アウトカムを用いた試験を抽出した。
代替アウトカム使用試験:17%、使用報告:57%、妥当性解析:35%
この2年間に6誌に掲載された無作為化臨床試験の論文の総数は626編であった。そのうち、109編(17%)が主要アウトカムとして代替アウトカムを使用していた。
109編中、代替アウトカムの使用を明確に記載していたのは62編(57%、95%信頼区間:47~67%)のみであった。さらに、代替アウトカム使用の妥当性について考察を加えていたのは38編(35%、95%信頼区間:26~45%)にすぎなかった。
著者は、「代替アウトカムを用いた無作為化臨床試験は多いが、その使用を妥当性の考察とともに明記した試験は約1/3にすぎなかった」と結論し、「誤った結論を誘導したり、新たな治療法を不用意に容認しないためには、代替アウトカムの使用につき、より適切に報告すべきである」と指摘する。
(菅野守:医学ライター)