アイスランド大学薬理学部のLarus S Gudmundsson氏ら研究グループは、中高年の前兆を伴う片頭痛と心血管死および全死因死亡との関連を検討する住民ベースの前向きコホート研究を行った。レイキャビクとその周辺住民で1907~1935年に生まれた1万8,725例の男女を対象に行われた。BMJ誌2010年9月4日号(オンライン版2010年8月24日号)より。
平均年齢53歳男女を約26年追跡
主要評価項目は、心血管疾患死・非心血管疾患死・全死因死亡とされた。
被験者(平均年齢53歳、範囲:33~81歳)の調査票と臨床データは、1967~1991年のレイキャビク・スタディから入手し解析が行われた。被験者の頭痛に関しては、前兆の有無、または偏頭痛、頭痛の有無に分類された。
追跡期間中央値25.9年(0.1~40.2年)、47万990人・年のうち、1万358例の死亡が報告された。そのうち、心血管疾患死は4,323例、その他死亡は6,035例だった。
女性の場合は非心血管疾患死亡のリスクも高い
前兆を伴う片頭痛を持つ人は、全死因および心血管疾患による死亡のリスクが、頭痛のなかった人と比べて増大した。全死因の補正後(性・多変数)ハザード比は1.21(95%信頼区間:1.12~1.30)で、心血管疾患死亡についてもリスクの有意な上昇が認められた(同:1.27、 1.13~1.43)。
心血管疾患死亡に関するさらなる検討からは、前兆を伴う片頭痛を持つ人は、冠動脈心疾患死亡(同:1.28、1.11~1.49)、脳卒中死亡(同:1.40、1.10~1.78)のリスクが高かった。
前兆を伴う片頭痛を持つ女性の場合は、非心血管疾患死亡のリスクも高かった(同:1.19、1.06~1.35)。
これらから研究グループは、「前兆を伴う片頭痛は、男女ともにおいて心血管疾患死および全死因死亡の独立リスク因子である」と結論し、「片頭痛を有する人(特に前兆を伴う人)では、冠動脈心疾患死亡リスクと脳卒中死亡リスクが、わずかながらも高いといえるだろう」と報告している。