米国ブリガム&ウィメンズ病院予防医学部門のTobias Kurth氏らのグループは、中高年女性の片頭痛と出血性脳卒中リスクとの関連を検討する前向きコホート研究を行った。米国女性の保健・医療従事者が参加する大規模研究「Women's Health Study」の中から、基線で脳卒中または他の重大疾患がない45歳以上の中高年女性2万7,860例の、自己報告による前兆を含む片頭痛の有無、脂質値などの情報を用いて行われた。BMJ誌2010年9月4日号(オンライン版2010年8月24日号)より。
45歳以上女性の約18%が片頭痛を経験
主要評価項目は、初発の出血性脳卒中までの期間と出血性脳卒中のタイプとされた。
基線で何らかの片頭痛の既往を報告した女性は、5,130例(18%)だった。そのうち3,612例は過去1年以内に激しい片頭痛があったと報告し、さらにそのうち1,435例(40%)は前兆を伴ったと説明した。
前兆を伴う「激しい」片頭痛は出血性脳卒中リスクを増大
平均追跡期間13.6年の間に、カルテのレビューにより85例の出血性脳卒中が確認された。
片頭痛の既往のない女性と比較して、片頭痛の既往があった女性の出血性脳卒中リスクは増大していなかった(補正後ハザード比:0.98、95%信頼区間:0.56~1.71、P=0.93)。対照的に、前兆を伴う激しい片頭痛を経験した女性のリスクは増大していた(同:2.25、1.11~4.54、P=0.024)。
年齢調整後のリスクは、大脳内出血(同:2.78、1.09~7.07、P=0.032)と致死性イベント(同:3.56、1.23~10.31、P=0.02)について、より増していた。
一方、出血性脳卒中イベント再発では、前兆を伴う片頭痛は年間10,000例につき4例だった。
前兆のない激しい片頭痛を報告した女性では、出血性脳卒中のリスクの増大はみられなかった。
これらから研究グループは、「前兆を伴う片頭痛は、虚血性イベントとともに、出血性脳卒中のリスク因子でもある可能性がある」と結論し「イベント数と寄与リスクは比較的小さいとはいえ、本報告を最終結論とすることなく、さらなる観察を通しての追認が必要である」と報告している。